特別企画

ミニチュア&カードの複合ボードゲーム「ウォーハンマー アンダーワールド」をボードゲーマーにもカードゲーマーにも勧めたい!

【ウォーハンマー アンダーワールド「ダゴックのブッ刺し野郎ども」】

1月13日 発売

価格:5,600円

 「ウォーハンマー」という、自分で組み立てて塗装したプラモデルをフィールドに配置して戦わせるボードゲームシリーズがある。近年はアシェット・コレクションズ・ジャパンが販売している「ウォーハンマー40000:IMPERIUM」(通称:週刊ウォーハンマー)や「マジック:ザ・ギャザリング」とのコラボもあり、プラモデルを遊ぶ人やカードゲーマーなどの間で認知度は上がっているかと思う。

 その「ウォーハンマー」シリーズの中でカードゲームもミニチュアゲームも一気に遊ぼう! というのが「ウォーハンマー アンダーワールド」だ。スナップフィットで組み立てを簡単にし、スターターセット(8,800円)を始めとしたバンドルパックを買えば2人で組み立ててすぐ遊べるため、「コマを集める」、「組み立てる」、「ペイントする」、「設定やルールを読む」、「実際に遊んでみる」の「ウォーハンマー」シリーズが提供する遊びの全てをかなりライトに楽しめるシリーズとなっている。

 今回は2023年シーズンである「ウォーハンマー アンダーワールド:デスゴージ」のセットを友人と分け、2024年1月13日に発売した拡張パック「ダゴックのブッ刺し野郎ども」を手に入れたので、実際に遊んだ様子を紹介する。筆者も友人も「アンダーワールド」を遊ぶのはこれが初めてで、ルールを確認しながらのプレイだったが、1時間ほどで決着が付いた。

「アンダーワールド」ってどんなゲーム?

 「ウォーハンマー アンダーワールド」は、「ミニチュアを動かして戦う」、「カードを使ってミニチュアを強化したり、相手ミニチュアに反撃する」というミニチュアゲームとカードゲームを同時に遊べるゲームだ。専用のゲームボード2枚を隣り合わせて遊び、自分が操作する戦士たち(ウォーバンド)に設定された目標の達成や財宝を奪って「栄誉点」を稼ぐ。最終的に栄誉点が多かったプレイヤーが勝者となる。プレイ人数は2~4人で、各人数でゲームボードを合わせる形が決まっている。

 2024年3月現在、ゲームボードはスターターセットやシーズンセット(各年シーズンのセット。特定の呼び方がないためこう呼ぶ)を購入することでのみ手に入る。価格はスターターセットが8,800円、シーズンセットの「ウィルドホロウ」、「デスゴージ」が14,600円となっている。

 標準的なトークンやダイスがセットとなっているスターターセットと異なりシーズンセットには「魔術ダイス」が含まれている他、シーズン専用のストーリーが描かれたルールブック、スターターより風変わりな立ち回りを求められるウォーバンドとゲームボードが同梱されている。最新のシーズンに対応したい、もしくはゲームボードやウォーバンドの見た目が気に入ったならシーズンセットの購入をお勧めしたい。

スターターセット
ウィルドホロウのセット
デスゴージのセット。それぞれ日本語版と英語版が同価格で販売されている

 これらのセットに加え、「エクスパンション」として特定のウォーバンドが販売されている。今回購入した「ダゴックのブッ刺し野郎ども」がそうだ。筆者は緑色の肌の「オールク」や「ギッツ」が好きで本シリーズを始めるタイミングを伺っていたが、「ダゴックのブッ刺し野郎ども」を機に始めたため、同時に「デスゴージ」も購入した。

「ダゴックのブッ刺し野郎ども」のパッケージ

 これらのエクスパンションは、一度販売を終えると手に入りにくいことが多い。だが3月30日には「〈映し身の都〉の好敵手たち」として2018年シーズン「ナイトヴォールト」などで販売されたウォーバンドを最新のフォーマット向けにリニューアルして発売することもあり、「前に見たことがあるウォーバンドが欲しい!」という場合は根気強く待ってみることもおすすめだ。この他、カードのみを「汎用ライバルデッキ」として販売することもある。

