特別企画

ミニチュア1体5,000円、塗料10本5,540円から始める「ウォーハンマー」。組み立て、塗り、飾る、趣味の総合格闘技がここに

「ウォーハンマーAoS」から「ウォーチャンター」で一通り遊んでみる

【ウォーチャンター】

価格:5,000円

 「ウォーハンマー」というミニチュアゲームシリーズがある。プラモデルやレジンキットのミニチュアを集めて組み立て、ペイントし、資料やルールを読んでゲームを遊ぶ、趣味の総合格闘技のようなゲームだ。筆者はSF世界が舞台の「ウォーハンマー40K」、ファンタジー世界が舞台の「ウォーハンマーAoS」のどちらも遊んでおり、大小合わせて200体以上のミニチュアを始めて1年半で集めてしまった。

 ただ、入門用のセットが「はた目から見ると高い」というのがネックだ。いきなり1軍隊をそろえるのに2万円! カラーセットが1万円! ルールブックと資料で2万円! などといわれて二の足を踏まない人などいない。特に日本には安価な可動プラモがあふれており、今さら動きもしない、飾って楽しむだけのキットなど取るに足らないと思われているし、まず世界観が日本語のアニメにもなっていない、マンガでも読めない、周りに知っている人がいないから口コミもないので知るよしもないのだ。ただ9月10日からはゲーム「スペースマリーン2」が好評を博していることもあり、その風向きは多少変わった。

これはコアブック。ゲームに必要なルールと各陣営の説明が入った「ウォーハンマーAoS」の書籍で、274ページ10,000円

 取りあえず、まずはミニチュアを知ってもらおうと思う。今回は筆者が2024年最も力を入れているファンタジー世界「ウォーハンマーAoS」のうち、1体5,000円で購入でき、カラー代は10本5,540円(公式ストア価格。それ以外では6,520円)で済み、それでいて造形も設定もカッコいい、緑の肌とムキムキマッチョが特徴の「アイアンジョウ」、その神様へ祈りのリズムをささげる「ウォーチャンター」を組み立て、ペイントする。

ウォーハンマーAoSってどんな世界?

 そもそも「ウォーハンマー:エイジ・オヴ・シグマー」(ウォーハンマーAoS)とは、「シグマーの御代」というサブタイトルの通り「シグマー」という人類の戦神が見いだした8つの領域からなる世界「定命の諸領域」が舞台の、剣と魔法、火薬が織りなすファンタジーバトルを演じるミニチュアゲームだ。そこには人間だけでなくいわゆるドワーフやエルフ、魔神とそれを信奉する裏切り者たちや、亡霊、ゾンビ、オークやゴブリンなどが住み着き、「秩序」、「渾沌」、「死」、「破壊」の大同盟と大分されてそれぞれが戦いを繰り広げている。ゲームを遊んだりキットの組み立てに必要な書籍は全て日本語化されており、当然それだけで遊べる。

これは魂を鍛え上げて何度も復活する戦士「ストームキャスト・エターナル」の「プロセキューター」。「AoS」全体を通しての主人公的存在で、秩序の大同盟に所属する
これは秩序の大同盟に所属するデュアーディン(ドワーフ)の唯一無二のヒーロー「ゴトレック・グルニソン」
渾沌の大同盟のうち「マゴットキン・オヴ・ナーグル」の大ボス的存在「グレート・アンクリーン・ワン」

 今回紹介するのは「オールク・ウォークラン」の中でも「アイアンジョウ」と呼ばれ、「破壊の大同盟」に分類される筋骨隆々のオールク(オーク)の1人だ。彼らは「力こそ正義」の体現者で、強い者ほど大きく、発達しすぎた筋肉のせいで猫背に見え、たけだけしい緑色の肌と色鮮やかで重厚な板金鎧を纏い、力任せに敵を真っ二つにする武骨な武器を振り回す。

