特別企画

Amazonで販売中の「スプレー缶ハンドル」3種試してみた

「Can-Gun1」が使いやすくベター。安価な製品から大手ブランドまで試した

【グリーンスタッフワールド スプレー缶トリガー】

価格:1,980円

【Can-Gun1】

価格:900円

【クリンビューテクノプラス スプレーハンドル】

価格:553円

 みなさんはスプレー塗装の経験があるだろうか? 筆者はプラモデルを塗装する際によくスプレータイプのサーフェイサーを使用するので、ここ1年半で280g入りのスプレーを10本ほど使うくらいの塗装頻度だ。

 筆者は屋外に新聞紙を広げてスプレーを吹くのだが、そこで気になるのが風による吹き返しで起きる指の汚れ。もちろんスプレーの対象になるプラモデルを持つ左手はゴム手袋などで防御しているが、面倒なときは右手は素手のことがある。それで右手の指が汚れ、洗浄に時間がかかる……といった状態になる。

吹き返しの例。せっけんや中性洗剤で落とせる程度ならいいが、爪の間に入るなどすると厄介だ

 そんな吹き返しから「指を離す」ことで解決できる手段、「スプレー缶ハンドル」(トリガー)というものがさまざまなメーカーから販売されている。その名の通りスプレー缶に装着することでスプレーヘッドをトリガーで遠隔操作し、操作しやすくするというもの。今回はこれをメーカー別にAmazonで3種購入して試してみた。

3種のハンドルを紹介。意欲的なギミックが光るイチネンケミカルズ

 今回購入したハンドルは、パテを成形して切り出せるローリングピンなど、多種多様な工具を販売するグリーンスタッフワールド製「スプレー缶トリガー」(1,980円)、さまざまなコピー品が並ぶ中でおおよそ正規品だと考えられる「Can-Gun1」(900円)、イチネンケミカルズが販売する「スプレーハンドル」(553円)の3種を購入した。

 グリーンスタッフワールドの製品はグリップが太く(最大直径35mm程度)、ラグビーボール状になっているので握り込みやすさはあまり良くない。ただ梨地加工が施されているので、そこでグリップ力を高めている。トリガーは垂直の力にも耐えられるよう、縦にもある程度大きくパーツを成型しているようだ。

 「Can-Gun1」は20×30mm程度の長方形で作られたグリップと、手全体で握る大きなトリガーが特徴だ。グリップ部は散水用のシャワーヘッドやガソリンスタンドの給油機を思わせる。

 イチネンケミカルズの製品は非常に簡素なワンパーツ成型で、トリガーもダミー。実際には手首側で握った力を利用して、上部がシーソーのように傾いてトリガーを押す仕組みとなっている。かなりアイデア製品だと感じるが、パーツを押し込む際の弾力で各部の整合性を保っているため、スプレー缶を押す力はあまりない。

実際に使ってみよう

 今回用意したのは、タミヤ製「タミヤカラースプレー塗料(ミニ)」とゲームズワークショップ製「シタデルカラースプレー」。どちらもヘッド形状が異なる。国内で流通しているスプレーヘッドはこの2種に加え、タミヤ製スプレーよりさらに円柱が高いものを確認しているが、これは殺虫剤やシリコン離型剤など、プラモデルの塗装ではあまり使わないもののため今回は省略する。

用意したスプレー2種
筆者は新聞紙をマスキングテープでベランダの壁に貼ってスプレーを吹いている。左脇に置かれているのは重し用のタンク。スプレーを吹いた後の新聞紙は燃えるごみへ
モノタロウで調べたところ、スプレーヘッドの形状は大きく分けて3つ。溶剤や殺虫剤などに使われる左の形状、スプレー塗料に使われやすい中と右の形状

 スプレー缶への装着は、3種ともスプレー缶の首の丸まっている部分へ装着部を押し当て、力ずくで押し込むもの。イチネンケミカルズの製品は特に力が必要で、さらにスプレーヘッドに高さがある場合はシーソー部を押し上げておく必要があり少々大変だった。グリーンスタッフワールドの製品、「Can-Gun1」は最初からトリガーが高く上がっているため、取り付けが楽だった。

例としてイチネンケミカルズの製品を装着する
押し込むだけ

イチネンケミカルズ「クリンビューテクノプラス スプレーハンドル」

 まずはタミヤ製スプレーを使用し、イチネンケミカルズの製品から試してみる。イチネンケミカルズの製品はプラに弾力がありスプレー缶をはめやすい反面、ヘッドを押し込むのに強い力が必要だった。シーソー状の部分で押し込むため、パーツ自体の力が足りない様子だ。だが指がスプレーのヘッドから離れるので、吹き返しによる汚れはなかった。

イチネンケミカルズ
取りあえず汚れは見つからなかった

SafeWorld Int'l「Can-Gun1 2012」

 「Can-Gun1」は、そもそも吹き返しをガードする部分が設けられているので汚れる心配がない。しかもパーツに柔軟性があるのでスプレー缶を取り付けやすく、トリガーが大きくグリップも握りやすいので非常に操作しやすい。シュッとスプレーを吹いて止める、といった動作も難なく行える。

Can-Gun1
もちろん汚れはない

グリーンスタッフワールド「SPRAY CAN TRIGGER」

 グリーンスタッフワールドの製品はプラが硬くスプレーを取り付けるのには少し苦労するが、こちらも吹き返しをガードする部分が設けられている。トリガーの遊びが浅くタミヤ製スプレー以上にヘッドが高いスプレーを取り付けると暴発する可能性を感じるが、トリガーを戻すバネの強度は高めで、シュッと吹いてすぐ止める動作に問題はない。

グリーンスタッフワールド
汚れはなし

 次いでスプレーヘッドの形状が薄めで傾斜しているシタデルカラースプレーを試したが、これはイチネンケミカルズの製品では動作できなかった。いっぱいにシーソー部を押し込んでも足りないため、動作可能なスプレーヘッドの形状が限られているということだろう。なおグリーンスタッフワールドの製品、「Can-Gun1」では問題なく動作した。

シタデルカラースプレーのヘッド形状。指を当てる部分に傾斜がある
重たいが、グリーンスタッフワールドの製品も問題なく動作する
実際に組み立てたモデルに対しても吹いてみた
「Can-Gun1」にも問題なく取り付けられる。こちらの方が本体が軽いので、取り回しはいい
もちろん汚れなし

 総じて使い勝手が良かったのは「Can-Gun1」だ。価格も安く、軽いので取り回しもいい。スプレーを押し込んではめるため、ある程度使用を続ければプラの疲労で折れたり、曲がったり、すり減ったりして使えなくなるだろう。そのために2~3個買い込んでおいてもいいと思えた。

 これから冬に向けて寒くなり、ガスに優しい季節ではなくなるものの、空気が乾燥して溶剤も乾きやすくなる。スプレー塗装のお供にハンドル、いかがだろうか。