特別企画
トイガン・ミリタリーグッズの祭典! 「第105回ビクトリーショー」レポート
新製品発表や、モデルガン、APS体験、蔵出し販売多彩なミリタリーイベント
2024年5月7日 00:00
- 【第105回ビクトリーショー】
- 4月29日開催
- 会場:都立産業貿易センター浜松町館
- 入場料:600円(中学生以下、女性、65歳以上、現役自衛官は無料)
第105回ビクトリーショーが4月29日(月・祝)に東京都産業貿易センター浜松町館3、4Fで開催された。ビクトリーショーとは、ホビーショップであるサムズミリタリ屋が主催する、各種ミリタリー・トイガン・サバイバルゲーム関連の商品と各種コレクター等が集まって売買、交換、歓談、紹介をすることができるイベント。1981年の初回開催から43年間続いており、通算105回目となる。
大型連休前半最終日となった開催日、会場には多くのミリタリー、モデルガン、エアガン愛好家たちが集結した。天候は曇りで例年並み、風が吹くと少し肌寒い気温だったが、会場内は熱気に包まれていた。
会場には、店舗を構えるミリタリー専門店や模型店、通販でも馴染みのあるエアガン・モデルガン販売店のほか、個人やグループでの出展も見られた。普段販売している商品のほか、店舗には並ばないレアアイテムや、個人のお宝や自作アイテムをフリーマーケット的に出展してたり、販売はせずにコレクションなどを展示して実演するといったブースまで幅広いジャンル、内容にわたっていた。
今回は、多くの魅力的なブースのなかから、特に筆者が興味を引かれたブース、印象的な展示、アイテムを紹介したい。
VEMA:DoRaSight(ドラサイト)
VEMA社のブースでは、測距計付き(距離計内蔵式)ドットサイト「DoRaSight(ドラサイト)」の展示、販売が行われていた。実銃にも使用できる精度の距離計、ドットサイトで、最大800mまで測定可能という。「DoRaSight」の価格は59,800円。会場特別価格として、プロテクトレンズセットで割安な価格設定をしていた。
サバゲーなどでは50m程度まで測定できれば実用範囲なのでオーバースペックとも言えなくもないが、距離計が付属しない実物ドットサイトと比較しても高額ではない(場合によっては安い)価格なので、機能重視のサバゲーマーにはピッタリかもしれない。
LT-1
カイデックス(熱可塑性の合成樹脂)のホルスターやショットシェルホルダーなどを制作、販売する「LT-1」では、サブマシンガン用のカイデックスホルスターなどの展示、販売が行われていた。ホルスターの価格はハンドガン用が、8,000円~15,000円程度。サブマシンガン用が20,000円だ。
熱を加えることで可塑性が生じ、形状に沿ったホルスターを製作できることで、ナイフのシース(鞘)などにも使われてきた。ライトを取り付けるなど銃をカスタムしてもフィットしてしっかり保持することができるので、銃のホルスターとしての用途でも使われることが増えてきた。
会場では、サブマシンガンの展示に注目が集まり、ベレッタ93Rに対応するホルスターはできるのか?などの問い合わせも多かったという。
カスタマイズ、小ロット生産に向いているカイデックス素材も、多様化するモデルガン、エアガンの周辺グッズ素材として、活用が広がる可能性を垣間見た。
ハートフォード
ハートフォードのブースでは、会場限定アイテム、東京店カスタムといったレアなモデルガンの特価販売の他、開発中の「H&K P7M8」の3Dプリンターによる試作モデルの展示があった。
ビクトリーモデルなど店頭在庫がないものも僅かに売られていたが、即完売となった。
東京店オリジナルカスタムのケースハードン仕様。この時代の銃はフレームはケースハードン処理されているのが常なので、当時の雰囲気を味わいたいならケースハードンカスタムを選びたい。
H&K P7M8は、噂はあったものの実際の試作モデルが展示されるのは今回が初めてということで、来場者の関心も高かった。
発火モデルではなく、ダミーカート仕様とのこと。これまで「H&K P7M8」は、MGCでガスブローバックガン、東京マルイからエアーコッキングガンとして「P7M13(ダブルカラム仕様)」が商品化されてきたが、モデルガンとしては初の商品化となる。
ユニークなデザインが特徴的で、映画などでも登場することも多い。メカ的には、他の銃にはない「スクイズコッカー」方式を採用している銃ということで、鑑賞派、ギミック派いずれも期待したい内容だ。
劇中モデルが欲しいという人には、ブラックモデルだけでなくシルバーモデルも出してもらいたいと思っているはずだ。
松栄製作所
