特別企画

ガンプラ「HG アヴァランチエクシアダッシュ」の部分塗装を実践!

手軽な筆塗りでディテールアップ。塗料選びから仕上げまで

【HG 1/144 ガンダム アヴァランチエクシアダッシュ】

発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:2010年6月24日

価格:2,200円(税込)

 皆さんはプラモデルを制作する際に塗装を行なったことがありますか?塗装と聞くと、エアブラシや塗料といった様々な道具が必要となるため、敷居が高いように思うかもしれません。しかし、塗装は決して難しいものではありません。今回は筆塗りで簡単にできる「塗装」を皆さんにお伝えできればと思います。

 今回お伝えする技法はその名も部分塗装。キットの成型色では色分けされていない箇所を塗装により色分けすることで情報量を増やし、よりカッコよくすることができます。題材には2010年発売のガンプラ「HG 1/144 ガンダム アヴァランチエクシアダッシュ」を使用します。10年以上前のキットなので、素組みした状態とパッケージを見比べると、胸部や腰部アーマー、肩など各所に足りない色があることがよく分かります。これらを部分塗装で補っていきます。

「HG 1/144 ガンダム アヴァランチエクシアダッシュ」素組み状態のバストアップ
「HG 1/144 ガンダム アヴァランチエクシアダッシュ」パッケージ

そもそも塗装するには何が必要?塗料の種類を簡単に解説

 塗装を始めるとしても模型店には様々な種類の塗料があり一体何を選べば分からないと思います。まずは模型店で入手できる塗料について大まかに紹介していきましょう。

プラモデル塗装で一番メジャーな「ラッカー塗料」

模型店にて最もメジャーな塗料である「ラッカー塗料」

 ラッカー塗料はおそらく全ての模型店、おもちゃ屋さんにて最も取扱量の多い塗料です。この塗料のメリットは最もメジャーな塗料であることから種類も豊富にあり、欲しい色が見つかりやすい点。そして、乾燥後の塗膜(塗料が固まった面)が頑丈である点にあります。少し擦れたくらいでは剥がれません。また、デメリットとしてはその独特な匂いが挙げられます。ラッカー塗料はその独特な匂いから小さな子供のいる家庭では使用しにくいものとなっています。

匂い控えめでツヤが出やすい「エナメル塗料」

ラッカー塗料に続いて取扱量の多い「エナメル塗料」

 エナメル塗料はおもちゃ屋さんで見かけることは少ないかもしれませんが、模型店には必ずと言っていいほど販売されている塗料です。エナメル塗料のメリットは、乾燥の遅さにあります。エナメル塗料は乾燥がラッカーに比べて遅いので塗装面が平たんになりやすく、表面が綺麗に仕上がります。デメリットとして、プラスチックを侵食して破損させてしまいます。そのため、プラスチック面にそのまま塗装する際は注意が必要です。また、匂いはラッカー塗料ほどきつくはありませんが、灯油のような匂いがあります。

模型塗料のニュースタンダード「水性塗料」

近年、種類も拡充されてきた「水性塗料」

 水性塗料は近年、種類も増えその種類はラッカー塗料に勝るとも劣らないラインナップとなりました。これら水性塗料のメリットとしてはその扱いやすさにあります。水性塗料ということもあり、希釈は専用の溶剤だけでなく、水道水でも希釈することが可能です。また、溶剤臭が全くないため小さな子供がいる家庭でも安心して使用することができます。デメリットとしては塗料の乾燥の遅さ、塗膜の弱さが挙げられます。水性塗料は水を蒸発させることで乾燥させるため、ラッカー塗料と比較すると乾燥は遅くなります。塗膜は爪で擦ると剥離してしまう可能性があるため、関節などに塗装する際は注意が必要です。

 ここまで3種類の塗料を紹介してみましたが、分かりやすく一覧にまとめてみました。

種類メリットデメリット
ラッカー塗料種類が豊富
塗膜が強い
匂いが強い
エナメル塗料塗膜が綺麗灯油のような匂いがある
プラスチックを侵食する
水性塗料種類が豊富
匂いがない
乾燥が遅い
塗膜が弱い

 さて、ここまで塗料の種類を解説しましたが、結局どの種類の塗料を使用すればいいのでしょうか。これは筆者の個人的な見解ですが、溶剤の匂いが気にならないならラッカー塗料、溶剤の匂いが苦手な方は水性塗料を使用すればよいのではないかと思います。エナメル塗料はプラスチックを侵食する可能性があるため最初に購入する塗料としてはオススメできません。

 次に塗料以外で使用する道具を紹介していきましょう。今回は筆塗りのみで制作していくため、太めの平筆、面相筆、爪楊枝、綿棒を準備しました。筆塗りの部分塗装であればこれだけの道具で十分です。

筆者が筆塗り時に使用する主な道具。爪楊枝と綿棒は100均にて購入しています。

「HG アヴァランチエクシアダッシュ」を筆塗りで部分塗装

 ここからは実際のガンプラに塗装を行なっていきましょう。今回はタイトルにある通り、「HG アヴァランチエクシアダッシュ」を筆塗りで部分塗装していきます。まずは素組み状態を見てみましょう。

 2010年発売のキットということもあり、肩アーマーの先端など各部イエローはシールによる色分けとなっています。そのため、完成見本と比較すると情報量が少なく感じます。また、脚部側面のフレームが露出している箇所は外装と同じ白一色となっているため、この辺りも塗装していくこととしましょう。

