特別企画
「遊戯王」最新パック発売記念! 16年越しに超強化されたユベルのルーツとなる古のパック「PHANTOM DARKNESS」を振り返ろう!
2023年10月28日 00:00
- 【遊戯王OCGデュエルモンスターズ PHANTOM NIGHTMARE】
- 10月28日 発売
- 価格:
- 176円(1パック)
- 5,280円(1ボックス)
爆アドォォォ! アドえもんです! 筆者は普段YouTubeにて遊戯王を中心にカードゲーム動画を投稿している愉快でうるさいオジサンだ。
今回は10月28日に発売を予定している「遊戯王OCG」の最新パック「PHANTOM NIGHTMARE(ファントム ナイトメア)」の発売を記念して、その原点となった存在と言っても過言ではない古のパック「PHANTOM DARKNESS(ファントム ダークネス)」の昔話を交えながら新パックの注目ポイントを軽く紹介したいと思う。
というのも今弾は看板モンスターである「ユベル-Das Ewig Liebe Wachter」からご察しの通り、「ユベル」が初収録された太古のパック「PHANTOM DARKNESS」を想起させるようなパック名となっていて、あまりにも遊戯王お爺ちゃんのツボが刺激されたので思い出話をしたくなってしまったのだ。
デジタルカードゲーム「マスターデュエル」等の影響で最近「遊戯王」を始めた現代プレーヤーには“古の遊戯王マメ知識”を身に着けてもらいつつ、筆者と同じ「遊戯王」老人の皆さんには当時に思いを馳せてエモに浸りながら最新カードの強さに驚愕して頂く……といった形の一石二鳥でアドな内容をお届けしたい。
特に大々的にプッシュされる「ユベル」は長い歴史を持つ「遊戯王」の中でも他に類を見ない様々な意味でぶっ飛んでいる存在なため、気になっているプレーヤーも多い事だろう。せっかくなのでアニメで登場した彼(彼女)についても振り返りながら、さっそく歴史の1ページを紐解いていこうと思う。
現代基準でも最強カードだらけな闇のパック……それが「PHANTOM DARKNESS」!!!
「PHANTOM DARKNESS」は今からなんと16年前に発売されたパックとなっており、TVアニメ「遊戯王GX」最終盤に登場したカードを中心として様々なカードが収録された。パックの表紙となった「ユベル-Das Abscheulich Ritter」は「遊戯王GX」第三期のラスボスである「ユベル」の最終形態であり、独特すぎる進化方法や効果の特性・アニメストーリー内での強烈すぎる活躍と相まって多くの決闘者に強い印象を残したカードである。
「終末の騎士」や「ダーク・アームド・ドラゴン」など過去に規制を受けた最強ダークモンスター達の歴史もここから始まる……!
こちらのパックの傾向としては「闇属性」を強くサポートするカードが数多く収録されており、現代でもお世話になることが多いインフラカード「終末の騎士」が初めて登場したのもこのパックだったりする。登場当時は効果で墓地に落としても直接アドバンテージに繋がるカードが「ネクロ・ガードナー」や「D-HERO ディアボリックガイ」くらいしか存在せず、シンクロ召喚等のギミックも存在しなかった事でおとなしめだった。以降は闇属性のテーマが登場する毎にその姿を現わし、その都度禁止制限も行ったり来たりして決闘者を楽しませる存在となった。
他にも“ダムド”でお馴染み「ダーク・アームド・ドラゴン」や「ダーク・クリエイター」といった切札級のダークモンスターも数多く収録されており、当時の環境にも大きな変化をもたらしている。単純に闇テーマやカオス系デッキの強化パーツでありながら、そもそも「ダーク・アームド・ドラゴン」を出す事にのみ注力したデッキが全然強かったりなどカード単体のバリューが高かった印象だ。当時中学生だった筆者の周りではこの後すぐに発売された「ストラクチャーデッキ-帝王の降臨-」にて登場した「邪帝ガイウス」と合わせて、闇属性の強いカードを集めたグッドスタッフデッキが大流行したのを覚えている。現代に至るまで「遊戯王」は何となく「闇属性に強いカードが多い」イメージを持たれがちだが、このパックもそのイメージを強めた存在の1つなのではと推測している。
