特別企画
500円以内、初心者でも一瞬でできる水性塗料が長持ち「ウォーターパレット」を作る
2024年11月9日 00:00
- 【今回使用した金額】
- バターケース:110円
- マイクロファイバーふきん:110円
- クッキングシート:206円
「ビギナーにウォーターパレットはハードルが高すぎる」という言を見た。おそらく「手入れが難しそう」、「高価そう」、「扱いづらそう」という心配があるのだろうが、逆に筆者としてはビギナーこそウォーターパレットを勧めたい。何より「塗料が乾きにくい」という最大のメリットのために、高価なカラーもすぐ乾いて残念、ということが格段に減るからだ。
今回紹介するウォーターパレット(またはウェットパレット)というものは、水分を潤沢に含んだスポンジなどの上に水分をある程度通すクッキングシートなどを敷き、そこにアクリルガッシュや水性エマルジョン系塗料を置いて管理することで、普段乾きやすい塗料に下の水分からほんのちょっとの加水を続けることで長持ちさせるというもの。セット商品でいうと、GSIクレオスが300円程度で「Mr.ウェットパレット」、ボークスが980円程度で「造形村 ウォーターパレット」を販売している。
今回紹介するのは、それを自作してみようというもの。100円ショップとスーパーかホームセンターで揃えられ、さらに500円以内で完成して長く使えるウォーターパレットだ。サイズの大小や容器の深い、浅いの好みに合わせて購入するアイテムを変えられる。また既製品を組み合わせるだけとはいえ自分の手を動かして完成するので、愛着が沸く。
100円ショップで容器と「マイクロファイバーふきん」を買おう
今回用意したアイテムは3つ。ダイソーのキッチン用品コーナーで110円「バターケース(バターカッター付、280mL)」、掃除用品コーナーで110円の「マイクロファイバーふきん(2枚)」、そして大阪や首都圏を中心に展開しているスーパー「ライフ」のプライベートブランド、スマイルライフのクッキングシート、206円となる。
筆者はゲームズワークショップが製造する水性エマルジョン系塗料のシタデルカラーで全高40mm程度のミニチュアを塗るので、1度に取る塗料の量は多くないが種類が多い。おおよそ1チーム10体につき16本前後の塗料を扱う。また作業机のサイズがA3より少し大きい程度なので、あまりパレットを置くスペースがないというのもあり、バターケースを容器として使うことにした。底に少量の水をためておく深ささえあればOKだ。
気に入った容器が見つかったら、それの底のサイズに合わせて2つ折り~3つ折り程度に重ねたふきんを切る。100円ショップのアイテムなので気軽に使い倒せるのがいい。今回は正方形のふきんを半分に切り、それを4つ折りにして使っている。
クッキングシートは絶対にスーパーのプライベートブランドというわけではなく、両面使えるものをおすすめする。そうすると切り出したときに裏表が分からなくなっても問題ない。今回使用しているバターケースの場合、縦4~5センチに切り出したシートをさらに半分の横幅に切って使用しているので、5m分買って合計10m分のパレットが使えることになる。1週間で5×30センチほど使っているので、毎日心ゆくまで塗装したとしても確実に1年は使えるだろう。
1日2~3回の給水で無限に使えるパレットが誕生
水性エマルジョン系塗料にはシタデルカラーを始めファレホ ホビーカラー、アクリジョンなどがあるが、今回は筆者が愛用するシタデルカラーを例に使う。まずふきんを容器に置いた状態で水をかけ、ふきんの端を押さえたときに水が染み出す程度まで加水する。そこに切り出したクッキングシートを置けば完成だ。水については純水、精製水などさまざまな派閥があるものの、筆者は特に気にせず水道水を使用している。水の腐敗などが気になる夏の時期は1滴ほど塩素系漂白剤を添加するとよい。
給水タイミングは1日2回ほど。通勤が伴う人ならば家を出る前に1回、帰ってきてから1回程度給水するか、しっかりとふたをして水分を逃がさない状態にするとよい。給水を忘れたとしても、筆者が作ったパレットであれば1日ならふたをせずとも問題なく使えた。以下が実際に給水から8時間ほどたった状態で、置いてから1時間放置した状態の塗料を試した映像となる。
10月下旬現在、このパレットを使用して全幅31センチほどあるサイズのプラモデルであるゲームズワークショップの「ウォーハンマー40,000」より「ベインブレイド」(17,900円)を継続して塗装しているが、メインカラーを塗りおえて使うカラーを一新するために1回パレットを替えたのみで1週間使い、ふきんを塩素系漂白剤で漂白してゆすいだのち、さらに1週間使っている。また初めてこのパレットを作ってから5回ほどふきんを漂白したが、全く問題なく吸水性が保たれている。
1点注意してほしいのは、ウォーターパレットはシタデルカラーのシェードカラーやコントラストカラー、一部テクニカルカラーのような「水分量の多いことが利点の塗料」を管理するのには向かない。水分がクッキングシートを通り抜けて下に落ちてしまい、使えなくなってしまうからだ。
筆者は1度ウォーターパレットをひっくり返した経験から敬遠していたが、いざしっかりと作ってみると使いやすい。もし道具を広げられる机が広いならもっと大きなパレットを作ればいいので、1度試してみてはいかがだろう。