特別企画

ガンプラ「HG ガンダムエアリアル(改修型)」をアニメ「水星の魔女」設定画に寄せる!スジ彫りとエッジのシャープ化でディテールアップ

【HG 1/144 ガンダムエアリアル(改修型)】

発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:2023年3月18日

価格:1,870円(税込)

 今回は機動戦士ガンダム 水星の魔女より「HG 1/144 ガンダムエアリアル(改修型)」の作例を紹介します。アニメ シーズン2の主役機となる本機にアニメ設定画を参考にディテールアップ、全塗装をしていきます。

シン・セー開発公社が改修したガンダムエアリアル

 今回制作するガンダムエアリアル(改修型)は「機動戦士ガンダム 水星の魔女」にて主人公のスレッタ・マーキュリーが搭乗するMSです。グラスレー寮との決闘にてダメージを負ったガンダムエアリアルを修繕しつつ、外部装甲や装備類の追加・刷新を行なっています。

「機動戦士ガンダム 水星の魔女」に登場するガンダムエアリアル(改修型)の設定画。キットの成形色よりも落ち着いたカラーリングを採用しています。

アニメのプロポーションを維持しつつ組み立てやすさも両立したキット

 プラモデルとしてのガンダムエアリアル(改修型)は「HG 1/144 ガンダムエアリアル」と同様にポリキャップを廃止したほぼPS樹脂を主体とした構成となっており、塗装ユーザーにも優しい設計となっています。しかしながら、合わせ目個所は「HG 1/144 ガンダムエアリアル」と同様に複数個所存在するため少々難易度の高いキットとなっています。

「HG 1/144 ガンダムエアリアル(改修型)」アニメ設定画を参考にディテールアップ

 それではガンダムエアリアル(改修型)を制作して行きましょう。今回の作例ではアニメ設定画を参考に各部ディテールアップと全塗装を行なっていきます。

今回使用したツール類。今回は大きな改造を行なわなかったためこれまでに使用したものと特に変わりはありません。
今回使用した塗料類。今回はアニメ設定画を参考に調色を行なって塗装を行ないます。

 まずはこれまでのキットと同様に仮組を行ないます。

仮組を行なったガンダムエアリアル(改修型)。色分けは完ぺきといえますが、合わせ目の多さは気になるところです。

ガンプラにて最も簡単にできるディテールアップ、アンテナのシャープ化

 ガンプラにおいて最も目を引く場所としてはやはり、顔になるのではないでしょうか。そのため、フェイス部のディテールアップは確実に行なっておきたいものです。HGシリーズのガンプラには安全対策のためにアンテナ端部にフラッグが取り付けられている他、先端が丸くなっています。そこでディテールアップの第一歩としてアンテナのシャープ化を行なっていきます。

ディテールアップ前のアンテナと頭部。安全フラッグが取り付けられている他、先端が丸くなっています。
まずは安全フラッグをニッパーで切断していきます。この際に切りすぎてしまわないよう、ある程度切り残しておきます。
ニッパーで切断した個所をやすりで整えます。
安全フラッグを除去したアンテナパーツ。安全フラッグが無いだけで大きく印象が変わります。
丸くなった先端をシャープにした頭部パーツ。メリハリを与えることで全体が引き締まって見えます。

合わせ目消しにて不自然なラインを消去

 本キットは多くの合わせ目が存在します。これら合わせ目はそのままにしておくと模型感が出てしまい、かっこいいとは言えません。そのため、できる限り合わせ目が見えないように加工を行なっていきます。

バックパックに発生した合わせ目。中央に大きく発生してしまいます。

 今回の合わせ目消しには主にクレオスのMr.セメントSPB(ブラック)を使用していきます。この接着剤は流し込み接着剤の長でも乾燥が早いため愛用している接着剤です。

合わせ目に接着剤を流し込んでいきます。Mr.セメントSPB(ブラック)は流れ込んだ箇所が黒くなるので流し込み忘れを目視でチェックできます。
接着剤を流しこんだら圧着して合わせ目を消していきます。
接着剤が乾燥後、やすりではみ出た個所を削り取っていきます。やすりが入っていかない箇所はナイフで整形していきます。

