特別企画

2003年のガンプラ「HGUC 1/144 量産型ザク」合わせ目消しに挑戦!

接着剤&やすりを使って無塗装でもディテールアップ

【HGUC 1/144 量産型ザク】

発売日:2003年9月中旬

価格:1,100円(税込)

ガンプラ「HGUC 1/144 量産型ザク」に合わせ目消し加工を施してつや消しトップコートで仕上げました。

 皆さんはプラモデルを制作する際に「合わせ目」について気になったことはないでしょうか。プラモデル制作において、パーツ同士を組み合わせた際にできる分割線を「合わせ目」と呼びます。近年発売されたキットでは合わせ目が目立たない工夫がされているものもありますが、完全に合わせ目のないキットはありません。

 筆者のようにプラモデルを制作する際、塗装を行なう前提で組み立てる人にとって、合わせ目は塗装で隠してしまうことが可能なため、大きな問題にならないことが多いです。しかし、プラモデルの塗装をやったことのない方や自宅で塗装を行なう環境がない方にとって合わせ目は厄介な問題になってしまいます。そこで、今回はキットの成型色を生かし、合わせ目を目立たなくする方法を紹介しましょう。

塗装無しで合わせ目は消せるのか?

 無塗装にて合わせ目を消すことは可能なのか?結論から言うと完全に消すことは不可能です。現在の模型技術では合わせ目を完全に消すことはできません。しかし、可能な限り目立たなく制作することは可能です。今回は無塗装にてどこまでできるのかやっていきたいと思います。

 今回使用する工具については合わせ目消しをするためのツールとして流し込み接着剤、接着後の後処理に金属やすり、フィルムやすり、スポンジやすり、紙やすりを使用します。

今回の合わせ目消しにて使用した工具。やすりは状況によって使いやすいものをチョイスしていきます。

「HGUC 1/144 量産型ザク」の合わせ目消しに挑戦

 今回は2003年発売のガンプラ「HGUC 1/144 量産型ザク」を題材に、塗装無しでの合わせ目消しに挑戦します。まずはキットを仮組していきましょう。発売から18年も経過したキットなので、完成形を見ると各所に合わせ目が目立ちます。

仮組状態でのザク。モノアイなどシール類はこの時点では貼り付けていません。プロポーションは問題ありませんが、両脚の中心に走る合わせ目や前腕の分割線は写真でも目立ちます。
正面から見て特に合わせ目が分かりやすいのは脚部。臑と大腿に縦の分割線が入っており目立ちます。

 ここからは合わせ目が発生してしまうパーツをピックアップしていきます。今回のキットでは両太もも、両ふくらはぎ、両肩、両前腕、胴体、スパイクアーマー、マシンガン、バズーカに合わせ目が発生していました。写真では分かりやすくするために組み付けを甘くしています。

両太ももは縦に2分割となっており、正面に合わせ目が発生します。正面から見た際には常に目立ってしまう箇所のため、処理しておきたいところです。
両ふくらはぎも太ももと同様に正面に合わせ目が発生。こちらも太もも同様、正面から見た際には常に合わせ目が目立ちます。
両肩は完成後側面となる箇所に合わせ目が発生します。シールド及びスパイクアーマーを装備すれば目立たなくはなりますが、ポーズによっては見えてしまうので処理しておきましょう。
前腕は中心に合わせ目が発生します。武器の持たせ方によっては多少隠れますが、どこかから必ず見えてしまいます。
胴体は側面に合わせ目が発生します。組み立ててしまえばほぼ隠れますが、上から見た際に合わせ目が見えてしまうので処理しておきましょう。
スパイクアーマーはこの時代のキットではおなじみの2分割となっています。ちなみに近年発売されたキットでは一体成型により合わせ目はなくなっています。
マシンガンは中央に合わせ目が発生します。武器を持たせる際には必ず目立ってしまうため、処理が必要です。
バズーカもマシンガン同等、中央に合わせ目が発生します。こちらも武器を持たせる際には必ず目立ってしまうため、処理が必要です。

