特別企画

ミニチュア&カードの複合ボードゲーム「ウォーハンマー アンダーワールド」をボードゲーマーにもカードゲーマーにも勧めたい!

実際に遊んでみよう!

 では、実際にゲームを遊んでみる。今回はあらかじめ「デスゴージ」のセットに含まれるウォーバンド「サイレニの剃刀」を友人に渡し、あらかじめ何人かを塗装してもらった。その友人と実際にルールを確認しつつ遊んでみる。

【友人のペイント作品と並べてみた】
リーダーである「サイレニ」が連れているクラゲまできれいにペイントされている
何と言っても面白いのは、マントのグラデーションとフリーハンドで波紋を描いている点
「ダゴック・フィンクスティーラ」と並べてみる。ミニチュアは色を付けずに遊んで、活躍したら色を塗るという人もいる

 ゲームにはゲームボードとライバルデッキの他、「攻撃ダイス」、「防御ダイス」、ウォーバンドに応じて「魔術ダイス」が必要で、各種トークンも使用する。これらを手製で補うことも可能ではあるが、シーズンセットやスターターセットを購入すればゲームボードも付属し、ダイスには専用の目のレリーフがあって分かりやすいため、やはり前述のパックの購入から始めることをおすすめする。

 おさらいすると、スターターセットやシーズンセットには専用のウォーバンド2組とライバルデッキが専用2種、汎用2種の4種、ダイスとトークンが一式付属。エクスパンションに付属するのはウォーバンド1組と、専用ライバルデッキ1種のセットとなっている。

【ゲームに必要なもの】
左から攻撃ダイス(白)、防御ダイス(橙)、魔術ダイス(水色)
命令トークン(左)と蘇生トークン(右)。命令トークンには表裏があり、使用/未使用を表わせる
左から守備/打ち崩しトークン(表裏)、移動/突撃トークン(表裏)、栄誉点トークン、汎用トークン/ダメージカウンター(表裏)
財宝や「遮蔽」などを表わした両面トークン。裏側は全て統一された絵柄で、分からない状態で引いて配置する

ウォーバンドの配置

 ゲームはまず戦いに出すウォーバンドを見せ合い、ゲームボードの接続から行う。両者が持っているゲームボードを、6角形の「完全ヘックス」が長辺で4つ以上、もしくは短辺をで2つ以上できるように隣接させ、戦場を作る。

 ゲームボードの接続を始めとした先攻、後攻などの決定は必ず「ロールオフ」で行う。特定の出目を多く出したプレイヤーが勝者で、これはどんなシーンでも行われる可能性がある。さらに言えば、何かゲーム上でのもめ事が起きた場合でもロールオフが推奨されている。ダイスの目の前に人間は公平という点で、分かりやすい解決手段だと思う。

 ゲームボードの接続が終わったら最初にゲームボードを置いたプレイヤーから交互に1枚ずつ、合計5枚の特殊地形トークンを配置し、デッキをシャッフルしたのち目標カードを3枚、パワーカードを3枚ドローする。特殊地形トークンは後ほど勝利条件に関わってくるものだ。

 デッキは目標カードとパワーカードで分けて、それぞれ目標デッキとパワーデッキとする。カードはそれぞれ1回のみ、目標か戦術のカードどちらか全てを破棄して引き直すことが可能となっている。このとき破棄したカードは引き直し後にデッキに戻し、シャッフルする。なお、デッキは全て引いてしまっても敗北しない。

 この後再度ロールオフを行い、勝者が選択したプレイヤーからファイターを配置していく。配置が終わったら戦闘を始める。

別のゲームだが、ファイターを全て置いた状態。ファイターは「初期配置ヘックス」に置く必要がある

ミニチュアを動かす「命令ステップ」

 戦闘が始まったら、まずロールオフを行う。ウォーバンドの配置が先に終わったプレイヤーはこのロールオフに「決定的成功」の目を1つ追加した状態で行い、勝者が先攻か後攻かを決定する。このロールオフは、全3ラウンドの始めに毎回行い、それぞれ先攻か後攻かを決めて遊ぶ。

