特別企画
17年の時を経て復活したバトルホビー「カブトボーグ」の楽しさとは?
力強いトルク、直立しもみ合う戦いを生み出すための様々な仕掛け
2023年3月24日 00:00
- 【バトル昆虫カブトボーグ】
- 4月下旬発売予定
- 価格:1,650円より
「ビクトリーチャージ! ボーグイン!」のかけ声と共に設置されたカブト型、クワガタ型メカが猛然と突進、ステージ上で激しくぶつかる。それがタカラトミーが4月より展開するバトルホビー「カブトボーグ」だ。
バトルホビーとは「ボトルマン」や「ベイブレード」といった、玩具を使って対戦する競技全般を指す。かけ声によるバトルスタート、繰り広げられる熱い戦い、わかりやすいはっきりしたルールと、工夫と練習で勝率が上がる奥深い駆け引き。タカラトミーはコミックスやアニメといったメディアミックス展開で子供達の気持ちを盛り上げ、さらには地方大会や全国大会、世界大会までも開催し、まるで少年漫画のような世界を実現している。
「カブトボーグ」もまた、戦いを盛り上げる準備や戦略性、カスタマイズ性などがある。そして何よりかけ声と共にエネルギーをチャージ、ぶつかった2体のカブトボーグが時にはパワーで圧倒、時には相手をひっくり返す。ドラマチックな戦いが熱いのだ。
「カブトボーグ」は17年以上前に展開し、その際はアニメ化もされ話題を集めた。今回、商品としては17年ぶりの復活になる。長い時を経て復活した「カブトボーグ」はどのように生まれ変わったのか? 新しいカブトボーグの魅力をキャラクタービジネス部アライアンスキャラクター事業部部長の赤木謙介氏に話を聞いた。1ページ目は「カブトボーグ」の紹介、2ページ目は赤木氏へのインタビューとなる。
「ボーグバトル!」、かけ声とアクション、激しいバトルが楽しめるバトルホビー
「カブトボーグ」がなぜ17年の時を経て復活したのか? それはタカラトミーのバトルホビーの戦略ではあるのだが、16年前に制作されたアニメ「人造昆虫カブトボーグ V×V」がその破天荒な展開で、ネットで大きな人気を得たという所もある。
しかし最大の理由は子供達の「昆虫ブーム」によるところが大きいという。昆虫の力強さ、“虫相撲”の楽しさを取り入れた新しいバトルホビーとして「カブトボーグ」をリスタートする。そこには「戦いの風景の楽しさ」という、最大の魅力を前回より強化して子供達に印象づけようという開発チームの意気込みがある。
「カブトボーグ」とはどんなバトルホビーなのか? 赤木氏は「『カブトボーグ』はまず遊んでいただくのが一番です」と語った。そこでカブトボーグのいくつかの勝負を動画でまとめたので、まずこの動画を見て欲しい。
「カブトボーグ」はカブトムシやクワガタムシをモチーフとしたメカ「カブトボーグ」を使った対戦型の玩具だ。カブトボーグのお尻の部分には「チャージホイール」という車輪があり、これを地面にこすりつけ回転させることでカブトボーグは前進エネルギーを貯める「ビクトリーチャージ」を行う。このアクションでカブトボーグは機体側面の6つの車輪が回転する。5回のビクトリーチャージがルールだ。
車輪が回転しているカブトボーグを対戦ステージに「ボーグイン!」のかけ声と共に投入、車輪が接地したカブトボーグは猛然と前進をし、ステージ中央で激しくぶつかる。ぶつかる角度、角や大顎の位置、車体の沈み込み具合など様々な条件でぶつかった時の挙動が変わる。時には相手と共に車体を垂直まで立たせ、相手にのしかかるように倒れ込むようなダイナミックな動きをする。相手をひっくり返したり、ステージ下まで落とした方の勝ちだ。3本勝負で勝負を競うこととなる。