これはアイアンジョウのなかでもひときわ大きい体を持つエリート「ブルート」。凶悪な薙刀や斧、ボスは「クロオ」で武装しておりゲームでは攻撃回数が多い
アイアンジョウの下っ端「アードボゥイ」。若く戦闘慣れしていない戦士で、盾を持って硬い守りを形成する。奥にいるのは小隊長クラスの兵士「アードボゥイ・ビッグボス」だ

 オールクたちはみな誰もが「ゴルカモルカ」という双頭の神を信奉している。ゴルカモルカは「荒々しく狡猾な」ゴルクと「狡猾で荒々しい」モルクの2つの側面を持ち、与える力はミドリ色で、オールクが「いくさだァァァア!」(WAAAGH!!!)とひとたび叫べば常軌を逸した怪力を発揮させる。そんな猛り狂う神ではあるが、かつてシグマーと手を組んで共に戦ったこともあった。

 筆者はこのアイアンジョウが大好きだ。もともと筋肉が好きだったこともあるし、実は緑色の肌が好きだったことに集めだしてから気付いた。造形をよく見てみるとプリッとしたタラコくちびるがある個体もいてなんだかキュートで、力いっぱい叫んで顎がはずれそうな顔もコミカルでかわいい。ゴツゴツと殴って成形した鎧は盛り上がった部分に細かく明るい色を塗るのが楽しいし、牙や爪に細かく骨色を、瞳に明るい赤を乗せるのも楽しい。とにかく、組み立てて楽しいし、ペイントしていて気持ちいいのだ。

 この記事を読んでいるあなたも、ウォーハンマーの公式ECサイトを一通り眺めればどこかに刺さる造形があると思う。残念ながらぱっと見てかわいく見えるものは少ないが、組み立てたりペイントして眺めているうちに「あれ? こいつ……意外とイケてるのでは?」と思う瞬間が必ず来る。まずは小さいキットでもいいので、組み立ててみるといい。

実際に組み立てて造形を楽しむ

 さて、今回組み立てる「ウォーチャンター」は「ウォーハンマー」シリーズのキットの中でもコンパクトなブリスターパックで販売されており、開梱に少しコツがいるものとなっている。丈夫なカッターナイフやハサミを準備して、パッケージふちの直角に曲がったところに刃を入れて開けていく。

ブリスターパック。ミニチュア1体で販売されているものはこのパッケージであることが多い
くの字に曲がったところに刃を差し込み……
そのまま引き裂くようにして開ける
内容物。ランナーはミニチュアによって1枚か2枚程度

 「ウォーハンマー」のミニチュアのほとんどはプラモデルなので、プラモデル用接着剤とニッパーが必要になる。筆者はコトブキヤ限定品の「コトブキニッパー」が耐久力と切断力に長けるので愛用しており、ゲートの切り残しをタミヤ「モデラーズナイフPRO」で行っている。接着剤はゲームズワークショップが販売するものを使ってもいいが、タミヤセメント、タミヤセメント(流し込みタイプ)速乾を使用している。特にタミヤセメントは適度な粘度の低さと乾くのにかかる時間の長さがちょうど良く、パーツの組み合わせにもたついたり、後から直そうと思っても簡単に直せるのがいい。

筆者がいつも使っている道具

 パーツがランナーに付いたプラモデルなのでニッパーを使うが、筆者が注意しているのはパーツの白化より造形を切り飛ばしてしまうこと。どうせサーフェイサーを吹いて塗装するのでそもそも白化は関係ないと思っているが、時折重要な造形の先端にゲートが付いていて「これは造形なのか? ゲートなのか?」と都度確認している。ここは正直慣れの部分があり、気になるのであればパーツから離れた部分でゲートを切り、デザインナイフなどで形を整えるのがよい。

パーツを切り出す
パーツ同士を接着。パチリとパーツが組み合わさる部分は流し込み接着剤を使い、手足など大きく嵌合面が作られている部分は通常セメントで接着する
嵌合面にゲートが作られていることも多いので、慎重にデザインナイフでゲートを落とす