組み立て、塗装する

 では実際に「ダゴックのブッ刺し野郎ども」のセットを組み立てて塗装してみるが、組み立てはスナップフィットだ。ランナーもA6サイズ程度の小型のものが2枚あるだけなので、パーツを探すのも簡単に済む。

ランナーと専用ライバルデッキ
専用ライバルデッキには「プロット」と呼ぶデッキの使い方と両面仕様のファイターカード、片面のみのパワーカード、目標カードがセットとなっている
リーダー「ダゴック・フィンクスティーラ」のパーツ
"叫び屋"ハルックのパーツ
"血抜き"ジャグズのパーツ
"引っ掛け"グラックのパーツ
組み立てだけなら30分で完成する

 「アンダーワールド」のキットはとにかく早く完成させて遊ぼう、という気持ちが感じられる。ポーズの自由度がない代わりにとても早いスピードで完成し、プラスチックに色が付いているので塗装しなくても相手のウォーバンドと判別が付く。この状態でゲームに臨んでもいいし、ここからもっとウォーバンドをかっこよくしたいのであれば、塗装をしてみよう。

 今回は塗装の全てにゲームズワークショップがキットとは別に販売しているシタデルカラーを使う。シタデルカラーには、油彩のような「クラシックメソッド」と水彩のような「コントラストメソッド」という塗り方が用意されており、「コントラストメソッド」は「ダゴックのブッ刺し野郎ども」を始めとした「アンダーワールド」や「ウォーハンマー エイジ・オヴ・シグマー」(ウォーハンマーAoS)の有機的な生物たちを塗るのに適している。

 また「コントラストメソッド」で使用するコントラストカラーは塗料のノビがよく、凹凸に流れ込んでスミ入れをせずともはっきりとした陰影がつきやすい。今回は凹凸の多い部分をコントラストカラーで塗り、武器などの硬質な面を「クラシックメソッド」で塗る。

【「ダゴックのブッ刺し野郎ども」の塗装】
まずは「レイスボーン」のスプレーを全面に吹き付ける
肌をコントラストカラー「ミリタルム・グリーン」とシェードカラー「ドラケンホフ・ナイトシェード」で青緑色に塗る
衣装は革製と想定して、コントラストカラー「ガラガック・シューワー」で塗る
生成りのヒモを使っていると考えたのでコントラストカラー「スケルトン・ホード」を塗る
木製の部分は「ゴアグランタ・ファー」で塗る。鮮やかな木の色になる
金属であろう盾の裏面や剣はベースカラーの「レッドベルチャー」を塗る。とても扱いやすいガンメタカラーだ
「ビビらせ盾」と呼ばれる大きな顔面を模した盾はまずコントラストカラー「フレッシュテアラー・レッド」で塗り……
牙を「レイスボーン」、鋲を「リトリビューター・アーマー」、目を「ユリエル・イエロー」で塗る
さらにシェードカラー「ナルン・オイル」で染め、陰影を強調する
ここからベースを塗装する。今回は「デスゴージ」の凍土をイメージし、「ホワイトスカー」を全面に塗る
これで完成としてもいいだろう
シタデルカラーには「雪と氷」を塗るための色もある。コントラストカラー「パイラー・グレイシャー」をベース全面に流す
遺跡の石のような部分を「ルペルカル・グリーン」で塗ったら完成

 「ウォーハンマー」シリーズのミニチュアは組み立てを楽しむことはもちろん、塗装も楽しむことを前提としているため、造形や彫刻に合わせて筆を当てるだけで簡単にかっこよく塗装できるのが特徴だ。その感覚は立体で遊ぶ塗り絵に近く、水で洗浄、薄めが可能な上乾燥も早いエマルジョン系塗料であるシタデルカラーの長所も相まってさくさく塗って遊べる。筆の扱いはうまいに越したことはないが、超絶技巧が必要なわけではない。

 ちなみにモデルを塗るカラーについては、ここで紹介した色が正解とは限らない。自分が気に入った色であればショッキングピンクやブルーで塗ってもいいし、プラスチックそのままの色でもいい。次ページでは実際に遊んだ様子を紹介しつつ、「アンダーワールド」のゲーム性をお伝えする。