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【年末特集】モーゼル、ワルサーPPK、2022年話題のモデルガンを振り返る

映画やコミックのヒーローになりきる名銃をその手に

 本稿ではオススメの「モデルガン」を紹介したい。2022年のモデルガン業界は再販が中心で業界全体の動きはあまり大きなものではなかったと言えるだろう。しかし巣ごもり需要は続いており、トイガン業界全体の売り上げは好評のようだ。その中で積極的に新商品を発表するタナカはユーザーの注目を集めている。新進のA!CTIONも新商品を発売、モデルガン業界にも活気が見られる。

 モデルガンと「エアソフトガン」の大きな違いは"弾を発射しないこと"である。モデルガンは銃の模型であり、その構造や機構を学ぶこともできる。弾を発射するためにガスや空気の圧縮などパワーソースが必要なエアソフトガンは実銃とはどうしても乖離した設計部分がある。モデルガンは細かい部品の組み合わせでできるだけ実銃に近い機構を再現している。

 特に、比較的安価な"組立式モデル"では、ハンマーを引くことでシリンダーが回り、引き金を引くとハンマーが落ち、撃針がカートリッジの尾部を叩くその機構まで、細かいパーツを組み上げていくことで複雑な機構を自分の手で再現できる。「銃ってこんな構造なんだ」というユニークな体験ができるのがモデルガンの魅力だ。

 そんなモデルガンはかつてはトイガンの主役といえる位置にいたが、銃刀法の改正による規制や、むやみに火薬の音を鳴らせない昨今の住宅事情などで勢いを失っている一面がある。製造メーカーも姿を消したり、エアソフトガンに絞った商品開発に移行したところも少なくない。また、昨今のエアソフトガンはモデルガンに負けないリアルな外見やこだわりの機構を持っている商品も多くなっている。

 しかし、そんな中でもモデルガンにこだわるメーカーはある。本稿ではメーカーの期待の新作と再販商品を紹介していきたい。モデルガンならではの魅力をぜひ感じて欲しい。

【タナカ、モデルガン「GLOCK 17 3rd Generation Frame HW “Evolution2改”」のアクション!】
モデルガンには火薬をカートリッジに詰めて、実銃さながらの射撃/排莢アクションが楽しめるものもある。火薬の音、立ち上る煙と、ブローバックで飛ぶ薬莢……。映画やドラマのような迫力のあるアクションを楽しめるのだ

A!CTION、「Mauser C96 Red9」

「Mauser C96 Red9」
発売日:2022年11月20日
価格:49,500円
全長:308mm
メーカー:A!CTION

 A!CTIONはエム・アイ・イー総研 アクション事業部であり、2021年に最初の商品を販売した新進気鋭のモデルガンメーカーだ。A!CTIONの製品は代表である松岡氏の「自分が欲しいモデルガンを世の中に出したい。商品を一番最初に手にしたい」という想いで生み出されている。その最新商品が、「Mauser C96 Red9」である。

 Mauser(マウザー/モーゼル)はドイツの銃器メーカー。「Mauser C96」は1896年からMauser社から販売された大型の自動拳銃で、ドイツ以外にも様々な国で使用された。商品のモチーフはドイツ陸軍で採用された9mmパラベラム弾仕様のモデルで、銃把の部分に赤色で「9」と刻印され"Red9"と呼ばれた。モデルガンはこの赤い刻印を再現している。

 本商品は火薬を使用しない「ダミーカートリッジ仕様」で、排莢アクションは手動で行う。火薬でスライドが動くアクションはないものの、クリップを使った装填、内部機構などは実銃の構造を追及しており、モデルガンならではのリアルな感触が楽しめる。今後発火モデルも販売予定とのことだ。

マルシン「ワルサーPPK/S」

「ワルサーPPK/S」
発売日:2022年10月21日再販
価格:27,280円(ブラックヘビーウェイト 完成品)
全長:158mm
メーカー:マルシン

 エアソフトガンに加え、モデルガンの販売も積極的に行っているマルシンが10月に販売したのが「ワルサーPPK/S」である。バリエーションとなる「PPK・PPK初期型・PP」も同時発売となった。完成品モデルや組み立てキット、ヘビーウェイトモデルやABSモデルなど素材・仕様の異なるモデルも同時発売されている。