 「ウォーハンマー」のキットは「作る」、「ペイントする」の段階を踏んでから完成するように設計されているので、最終的に見えなくなる鎧の下などまで造形されていることがほとんど。これらを塗ってから組み立てるか、組み立ててから塗るかは自由に決めてよく、組み立ててから塗るなら工数を削減でき、塗ってから組み立てると「見えないところまで塗ったぞ!」という満足感が高まるので、どちらも楽しい。

必要な部分に流し込み接着剤を使うと、手数や作業時間を短縮できる
ムキムキマッチョが半分くらい完成。だがこの胸などはほとんど隠れてしまうのだ
ベースと接着

 「ウォーハンマー」のミニチュアは原則として丸ベースに接着してゲームに使用する。丸ベースのサイズはキットによって様々で、今回の「ウォーチャンター」は直径40mmのものを使っている。大まかに考えると、ベースサイズが小さいほど群れて数の多いユニットで、大きいほど大柄であったり、1体あたりのパワーが大きく設定されている。

「ウォーチャンター」が完成。両手に持った「ゴルク棒&モルク棒」を使って敵の頭蓋骨や地面を打ち鳴らし、ゴルカモルカへ祈りのリズムをささげる
後ろ姿は牙がくくりつけられ凶暴そうなもの

 「ウォーチャンター」は、ゲームでは「神官」として機能する兵士だ。「ウォーチャンター」がゴルカモルカへ祈りをささげることで味方のアイアンジョウは奮い立ち、通常より突撃する距離が伸びたり、傷が癒えたり、武器のダメージが増える。これらは「奇蹟」と呼ばれていて、「ウォーチャンター」が凶暴なリズムを奏でるほど強力な奇蹟が起きる。日本人ならば和太鼓の演奏を思い浮かべると分かりやすいが、打楽器による深い和音は胸が躍るものがあるだろう。アイアンジョウたちはそれを感じ、「いくさだァァァア!」の力を色濃く溜め込むのだ。

 さて、では次項で実際にペイントしてみよう。今回は「ウォーチャンター」を2体買っているので、前述の通り10色でまとめるものと20色以上使って本気で塗ったものを用意した。

実際にペイントしてみよう! 10色5,540円コース

 今回「ウォーチャンター」をペイントするにあたって、カラーレシピを作成した。これは筆者が各所の情報やシタデルカラー公式アプリをもとに、独自に設計したものだ。実際にペイントする場合はみなさんで近似色を考えて使うのもいいだろう。

10色コース:5,540円

・BASE オールク・フレッシュ:570円
・BASE メカニカス・スタンダードグレー(レッドベルチャーでも代用可):570円
・BASE レイスボーン:570円
・BASE ライノックス・ハイド:570円
・BASE ナイトロード・ブルー:570円
・BASE アヴァーランド・サンセット:570円
・LAYER ユリエル・イエロー:570円
・LAYER イーヴィルサンズ・スカーレット:570円
・SHADE カサンドラ・イエロー:980円
・CONTRAST スケルトン・ホード:980円
合計6,520円(ウォーハンマーストアで購入すれば5,540円)

 ゲームズワークショップ直営店のウォーハンマーストアでは、シタデルカラー10色を購入すると最も高い1色が無料となる「ゲットワンフリー」キャンペーンを通年実施している。筆者はシタデルカラーを頻繁に買う上ストックが大量にあるのであまり利用しないが、新しく「ウォーハンマー」を始める、新しい陣営をコレクションするといった機会に大量にカラーを買う場合は非常に有用なキャンペーンだ。

 また、シタデルカラーのスプレー(サーフェイサー)も買っておくとよい。1本3000円前後と非常に高価に見えるが、定着力もよく、また内容量が280gと多いので大量のミニチュアを一気にペイントする場合でも1缶使い切らないくらいだ。以前ミニチュア大小74体が同梱された「スケイヴンタイド」を2箱148体分スプレーしたが、それでやっと1缶使い切る程度だった。おすすめは「ケイオスブラック」と「レイスボーン」のスプレーだ。どちらも色が乗りやすい。