今では最強宇宙展開が可能な「超古深海王シーラカンス」も「PHANTOM DARKNESS」出身
また発売当初は牙を潜めていたが後々に頭角を表したポテンシャルマックスなカードも多数収録されていた。中でもその代表と言っても良いのが「超古深海王シーラカンス」と「超融合」だろう。
まず現代では出して効果が通ってしまうと最強宇宙展開が確約される「超古深海王シーラカンス」だが、当時は呼び出せる魚族に強いカードが存在せず、シンクロ・エクシーズ・リンク召喚が無い時代だった事で強い展開ができないどころか、攻撃すらもできないため、苦労してシーラカンスを出してもあまりにリターンが薄かった。せいぜい「カタパルト・タートル」やそれに類似するモンスターでバーンダメージを飛ばすデッキでつかわれていたくらいの印象である。
だが時代の変化と共に呼び出せる魚族や召喚方法が徐々に増え、さらには多くのサポートカードでシーラカンス自体の出力方法も大量に追加された事で、デッキとして大きな躍進を遂げていった。時代に合わせて出力や展開ゴールを変え、長きに渡って愛され研究され続けてきた結果、モンスターのモチーフと同じ「生きた化石」のようなデッキになったのはちょっとしたエモを思わず感じてしまうな!
後にシンデレラストーリーを歩む「超融合」も当時は……
そしてもう1枚。アニメ「遊戯王GX」の終盤期を代表するカードと言っても過言ではない「超融合」だが、当時の基準だとザコカードと言われても仕方ない存在だった。今でこそ多くの融合タイプのデッキに採用され、環境に合わせてEXデッキに融合モンスターを投入すれば様々なデッキで強力な後手捲り札として機能させる事ができるが、登場当時は現代のような融合素材の緩いモンスターが存在しなかった。そのため、相手が似たモンスターを使うデッキである事を祈るか、バトル中に融合して連続攻撃をするカードにしかならなかったのだ。
アニメでは闇落ちした主人公「覇王十代」が様々な「E-HERO(イービルヒーロー)」を呼び出す際に使用し、相手のエースモンスターを吸収しながら禍々しい融合モンスターを呼び出す圧倒的パワーとカッコ良さに憧れを抱いた少年たちは数知れない。しかしOCGでアニメの再現をしようとすると「E-HERO」融合モンスターに標準搭載された「このカードはダーク・フュージョンの効果でのみ特殊召喚できる」というテキストのせいでアニメと同じことが再現不可能な事に気付き絶望するまでがセットだった。これらの影響から「超融合」はカードショップのストレージコーナーの常連だったりと、カード化当初は色々と残念なカードだったのである……。
しかし転機が訪れたのは登場から約1年後。新時代の「HERO」融合モンスター「E・HERO アブソルートZero」の登場を皮切りに、ゆったりとしたペースではあるが「HERO+特定の属性」を融合素材とするモンスター達が増え始め、相手の場のモンスターを吸収するという本来の使われ方が実戦レベルでドンドン可能になっていく。
さらに時代が進むと似たようなニュアンスで素材が緩い融合テーマの「シャドール」の登場によって評価が上がったり、最新環境ではついに融合素材にテーマモンスターすら要求しない「沼地のドロゴン」と「共命の翼ガルーラ」が揃った事で様々なデッキで“無効にされない2面除去のカード”として強く機能するようになったのだ。とんでもなく禍々しいカードなのに他に類を見ないほどシンデレラストーリーを歩んでいるのが「超融合」というカードなのである。
看板モンスター「ユベル」はアニメ準拠の「痛み」がキーワードとなる効果でカード化!
