特別企画

【SHF15】「ウルトラマンメビウス」は、目を大きく、膝立ちポーズのために調整!?

劇中イメージに近づけるため、実際のスーツからさらなる工夫を!

【S.H.Figuarts 15th GALLERY】

開催期間:[PART1] 2月3日12時~3月31日

[PART2] 4月4日12時~5月22日
会場:TAMASHII NATIONS STORE TOKYO

(東京都千代田区神田花岡町1-1)
入場料:無料

 秋葉原の「TAMASHII NATIONS STORE TOKYO」で2月3日より開催しているイベント「S.H.Figuarts 15th GALLERY」。フィギュアブランド「S.H.Figuarts(エスエイチ フィギュアーツ)」15周年を記念したイベントで、3月31日までは、ウルトラマン、仮面ライダー、アメコミヒーローといった、特撮系のキャラクターを中心とした企画展示を行っている。

 本稿では、ウルトラマンシリーズ、特に発表されたばかりの「S.H.Figuarts ウルトラマンメビウス」と、参考出展の「S.H.Figuarts トリガートゥルース」を中心に、ウルトラマンのフィギュアに関して、会場で聞くことができた開発者の想いとともに紹介したい。

カッコイイ膝立ちのために関節を調整、劇中スーツすら超えウルトラマンを追求

 「S.H.Figuarts ウルトラマン」シリーズは、2016年よりスタート。「S.H.Figuarts」のスタートは2008年だから、当初8年近く「S.H.Figuarts」のブランドでは出ていなかった。実はコレクターズ事業部では、ウルトラマンは「ULTRA-ACT(ウルトラアクト)」というブランドで展開していたのだが、2016年に「S.H.Figuarts」ブランドで再スタートしているのだ。

 「ULTRA-ACT」は全高16cmほどと、全高14cm前後の「S.H.Figuarts」より商品サイズが大きく差別化が図られていた。商品サイズをそろえた上でのリスタートとなったが、ここで強調されたのが「劇中のスーツの再現」。これまでもリアルさにはこだわっていたが、そこからさらに踏み込むこととなった。

【ULTRA-ACT】
「ULTRA-ACT ウルトラマン」、2014年発売

 第1弾である「S.H.Figuarts ウルトラマン」は2017年発売。当時の造形技術で作られたウルトラマンのマスクは左右でほんの少しバランスが違っていた。商品ではこのマスクを細部まで再現、体型などもスーツや番組の雰囲気に合わせ調整している。続くシリーズでもスーツの細部まで細かく再現しており、劇中の雰囲気だけでなく、撮影に使ったスーツの再現としてもクオリティを追求している。

 さらに2022年には「S.H.Figuarts(真骨彫製法)ウルトラマン」も発売、こちらは当時スーツアクターを務めた古谷敏氏のボディをスキャンし造形に反省させている。関節の処理などもさらに研究を重ね設定されており、ファンから高い評価を得ている。「S.H.Figuarts ウルトラマン」は歴代のウルトラマンを続々と商品化しラインナップを充実させている。

【S.H.Figuarts ウルトラマン】
「S.H.Figuarts ウルトラマン」は2017年発売
2022年に発売された「S.H.Figuarts(真骨彫製法)ウルトラマン」

 「S.H.Figuarts ウルトラマンメビウス」は、2006年に登場したウルトラマン。ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念作品として制作された「ウルトラマンメビウス」は、ウルトラマンからウルトラマン80まで継続した世界観を同じくする「ウルトラ兄弟」の設定を引き継いでおり、様々なウルトラ兄弟が客演する番組となり、世代を超えた人気を博した。放映当時では未消化のエピソードを見事に引き継ぐなど、脚本もコアなファンから好評価を集めた。会場ではウルトラ兄弟とともに展示されている。

 「S.H.Figuarts ウルトラマンメビウス」は劇中のメビウスそのままのカッコイイ姿で造形されているが、実はウルトラマンのフィギュア化には様々な苦労と思い入れがあるという。一番苦労する部分が「マスク」だ。「S.H.Figuarts ウルトラマン」シリーズは円谷プロダクション造形部門のLSSの協力の下、撮影に使われたスーツからも採寸しているのだが、そのデータを使っても劇中の雰囲気とずれたり「なんかしっくりこない」という印象もあるという。

【S.H.Figuarts ウルトラマンメビウス】
会場でウルトラ兄弟と展示されている「S.H.Figuarts ウルトラマンメビウス」。7月発売予定で、価格は7,480円。現在予約受付中
マスクの表現はかなり注力しているという

 ウルトラマンのマスクは微妙な曲線で描かれ、ほんのちょっと違うだけで印象が変わる。神秘的な雰囲気を持つウルトラマンのマスクは、商品化するときの調整に大いに時間がかかるとのこと。ウルトラマンメビウスの場合は、側頭部の微妙なラインに調整が必要だったという。

 また、スーツをそのままフィギュアサイズにするときも劇中のウルトラマンと印象が変わってしまう。特に目のサイズがそのまま小さくするとより小さく見えてしまうという。ミリ単位どころか、ミクロン単位の調整の元、ウルトラマンらしさを追求している。ミニカーなどでも実車データをそのまま小さくするとイメージからずれを感じる場合があり、調整する商品もあるというが、ウルトラマンでもこういった調整があるというのは興味深い。

プロポーションはもちろん、関節設計なども商品ごとに異なる。メビウスは膝立ちにこだわったとのこと

 もう1つ会場で話を聞けたのが参考出展の「S.H.Figuarts トリガートゥルース」。その名の通りウルトラマントリガーの真の姿といえる形態で、番組の最終回で見せた姿だ。光の力だけではなく、闇の力も受け入れることで到達したウルトラマンである。闇の力を受け入れた、黒い差し色が印象的だ。

 商品では「S.H.Figuarts ウルトラマントリガー」は販売されているが、今回の商品は塗装を調整したリペイントではなく、全身がほぼ新造パーツとのこと。体の各所に加えられたモールドは塗装ではなく、造形で再現しており、商品化に向けてどのような仕様にするかは調整中ではあるが、印象的なトリガートゥルースに近づけるため各部の調整を行っているとのことだ。

 こちらも劇中のポーズをきちんと再現することにはこだわっており、カルミラを抱いたその姿は強いインパクトがある。ファンならば再現したいところだ。

【S.H.Figuarts トリガートゥルース】
参考出展の「S.H.Figuarts トリガートゥルース」。全身のモールドや黒の差し色で印象が変わる。このポーズもファンにはぐっとくる要素だ
【ウルトラマン関連の展示】
ウルトラマンはもちろん怪獣達の表現も注目して欲しい