「ケイオスブラック」でスプレーした「ウォーチャンター」。これが全ての色を乗せるベースになる
10色でペイントする場合その1
その2。「メカニカス・スタンダードグレー」と「レッドベルチャー」は腰に佩いたチョッパ(片手剣)の刀身を塗るためのもので、ギラつかせたいなら「レッドベルチャー」、しっとりとくすませたいなら「メカニカス・スタンダードグレー」を使うとよい

 シタデルカラーも1本570円~980円と高価に見えるが、これも水で薄めて使うので意外と広い面積が塗れる。それに筆で少なめにすくって水でのばし、塗り、乾いたらもう一度すくって塗り……としていると節約しやすく、ウォーターパレットを準備すればカラーの湿度を保ってくれるため、さらに広い面積を塗れる。

 ウォーターパレットは各メーカーが販売している専用のものを使ってもいいし、「激落ちくん」のようなメラミンスポンジをしきつめたタッパーにクッキングシートをのせたものでも代用できる。ついでに水に1滴の塩素系漂白剤を添加すれば水も腐りにくくなる。筆者は何度かひっくり返して大変なことになっているのでウォーターパレットを使うことはまれだが、おすすめだ。
 さて、筆は「弘法筆を選ばず」というものの、しっかりとした筆を選ぶと長持ちするし、塗りやすくてペイントが楽しいというのが経験談だ。個人的にオススメしているのは、安価なものであれば文盛堂の黒い柄の筆やタミヤ「モデリングブラシPRO HG II」の「面相筆 小」などがコスパに優れ、ゲームズワークショップ製品で揃えたいなら白い柄の「STC」シリーズが安価な人工毛で扱いやすく、黒い柄のシリーズは天然毛で手入れが必要かつ高価だが水含みがよい。

 他にもいろいろある。フリージアエンタープライズが販売する「ペイントテイマー」シリーズは人工毛でありながら水含みが比較的よく、筆先が貝のように丸まったフィルバート形状の「グラディウス」、「クレイモア」や細かい部分まで塗れる「ハイディテールブラシ」などラインナップも豊富で使いやすいし、シタデルカラーの競合メーカーだがファレホのブラシは600~1,400円程度(9月2日まで。9月14日から価格変更)で購入できる上「プロモデラーブラシ」、「ディティールブラシ」を使ったが大きな面も細い線も描けて非常に優秀だ。結局実際に使ってみた方がいい……と言いたいが、目移りして何でも試すおかげで筆者のペン立てには上述のブラシが全部ごった煮状態で詰まっている。

「ペイントテイマー」は三角の持ち手で持ちやすく、転がりにくいのが魅力。また柄がかわいらしいマーブル模様で高級感があり、持っていて好きになった
水入れは使わないマグカップなどでもいいが、筆者はシタデルカラーのペイントポット(1,530円)を使用している。プラ製で軽いのに転げにくく、筆を整える溝などが配されているのがいい

 では、実際に塗ってみよう。筆者はシタデルカラーのCONTRAST以外のカラーを油彩と同じだと思っているため、下のレイヤーかつ濃い色、今回の「ウォーチャンター」でいうと肌色から着実に作っていく。

まずは「ナイトロード・ブルー」で肌色の下地を作る。これがあると次の色に深みが加わる
「オールク・フレッシュ」を塗る。「ナイトロード・ブルー」を乗せているので下地の色が透けて多少青緑色に見え、強そうなオールクの肌色が完成する
ズボンに「ライノックス・ハイド」を塗る

 アイアンジョウの鎧は黄色や赤など、とにかく鮮やかな色で塗られることが多い。その方が敵に見つかりやすく、見つけて追いかけてきた敵とケンカしやすいからだ。この鮮やかな色を塗る場合、白や骨色といった明るい色で下塗りするとよい。そうすると鮮やかな色を塗ったときに明るく発色し、ギラリと光って見えるようになる。