「ボーグバトル!」、「ビクトリーチャージ! 5、4、3、2、1」、「ボーグイン!」というかけ声、このかけ声と共に行うアクションが熱い。そしてその熱いエネルギーを受けてステージ上でぶつかるカブトボーグのその光景が楽しいのだ。ボーグバトラー(プレーヤー)は勝負そのものには干渉できないのだが、ビクトリーチャージの勢い、ボーグインのタイミングやちょっとした角度、さらにはカスタマイズなどで自分の戦い方を追求できる。
「『カブトボーグ』は遊び自体はシンプルな“虫相撲”です。ボーグバトラーがチャージした力を元に、カブトムシや、クワガタムシの姿をしたカブトボーグがぶつかり勝敗が決まる。2つのメカがぶつかり合う姿が楽しいバトルホビーなんです」と赤木氏は語った。
「カブトボーグ」は、元々は2005年に展開していたが、今回は商品そのものが一新されている。大きさも一回り大きなものとなっているという。今回の新設計に当たり、開発チームがこだわったのが“ギアボック”とのこと。ビクトリーチャージによるエネルギーの蓄積、このエネルギーそのものはフリクション動力での駆動なのだが、「カブトボーグ」がゆっくりと、力強く走る仕様にするのに時間を掛けたという。ぶつかってから2つの機体がぐぐっと持ち上がるような“トルク重視”のセッティングになっているとのことだ。
トルクが弱いと、ぶつかっても立ち上がらず止まってしまう。相手の体を立たせ、なおかつ倒した相手にのしかかるようなトルク力こそが、「戦いの風景」を演出してくれると赤木氏は語った。ビクトリーチャージをうまく行えるか、というのも大きな戦略となる。勢いよくチャージを行えばよりエネルギーが溜まりスピードは上がるが、ゆっくりチャージしてもエネルギーは溜まるので、チャージの強弱があっても激しくぶつかり合うトルクは確保できている。このギアボックのバランスこそが、「カブトボーグ」の迫力の戦いを生んでいるのだという。
「カブトボーグは電池を使わない“ノンエレ(エレクトロニクス)”商品です。電池を使わず、子供達の力でメカが起動するというのが大きなコンセプトです。今回は『電動ではないのにパワーを感じる』という商品にしたかったんです」と赤木氏は語った。
バトルホビーの技術を活かした4種類のカブトボーグ、迫力のバトルを生み出すためのカスタマイズ
ここからは各カブトボーグを見ていこう。4月下旬は4種類のカブトボーグが発売される。カブトボーグはメカ感と共に、実在の昆虫のモチーフにもこだわっており、カラーリングなどは派手さを抑え、モチーフ元の昆虫を思わせるものとしているという。価格は4タイプとも1650円だ。
カブトボーグは全長約12cm。6つのタイヤ、尾部の「チャージホイール」といった共通の機構を持っているが、頭部ブロックに大きな特徴がある。見慣れたカブトムシの姿をしたヤマトカブト、大顎の厚みが特徴的なミヤマクワガタなど、モチーフの昆虫の特長を活かしながら、パワフルさを感じさせるデザインとなっている。
ヤマトカブト
日本を代表するカブトムシ「ヤマトカブト」がモチーフ。長い「頭角」だけでなく、頭頂部の「胸角」もきちんと再現されている。相手の体の下の潜り込み、ひっくり返しやすくなっている。攻守に優れたバランスタイプだ。
ミヤマクワガタ
大顎と、頭部の縁が盛り上がった冠形状が特徴のある「ミヤマクワガタ」がモチーフ。大きな顎は開き幅が変えられる。相手の体を大顎で捕らえ、運び出す戦いが特徴の防御タイプだ。
アトラスオオカブト
頭角に負けないくらい発達した胸角で、トリケラトプスのような3本の角のシルエットを持つカブトムシ「アトラスオオカブト」がモチーフ。青いボディに黄色いラインが走る。3本の角で相手に迫る攻撃タイプ。
ギラファノコギリクワガタ
細く長い大顎が特徴の「ギラファノコギリクワガタ」がモチーフ。こちらも大顎の開き幅を変えることができる。長い顎で相手を押し出す攻撃タイプだ。
