特別企画

タナカ「コルト パイソン Rモデル HW 4インチ」は、「シティーハンター」に、そしてパイソンに憧れる人に手にして欲しい究極のモデルガンだ!

【コルト パイソン Rモデル HW 4インチ】

開発・発売元:タナカ

発売日:2019年6月

価格:28,380円(税込)

全長:243 mm

重量:810g

装弾数:6発

 筆者はモデルガンやエアガンなどのトイガンが好きで、今でもコレクションが増えている。駄菓子屋の火薬銃(今で言う100均火薬銃)や銀玉鉄砲から始まり、モデルガン、エアガン、とハマっていった。

 エアガンも好きだが、モデルガンのほうにより強い魅力を感じている。その理由は、なんと言っても実銃と同じ操作、動きをするというリアルさにある。弾丸(たま)こそ発射されないが、それ以外は実物同様の操作感が得られ、火薬を使うタイプは発火の音と火花が楽しめる。今は気軽に外で遊べないが、おおらかな時代には公園とか空き地でバンバン撃って遊べていたのが懐かしく思える。

 そんなモデルガンの中でも特に好きな銃がコルトパイソンだ。

 コルト パイソンといえば、日本でも映画やドラマ、アニメなどで登場人物が使用する銃として有名な銃だ。特にアニメ「シティハンター」の主人公、冴羽獠の愛銃として知られている4インチモデルは人気が高い。

 そのコルトパイソンの中で筆者の思い入れが強いのが、MGCというメーカーが2011年まで(後期は新日本模型名義にて)製造していたモデルガン「コルトパイソン(ニューポリスパイソン)4インチ」と、タナカが2019年に発売した「コルトパイソン 357magnum 4inch R-model HW(以下、コルト パイソン Rモデル HW 4インチ)」だ。今回、「コルト パイソン Rモデル HW 4インチ」を中心に、“銃の模型“であるモデルガンそのものの魅力を語っていきたい。

 現在、劇場では「劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」が絶賛上映中である。「コルト パイソン Rモデル HW 4インチ」を手に映画の世界にどっぷりと浸って欲しい。

【「劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」本予告90秒】

命中精度が高く、スムースな動作、「シティーハンター」にふさわしい銃・コルトパイソン

 まずはモチーフである「コルトパイソン」とはどんな銃かを紹介したい。コルトパイソンはアメリカのコルト社が1955年に開発した競技用のリボルバーで、照準のしやすさ、反動を抑えるデザインはその後のリボルバーのデザインに大きく影響を与えたほか、職人による手作業で仕上げられた内部メカなど、高性能な銃として知られている。

 競技用に使われるほど命中精度も高く、スムースな動作ということで、「シティーハンター」の中で、スイーパーとして活躍する主人公の愛銃として選ばれるのに相応しいものだったのだろう。

シティーハンターをイメージしたジャケットやインナーシャツなど。なりきりプレイ(コスプレ)だってしたくなる

 「シティーハンター」でのコルトパイソンは、伝説的なガンスミス(銃工) 真柴憲一郎によってカスタムされており、より精度が向上し扱いやすくなっているとされており、同じ場所に銃弾を撃ち込んだり、正確に相手の銃だけを撃ち落とすなど、様々なエピソードの中で、正確無比な射撃技術や高い戦闘能力を支える存在として、「シティーハンター」である主人公が持つアイテムとして印象的に描かれている。

マンガ「シティハンター」は1985年~1991年の連載だがその魅力は現代でも色あせない

 冴羽獠は女好きで三枚目な面もありながら、クールでハードボイルドな面も併せ持ち、依頼人やパートナーを守る頼もしさや立ちはだかる敵を倒してゆく。その爽快な活躍に痺れ、憧れた人も多かったと思う。

 自分もその中の一人で、当時発売されていたMGCのコルトパイソン(ABS製)を小遣いをためて購入したのをきっかけに、その後はバイト代などを貯めてHWモデル、SRHWモデル、木製グリップに交換など、新製品が出るたびに購入するほどハマっていた。

 大人になってからは、塗装やブルーイングなどで外観をリアルなものに仕上げるカスタムにチャレンジするなど自分なりのシティーハンターの銃の再現を追求してきた。

【MGCのパイソン】
こちらはMGCのコルトパイソン(ニューポリスパイソン)4インチ
設定資料集などを参考に、コルトロイヤルブルーをイメージしたガンブルー塗装に挑戦
グリップは木製グリップを使い込まれた感じに加工して雰囲気を出した。

 自分なりに満足するレベルに仕上げたところで一通り満足して、情熱も落ち着いていたが、タナカから発売されているコルトパイソンが実銃の機構を再現しているリアルなモデルガンだと知って再び興味が湧いてきた。