 まずは、各部スラスターの内側から塗装していきましょう。各部スラスターは黄色一色にて成型されているため、内部のモールド見えにくくなっています。

アヴァランチエクシアダッシュのスラスターパーツ。黄色一色で成型されています。

 このパーツに今回はガイアカラーの「ニュートラルグレーIV」を塗装していきます。まずははみ出すことを気にせず塗っていきましょう。

塗装に使用したガイアカラーの「ガイアカラー 074 ニュートラルグレー IV」。
はみ出すことを気にせず塗料を塗っていきます。

 次に「ペイントリムーバー」を使用してはみ出た部分を綿棒で拭き取っていきます。この際にラッカー溶剤でも拭き取ることもできますが、この「ペイントリムーバー」なら下地のプラスチックを侵食することなく塗料を剥離させることが可能なためオススメのアイテムです。

ボークスより販売中の「ペイントリムーバー」。プラスチックを侵食しません。
綿棒にペイントリムーバーを付けてはみ出した部分を拭き取っていきます。

 以上の工程で、スラスターを綺麗に仕上げることができました。これだけでもスラスターの情報量が増えてかっこよくなりますね。

はみ出た部分を拭き取れば綺麗に仕上がります。

 脚部側面の内部フレーム露出部も同様の方法によって塗装を行なっていきます。

塗装前の状態。全体は白一色のパーツとなっています。
「ガイアカラー 074 ニュートラルグレー IV」で塗装していきます。
「ペイントリムーバー」ではみ出した部分を修正。たったこれだけで完了です。

 素組み時にシールによる色分けとなっていた黄色部分はガイアカラーの「EVANGELION カラーシリーズ EV-11 エヴァプロトイエロー」を使用して塗装していきます。

塗装に使用したガイアカラーの「EV-11 エヴァプロトイエロー」。

 しかし、黄色という塗料は下地の色が透けやすい塗料となります。しかも下地のパーツは青色のため、より下地の色が透けてしまいます。

塗装前のパーツ。黄色にて塗装する箇所が青色で成型されています。

 そこで、塗料を複数回に分けて塗装していきます。こうすることで綺麗に塗装することが可能です。

1回塗っただけでは下地が透けています。
複数回重ね塗りすることで綺麗に発色させることが可能です。

 爪楊枝を使ったお手軽アイペイントも紹介していきましょう。1/144スケールのアイペイントは面相筆を使用しても難しい場合があります。そこで爪楊枝を筆代わりに使用するのです。実際に工程を見せながら説明していきましょう。

これからアイペイントをしていきます。

 今回使用した塗料はガイアカラーの「ピュアブラック」を下地にし、アイ部分はクレオスの「青竹色」を使用します。

今回のアイペイントに使用した「ガイアカラー 002ピュアブラック」とクレオスの「Mr.カラー C57 青竹色」

 まず下地のブラックを爪楊枝にとり色を塗っていきます。この時、爪楊枝を筆のように使うのではなく、爪楊枝で塗料をすくい、パーツの上で伸ばすようにするとうまく塗装することができます。

爪楊枝は先端が固いので筆よりも塗りやすい場合もあります。
黒部分の塗装が完了しました。筆でなくても塗装することができました。

 最後に青竹色をブラックと同じように塗装すればアイペイントは完了です。

アイペイントが完了しました。爪楊枝だけでもここまで仕上げることができます。

 ここまでの技法を各部に施せば部分塗装は完了です。それでは最後にスミ入れで仕上げを行なっていきましょう。今回はエナメル塗料を使用してスミ入れを行なっていきます。

今回使用していくスミ入れ道具。ホワイト部分には「タミヤ メイクアップ材シリーズ スミ入れ塗料 (ダークグレイ)」を、それ以外には「タミヤカラー エナメル X-1 ブラック」を使用していきます。

 スミ入れの方法は、スミを入れる箇所にエナメル塗料をしみこませ乾燥させます。その後、はみ出した部分はエナメル溶剤を付けた綿棒で拭き取っていきます。

エナメル塗料をスミ入れ箇所に流し込んでいきます。
エナメル溶剤にてはみ出た箇所を拭き取っていきます。

 ここまでやれば完成です。早速、完成したエクシアを見てみましょう。

素立ちの状態で見てみると全体的に色数が増えて情報量が多くなったことが分かると思います。
高速巡行形態にしてみましたこういったゴツゴツした追加装備カッコいいですね。
脚部パーツも色分けすることでかっこよさも倍増です。
フロントアーマーも青一色だった箇所も塗り分けました。
フェイスパーツも塗装することで締まって見えます。
GNソードを構えてみました。
GNソードの裏面も青一色成型だったので塗装しています。
手の甲部分はスミ入れをしないとモールドが見えないためスミ入れは効果的です。
GNロングソードとショートソードを構えてみました。
角度を変えて撮影しました。二刀流はポージングが決まりやすいですね。
青色部分のスミ入れは黒色にすることでハッキリ見えます。
やはり、下からあおりで撮影するとモビルスーツの巨大感が分かりますね。

 いかがでしょうか、塗装って簡単だと思いませんでしたか?このくらいの部分塗装でしたら週末モデリングでも完成できると思います。この記事をきっかけに塗装にチャレンジしてみてください。

今回使用した塗料一覧
塗装箇所塗料名
フレームなどガイアカラー「074 ニュートラルグレー IV」
イエローガイアカラー「EV-11 エヴァプロトイエロー」
カメラアイ(黒)ガイアカラー「002 ピュアブラック」
カメラ(緑)クレオス「Mr.カラー C57 青竹色」
スミ入れ(黒)タミヤ「エナメル X-1 ブラック」
スミ入れ(灰)タミヤ「メイクアップ材シリーズ スミ入れ塗料 (ダークグレイ)」