そして「PHANTOM DARKNESS」で何より忘れちゃいけないのがパックの表紙である「ユベル」の存在だ。
自身が効果破壊される度に強力な形態へ進化する効果に加え、全ての形態が一貫して攻撃力が0かつ受けた攻撃のダメージを様々な形で相手に反射する効果を持っているのが大きな特徴。「痛みこそが愛」とアニメで事ある毎に口にしていた言葉がそのまま自身の効果に反映されている素晴らしいデザインでと言える。今改めて考えると第一形態が自身を場に留める為に味方のコストが必要だったり、第二形態は自分のモンスターを含めて全てを破壊しつくしてしまったりなど、所々で「ユベル」の破天荒さやエゴイスティックな側面が出ている事にも気付かされる。
登場当時は高レベル体の「ユベル」を場に出す手段、出て来た「ユベル」を進化させるための破壊手段の両方がかなり限られていたので使用難易度はかなり高いデッキタイプだった印象がある。よく一緒に使われていたカードは攻撃力が0な事を利用した「キラー・トマト」や「リミット・リバース」等の出力カードと、「激流葬」等の相手も巻き込んで破壊しながら「ユベル」を進化させられるカードで、特に「リミット・リバース」は自分の効果で「ユベル」を特殊召喚しながら表示形式を変更するだけで自壊させる事ができた事から相性抜群とされていた。
デッキタイプも純粋に「ユベル」の進化を狙いながら同パックに収録されていた「ダークモンスター」を投入したタイプや、第二形態の全体破壊を利用して「ネフティスの鳳凰神」をグルグルさせる「ネフユベル」など、「ユベル」の気難しい効果を上手く利用した様々なデッキタイプが生まれていたのも人気の高さ故と言えるだろう。時代が進む度に「スクラップ・ドラゴン」や「幻影騎士団ブレイクソード」等の召喚しやすいEXモンスターで簡単に自壊ができるようになったり、テーマ単位で相性が良い「幻魔サポート」や「破械」カードが登場したり等、直接的ではないにしろ様々な強化カードを貰って今もなお多種多様なデッキが生まれ続けているのだ。
さらにアニメ内でも「ユベル」の存在は「遊戯王」史の中で非常に特異な存在で、濃すぎるキャラクター性を持っていたのも大きな特徴だ。作中では「ラスボスでもありパートナー」、「ヤンデレでもありツンデレ」、「マゾでありサド」、「男でもあり女」……などなど他にもまだまだ沢山の特徴を持っているが、とにかくホビーアニメとは思えないレベルの属性過多かつ“重すぎる愛”を秘めたキャラクターなのである。それまでの明るい作風を破壊して当時の陰鬱な展開を作った元凶でありながら、他に類を見ない独特すぎる設定と性格で人気が非常に高く、アニメでは強烈な存在となっていた。
「ユベル」周りは結末からその後の展開に至るまでぶっ飛びポイントが多いにも関わらず、一種の感動を感じてしまう不思議な魅力が詰まったストーリーも必見となっているので、気になる人は現在YouTubeで公開されているユベル戦の3話だけでも是非チェックしてみて欲しい。
時代は「PHANTOM NIGHTMARE」へ! 新たなフェイバリットとなった「ユベル」を筆頭にとんでもカード大量出現!
振り返ってみるとアニメパワーも含めて色々とんでもないパックだったんだなと感じてしまう「PHANTOM DARKNESS」だが、勿論最新パックの「PHANTOM NIGHTMARE」は、その比じゃないレベルで腰を抜かすカードが多数登場する。
長々語った「ユベル」がテーマとして実に16年ぶりの強化を受け“現代遊戯王”に対応したパワーを獲得している。融合モンスターとなって新たな進化を遂げた「ユベル-Das Ewig Liebe Wachter」がユベルらしい耐性と反射ダメージ効果に加えて、専用の罠カード「エターナル・フェイバリット」を用いる事で相手モンスターを大量に巻き込んだ実質「超融合」を行なえたりなど新しい戦い方が可能となっているのだ。
見た目も竜と悪魔という設定を上手く活用しながらアニメの主人公である十代のマイフェイバリットヒーローである「E・HERO フレイム・ウィングマン」が意識された姿のようで、「ユベル」の新規に「フェイバリット」カードが追加されるのも「遊戯王GX」ファンの気持ちの理解度に感心する。
他にも「サクリファイス・D・ロータス」や「スピリット・オブ・ユベル」によって「ユベル」やサポートカードへのアクセスがハチャメチャに簡単になった事に加えて、相手に高打点モンスターを押し付けて反射ダメージを狙える「ガイスト―チ・ゴーレム」、「ユベル」の進化を促しながら追加のダメージ反射やサーチまでできてしまう「ナイトメア・ペイン」などサポートカードもしっかりしている。全体的に各種カードの効果が当時アニメでユベルが行なっていたコンボを現実的にできようなデザインにしているのもポイントが高い。昔ながらの痛みを反射する戦い方や破壊による進化がベースとしつつ、現代カードに引けを取らない展開力と妨害力を兼ね備えた上手いパワーバランスの強化カード達だと言えるだろう。
個人的な注目テーマは「悪鬼羅刹(ゴブリンライダー)」!