そのままで合わせ目消しができない箇所はパーツを分割して合わせ目消しを行なう

 上記の方法にて合わせ目消しを行なう場合、場所によってはパーツがはめ合わせできなくなる個所も存在します。そのため、一部のパーツは分割し、合わせ目消しを行ないます。

パーツの分割を行なう、大腿部外装パーツ。膝部分の合わせ目がそのままでは合わせ目消しができません。
内側の膝部分を分割し、合わせ目消しを行ないます。パーツの分割はファンテックのスジ彫りカーバイト0.15にてスジを彫り、エナメル溶剤で侵食させ分割を行ないました。
パーツを接着した大腿部パーツ。流し込み接着剤では固定しにくかったのでタミヤのタミヤセメントを使用して接着を行ないました。乾燥後にやすりで整えれば合わせ目消し完了です。

エッジのシャープ化とモールドの彫り直しでよりメリハリを与える

 ガンダムエアリアル(改修型)の設定画を見てみるとイラストということもあり、エッジがシャープになっていることがわかります。しかしながらキットのエッジは、そのままではパーツのエッジが丸みを帯びているほか、分割されている装甲板が1パーツにまとめられています。そのため、エッジのシャープ化とモールドの彫り直しでメリハリを与えていきます。

パーツのエッジ出しはゴッドハンドのエッジ出しヤスリやタミヤのモデラーズナイフを使用してエッジを立てていきます。
モールドの彫り直しは、ファンテックのスジ彫りカーバイト0.15を使用して掘り直しを行ないます。
加工前のパーツ(右)と加工後のパーツ(左)の比較。エッジとモールドがはっきりすることでパーツのメリハリが出ます。

肉抜き穴を埋めて重量感をアップ

 プラモデルには成型の都合上、本来であれば機器が詰め込まれている部分が空洞となっている個所が存在します。このままでは完成時にスカスカの印象を持ってしまうため、この肉抜き部分を埋めていきましょう。今回はポリエステルパテを使用して肉埋めをしていきます。

肉抜きがされているスラスター基部。ポリパテで埋めていきます。
パテ盛りを行なったスラスター基部。ポリパテは硬化時に肉痩せするので多めに盛り付けます。
硬化後やすり掛けを行なったスラスター基部。この上から塗装を行なえば肉抜き穴はわかりません。

 これにて加工は完了です。パーツを洗浄したら塗装作業に入っていきましょう。

設定画を参考に調色を行ない全塗装

パーツを一度洗浄したら塗装に入ります。まずは下地にサーフェイサーを塗布していきます。サーフェイサーにはガイアノーツの「サーフェイサーエヴォ」を使用していきます。

サーフェイサーの塗布を行なった大腿部パーツ。パーティングラインの処理忘れ等があればこの時点で処理を行ないます。

 ここからは仕上げ色の塗装を行ないます。まずは機体色の多くを占めるホワイト部分から塗装していきます。このホワイト部分は設定画を確認しても純粋なホワイトに見えましたのでガイアノーツの「Ex-ホワイト」を使用して塗装していきます。

ホワイト部分を塗装した大腿部パーツ。ホワイトの塗料は隠ぺい力も低く、塗装表面も荒れやすいので注意して塗装を行ないます。

 ホワイトに次いで塗装面積の多いブルー部分は設定画を確認すると若干赤みが入ったブルーにグレーを混色したカラーをしています。そこでガイアノーツの「バーチャロンカラー マーズディープブルー」、「ウルトラブルー」、「Ex-ホワイト」の3色を混色し、ベースとなる色を作成し、そこにガイアノーツの「Ex-ブラック」、「純色シアン」、「純色バイオレット」を加えて調色を行ないました。

ブルー部分を塗装したエスカッシャン。今回の作例で一番調色苦労した色です。

 フィン等のパーツに使用されているイエロー部分はイエローにグレーを加えた色味となっています。そこで、今回はガイアノーツの「エヴァンゲリオンカラー エヴァ プロトイエロー」と「ボトムズカラー ホワイトグレー」を調色しました。

イエロー部分を塗装した頭部フィンパーツ。明るくもくすんだ色合いをうまく表現できたと思います。

 本キットの中にて最も塗装範囲の少ないレッド部分もしっかりと調色を行なっていきます。ガンダムエアリアル(改修型)に使用されているレッドは純粋な赤ではなく、赤みが強いブラウンにホワイトを加えた色味をしています。そこで今回はガイアノーツの「ブライトレッド」、「ナチュラルブラウン」、「Ex-ホワイト」を調色してみました。

