特別企画

【ちょい組み】ウォッシングに挑戦! ミレニアムファルコンのディテールがくっきりと浮き上がる!

 弊誌で掲載した「ヘタ仙人の『プラモデルを楽しもう!』、失敗したら指で消せ! 簡単にプラモデルの魅力を倍増させる『スミ入れ』の世界」はいかがだったろうか?

  記事の後半では“ウォッシング”という手法を紹介した。「薄めた塗料をかけて、拭き取る」この方法で「スター・ウォーズ」のスノースピーダーが劇中さながらリアルな雰囲気になるテクニックを解説している。筆者はこの記事の編集を担当していたが、「こういう方法で質感が向上するのか」と感心し、自分のプラモデルでも試したくなった。

スノースピーダーがウォッシングでカッコ良く! 自分でもやってみたくなった

 「ミレニアム・ファルコン」。「スター・ウォーズ」を代表する船と言っていいだろう。ホタテ貝のようなシルエットのこの宇宙船が筆者は大好きでプラモデルを作って、その造形に満足していたが、これにウォッシングを施してみようと思った。

 今回の記事は「組み立てキットに挑戦しよう」という“ちょい組み”とは違う、言わば“ちょい塗り”であるが、気軽に挑戦してみようというベクトルとしては同じ「挑戦企画」である。今回挑戦してみて、結構面白い感じに仕上がったと思う。ウォッシングの結果をレポートしていきたい。

5年ほど前に買ったBANDAI SPIRITSの「1/144 ミレニアムファルコン(フォースの覚醒)」。この真っ白なボディがウォッシングでどうかわるだろうか?

ミレニアムファルコンが、ウォッシングで新しい魅力を獲得

 今回ウォッシングを施すのは、BANDAI SPIRITSのホビー事業部の「1/144 ミレニアムファルコン(フォースの覚醒)」。全長約241mmと、手のひらより大きなサイズでボリュームがあり、ディテール表現も繊細でかなり満足感の高いプラモデルだ。

 ただ映画の中のミレニアム・ファルコンは“オンボロ船”として薄汚れて、ボロボロな感じもある。これを塗装で表現するのは難しそうだと思っていた。今回、ウォッシングでどうなるか、かなり楽しみになった。

組み立てやすくモールドも細かい「1/144 ミレニアムファルコン」は完成度の高いキットだ船の縁などはパーツが非常に細かいように見えるが、実はモールドされたパーツをはめ込むだけで再現できる

 記事の通り「Mr.ウェザリングカラーマルチブラック」と、「Mr.ウェザリングカラー専用うすめ液」、これを塗るための筆のセットを買った。塗装をするためにはこれだけでは足らず、塗料を入れるための皿を100円ショップで購入した。

 筆者は今地方の町に住んでいるが、少子化のためか筆者の周りにはもうプラモデルを売っているところがない。プラモデルや工具はAmazonで購入はできるが、模型屋で塗料や道具がずらりと並んでいる光景を眺めるのはやはり楽しい。筆者が子供のころはすぐ近くにそういう模型屋があったなと懐かしく思い出したりした。

「Mr.ウェザリングカラーマルチブラック」と、「Mr.ウェザリングカラー専用うすめ液」を購入。混ぜ合わせる皿がなかったため、100円ショップで調味料用の皿を購入し使ってみた

 道具が届くと早速取りかかってみた。塗料を皿に出し、薄め液を加えて混ぜて、とにかくプラモデルに塗ってみる。サラサラの塗料はミレニアム・ファルコンの表面のモールドを浮き立たせる。ウェザリングは「ムラも気にせず全体にドバドバと塗りつける」のがコツだ。「こんなに塗りたくって大丈夫かな?」と自問自答しながら面積の大きい筆でドバドバと塗料を塗っていった。

【ドバドバと塗る】
ほんとにこんなに塗って良いのかな? と自問しながらとにかく全面に塗装していく
裏面も塗る
全体的に薄汚れた感じになった。一方でキットが本来持っていた細かいモールドがしっかり浮き出ているのがわかる

 結果薄汚れた感じに仕上がった。ここから少し乾燥させた上で拭き取る。ヘタ仙人はキムワイプを奨めていたが、手に入らなかったので思いきってティッシュペーパーを使った。ティッシュが表面に残ったらどうしようかとも思ったが、薄め液をしみこませたティッシュはきちんと表面の塗料を拭き取ってくれた。

 表面を覆っていた黒い塗料が取れると装甲が現われる。「えっ?」と声が出た。NASAの宇宙船の船体を思わせる白い装甲に、くっきりしたスジ彫り、薄く汚れた陰がついた姿は、映画のミレニアムファルコンのような表面処理になっている! うれしくなった筆者はグイグイと拭き取り、黒い部分が足りなく感じたところは処理をやり直したりして進めた。

【塗料を拭き取る】
薄め液をしみこませたティッシュで拭き取っていく。薄め液そのものを筆で塗り拭き取ることも。まさに薄め液で洗う(ウォッシング)する感じだ
結果、かなり質感として映画の雰囲気に近い感じになった

 結果、無塗装と比べてかなりはっきりと質感が変わった。表面のパネルラインに加え、側面のごちゃごちゃしたモールドが見事に浮き出ている。終わってみれば汚しすぎた感じで、近くで見る分には良いが、少し離れるとスミ入れ部分が濃すぎて情報量が多すぎると感じた。塗料をもう少し灰色寄りにするか、さらに薄い黒にすれば良かったのかも知れない。

 それでもこの少しの手間で大きく仕上がりが変化したのは驚きであり、筆者自身の「プラモデルへの塗装」という感覚が変化した。正直苦手意識を持っていたが、「今後も少し試してみようかな?」と思うようになった。

【完成】
ウォッシングで“リアル感”がアップしたと感じる。「自分の塗装でこうなった」というのは、結構うれしい
ウォッシングでディテールが浮き出す。プラモデルのディテールの見事さがよりはっきりと見える一方で、ちょっと黒くなりすぎたかなと言うところも。無塗装とは違った感じで仕上がった

 かなり満足した筆者は早速筆と薄め液を買い足した。次のプラモデルではスミ入れをしようと思う。薄め液できちんと拭き取ると、ちゃんとリカバーできそうと言うのがわかったからだ。また今回の成功に気をよくして「X-ウィング」のウォッシングにも挑戦しようとも思っている。

 弊誌では「ちょい組み」というコーナーを創設したのは、もっと気軽に組み立てキットに挑戦して欲しいという想いからだ。今回のように簡単な塗装によるディテールアップも挑戦していきたい。色々な方法を提示することで、読者のみなさんの挑戦のきっかけにもなって欲しい。お楽しみに。