 ゲームの進行は「命令ステップ」と「パワーステップ」に分かれている。「命令ステップ」ではミニチュアを動かしたり、相手ミニチュアと攻防を繰り広げる。

 ミニチュアを動かすには「ファイターカード」を参照する。このうち6角形に描かれた数字が移動できるヘックスの数で、盾や矢印の描かれた横の数字が防御に使うダイスの数と防御成功に必要な出目、赤丸に描かれた数字が生命力だ。相手ファイターの生命力を0以下にすると倒せ、1点の栄誉点を獲得できる。

 相手ファイターに攻撃するときは、生命力などの下に描かれた武器のステータスを参照する。「ダゴック・フィンクスティーラ」の「ボスのブッ刺し銛」であれば、2ヘックス先までの相手に届き、「粉砕」の目が出れば成功する攻撃ダイス2個を振り、攻撃が成功した際、相手ファイターに2のダメージを与える。「残忍な突串」の場合、他の味方ファイターの移動後に隣接した敵ファイター1体に対して「残忍な突串」で攻撃できる、「狡猾非道」というアビリティを使用できる。

 ゲーム中にカードの説明をいくつか読んだが、「ダゴックのブッ刺し野郎ども」はかなり難易度の高いウォーバンドらしい。ウォーバンド全体で連携してずる賢く立ち回り、後述するパワーカードのリアクションや「策謀」を使用して相手を出し抜く、「ウォーハンマーAoS」で狡猾な一派として知られる「クルールボゥイ」らしい立ち回りを求められている。

ファイターカード。ミニチュアを動かして戦うのに必要なデータと、右側から左側へ強化する際の条件が書かれている
ゲームの始めに実際に引いたカード。このとき、まだどんな効果を発揮するのか全く知らない

 ファイターカードさえ見ておけば、「命令ステップ」は何とかなる。ただしミニチュアに下せる命令には「移動」、「攻撃」に加えて「打ち崩しトークン」を付与する「スタン」、スタンと移動を同時に行う「衝突複合アクション」、移動と攻撃を同時に行う「突撃複合アクション」がある。

 複合アクションはそれぞれデメリットを持っているため、相手を不利にさせるだけでいいか、倒すために動くかなど、よく考えて動かす必要がある。戦略性の高い、かなり面白いシーンだと思った。

 攻撃と防御はそれぞれ、前述したファイターカードのステータスを参照する。攻撃ダイスと防御ダイスそれぞれの「決定的成功」の目の数、「粉砕」や「乱撃」の数に加え、隣接する味方ファイターがいる場合は「援護」ダイスの数に応じて攻防の成功が決定する。なお通常の成功出目2個に対し、「決定的成功」の目1つが等価となる。

取りあえず相手を倒せば勝利の可能性がある! と思い、両者移動を行う
巨大イカ「セファニール」に攻撃され、あっという間に「"引っ掛け"グラック」が倒されてしまった

 相手ファイターを倒したり、攻撃を受けるなどのアクションに対して、「リアクション」ができる。「リアクション」のキーワードが書かれたカードを持っていれば、必要に応じて発動して相手の行動を阻害できたり、自分の行動をさらに強化できる。

 ゲームとしての「アンダーワールド」のミソはこの「命令ステップ」にあると思っている。自分が組み立て、楽しくペイントしたミニチュアが自分の命令で動き、力いっぱい戦う。ダイスの目にドキドキしながら攻撃や防御をする。もちろん相手も同じように動いて戦うため自分のミニチュアが倒されることもあるが、それも時の運として受け入れやすいのはダイスを用いるゲームならではの感覚だ。

パワーカードの例。パワーカードには即時で効果を発揮する「策略」などと、ファイターを永続的に強化する「強化」カードなどがある
「"血抜き"ジャグズ」の攻撃と「"叫び屋"ハルック」の能力で、相手ファイターを倒すことに成功
リーダーがいることが条件のパワーカードも存在する
特定の条件を満たすと達成し、栄誉点を獲得できる目標カード

 獲得した栄誉点は「強化」カードをファイターに発動するために使う。使った栄誉点は不活性状態としてグレーの状態にひっくり返すが、勝利を決めるポイントとして数えることに変わりはない。