旧ドイツ軍のモデルガンを主に製作しているショウエイブースでは、新作のMP40の発表があった。
MP 40は、旧ドイツ軍が開発した短機関銃(マシーネンピストーレ)で、アメリカのトンプソンと双璧をなす存在だ。その銃をモデルガンとしたショウエイの「MP40」は発火式、ダミーカート式の2種類で発売すると2021年1月の第95回ビクトリーショーにて発表があり、予約も始まっていたが、今回ようやく予約数が目標に達したということで、生産準備開始のアナウンスとなった。価格は、10万円前後になるとのことだが、昨今の原材料費などの値上げによってはより高額になってしまう可能性があるという。
海外の博物館などから展示するためのレプリカガンとして発注があるほど外観など作り込みが優れており、今回も非常に期待が集まっているので、進捗があったことだけでも大きなニュースとなった。
取材中に、「コンバットバイブル」シリーズなどミリタリーイラストを手掛ける上田信氏が登場。Vショーのレポーターも務める陽向さとこさんをモデルに上田信氏がイラスト描きプレゼントするサプライズも見られた。
このサプライズもあり、イベント中筆者はMP40の撮影はかなわなかったのだが、松栄製作所の公式X(Twitter)上でアップされていたので、転載したい。
Tokyo Victory Show: Once again, Erfolg Planning helped us brighten up our booth!
— Shoei Seisakusho Inc., Japan (@tomio_matsumoto)April 30, 2024
The model this time was Hinata Satoko!
Artist Shin Ueda also drew an illustration of Satoko holding an MP40 on the spot!#shoeiseisakusho#modelgun#モデルガン#mp40#tokyovictoryshow#shinuedapic.twitter.com/xszksrLu80
JUNKGUN FACTORY
JUNKGUN FACTORYでは、東京マルイのLCPを組み込んで、好みの銃に着せ替える外装パーツなどを展示、販売していた。九四式拳銃やPSS、M&P9 SHEELD名どのバリエーションがある。価格帯は「M&P9」が8,000円、「PSS」が10,000円、「九四式拳銃」が15,000円だ。
アトリエベルナッツからは、P239の無可動モデルガンの試作が展示されていた。欲しい銃がメーカーから出ていないなら作ればいい!とばかりに、外装パーツやモデルガンが3Dプリンターなどで作られることは驚きだ。ディテールなどはまだ金型成形品には及ばない部分もあるが、今後の可能性を感じさせる出展だった。
マグナムショップむげん
むげんは、東京、蒲田に店舗を構えるショップで、エアガンやモデルガン、その他周辺パーツ、カスタムパーツなどを取り扱っている。ブースでは、新品の特化アイテムもあったが、お買い得の中古アイテムにはより多くの注目を集めていた。
販売品の中には会場限定で写真撮影、情報公開不可のお宝モデルガンも出展されていた。それ以外でも絶版のMGCやコクサイのモデルガンの他、マルシンなど現行製品でも程度の良い中古モデルガンが、多く販売されていた。ファンにとってはまさに宝の山と言える品揃えだった。
ブースも広く展開しており、エアガンコーナー、モデルガンコーナー、カスタムパーツ・周辺グッズコーナーと目移りしてしまった。
筆者が取材したころには目玉商品の多くが売れてしまっていたが、それでもそこそこお買い得なものも残っており、ついつい買いそうになってしまう。目を付けた商品はあったが、ちょうどその商品を少年がお父さんにモデルガンを買ってもらおうとお願いしていたので、心の中でそっと譲りその場を離れた。(モデルガンは弾が出ないので、エアガンと異なり、多くの場合条例の規制対象外で、子供でも扱えるのだ)
ホビーショップ フロンティア(HOBBY SHOP FRONTIER)
フロンティアのブースでは、APSシューティングの体験コーナーとAPS競技銃を中心としたエアガンの販売が行われていた。
APSシューティングは、精密射撃を中心に1発あたり3秒の間に射撃しなくてはならない緊張感と集中力が要求される競技。
会場では、ASP体験ということで本来の競技よりも短い距離、時間制限なしでの体験となっていた。実際に体験したところ、筆者は幸いにも全弾命中。制限時間は気にしていなかったがおそらく3秒以上かかっていたと思う。
精密射撃は初めての体験だったが、サバゲーやファストドロウとはまた違った魅力を味わえた。
