特別企画

100人以上のガンマンが集結! サバゲーイベント「西部劇ごっこ2022」開催

【西部劇ごっこ】

11月13日開催

会場:ナンバー9

 西部劇ファンのカッタケ氏が主催するサバゲーイベント「西部劇ごっこ2022」が11月13日、千葉のサバイバルゲームフィールド「ナンバー9」で開催された。

 「西部劇ごっこ」は同好の士が集まる純粋な西部劇ファンイベント。カッタケ氏が主催して来年で20周年になるという。単に西部劇のコスプレでサバゲーをするのではなく、思い思いの西部劇ごっこを楽しみながら、ファン同士の交流に重点を置くイベントである。近年ではエアガン・サバゲーを扱うウェブメディア「ハイパー道楽」や、坂崎ふれでぃ氏のコミック「サバゲっぱなし」でも取り上げられファンを増やし、今回は100名を超えるファンが集まった。

 筆者も西部劇ファンの1人としてイベントに参加し、ファンと話をしたり、サバゲーに参加してイベントを満喫した。"西部劇"ならではの楽しさ、ファンの交流をたっぷりの写真と共にレポートしたい。

【西部劇ごっこ2022、こだわりのファンが大集結!】
100人以上のガンマンが集まり、サバゲーや交流を楽しんだ

ハットに拍車、ウォーペイントにトマホーク! こだわりの衣装で会場を歩く

 「西部劇ごっこ」は"西部劇"をテーマにしたイベントである。ファンの交流を目的としているが、会場をサバイバルゲーム場にしているのは、西部劇の醍醐味「撃ち合い」を楽しむためでもある。サバゲーは大事な要素なのだ。

 元々、サバゲーにおいて「テーマ」を追求するユーザーは多い。単純にエアソフトガンを使った撃ち合いを楽しむだけでなく「戦場にいる自分」を追求したくなる。このため実用本位の戦闘服や、トレーナーにジーンズといったプレーヤーに混じり、"ガチ"な人達がいる。

 ベトナム戦争での米軍装備や、中東でのゲリラ兵、中にはアニメキャラクターの装備を再現した人も混じる。彼等は当時の放出品やレプリカを買い集めるだけでなく、自作装備もふんだんに用意してその世界観に全身で浸る。こう言ったこだわりの装備に身を包んだプレーヤーはやはり一目置かれる。筆者も「カッコイイですね」と声を掛けることがある。

 西部劇ファンは映画やテレビドラマから触発された人が多い。70代以上の人達は「ローンレンジャー」や「拳銃無宿」といった白黒TVドラマで熱烈なファンがいるが、その後に作られた様々な西部劇ドラマ、映画で大いに影響を受けた人もいる。

 西部劇で名を馳せ、その後は監督としても独特のリアリティとダンディズムを追求し続けるクリント・イーストウッドの西部劇は多くのファンを獲得しているし、古典の名作、リメイクなどでハマった人も多い。西部劇はアメリカの"時代劇"であり"神話"でもある。日本語の資料が豊富、というところもファンが絶えない理由だろう。独特の"ファンタジー"として魅力なのだ。西部劇というと「二昔くらい前の人気」というイメージを持つ人も多いかもしれないが、参加者には20代後半くらいの人も多かった。

 本イベントの魅力を一瞬で紹介する動画として、「ガンマン一斉射撃」がある。ハイパー道楽とカッタケ氏の発案で、参加者が一列に並び、通り過ぎるカメラに向かって射撃ポーズを取る。数年前から定番の催しとなっていて、今回は100人を超える大迫力の映像となった。まずはその動画を見て欲しい。

【【一斉射撃】西部劇ごっこ、100人以上のガンマンが大集合!】
ハイパー道楽企画、イベントの恒例のガンマン大集合。100人以上の射撃ポーズ

 そして西部劇と言えば"やられシーン"である。時代劇でも"斬られ役"は大事だが、撃たれて倒れるその姿もこだわりポイントなのである。カッコイイポーズだけでなく、いかに撃たれて倒れ、その場を盛り上げるか。射撃だけでなく、やられシーンもしっかり演じるところに、「西部劇ごっこ」の本質があるかもしれない。

【100人超参加の西部劇ごっこ2022、一斉に”撃ーたーれーたー”】
銃撃シーンはいかに倒れるかも大事!