「パワーステップ」でファイターを強化

 命令ステップの後に続くパワーステップでは、発動したいパワーカードを開示するだけで発動できる。特に制限のない限り、コストなく発動できるのが特徴だ。ここで発動するパワーカードは主に「呪文」や「策略」だが、前述した「強化」もここで発動する。

 また「ダゴックのブッ刺し野郎ども」には「策謀」というパワーカードが専用に存在する。「策謀」は裏にした状態で場に出し、次のラウンドに表に返して発動するため、2/3ラウンドにしか発動できない特性がある一方でかなり強力な効果がそろっている。ゲームの先を読んだり、策謀が成功するようにゲームを運ぶ賢さが求められている。

 このカードゲームパートであるパワーステップもなかなか面白い。このシーンで「強化」カードを使うと使用する武器を追加できるファイターがいたり、「戦術呪文」といって相手ファイターを直接攻撃する呪文を使えることもある。さらに前述した「リアクション」がここでも発動できるとあって、ゲーム中のミニチュアからすれば見えざる手による場外乱闘のような感覚がある。

 こうして先攻/後攻を決定し、ミニチュアを動かしてからカードを扱う、を3ラウンド行った後、最終的な勝敗を決める。どちらかのプレイヤーが持っている栄誉点が多いのならば多い方の勝者で、同じならばより大きい数字の目標トークンにミニチュアが置かれている(占拠している)プレイヤーの勝利となる。

今回最初に遊んだゲームでは7点の栄誉点を獲得して筆者が勝利

 ゲーム開始から終了まで、ルールを確認しながらだと1時間半、その後何度か遊んだ場合は1時間弱で決着が付いた。ルールブックも比較的薄く、2人で読み合わせれば理解も早かった。普段2~3時間のゲームを遊んでいる人からするとかなりスピードの速いゲームという印象で、1日に何度も遊ぶ人も多いという。

速いテンポで遊べる、かなりライトなボードゲーム

 この後、別のウォーバンド「三葉の不和」や、違うライバルデッキでも遊んでみた。ウォーバンドやライバルデッキを変えれば遊び方も大きく変わるため、リプレイ性も高い。ゲームボードの接続を変えてみてもいい。カードの扱い1つを取っても変わる遊び方に、「次はどんなカードを使おうか」という楽しみが無限に生まれるゲームだと感じた。

 テンポが早く必要なアイテムが少ないため、仕事帰りに遊び場や友人の家に集まってさくっと遊んで帰る、といったことも可能な「アンダーワールド」。カードゲーマーはもちろん、ボードゲーマーにも特におすすめしたいと思う。ミニチュアを組み立て、完成すれば精巧な造形のモデルが手に入る楽しみもあり、面白いと思える点は多数あるはずだ。

 そんな「ウォーハンマー アンダーワールド」だが、日本各地のウォーハンマーストアでゲーム会が開催されており、特に東京の「ウォーハンマーストア&カフェ 東京」では毎週金曜日に「アンダーワールドフライデー」として重点的にプレイヤーを集めている。みなさんも1度、友人やSNSで募集したプレイヤーと共にゲームを遊んでみてはいかがだろう。

 ちなみに、「アンダーワールド」のカードは「スタンダードサイズ」のスリーブがぴったりと合う。参考になれば幸いだ。

今回使ったウォーバンドを並べてみた。左から「ダゴックのブッ刺し野郎ども」、「三葉の不和」、「サイレニの剃刀」、「呪縛されし執行隊」
「三葉の不和」の目標カード。もちろん「ダゴックのブッ刺し野郎ども」と達成条件が異なる
「三葉の不和」のエース「ヴェクスモール」が「呪縛されし執行隊」のリーダーを倒した様子。「三葉の不和」のウォーバンドはそれぞれの仲が悪く、それぞれのミスが別のメンバーを強化する
縦にゲームボードを接続すると、互いに守りに入ったり、移動が多く必要になる
この回でも「ヴェクスモール」のフルスイングが相手に直撃して倒した
さらに追加の1発と仲間の援護で、「ダゴック」たちが苦戦した「セファニール」を倒した様子