今回は「レイスボーン」で鎧に加え、くくりつけた牙などを塗っていく
「アヴァーランド・サンセット」で鎧の下塗り
「メカニカス・スタンダードグレー」でチョッパを塗る
はみ出した細かい部分を「レイスボーン」で手直しし、肩の装甲を「ナイトロード・ブルー」で塗る。この2色構成がアイアンジョウの一派「鋼鉄太陽族」のカラーだ
「スケルトン・ホード」でゴルク棒&モルク棒や牙の部分などを塗る。CONTRASTは水彩的なシャバシャバの塗料で、全体に流し込むことでへこんだ部分にたまり、その名の通り彩度に強弱が加わる
鎧全体に「カサンドラ・イエロー」を流す。SHADEもシャバシャバの塗料だが、すでに付いている色に深みを加えるのが目的の塗料だ。鎧に柑橘系の濃いオレンジ色が加わる
ゴルク棒&モルク棒に「オールク・フレッシュ」でエネルギーがたまった様子を表現し、目に「イーヴィルサンズ・スカーレット」で瞳を描く。最後に鎧の山になった部分を「ユリエル・イエロー」でなぞり、完成

 完成するとひと仕事終えた気持ちですがすがしい上、ミニチュアにはバッチリ色が乗っていて10色も塗られているので見栄えもいい。最初のうちは大変な作業だが、何回か試すうちにやりたいことや色が乗っていてほしい場所、どの色の組み合わせならきれいに見えるかといったコツがつかめてくる。塗り忘れや塗り間違いは気にせず上から塗り直そう。シタデルカラーなら問題なく発色するので、修正も簡単だ。

完成した「ウォーチャンター」。どうだろう、肌色はかなりミドリ色だし、ギラギラした黄色の装甲はカッコよく見えるのではないだろうか

21色で本気塗り 11,240円コース

 続いて筆者が最近よく塗る方法で塗ってみる。今回は肌色を5色、鎧の色を5色+4色など、合計21色で塗る。混色して鮮やかな色を作ることも可能ではあるが、極力瓶そのままの色を使った方が再現性が高いため、同じ陣営の仲間を塗る時に統一感が出やすい。

20色コース:11,240円

・BASE グアァァァグ!フレッシュ:570円
・SHADE コエリア・グリーンシェード:980円
・LAYER ウォーボス・グリーン:570円
・LAYER スカースニック・グリーン:570円
・BASE バグマンズ・グロウ:570円
・BASE ナイトロード・ブルー:570円
・BASE メカニカス・スタンダードグレー:570円
・BASE コルヴス・ブラック:570円
・LAYER ダーク・リーパー:570円
・LAYER ラス・グレー:570円
・LAYER ホワイトスカー:570円
・BASE レイスボーン:570円
・BASE ライノックス・ハイド:570円
・BASE アヴァーランド・サンセット:570円
・LAYER ユリエル・イエロー:570円
・LAYER フラッシュギッツ・イエロー:570円
・LAYER ドルン・イエロー:570円
・LAYER イーヴィルサンズ・スカーレット:570円
・SHADE カサンドラ・イエロー:980円
・CONTRAST スケルトン・ホード:980円
合計12,630円(ウォーハンマーストアで購入すれば11,240円)

 実際にペイントする。LAYERはBASEより隠蔽力が弱いが、発色のいい鮮やかな色が塗れる。また加水に弱いため、水でのばすときは筆先にちょびっと水を付けるくらいでいい。「ナイトロード・ブルー」と「グアァァァグ! フレッシュ」で肌全体を塗ったのち、「コエリア・グリーンシェード」で肉や血が集まる部分をイメージしながらへこみへ細かくスミ入れし、「ウォーボス・グリーン」、「スカルスニック・グリーン」の順に光の当たりそうな部分へ色を乗せていく。