 「西部劇ごっこ」はこんなノリノリのファン達が集まるイベントなのだ。イベントの最大の注目点はやはり参加者の衣装にある。「かっこいいガンマン」を追求する人、ネタに走る人も様々だ。南北戦争での軍装、資金潤沢な北軍はしっかりした制服が支給されているが、南軍はまだ軍服という考え方自体が浸透してなく、粗末な服での参加が多かった。この違いをわざわざ演出する人もいた。

 ネイティブアメリカンを追求する人はそのこだわりで一目を置かれる。サバゲーでも銃を撃つだけでなく、トマホーク片手に雄叫びを上げて突進したり、大人気だった。ポンチョに身を包んだメキシコ人、賞金稼ぎのガンマン、当時の服装をこだわって再現している人、映画の衣装を再現している人……。

 そして彼等の衣装をチェックするのがまた楽しい。西部劇では広い街道や酒場の入口でガンマンの姿をチェックするシーンが入る。流れ者を警戒したり、殺しのターゲットを確認したり、単純に相手の力量を計ったり、頭からつま先まで、その姿をチェックする場面は西部劇映画で効果的に使われるが、「西部劇ごっこ」はまさにその雰囲気に酔える。「こいつは……ただ者じゃなさそうだ」と言う感じで、道行く人の服を見ているだけでとても楽しいのだ。ここで何人かの姿をピックアップしよう。

【こだわりの衣装に身を包む】
主催者のカッタケ氏は午前中は銀行員の姿で受付、午後はガンマンでゲームに参加していた
機関銃は爆竹が仕込まれていて連射できる。棺桶の中に入れて戦場に持ち込んでいた
細部まできっちりこだわったガンマン
ウオーペイントもバッチリのネイティブアメリカン
こだわりのテントも用意
映画モチーフの衣装をきめる
赤いホルスターがアクセント
本格的な北軍の軍装
中のチョッキがシブイ。金鎖もポイント
優雅にワイン(中身はジュース)を堪能
ボロボロの肩掛け、銅の水筒は自作だという
筆者も数年前から西部劇用の小物を集めていて、今回参加した

 「西部劇ごっこ」はその名の通り、"ごっこ"が良いのだという意見も聞けた。当時にこだわったり、映画を再現する人も多いが、架空のガンマン像や「ならず者っぽい出で立ち」など緩くイメージを追求する人も多い。その中でそのスタイルにリスペクトしあう。史実を強制したり、細かいジャンル違いを指摘せず、ふんわりとした"西部劇好き"が集まれるのはこのイベントの良さの1つだと感じた。

 そしてやはり"銃とガンベルト"である。職人に発注したり、自分で作ったりと強いこだわりが見て取れる。銃のグリップ、本体の塗装や、飾り付けなど、愛銃へのこだわりは見ているだけでも楽しい。時間が許すならばその想いをじっくり聞きたいところだ。予備の弾丸を入れるための小物入れや、ナイフを吊っていたりするところもポイントだ。

【西部の漢のガンベルト】
装飾が施されたベルト。銃のグリップが蛇皮だ
メダルをふんだんに使用
光沢を放つ銃が映える
ナイフや小物入れを配置
鹿の角のグリップがカッコイイ
会場では様々な場所でコレクションを披露する人も

「突っ込め!」、「撃たれた!」、「決闘だ!」……。ゆるくて熱い大戦場

 そんな彼等が戦うサバゲーはやはり楽しい。障害物に隠れてじりじり進む通常のサバゲーとはひと味違う。なにより弾が出ない「モデルガン」で戦う人も多いのだ。撃たれたと感じた人は倒れる。通常のサバゲーのように「ヒット!」と叫ぶのではなく、撃たれたことを盛大にアピール、地面に倒れ込むのである。

 戦闘中突然「決闘を挑む!」という声がかかって戦いは中断、お互いが合図と共に撃ち合う一対一の戦いが始まったりと、ルールで戦うと言うよりも、まさに"西部劇ごっこ"という楽しさだった。爆竹を中に仕込んだ機関銃、雄叫びと共に敵に突っ込むインディアンなど、このイベントでしか見ることができない場面が続出した。

 何よりガンマン達が銃を構えているその絵だけでカッコイイ。弾が出るエアソフトガンオンリーのルールや、東京マルイの「SAA」オンリーのゲームという純粋にサバイバルゲームを楽しむためのルールも用意され、各々が求めるプレイスタイルをきちんとカバーしているところも運営側としてよく考えられていると感じた。

