特別企画
テーマ性がねぇな……そうだ“メテオ”を落とそう! 「遊戯王 ターミナルワールド2」発売に合わせジュラックのとんでも進化に迫る
筆者の目頭も熱くなる地獄のテーマが令和に復活
2024年11月23日 00:00
- 【遊戯王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ TERMINAL WORLD 2】
- 11月23日 発売
- 価格:242円(1パック)
爆アドォォォ!アドえもんです!筆者は普段YouTubeにて遊戯王を中心にカードゲーム動画を投稿している愉快でうるさいオジサンだ。
今回は11月23日発売の遊戯王OCGスペシャルブースター「ターミナルワールド2(TERMINAL WORLD 2)」にて強化を受けた「ジュラック」について紹介したいと思う!
本日発売される「ターミナルワールド2」は2023年11月に発売された「ターミナルワールド」の系譜を受け継ぐ商品となっており、その昔アミューズメント施設などに存在していた遊戯王の筐体機器「デュエルターミナル」を発端に展開されていた独自の世界観のテーマ達が収録される。収録されるテーマは基本的には十数年前に活躍(?)していた懐かしいものばかりなので、現代遊戯王で戦うにはスペック不足感が否めないテーマがほどんどなのだが、「ターミナルワールド」シリーズではそんなテーマ達を現代基準かつ“奇想天外”な手法で強化する追加カードが数多く登場するのだ。
爺デュエリスト達にとっては懐かしのカードたちが再び活躍できるかもしれない歓喜のパックであり、現代プレーヤーから見ても想像しえない挙動のカードが数多く登場するため見逃せない商品となっている。
「ターミナルワールド2」では癖の強い4種のテーマ「ジュラック」、「魔轟神(まごうしん)」、「ジェムナイト」、「ネクロス」を収録。いずれも前年に引けを取らない“とんでもない路線”の新規カードが新登場する形だ。今回の記事ではその中でもトップレベルに影が薄かったと言っても過言ではない「ジュラック」の歴史と現代進化について取り上げたいと思う。
今まで「ジュラック」を愛してきた決闘者諸君の怒りを買ってしまう可能性もあるが、やや辛口な内容をあえて書かせてもらうと、今までの「ジュラック」はテーマの特徴をほとんど失っていたと言っても過言ではなく、今回収録された連中の中でも特に凄まじい進化を果たしているのだ。
「デュエルターミナル」の稼働から数多の「ジュラック」デッキに挑戦してきた筆者も目頭が熱くなるようなカードばかりなので、今回はそういった歴史も踏まえて強化カードの何が凄いのかについて深堀りしていこう。
ストーリー上でも謎に不遇? 普通に暮らしてただけなのに滅ぼされた恐竜さん「ジュラック」!
今回はせっかくなので彼らの「デュエルターミナル」での活躍についても少し触れていきたいと思う。
「ジュラック」は「デュエルターミナル第4弾」(2008年12月に稼働)から登場したテーマとなり、長く続いたターミナルストーリーの中では再序盤に登場した。
ターミナル最初期のストーリーは主に「フレムベル」、「氷結界」、「霧の谷」、「Xセイバー」の4種のテーマからなる連合軍「A・O・J」と、宇宙から飛来した謎の侵略者「ワーム」との戦いがメインとなり、その中で生まれる攻防やテーマ同士の確執、数多の犠牲や暗躍が描かれている。最終的には悪意に染まった世界をリセットするかの如く最強の竜が蘇り……といった非常に熱いストーリーラインが見所なのだ。
「ジュラック」はそんな怒涛の戦いの中で比較的「ワーム」の影響を受けていない住処を求め、群れで移動する現地生物として登場する。所属するテーマモンスター全てが体に炎を纏った恐竜という男の子の心をくすぐるようなデザインとなっており、攻撃的かつカラフルな色合いで強い存在感は放っていた記憶だ。
一方、彼らはストーリーの本筋で登場している「ワーム」と戦うことは一切なく、唐突に復活した「魔轟神」達に住処を襲われる形で戦いに巻き込まれてしまうのだ。「魔轟神」にボコられて仲間が半壊してしまった際に最後の手段として、仲間たちを結集して生み出した捨て身の力「ジュラック・メテオ」を叩きつけ、相打ちとは言えなくても「魔轟神」に大ダメージを与えてその身を散らしていったのだ……。
ここまで聞くとその身を犠牲に立ち向かったちょっとカッコいい存在に見えてくるかもしれないが、その実態は「魔轟神」が侵略を開始した最初のターゲットであり、可愛そうな現地生物であった。捨て身の攻撃でさえ「魔轟神」を壊滅させることはできず、加えてあろう事か「ジュラック・メテオ」の圧倒的破壊力で生き残っていた仲間の「ジュラック」達すら巻き添えで滅ぼしてしまった可能性もあるため、ドジっ子属性も秘めた面白い連中なのである。
「ジュラック・メテオ」が世界を焼き尽くしたことで生まれた「ネオ・フレムベル」がその後の本筋ストーリーに関わってくるため、物語上では十分に活躍しているのだが、少なくとも当時設定を知った筆者は「突然生まれて突然侵略されて突然滅んだ……」といった感想を持った。そのため個人的には不遇感が強く印象付いている。
元のテーマ性はかなり好戦的? バトルフェイズに何か……いろいろ……よくわかんないことをする……!