モデルガン発火体験
モデルガンフリークスが主催する「モデルガン発火体験」コーナーでは、誰でも無料でモデルガンを撃つことができた。使用されたのはタニオコバのガバメントシリーズ。
一人5発のカートリッジを渡され、慣れている人は自分でマガジンに詰めて射撃位置で待機。銃を渡されて自由に撃てるというもの。個人的には撃ってみたかったTRPカスタム(外装が異なるだけで内部機構は変わらないが、限定カスタムの銃を撃ってみたかったのだ!)を撃てたのが満足だった。
エアガンを撃ったことがあるという人でも、モデルガンを撃ったのは初めてで、火薬の音と反動、カートリッジが飛び出してゆく様子などに驚いたり感動していたのが印象的だった。
また、ブースではMODEL GUN GIRLsによる同人誌「初めてのモデルガンマニュアル」も販売されていた。内容は、モデルガンに興味を持った人が疑問に思う、エアガンとの違いや種類、選び方、購入方法、法律やマナー、メンテナンスの仕方など一通りの基本が学べるものだ。
Vショーのようなイベントのほか、マグナムショップむげん、メロンブックスなどでも販売しているという。興味を持った人にはぜひ手に取ってもらいたい一冊だ。
自衛隊展示コーナー
自衛隊ブースでは、陸上自衛隊の偵察用オフロードバイクの展示、防弾ベストや落下傘の装着体験などが行われていた。若い人には自衛官、予備自衛官の案内なども行われていたようだ。
筆者も落下傘の装着体験をさせてもらった。通常の落下傘と、高高度用の自由降下傘の2種類の落下傘が体験できた。筆者が体験したのは高高度降下(自由降下)傘で、1つのユニットにメインと予備が内包されており総重量は25kgとのこと。(通常の落下傘も、メインと予備合わせて25kg)
空挺(自由降下徽章)とレンジャー徽章をつけた隊員の方が、装着のサポートや質問の応対してくれた。自由降下徽章は、自由降下課程を修了すると着用できるようになる、空挺隊員として最上位の降下技術を持つ証ということだ。陸上自衛隊最強の「空挺レンジャー」の中でも最強の隊員の方とコミュニケーションできるのもこういったイベントの醍醐味と言える。
“B Co/100Bn”
Vショーの楽しさの1つとして来場者を含めた参加者の「コスプレ」がある。帝国海軍航空兵や、SS将校、中東の反政府組織など様々な国、時代の軍装やキャラクターになりきった人も参加している。その中で特に歴史に対して造詣が深く、再現性を重視する人たちは「リエナクト」というジャンルとなっている。そのなかでも完成度が高かったのが、米軍日系アメリカ人部隊「第100歩兵大隊」を再現するリエナクトメントグループ“B Co/100Bn”だ。
リエナクト(歴史/時代再現)は、身近なところではお祭りなどで鎧兜を身につけた武将のパレードや合戦の再現イベントなどがそう言えるかもしれない。実在の武将や兵士を意識して、当時に思いを馳せながら、訓練(練習)やヒストリカルイベントに参加しているという。
Vショーでは、衛生部隊の展示と実演を行うなど、活動の成果を展示していた。屋外のミリタリーイベントでは、糧食体験として、アメリカ陸軍の第二次世界大戦時に戦場で配給されていた食事を当時の調理機材を使い、現代日本で可能な限り再現して希望者に提供するなどのアトラクションも行っているという。
ミリタリーイベントに限らず、ショップやユーザーが参加する趣味のイベントには、さまざまな楽しみ方があると思う。掘り出し物やお宝目当ての買い物目的も一つの楽しみ方だし、コスプレをして楽しむと言うのもそこでしかできない楽しみ方だ。滅多に会えないメーカーの人や、通販でお世話になっているショップのスタッフの方、こういうイベントでしか会えない同好の士と会える貴重な機会ともいえる。
Vショーも、ミリタリー趣味、ジャンルと言っても、サバゲーメインだった人がモデルガンの体験をしたことでモデルガンに興味を持つかもしれないし、食わず嫌いだったり、興味があったがきっかけがなく一歩が踏み出せなかったジャンルに参加するきっかけになるかもしれない、出会いの場でもあると思った。
自作ホルスターやスクラッチのキットに刺激されて自分でも作ってみよう、いずれ出展してみようと思う人もいたことと思う。そんな刺激や、背中を押してくれるきっかけを得る場でもあるのではないだろうか?初心者にとっては、目的のお店まで出向いて店舗のドアを開けるのにはちょっと勇気がいることもあるが、いろいろなジャンルの出展があるイベントなら気軽にのぞけると言う面もある。次回の第106回ビクトリーショーは2024年9月29日(日)とのこと。興味のある人は是非参加してみてほしい。