そして各カブトボーグの愛着を深くしてくれるのが「カスタマイズ」だ。カブトボーグのタイヤは6本がすべて同じものではなく、SタイヤとLタイヤで構成されている。このタイヤS/Lを前に付けるか、後ろに付けるかでも機体の傾きが変わってくる。
さらにSタイヤは外側の差し込み口が中央からずれた「偏心軸」も選択可能となっている。偏心軸側を差し込むことでカブトボーグは不規則に上下に揺れるようになる。頭部の角や大顎を相手の体の下に差し込みやすくなるのだ。反面不安定さも増す。またSタイヤを前に置くか後ろに置くかでも戦略は変わってくる。
もう1つのカスタマイズパーツとして「リアパーツ」がある。その名の通り尾部に装着するパーツで、2股の「ホライズン」と1つの突起が出た「バーティカル」がある。ホライズンは機体が浮き上がった時しっかり体を支え直立時の安定性を増す。相手の力に対しがっちり受け止めるタイプのパーツだ。
反対に、バーティカルは直立した時に左右に傾きやすい性質を持っている。これは機体を傾かせることで相手の力を“いなす”効果を期待できる。突進してくる相手の力を左右に受け流すことで相手をそのまま場外へと流してしまう戦い方ができる。またバーティカルは縦に長いパーツなので、相手に押されてもひっくり返りにくくなるのも特徴だ。
リアパーツはカブトボーグの尾部の穴にしっかり装着できる。このリアパーツがあることでより奥深い駆け引きが楽しめるようになっているのだ。次章ではカブトボーグが戦う「2WAY ガチバトルステージ」を紹介しよう。
迫力のバトルを生み出すためのカスタマイズや、ステージの仕掛け
カブトボーグがぶつかるのが「2WAY ガチバトルステージ」だ。2つの「エントリーベース」から進入したカブトボーグが、サークル状の「ステージ」上でぶつかり合う。
赤木氏はステージの突起に注目して欲しいという。ステージは細かい突起と大きな突起が造型されている。この突起によってカブトボーグのリアパーツがひっかかりやすくなり、直立した時にリアパーツの重要性が増すのだ。このステージで戦うことにより、カブトボーグはよりエキサイティングなバトルシーンが演出できるようになる。
そしてエントリーベースを動かすことで進入ルートが変えられる。どの角度が有利か、どういうタイミングで入っていけば相手とどうぶつかるのか、ここは読み合いなども発生しそうだ。
さらに「2WAY ガチバトルステージ」は、中央が非常に小さい、一本橋のようなステージにも組み替えられる。このステージではまさに逃げ場なし。正面からのぶつかりがほぼ避けられない。戦い方が限られる以上、カスタマイズやチャージなどでの工夫のしがいがありそうだ。
今回、動画撮影もかねて赤木氏と数回バトルしてみた。まず最初に「赤木氏はビクトリーチャージがうまい」というのがすぐにわかった。筆者の場合はチャージになれていないため、チャージホイールを効率的に地面にこすりつけられず、較べると進入時で既にスピードが遅いのだ。
カブトボーグを置くタイミング、エントリーベースで置く角度も戦略性があるのがわかった。ほんの少し傾けて相手に対して斜めに入るとクワガタ型の大顎を効率的に差し込めるかもしれない、といった想像が働くのも面白い。
また正面からぶつかり合うだけでなく、中心がズレ、タイヤ同士がぶつかり合った時も面白い。カブトボーグのタイヤにはスパイクがついており、これが敵の機体のタイヤとぶつかることでがっちりかみ合い、機体を上に持ち上げていくのだ。ぶつかり合う様が一層楽しくなるギミックである。
このように、「カブトボーグ」は本体はもちろん、ステージにもぶつかり合う様を楽しくしようというギミックが込められている。戦う姿をよりエキサイティングに演出しようという想いが、随所に込められているのだ。次章ではインタビューで、開発チームの想いや、今後の展開なども聞いていきたい。
(C) TOMY