特別企画
古河ロックドリルのトンネル作業ロボ「ボルティンガー」がカッコイイ! 現実での活躍の場を拡げる"2本腕のロボット"
2024年7月11日 13:25
古河ロックドリルの、2ブームロックボルト打設ロボット「ボルティンガー」のビジュアルは、ロボット好きのハートを射貫く魅力がある。中央のコクピットと左右の大きなアーム。SFファンが思い描いた"ロボット"の姿そのままだ。
「ボルティンガー」は古河機械金属グループの中核事業会社である古河ロックドリルが製作した作業機械だ。今回、山岳トンネル工事のロックボルト打設作業における安全性と生産性を大幅に向上させたことが評価され、「令和6年度 日本建設機械施工大賞」選考委員会賞を受賞したという。筆者がボルティンガーを知ったのはまさにこのリリースからだ。
ボルティンガーはトンネル掘削後に地山の崩落や変形を防ぎ、安定した状態を保つため、「ロックボルト」を地山に打設するためのロボット。トンネル掘削の最先端箇所「切羽(きりは)」にロックボルトを打ち込むのはロックボルト用の孔のせん孔、モルタル注入、ロックボルト挿入を、高所で行わなければいけない危険な作業だ。
ボルティンガーはロックボルト打設の手順を一貫して施工できるロックボルト打設装置(ボルティングユニット)を両腕に装備していることで、キャビン(コクピット)という離れた場所から、作業を進めることができる。人力での打設に比べて大幅に施工時間を短縮し、同ユニットを左右に2基装備することにより急速な施工を可能にしたという。
さらにボルティンガーはトンネル坑内の常設トータルステーションによる測定と各種センサーによって、実機の打設位置・角度を把握することにより、設定した打設パターン通りに正確な施工を可能した。危険な作業をより安全に、正確に行うことができるロボットなわけだ。
"両手を持った機械"というのはワクワクさせられる存在だ。日立建機の「アスタコ」は2つの油圧アームを使うことで従来の作業車では難しかった「つかみながら切る」、「支えながら引っぱり出す」、「長いものを折り曲げる」といった作業が可能となり、特に東日本大震災の安全なガレキの撤去に活躍し、話題を集めた。アスタコの後継機種である「アスタコ NEO」はハセガワからプラモデルも発売している。
また、人機一体がJR西日本、日本信号との共同で進めているプロジェクトによって生まれた「零式人機ver.2.0」は「2022国際ロボット展」で発表された後、JR西日本の訓練線で作業経験を積み、営業線での導入も決まっているという。今後は鉄道以外のインフラ整備にも活躍するという。
従来の1本腕のショベルカーも技術の進歩や使用方法の研究によってアニメ「パトレイバー」に出てくるレイバーのような複雑な作業をこなせるようになっている。2本腕の機械はメンテナンスも、オペレーターの負担も大きくなる一面もあるが、より複雑で、精密な作業を必要とする現場に向けて今後さらに開発が進むのではないか。それはセンサーやジャイロの進化と、コンピュータやAIによる制御技術の発展で、より具体性を帯びたと言えるだろう。
有人操縦によるロボット「マジンガーZ」の登場から「操縦できるロボット」は多くの人の憧れだ。2本足で歩き、大きな腕で作業するロボットが登場する未来も遠くないかもしれない。
現実のロボットの発展と共に「ボルティンガー」はぜひプラモデル化して欲しい。ハセガワ、アオシマ、タミヤといったメーカーでどうだろうか? 大いに期待したい。