 タナカからは、シティーハンターモデルとして、作中同様にサイレンサー(サプレッサー)が装着でき、フルメタルジャケットのカートリッジをイメージした発火カートリッジが付属するなど魅力的なスペシャルバージョンも発売されている。

【シティーハンター公式コラボレーション】
「シティーハンター公式コラボレーション Colt Python “Ryo Saeba” model モデルガン」。公式のコラボレーションモデルも発売されたが、筆者にとってはより実銃に近いモデルが自分の中でのイメージに近かった

 魅力的であるが、筆者はリアル志向なところがあり、「サイレンサーはロマンだが、リボルバーにサイレンサーは付けないだろう、サイレンサーのねじ切り分、ライフリングも短くなるし(命中精度落ちる)……」など、自分なりの理由からあえて公式モデルではなく、「コルト パイソン Rモデル HW 4インチ」を購入するに至ったのである。次章では「コルト パイソン Rモデル HW 4インチ」を細かく紹介していきたい。

タナカワークス 「コルト パイソン Rモデル」HW 4インチ

 「コルト パイソン Rモデル4インチ」は金属を練り込んだHW(ヘビイウェイト)樹脂で作られている。そのボディは、780gとずっしり感がある。鉄でできた実銃は1,092g程度と言われているので、それには及ばないが、モデルガンは弾倉にカートリッジを入れたり、ウェイト入り木製グリップにするなどでさらに重くなり、リアル感を増すことができる。

 全体的にマットブラックな仕上がりになっており、フロントサイトはレッドランプのないタイプが採用されている。バレルの刻印もリアルなもので雰囲気アップに貢献している。惜しむらくはパイソンの特徴でもあるロイヤルブルーフィニッシュ(ブルーイング)ではないところだろうか?

 ちなみにブルーイングとは「錆止め処理」の1つで、鉄でできた銃の表面に化学処理をさせる「ブルーイング液」を塗ることで表面を軽く錆びさせることでそれ以上の錆を防ぐというものだ。金属を練り込んだHW樹脂は表面を磨くことで金属部分を多く露出させ、実銃と同じブルーイング液を使って表面処理が行える。時間ができたらチャレンジしてみたいところである。

 「コルト パイソン Rモデル4インチ」のトリガーを引いてみる。ハンマーを親指でコッキングして行うシングルアクションでは、引きしろが少なくブレにくいトリガーフィーリングで、これなら命中精度も良いだろうなという印象。

 引き金を引くだけでハンマーが起こされシリンダーが回転し、引き金を引ききるとハンマーが落ちる「ダブルアクション」では、「次第に重くなってゆくがなめらかなトリガープル」という実銃の評判をうまく再現しているように思う。実銃は撃ったことがないのでなんとも言えないが、「おぉ~こういう感じなのか~」と勝手に納得してしまう自分がいた。

【コルト パイソン Rモデル4インチ】
特徴的な松葉型のメインスプリング。上側がハンマースプリングで、下側がリバウンドスプリングとなる
引き金を引くとだんだん重くなってゆくが、連続性のあるスムースな引き心地でもある
ダミーカートリッジを入れたところ。シリンダーインサートがあるのでモデルガン用のダミーカートリッジでないと入り切らない場合がある

 一方、実銃と大きく異なるのが「インサート」の存在。銃身とシリンダー(弾倉)には改造防止、悪用防止のインサートが入っている。タナカのモデルガンのシリンダーインサートは、発火の音や火花を妨げないくらいの面積で、発火した際の音抜けや火花がよく出るので迫力ある発火が楽しめる。

 そして、タナカの「357カートリッジ」は弾頭部がアルミ製、カートリッジ部が真鍮製とパーツが分かれており発火用カートリッジであってもダミーカートリッジのようなリアルな雰囲気がある。発火用の穴もホローポイント弾のような印象を受ける。ホローポイント弾とは狩猟用などに使われる弾で、弾頭が空洞なため標的の肉体を貫通しにくく内部で大ダメージを与える。

 作品に詳しい人ならばツッコミがあるかもしれない。「シティーハンター」では、人質を盾に取られた際、自分の掌を撃ち抜いて威力を減衰させたことがある。フルメタルジャケット弾なので貫通してひどい傷にはならなかったという描写だったり、暗闇の中でフルメタルジャケット弾による跳弾の火花によって敵の位置を一瞬で把握するなどのエピソードがある。

