特別企画

電動モーター搭載で実際に走る!「レゴ トヨタ GRスープラ 実物大レプリカ」先行撮影会レポート

レゴ スープラは極めて異例なプロジェクト!? 実物大レプリカモデル実現への想いを聞いてみた

 今回の先行撮影会では、レゴジャパン・シニアマーケティングマネージャーの橋本優一氏より貴重なお話を伺うことができた。

レゴジャパン・シニアマーケティングマネージャーの橋本優一氏

 レゴ スープラの制作及び組み上げは日本のチームではなく、チェコ共和国・クラドノにあるレゴグループの専門チームが担当。デザイン及びエンジニアリングスペシャリスト7名が設計を行ない、モデルビルダー21名とメカニック2名が24時間体制3シフトで制作したという。レゴ スープラが左ハンドルの海外仕様なのはそのためで、レゴ スープラの完成までに費やした時間は設計に3,000時間、制作に2,400時間の何と合計5,400時間(約7カ月)。

 今回の制作に際して、トヨタ自動車より車体ごと提供してもらったわけではないので、提供された部品の組み込み方や配線など“見えない部分”であるテクニカルな部分に多くの時間を費やし、チェコの現地スタッフがトヨタのエンジニアに細かい質問を投げかけながら、電子系もすべて一から作り上げて完成させていったそうだ。

 また橋本氏は、完成したレゴ スープラを最終的にチェコより日本へと輸送するのがレゴジャパン側として非常に気を使い、苦労した部分だったと語る。

 レゴグループとしては今回初となる電動モーター搭載の1/1サイズモデルを日本国内に輸入する経験がなかったため、破損、故障、保管先や受け入れ態勢などをクリアにするべく、レゴジャパンの輸入チームと外部のエキスパートとの協力体制を構築。万が一の故障や破損の際に対応できるよう、いくつかのシナリオを想定し現地製作陣とも確認、調整しながら輸入し、何とか大事もなく日本に上陸させることができたという。

 ちなみに、レゴブロックで1/1サイズで再現されたクルマの実物大レプリカモデルに関して、LEGO公式のものは世界に3台しかない。ブガッティ「シロン」、ランボルギーニ「シアン FKP 37」に続く、第3弾のリアルサイズモデルがトヨタ「GRスープラ」ということになる。

【The Amazing Life-size LEGO Technic Bugatti Chiron that DRIVES!】
【This is the life-size Lamborghini Sian FKP 37】

 レゴブランドとTOYOTA GAZOO Racingとのコラボレーションは、デンマークにあるレゴ本社からの声掛けでスタートしたもの。数あるスポーツカーブランドの中でまだコラボレーションしたことない会社の中にトヨタがあり、スープラのアニバーサリーイヤーを記念する「レゴ スピードチャンピオン トヨタ GRスープラ」の商品開発が決定。もともとはそれだけのコラボレーションだった。

 そうした中で、レゴジャパンの当時担当で、現在も担当者である橋本氏が日本のトヨタ自動車とコラボするなら「日本でも何かできるのでは?」と思い立って今回の企画を提案。トヨタ側からしてみれば、デンマークの担当者とはやり取りをしていても、橋本氏のことは全く知らないという中でプロジェクトがスタート。突然の連絡にもかかわらずトヨタは真摯に協力してくれたとのことで、橋本氏はなにより「本物のパーツを頂けたことがよかった」とプロジェクト実現までの経緯を紹介してくれた。

トヨタのエンブレムは本物のパーツ

 したがって、今回のレゴ スープラはレゴジャパン考案の完全オリジナル企画ということになる。これはさして珍しいことではないと思われるかもしれないが、実はレゴとしては極めて異例なこと。

 レゴグループでは、グローバルブランドであるが故に商品開発等を一括してデンマークの本社が管轄しており、基本的に各国にある現地法人が商品を含め“モノ”を作るということは許されていない。それにもかかわらず、今回はプロモーションの一環でありコラボレーションの象徴でもあることから、特別な許可の下でプロジェクトの実施を決定し日本から世界中を驚かせるべく、トヨタのチームとも協力しながらレゴ スープラの完成までこぎつけたそうだ。

 子供たちがスポーツカーそのものに触れる機会がなかなかない中、レゴグループでは、おもちゃの中で圧倒的な人気を誇るスポーツカーの新商品を毎年発売するなど、子供が持つクルマへの情熱を大事にしているという。

 今回のコラボレーション企画を通じて、実車のスープラも見れて、レゴ スープラも見れて、そして商品を実際におウチに帰って子供や家族が「すごかったよね!」と言いながら作ってもらえると一番うれしいというレゴジャパンの橋本氏。リアルを見て、レプリカを見て「自分でもできるんだ」という体験を実際に味わってみてほしい、とレゴ スープラへの想いを語ってくれた。

 意外にも筆者と同じく完成したレゴ スープラを見るのは今回が初めてだという橋本氏。いまだに興奮冷めやらないとして、その完成度にワクワクする気持ちを抑えきれない様子だった。筆者も撮影会に来てよかったと心から思えるものに出会えたと感じた。

 「レゴ トヨタ GRスープラ 実物大レプリカ」は、愛知県名古屋市にあるレゴランド・ジャパン・リゾートでの一般公開が予定されている。安全上、今回のような乗車体験は難しいとのことで展示がメインとなるが、デモンストレーションとして驚きの走行シーンを披露するほか、展示期間中は「エキサイティング モータースポーツ レゴ エクスペリエンス」と称した、子供だけではなく大人も夢中になれる遊び心満載のコラボレーション記念イベントも10月11日まで開催される。

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、なかなか直接に見に行くことが厳しい状況ではあるが、機会があればぜひこのレゴ スープラを見てみてほしい。“カッコいいクルマ”を見たときのワクワク感、レゴブロックの可能性が詰まった夢のモデルにきっと驚きと感動を覚えるはずだ。

 レゴブロックや電動モーターだけではない。スポーツカーの魂と想いを乗せて、レゴ スープラがいま走り出す!