【楽しい戦場】
通常のサバゲーとはちょっと違った緩さも魅力
決闘が始まることも
西部劇の衣装はやはり銃を構えるポーズが似合う
やられシーンも見せ所

 今回の目玉の1つが、ガンプレイ、早撃ちなどでミリタリー/サバゲー誌を中心に活躍するトルネード吉田氏による、タナカのガスガン「新型SAA」の試作品のお披露目であった。タナカは「ペガサスシステム」というシリンダー内部にガスを注入することで、実銃のようなスタイリングを再現しつつ実射性能も重視するガスガンを展開しているが、「新型SAA」は「ペガサスII」という新型システムでより高い実射性能を実現したとのこと。

 実際サバゲーでこの「新型SAA」は大活躍で、他の銃以上に長い距離をまっすぐ飛び、「かなり遠くから狙撃された」と参加者を恐れさせた。タナカの「新型SAA」は正式販売はもちろん、正式発表もまだ先である。ガンプレイ、ファストドロウの名手である吉田氏が「西部劇ごっこ」に参加するにあたりファンにアピールして欲しいと試作品を渡されたとのことだ。

 吉田氏はゲームの「メタルギアソリッド3」でリボルバーの名手「リボルバーオセロット」のモーションアクターも務めた人物である。会場では常にファンに囲まれ人気だった。「ガンプレイをするためにはまずファストドロウを練習するのが良い。そうすると体に合ったホルスターの位置、速く抜ける姿勢が決まる」など、名人ならではの話が聞けるのは、ファンにはたまらなかっただろう。

【トルネード吉田氏と新型SAA】
ガンプレイなど、西部劇トイガンファンに多く知られるトルネード吉田氏
タナカの「新型SAA」の試作品を披露。その高い実射性能を見せていた
ファンにガンプレイのコツを伝授

お互いのこだわりを語り合い楽しむ"大西部劇会場"

 「西部劇ごっこ」はサバゲーだけでなく、ファンの交流こそがメインだ。ナンバー9の会場はロビー部分がとても広いスペースになっていて、ここでテキサス料理のチリコンカンやパンケーキ、ハッシュポテトなどを振る舞う人、こだわりのコーヒーを煎れる人、インディアンのテントを張る人、バンジョー演奏をする人など実に様々な人達が陣取り、交流していた。持ち寄ったアイテムを販売するフリーマーケットも盛況だった。

 カッタケ氏によれば、ナンバー9は西部劇ごっこに非常に協力してくれているという。実際、大きな棺桶や様々な張り紙、看板など、西部劇の小物がフィールドやロビーに配置され、まさに西部劇の登場人物になりきれる。オーナーの協力が「西部劇ごっこ」の会場としてとても魅力的な場所となっているのだ。

 ファストドロウ大会、こだわりのシーンを再現する撮影会など「西部劇ごっこ」はこのときだからこそできる遊びを多くの人が思いっきり楽しんでいた。今回、ガンプレイの名手2人にその技を披露してもらったので、こちらも紹介したい。

【西部劇ごっこ2022、2丁拳銃でガンプレイ!#shorts】
2丁拳銃でのガンプレイ。空中に投げ上げたり、地面と平行に回転させるのがポイント
【西部劇ごっこ2022、長い銃身の「バントラインスペシャル」でガンスピン!】
銃身の長い「バントラインスペシャル」でのガンプレイ
【楽しい会場】
フリーマーケットには西部劇道具が多く出品されていた
お互いのこだわりを話し合ったり交流は非常に楽しい
ポーカーではなくババ抜きで勝負
ファストドロウ大会も
コーヒーやチリコンカンなど西部劇フードも楽しめる
【撮影会!】
皆が色々話し合って撮影の手順を決める
ガンマンが集まるからこそ決闘シーンも演出可能
北軍の隊列
カメラアングルまでこだわって映画のシーンを再現

 本当に楽しいイベントだった。時には海外から小物を集め、時には自作して衣装を作るほどその世界にどっぷりつかりたいという濃いファンはそれほど多くはないだろう。しかし今はネットを通じてファン同士が出会え、交流することでさらなる高みが目指せる。そして実際に顔を合わせて交流できるというのはとても楽しい体験だ。

 筆者も色々な話を聞き知識がアップデートできたし、イベントそのものの面白さも実感できた。模型展示会や物販イベントなど濃いイベントは多数取材しているが、やはりこう言ったイベントでのファンの興奮を目の当たりにするのは本当に面白い。来年の「西部劇ごっこ」も取材したいし、他のイベントも積極的に取材したいと感じた。

ガンマン達が一堂に集まるのは壮観だ
一斉射撃のための準備