 それゆえシティーハンターを意識するならホローポイント弾風の弾を込めずにフルメタルジャケット風のカートリッジを入れるべきだ というツッコミもしたくなる。そういう人のためには、サードパーティーから空撃ち用のダミーカートリッジが出ている。こちらは発火機能はないものの丸い弾頭になっているのでこちらもチェックして欲しい。

カートリッジ
カートリッジ内にキャップ火薬1つをセットして弾頭部をネジ込んで固定する。ハンマーが底部のプライマーパーツを押し出し、弾頭部の穴から音と火花が出るという仕組みだ

 グリップは、標準では樹脂製のものが装着されているが、今回の写真はすべてタナカ純正のウェイト入り木製グリップに交換している。リアルサイズ(実銃と同じ寸法)なので、実銃用のグリップも装着できるが、グリップウェイトによる重量増加と高い加工精度(タナカワークスの前身は銃のストックなどを手掛けていた田中木工だった)なので、満足感も非常に高いものだ。もちろん、プラグリップのままでも十分リアルだ。

【グリップ】
木製加工を得意とするタナカならではのチェッカリングが美しい
標準のプラグリップでも十分リアルだが、手に持った感じは木製ならではの感触

 シリンダーは、コルトの特徴的な機構で、ノッチを引いてロックを解除しスイングアウトする。一発ずつバラ弾をこめたり、スピードローダーでクイックロードするなど、複数の楽しみ方があるのがリボルバーの醍醐味だ。

【タナカ「コルト パイソン Rモデル4インチ」、スイングアウト、リロード……。実銃さながらのアクション】
服からの引き抜き、空撃ち、シリンダの開閉。発火はまた勿体無くてしていない

 普段はスプリング入りのダミーカートリッジを入れておき、重量を稼ぐとともに空撃ちをした際のファイヤリングピンの損耗を防いでいる。フルメタルジャケット弾を模しているのでシティーハンター

 実は、コルトのメカニズムはモデルガンで再現が難しいのか、過去にモデルアップされたモデルガンなどでも独自の機構を採用するものが多かった。モデルガンは機構が複雑な上、実銃とはパーツの強度が違うので不具合が発生する場合があった。

 MGCのコルトパイソンでは、使用しているうちに、ハンマーダウン(撃鉄を起こさないでいる)時にシリンダーが逆回転してしまう、シリンダーストップが十分に下がりきらずにシリンダーロックが生じてしまうという症状がユーザー間で話題になった。タナカでも、シリンダーがロックしてしまう症状が、ディテクティブスペシャル、パイソンなどコルトのモデルガンの旧モデルでは発生することがあった。

 そういった課題をクリアしてアクションの確実性、耐久性を向上させたのがこのRモデルだ。

 実は筆者は「コルト パイソン Rモデル4インチ」に関しては火薬を詰めて作動させる「発火」をしていない。火薬を作動させる発火はどんなに手入れをしても火薬カスがパーツに残り、モデルガンが劣化してしまう可能性があるのだ。のちのちブルーイングをしようと思っているのも発火をしていない理由だ。今後、「コルト パイソン Rモデル4インチ」に関してはできれば発火用、ドレスアップ(ブルーイングベース)用、保存用で3つ欲しいところだ。

タナカの内部メカ
MGCの内部メカ。タナカのものと比べるとかなり独自の構造になっている

 タナカのコルトパイソンを最初に触った時、イメージしたよりも細身に感じた。これは慣れ親しんだMGCのモデルガンが、作動性や耐久性を優先してデフォルメされており、重量パランスなども異なることが理由だと思う。リアルサイズで重量配分もおそらく工夫されていると思うので、そういったことが手に持った時のずっしり感やリアルな凄みとして感じられるのだろう。さらに、ノッチを解放してスイングアウトした際に左手に感じる重量感、弾をこめ直して戻す際の作動音など全てがリアルに感じられる。実銃は鉄の塊なのでそうではないと思うが、もしかしたらそれにかなり近いのではないか?とワクワクしてしまう精緻さがこのパイソンから感じることができた。

 今後、外観をよりリアルにした「ジュピターフィニッシュ」なども期待されるが、内部機構はほぼ完成されたのではないだろうか? 価格帯は現時点で28,380円と安いとは言えないが、年々高くなるモデルガンの世界では相対的に手頃な価格帯になっているので、「買うなら今」なモデルかもしれない。

 パイソンにはモデルガン以外にもエアガン(ガスガン)もある。タナカからもベガサス方式のリボルバーがあり、他社からも出ているが、筆者としてはぜひモデルガンで遊んでほしいと思う。弾こそ発射されないが、リアルなカートリッジ(薬莢)をこめ、(火薬を詰めていれば)迫力の発火音とマズルフラッシュが楽しめるのは、モデルガンならではだ。