そんな「ジュラック」達の元来のテーマ性と言えば「バトルフェイズに何か色々する」という感じだろう。これはふざけてる訳でも筆者が急に興味を無くした訳でも無く、そうとしか形容できないのだ。バトルフェイズ中に役に立つような効果を各々が持っているのだが、その発動条件も効果内容も統一性は無く、恐竜らしく攻撃的なのかと思えば自身が破壊されたときに発動したり、中には別にバトルフェイズに関係無いような効果を持っている奴らもいる。つまり“強いて言えば”バトルフェイズに少し強いというテーマになっているのだ。
とはいえ登場初期の影は薄くても、悪くない能力を持っていたためテーマ内でも十分に戦えるスペックを持っていた時期もある。
「ジュラック・デイノ」でアドバンテージを稼ぎながら「ジュラック・ヘレラ」が無限に蘇生することで継戦能力を保てたり、シンクロ期に生まれたテーマな事もあって「ジュラック・ギガノト」など打点としては悪くない存在もいるなど最低基準のスペックはクリアしている。恐竜族である事を活かして「一族の結束」でバフをかけたり、万能サーチになりえる「化石調査」が当時から存在していたりなど種族サポートも手厚かった。ゲームスピードの遅い古の環境であっても環境デッキは夢のまた夢ではあったが、ファンデッキとして十分遊べた時期もあるのだ。
とはいえ生まれた瞬間から“ファンデッキとしては楽しいテーマ”位のカードパワーだったので、その後の時代でも「ジュラック」がテーマとして脚光を浴びた事は一度も無かった。しかし、カード単品では何度か注目を集めたモンスターが何体か存在している。
X召喚を多用するゼアル期(2011年4月頃~)に突入した際に生まれた化け物「エヴォルカイザー・ラギア」が登場すると、戦闘を介してレベル4の恐竜族を場に2体そろえる事が可能な「ジュラック・グアイバ」が環境デッキの「兎ラギア」に投入され注目を集めた。さらに時代が進み9期終盤にて登場した現代でも最強の恐竜「幻創のミセラサウルス」の影響で、今でも唯一のレベル1恐竜族チューナーである「ジュラック・アウロ」が注目されるなど、局所的ではあるが恐竜が絡むと何かしら話題に上がる集団ではあった。
この頃には多くの決闘者の頭から「バトルフェイズに何かいろいろできる」といった特徴は忘れ去られており、恐竜族のサポーターのような印象が生まれていたと筆者は感じている。
生まれ変わるテーマ性! 辿り着いたのは……ひたすら”隕石”を落とすこと
という訳でここまで長々と「ジュラック」の悲しい歴史を辿ってきたが、今回の「ターミナルワールド2」にてその悲劇も終焉を向かえる!
新規カードによって「ジュラック」は展開力・制圧能力を持つエースモンスター・種族強化カード……現代遊戯王において必要な全てを獲得したのだ! 元々何も無かったテーマなので本当に今回だけで全てを手に入れたと言っても過言ではない。
その上で今回は今までのふんわりとした”バトルフェイズに少し強い”という特性を面影としつつ、他デッキにない「ジュラック・メテオをひたすら連打する」という新たなテーマ性を押し出して来たのだから驚きだ。バトルフェイズに強いという特性を伸ばすだけだと最強のバトルジャンキー「天盃竜(てんぱいりゅう)」の下位互換になりかねなかったので、個人的にこの判断は非常に素晴らしいと感じている。
では早速注目の新規カード4種を順に解説していこうと思う。
展開を担うモンスター「ジュラック・スティゴ」と「ジュラック・メガロ」
展開の要となるのがメインデッキに入るモンスター2種「ジュラック・スティゴ」と「ジュラック・メガロ」だ。
「ジュラック・メガロ」は手札から特殊召喚可能なレベル1恐竜族チューナーとなり、あまりにも恐竜族のレベル1チューナーが少なくて長年「ジュラック・アウロ」が使われてたレベルなので、それだけでもこのカードの有能性を感じていただけると思う。
さらにとんでもないのが「ジュラック・スティゴ」で、場のモンスターを破壊しつつデッキから任意の恐竜を墓地に送ることで、墓地に送った恐竜と同じレベルになるようにデッキから「ジュラック」を好きなだけ召喚条件を無視しながら特殊召喚できる。ヤバいことが2重に発生しており、まずレベルさえ合わせれば好きなだけデッキから展開ができるため余裕でモンスター5体を並べることが可能だ。恐竜族縛りが付きつつ「ジュラック」がマトモな展開能力を持っていないテーマだからこそ許される能力だが、それでも1枚が5枚になる可能性を秘めているのは爆アドのレベルを超えている。
もう1つのヤバいポイントとして、好きな恐竜をデッキから墓地に送れるという部分だ。恐竜族には先に紹介した「幻創のミセラサウルス」を筆頭に「オーバーテクス・ゴアトルス」や「カーボネドン」といった墓地に送られることで強力な効果を発揮できるモンスターが多い。それらを準備しながら複数展開が可能なのでもはや恐竜族の範囲内であれば何でも可能な展開力を獲得したと言えるのだ。
メテオを呼び出せる新たなエース「ジュラック・アステロ」
この展開力を用いて呼び出すのが新たなエースモンスター「ジュラック・アステロ」だ。
シンクロ召喚成功時にデッキから「ジュラック」魔法・罠をサーチしつつ、相手の特殊召喚を1回打ち消す妨害能力を持っている。現代カードらしい展開と妨害の両面を担える高スペックモンスターだが、これに加えて墓地効果も着いてきちゃうのが現代遊戯王!
