レビュー
プラモデル「パンジャンドラム」レビュー
第二次大戦中のイギリス軍の珍兵器を1/35スケールのプラモデルで立体化!
2026年6月26日 00:00
- 【パンジャンドラム】
- 開発元:StudioSYUTO
- 販売元:グッドスマイルカンパニー
- 発売日:2026年6月
- 価格:2,420円
- ジャンル:プラモデル
- サイズ:全高約90mm
自由な発想で模型ファンの想像の斜め上を行く商品を企画するStudioSYUTOの最新アイテム「パンジャンドラム」が6月に発売される。
第二次世界大戦中にイギリス軍が開発したという珍兵器を、ミリタリープラモ定番の1/35スケールで立体化するという、実にStudioSYUTOらしい着眼点のプラモデル。これまでガレージキットやスクラッチ作品として作られたことはあるようだが、インジェクションキットとして発売されるのは、筆者が確認できた限りは恐らく世界初。
知識がなければそれが一体何なのかわからない、巨大な糸巻きのような形をしたこの兵器のサンプル版をメーカーより提供いただいたので、そのレビューを本稿にてお届けしよう。
ドイツ軍の“大西洋の壁”破壊を目的に、イギリス軍が開発した自走爆雷。実際にはまともに走らず計画は中止
第二次大戦末期の1943年、イギリス軍はノルマンディー上陸作戦を前に、ヨーロッパ西部の海岸線に約2600kmに及ぶ長さで建設されたドイツ軍のコンクリート製防壁「大西洋の壁」を破るために、上陸用舟艇から射出して壁に穴を開けるための自走爆雷として、このパンジャンドラムを考案した。
約1,800kgの炸薬をドラム缶の中に詰め、鋼鉄と木で作られた車輪の間に吊り下げた設計で、直径約3mの車輪には火薬を込めた推進用ロケットが取り付けられ、その噴射によって転がって進んでいく仕組みだ。設計上は100km/hほどの速度で走り、壁に激突して爆発する構想だった。
その運用試験は秘密裏に行われるはずだったが、よりにもよって観光地として人気のビーチがその実験場に選ばれてしまい、兵器実験の危険がある中、多くの海水浴客の前でその実験は行われたという。もちろん炸薬は積んでおらず、代わりに砂が詰められた状態で行われた実験は、車輪のロケットのいくつかが故障し、設計のようにまっすぐ走ることはなかったとか。
その後改良が施され、何度か実験を繰り返したものの、路面の障害物に足を取られてバランスを崩したり、車輪のロケットが外れてすっ飛んでいったり、果ては制御を失ったパンジャンドラムが実験場の軍関係者やカメラマンを追いかけ回すという醜態をさらし、その結果開発プロジェクトは中止となった。
ギャグマンガのような試験の様子は語り継がれ、現代のミリタリー作品のネタとして扱われている。2009年のノルマンディー上陸作戦65周年の記念行事では、花火を使用したレプリカが作られ、実際に走る様子を見せている。現代の設計技術をもってしても、500mを走行する予定がその1/10の50m程度で止まってしまうという、最後までネタに事欠かない存在となった。
そんなパンジャンドラムのプラモデルは、実物の形状を当時の写真などを参考に1/35スケールで立体化している。無可動のキットで、車輪の直径は約90mm(実寸で88mm)。素材はPSで、組み立てには接着剤が必要となる。またマーキングの水転写式デカールが付属している。
組み立ては本体中央部のドラム缶から。2つのパーツを貼り合わせたら、その合わせ目に沿って支柱を1本接着しておく。ほかの支柱は最後に接着する。
パンジャンドラムの推進用のロケットは片側に9個ずつ、全部で18個あり、それぞれは2パーツで構成されている。ともに向きがあり、V字型のノズルは凹みが深い側、丸棒は突起のある側が前方となる。接着時は前後を間違えないようにしたい。
18個のロケットを作り終えたら、それぞれを車輪に取り付けていく。推進力となるものなので、向きは当然左右で異なるため、片側を組み立てたらもう一方はそれとは反対向きに取り付けるようにする。
たくさん取り付ける作業となるため、うっかり間違えると面倒なことになるので注意しよう。
ロケットを取り付けた車輪を、最初に組み立てたドラム缶に左右から接着する。固定できたところで、残っている8本の支柱をドラム缶に取り付けていく。取り付けるのは車輪のスポークのある場所だ。
スポークの裏には溝が切ってあるので、その場所を目安に接着していく。なお支柱のパーツは1本は予備となる。
爆走する巨大糸巻き! フィギュアなどと絡めてネタアイテムとして楽しもう
全て取り付けたら、パンジャンドラムの完成。付属の水転写式デカールはパッケージや完成品写真などを参考に貼ろう。なおデカールはカットされていないので、貼るときは形に沿って切っておくこと。
完成させてできるのが、現代でいう巨大なケーブルドラムのような造形物だから、なんだか笑ってしまう。1/35スケールなので同スケールのフィギュアや兵器をかたわらに置いてみると、その大きさがわかるはず。
語り継がれている実験シーンや、もし実戦に投入されていたらどんな活躍をしたのかといった、ジオラマを作ってみるのも面白そうだ。また中央のドラム缶は空洞なので、中に何かしらの動力源を組み込んで走れるように改造する楽しみ方もあるかもしれない。
第二次大戦の実用化されなかった兵器をこのクオリティで立体化するStudioSYUTOのセンスはさすがだ。同社は元々プラモデルの金型を作っていることもあり、パーツの精度も高く、組み立てもしやすかった。
作ってみてこの兵器を取り巻く戦時中の歴史を知るのも面白く、ネタとしても楽しめるので、店頭で見かけたらぜひ手に取って組み立てていただきたい。




































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