 まずは合わせ目を消すために特製の接着剤を作っていきます。使用する材料はパーツのランナーと流し込み接着剤です。

これらのランナーを溶かして接着剤の材料にします
接着剤は「タミヤセメント(流し込みタイプ)」を使います

 接着剤の作り方は最初にランナーを細かく切断し、空き瓶などの容器に入れていきます。

ランナーを切断して容器に入れる

 次に流し込み接着剤をランナーが浸るくらいに浸け込んでいきます。このまま蓋をして1日くらい置いておきます。

容器に流し込み接着剤を注ぐ。量はランナーが浸るぐらい

 1日ほど浸け込んでやるとランナーが完全に溶けました。これで専用接着剤の完成です。各成型色に合わせて使い分けていきます。

約1日放置でランナー色に変化した専用接着剤が完成

 それでは合わせ目を消していきます。今回は例として太もも部の合わせ目消しの工程をお見せします。1/144のキットでは、接着面は大きくないため接着剤の塗布には面相筆を使います。はみ出た接着剤は後からやすりで処理するので、分割部分にたっぷりと塗っていきます。

細かい箇所なので塗布には面相筆を使います

 接着剤が塗り終わったらパーツを合わせて貼り合わせていきます。この時に余った接着剤がはみ出るように接着していきます。

パーツをぎゅっと押さえると接着剤がはみ出してきます。このぐらいはみ出していれば後処理できれいに合わせ目が消えます。

 接着剤が乾燥したら金属やすりではみ出した部分を削っていきます。今回作成した接着剤は乾燥が遅いため約5日間乾燥させています。

 金属やすりで整形が完了したらスポンジやすりで形状を慣らしていきます。これで合わせ目消しの作業は完了です。その他のパーツについても同じやり方にて合わせ目を処理していきます。やすりは削る部位に合わせて使いやすいものを選択していきます

接着面がなだらかになるようやすりで削っていきます。太ももは平坦なパーツなので金属やすりが適しています。

目立つ箇所の合わせ目処理が完了。完成したザクの姿は?

 今回は一例として太ももの合わせ目消し加工をピックアップしましたが、最初にチェックした各部にも同様の加工を行ないます。。全ての合わせ目消しが完了したら、より合わせ目を目立たせなくするために組み立てて最後につや消しトップコートして完成です。出来上がったザクを見ていきましょう。

素立ち状態で四方から見てみます。合わせ目が完全に消えているわけではありませんが少し目立たなくはなったのではないでしょうか。
バズーカとマシンガンを持たせてみました。この重装感、大好きです。
上から拡大して撮影してみました。色の濃いバズーカ部の合わせ目跡は消し切れていないです。しかし、スパイクアーマーはかなり分かりにくくなったのではないでしょうか。
マシンガンを構えてみました。しっかりと両手持ちできるいいキットですね。
前腕部を拡大してみました。合わせ目はほぼ分からなくなっているのではないでしょうか。
ふくらはぎを拡大しました。合わせ目は分かりにくくはなったと思いますが完全に消えてはいません。

 いかがでしょうか。塗装を行なわなくてもある程度は合わせ目を消すことができたと思います。今回使用したトップコートには缶スプレーのトップコートを使用しています。缶スプレーのトップコートであればベランダ等の屋外でも塗装することが可能なのでチャレンジしやすいかと思います。これを機会に無塗装による合わせ目消しガンプラ制作をチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

今回使用した工具及び塗料一覧
工程使用した工具及び塗料
合わせ目消しGSIクレオス Mr.スペアボトル
合わせ目消しタミヤ タミヤセメント(流し込みタイプ)
合わせ目消しゴッドハンド かまぼこヤスリ 8mm 単目 細目
合わせ目消しハセガワ ヤスリセット“プロフェッショナル”
合わせ目消しゴッドハンド 神ヤス! 3mm厚 #240
合わせ目消しゴッドハンド 神ヤス! 3mm厚 #400
合わせ目消しゴッドハンド 神ヤス! 3mm厚 #600
合わせ目消しピットロード やすりの親父 フィルムやすり 400番
合わせ目消しピットロード やすりの親父 フィルムやすり 600番
合わせ目消しタミヤ フィニッシングペーパー P400番
トップコートGSIクレオス Mr.スーパークリアーUVカット(溶剤系スプレー) つや消し