レッド部分を塗装した股関節パーツ。通常のレッドよりも落ち着いた色味になりました。

 最後はフレーム部分の色を塗装していきます。ガンダムエアリアル(改修型)のフレーム色は青みのあるグレーとなっているのでガイアノーツの「ブルーグレー」、「Ex-ホワイト」、「Ex-ブラック」を調色して再現を行ないました。

グレーを塗装したフレームパーツ。少し青みのあるグレーをうまく表現できました。

 これにてエアブラシによる塗装は完了ですが、各部の墨入れを行なっていきます。墨入れにはエナメル塗料を使用しました。また、配色はホワイト部分のパーツにはダークグレーを、その他のパーツにはブラックにて墨入れを行ないます。

墨入れを行なった大腿部パーツ。ホワイトのパーツの墨入れを行なっているのでグレーでも十分に黒く見えます。
墨入れを行なったスラスターパーツ。濃いブルーに対して墨入れを行なうのでブラックのエナメル塗料で墨入れを行なっています。

 最後につや消しのトップコートを塗布して完成です。今回はトップコートにクレオスの「Mr.スーパークリアーつや消し」を使用しました。

アニメ設定画を参考にディテールアップを行なったガンダムエアリアル(改修型)

それでは完成したガンダムエアリアル(改修型)を見ていきましょう。

【正面】
左:塗装前、右:塗装後
【側面】
左:塗装前、右:塗装後
【背面】
左:塗装前、右:塗装後

 アニメ設定画のような少し落ち着いた色味に仕上がりました。

ビームライフルを構えてみました。さすが主人公機ということもあって様になっています。
背面は肉抜き穴を埋めたことできれいに仕上がりました。
ガンビットライフルを構えてみました。大型のライフルにはロマンがあります。
頭部のアップ。今回の作例ではセンサー部の輝きを再現するために付属のシールをそのまま使用しました。
ボディの色味を変えたことでシェルユニットはより強調されました。
ビームサーベルを構えてみました。ビームサーベルの刀身はガンダムエアリアルと同様に平たい形状をしています。

 いかがでしょうか。今回の作例ではアニメ設定画を意識して配色を決定しました。ガンプラは今回のような配色だけでなく、自分オリジナルでの塗装も可能ですが、設定の配色は最もまとまりがありデザインとマッチしやすいカラーリングだと思います。今回の作例では設定画を見ながらオリジナルで塗料を調色しましたが、キットの説明書にカラーガイドも記載されていますのでこの記事をきっかけに設定どおりでのガンプラ作成を楽しんでみてはいかがでしょうか。

今回使用した工具一覧
使用工具品名
ニッパーGSIクレオス Mr.シャープネスニッパー両刃タイプ
ニッパーゴッドハンド アルティメットニッパー5.0
ナイフタミヤ モデラーズナイフ
やすりピットロード PY07「フィルムスティックやすり 400番」
やすりゴッドハンド エッジ出しヤスリ
スジ彫りファンテック スジ彫りカーバイト0.15
スジ彫りスジボリ堂 BMCダンモ 0.2mm 0.4mm
接着剤クレオス Mr.セメントSPB(ブラック)
接着剤タミヤ タミヤセメント
接着剤ガイアノーツ 瞬間クリアパテZ
今回使用した塗料一覧
工程使用塗料
下地色ガイアノーツ サーフェイサーエヴォ
上塗り(外装ホワイト)ガイアノーツ Ex-ホワイト
上塗り(外装ブルー)ガイアノーツ バーチャロンカラー マーズディープブルー+ウルトラブルー+Ex-ホワイト+Ex-ブラック+純色シアン+純色バイオレット
上塗り(外装イエロー)ガイアノーツ エヴァンゲリオンカラー エヴァ プロトイエロー+ボトムズカラー ホワイトグレー
上塗り(外装レッド)ガイアノーツ ブライトレッド+ナチュラルブラウン+Ex-ホワイト
上塗り(フレーム部分)ガイアノーツ ブルーグレー+Ex-ホワイト+Ex-ブラック
墨入れ(ホワイト部分)タミヤ スミ入れ塗料(ダークグレー)
墨入れ(ホワイト部分以外)タミヤ スミ入れ塗料(ブラック)、タミヤ エナメル塗料 ブラック
トップコート(つや消し)クレオス Mr.スーパークリアーつや消し
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