他にも今弾にはトーナメントシーンで活躍できるような強力なカードも多数収録されているのだが、あえて今回1つ注目テーマを挙げるとするなら筆者は「悪鬼羅刹(ゴブリンライダー)」を推したい。
野蛮そうな字面かつ「ゴブリン」という事を踏まえると恐ろしい見た目の凶悪な集団を想像してしまうが、実際はビジュアルがファンキーかつ可愛い部分も多く、サポートカードのイラストから察するに面白集団な可能性が高いため中々愛らしい雰囲気だったりする。
テーマの独自性も今までに無い部分にフォーカスが当てられており、タイミングや条件はバラバラだが全員共通で「フィールドのX(エクシーズ)素材を取り除くことで特殊召喚できる」という効果を持っているのが大きな特徴。純粋に自分からXモンスターを用意して特殊召喚を繋げていく事が可能な展開力を持っていながら、相手の場のX素材を取り外して効果を発動する事もできるためXモンスターに対する強いメタ性能も持ち合わせているのだ。
この事からX素材を多く消費するタイプのモンスターや、特定のモンスターがX素材に入っている事で真価を発揮するタイプのモンスターから一方的に素材を奪って展開する事ができるため、特定の相手に対して非常に強い立ち回りをする事が可能となっている。
純粋にガッツリ「悪鬼羅刹」で固めてデッキを組んでも勿論楽しそうだが、エースモンスターである「百鬼羅刹 巨魁ガボンガ」が汎用ランク3モンスターでありながら、簡単に「ゴブリン」モンスターをサーチできるため必要最低限の枚数を他のデッキに出張させたり、サイドデッキから投入してエクシーズメタとして運用できたりなど使い方の幅がかなり広そうな印象がある。
他にも過去様々な形で登場してきた「ゴブリン」モンスターへのアクセスもできるため「キングゴブリン」等の昔からあるカードを用いたネタデッキが作れそうだったり、「スクラップ・ゴブリン」や「メメント・ゴブリン」など「ゴブリン」だけど違う畑(テーマ)のモンスターにアクセスできる点を利用して別テーマとの共存ができそうだったりと、無限の可能性を秘めたテーマとなっている。面白集団ってだけでは終わらないゴブリンパワーをぜひその手で実感してみて欲しい。
他にも展開力が鬼のように強くなった「マジェスペクター」や汎用の☆2展開札となり得る「EM:Pグレニャード」など注目すべきカードが山のようにあるのだが、今回は老人の昔話がメインなのでここまでにしたいと思う。
太古のパックと現代のパックをある程度振り返ってみたが、時代は違えど何だかんだ毎回化け物みたいなカードが生まれ、その度に何だかんだワクワクしているのだなと改めて感じることができた。当時は「ダムド」で驚いてたアドえ少年は16年後も同じようにしっかり「悪鬼羅刹」で驚いていたので、現役プレーヤーにとっても魅力満載の新カードたちが登場していることを改めて感じる。
非常に強力かつエモいカードも大量に入ったパックとなっているので、気になっている人は是非「PHANTOM NIGHTMARE」で色んなデッキを組んで遊んでみて欲しい。それではグッッッ爆アド!!!!!
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