相手ターン中に墓地の自身と他のジュラック2体を一緒に除外することでEXデッキから「ジュラック・メテオ」を呼び出すという規格外の効果を持ち、「ジュラック・メテオ」は出てくると強制効果で場の全てのカードを破壊する事が可能なため妨害として申し分ない威力となっている。
そして恐ろしいのがこれらの能力に同名ターン1が無いので、この「ジュラック・アステロ」を並べれば並べるほど特殊召喚狩りを、墓地に送れば送るほどメテオを連打することができるのである。「ジュラック」で展開したい時はとりあえずこのモンスターを沢山並べればいいという至極単純なゴールが生まれたことに感動しかない。
フィールド魔法「ジュラック・ヴォルケーノ」は耐性効果も付与できる
そんな最強の「ジュラック・アステロ」でサーチする筆頭になるのが最後の新規カード「ジュラック・ヴォルケーノ」だ。
フィールド魔法であるこのカードは、1ターンに1度自分の場のモンスター1体を破壊することでデッキから好きな「ジュラック」を呼び出す能力を持っている。このカード+適当なモンスターの手札でも上記で取り上げた「ジュラック・スティゴ」にアクセスする事で宇宙展開が可能かつ、何より恐ろしいのが恐竜族には破壊されて嬉しい筆頭の「ベビケラザウルス」と「プチラノドン」が存在するため展開の拡張性が凄まじいのだ。「アステロ」が出しやすいカードな事も相まって、既存の恐竜展開に絡めた汎用性すらも秘めているのである。
そして「ジュラック」的に注目して欲しいのが2つ目の効果。相手が4回目以降の特殊召喚を行なった際にコチラもエクストラデッキから問答無用で「ジュラック・メテオ」を爆誕させる。「もう流星群かな」って位メテオが落ちてくる(出てくる)テーマになったのだ。さらにこのフィールド魔法が存在している時にメテオを降臨させると3つ目の耐性効果で全破壊から「ジュラック」を1度だけ守ることが可能なので継戦能力も高い。ストーリー上では味方を巻き込んだが、現代テキストによってしっかりアフターフォローもしてくれる強強能力に感動しかない。
という事でもうテーマ内で妨害&展開を行ないつつ、メテオを連打するという奇想天外なテーマ性を獲得したのが現代の「ジュラック」となる。各々のカードパワーが凄まじいので恐竜族の様々なデッキにサポーターとして出張できる可能性がありつつも、フルスペックで能力を活かすためには古の「ジュラック」達も数体デッキに入れる必要があったりなど、絶妙なパワーバランスで作られていることがよくわかる。メテオ連打についても使うタイミングを考えないとディスアドバンテージとなってしまう場面も少なくないため、一見やってることはアホっぽいが担い手の実力が試される性能だったりもするだろう。
最後にこれらのカードを用いたサンプルデッキレシピを載せておくので、ぜひ参考にして新たな「ジュラック」に触れてみてほしい。
そんなこんなで今回は幾年の時代を超えて蘇った地獄のテーマ「ジュラック」について紹介してみたぞ。
ただ単純にパワーカードを配るのではなく、なんとか独自性を生み出そうとした意思を今回は特に感じることができたので、今後のマイナーテーマ強化にも大いに期待できるだろう。
今回紹介した「ジュラック」以外の3テーマも各々の個性をビックリするくらい尖った性能をしているので、ぜひそちらもチェックしてみて欲しい。
こんな感じで今後も様々なカードの紹介記事を書いていく予定なので、その時はチェックしてくれると嬉しい!それではグッッッッ爆アドォォォ!!!
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