今回使用するカラー
まず10色の時と同様に「ナイトロード・ブルー」でコート
「グアァァァグ! フレッシュ」を塗る。かなり青緑色に見える
「コエリア・グリーンシェード」でスミ入れ、「ウォーボス・グリーン」から「スカルスニック・グリーン」の順に光の当たりそうな部分を塗る。コントラストが効いてテカりのあるムチッとした筋肉になる
「バグマンズ・グロウ」でくちびると舌を塗る。これがあることでオールクはかわいくなる

 続いて「レイスボーン」で鎧や牙、角を塗り、「スケルトン・ホード」で全体を汚す。「スケルトン・ホード」は風化した骨を表現するのに最適なカラーだが、これを口の中の牙に塗ってしまうと歯垢が浮いたきたない牙になってしまう。オールクは牙も大事にしているだろうと思い、筆者は「レイスボーン」そのままか、さらに「ホワイトスカー」を塗ってキラリと光る牙にしている。

「レイスボーン」で牙などを塗り、乾いたら「スケルトン・ホード」で染める

 ここから完成までの工程がちょっと大変で楽しいのだが、みなさんも実際にやってみてほしい。鎧は先ほどと同じく「アヴァーランド・サンセット」、「カサンドラ・イエロー」、「ユリエル・イエロー」の順に塗っていくが、さらに山の交点付近に「フラッシュギッツ・イエロー」を塗り、交点に「ドルン・イエロー」を塗る。そうするとボコボコした鎧の山が光を受けてギラギラと太陽のように光るさまが塗れるのだ。これこそ「鋼鉄太陽族」だ。

 さらに肩装甲は「ナイトロード・ブルー」で塗ったのち、「ダーク・リーパー」、「ラス・グレー」、「ホワイトスカー」の順に、同じ要領で塗っていく。こちらも深い色から始まってギラつく白に輝く、何人も寄せ付けない重厚な色味が完成する。

装甲を塗るついでに、「イーヴィルサンズ・スカーレット」で瞳を塗っておく
4色を使って丁寧に肩の装甲を塗る

 そして腰に佩いたチョッパだ。アイアンジョウの武器はとにかく武骨でギザギザしていて、触れるだけで傷つきそうな危険さを持つ。刀身を「メカニカス・スタンダードグレー」で塗ったのち、「コルヴス・ブラック」でいわゆる「ワカメ影」をイメージしながら刀身の平たい部分に塗り、「ダーク・リーパー」、「ラス・グレー」、「ホワイトスカー」の順に小さくなるように、刀身の外から内にかけて弾くように塗っていく。そうするとただでさえギザギザした造形のチョッパがギラギラと光り、切れ味の良さそうな武器に変貌する。

チョッパを塗る
最後にゴルク棒&モルク棒の口や目に「グアァァァグ! フレッシュ」、「ウォーボス・グリーン」、「ホワイトスカー」を塗る

 最終的に完成形を見てみると、筆者にとっては10色縛りで完成させるより色を多く使った方がカッコよく見える。もし10色縛りのままでもう少しカッコよく見せるのなら、「ナイトロード・ブルー」の代わりに「コエリア・グリーンシェード」を追加する。そうするとウォーハンマーストアで購入した場合の価格は5,850円となる。

完成形、右が10色で左が20色。ミニチュアは手間を掛けるとカッコよくなる

 今回、2体をペイントするのにそれぞれ合計2~3時間を使った。ただ今回はアイアンジョウのカラーをどう使うかを事前に決め、「ブルート」で練習した上での時間だったため、初めてペイントするモデルやオリジナルのカラースキームを決めようとすると、もう少し時間がかかる。ただ、かけた時間に見合うだけの満足感、充実感は確実に得られ、しかもバッチリ色が乗った、造形のいいモデルが手に入る。みなさんもぜひ、小さなモデルからでも「ウォーハンマー」を始めてみてはいかがだろうか。