 「ワルサーPPK/S」はこちらもドイツのワルサー社製の自動拳銃だ。警察用拳銃として開発されたのが「ワルサーPP」、これを私服刑事剥けに小型化したのが「ワルサーPPK」である。「ワルサーPPK」は映画「007」シリーズで、ジェームス・ボンドが使う銃としてアメリカでの民生用拳銃として人気を博した。アメリカでは1968年に小型拳銃の輸入規制が法制化され、これに対応するためPPのフレームにPPKの銃身とスライドを組み合わせたものがを「ワルサーPPK/S」となる。

 マルシンがなぜ「PPK/S・PPK・PPK初期型・PP」を一気に再販したかも銃を学ぶことで納得できる。トイガンの楽しさはこういった実銃の歴史の変遷を商品で楽しめるところにもあるのだ。

KSC「M93Rモデルガン 2nd(HW)」

「M93Rモデルガン 2nd(HW)」
発売日:2022年10月21日再販
価格:30,250円
全長:249mm
メーカー:KSC

 「M93Rモデルガン 2nd(HW)」はKSCが12月に再販したモデルガン。モチーフとなる「M93R」はイタリアのベレッタ社が開発したマシンピストル。自動拳銃である「ベレッタ92」をベースにサブマシンガンのような連射力を持っている。装弾数20発のロングマガジンを使用でき、バレルも長いものとなっている。連射時の銃の跳ね上がりを押さえるためにフォアグリップがついているのも特徴的だ。単射、3点バーストの切り替えが可能となっている。

 「M93Rモデルガン 2nd(HW)」は銃身にガスポートがついた「M93R後期生産型」を、金属を練り込むことで重さを増したHW素材で再現。実銃と同じ3点バーストも再現している。商品には6発のカートリッジが付属しているが、マガジンに20発、薬室に1発の21発のカートリッジが装填可能だ。予備カートリッジに加え、レイルやストックなどのオプションパーツも充実しているので、こだわりのカスタマイズが可能だ。

【KSC M93Rモデルガン 2nd (HW)】

ハートフォード「SAA.45 ラバー・モデル」

「SAA.45 ラバー・モデル」
発売日:2022年9月下旬再販
価格:20,350円
全長:263mm
メーカー:ハートフォード

 弊誌でも何度も扱っているSAA(コルトシングルアクションアーミー)は、"西部劇の銃"として代表的な銃だ。エアソフトガン業界では東京マルイが銃身が4.75インチのエアコッキングガン「SAA.45 シビリアン」を発表、タナカは従来の製品より射撃性能が向上した「新型SAAガスガン」を発表、マルシンもガスガン「新型SAA」に関して、"大幅アップグレードver."となることを発表するなど、活気づいている。

 モデルガンではハートフォードは定期的に「SAA」のモデルガンを再販しており、この銃に興味を持った人にはぴったりの商品となっている。しっかり弾が飛ぶことが求められるエアソフトガンとは異なり、ハンマーが強くカートリッジの尾部を叩けば火薬が鳴るので、ファニングショットや抜き撃ちを西部劇さながらのスピードで行うことが可能なのだ。ハートフォードはベアリングを仕込んだハンマーで素早い動作を可能にした「ファスト・ドロウ・カスタム」なども販売している。

 9月に再販された「SAA.45 ラバー・モデル」は、バレルやシリンダー、ハンマー、グリップなどをラバー製にすることで落としても壊れにくくしている。SAAを手の中でくるくると回しホルスターに収めるガンマンのアクション「ガンスピン」を練習するためのモデルで、これで慣れることでカッコイイ西部劇のガンマンを目指せるわけだ。

【"2丁拳銃でガンプレイ!「西部劇ごっこ2022」】
練習することでガンプレイが楽しめる

タナカ、「シティーハンター公式コラボ コルトパイソン 冴羽獠モデル モデルガン」

「シティーハンター公式コラボ コルトパイソン 冴羽獠モデル モデルガン」
発売日:2023年1月中旬
価格:39,380円
全長:243mm
メーカー:タナカ

 積極的にモデルガンを販売するメーカー・タナカが2023年1月中旬に販売するのが、「シティーハンター公式コラボ コルトパイソン 冴羽獠モデル モデルガン」である。「シティーハンター」は1985年のコミックだが、アニメ化されただけでなく、2019年に新作アニメ「新宿プライベート・アイズ」が製作されたり、フランスで実写映画が作られたりと今でも大きな人気を誇っている。2024年にはNetflixオリジナル映画も放映される予定だ。

 本商品は主人公冴羽獠の愛銃コルトパイソンを再現している。劇中のガンスミス・真柴のマークと生産番号の刻印や、実銃と異なるサイレンサーの装着ギミックなど劇中の要素を盛り込んでいる。カートリッジも通常の製品と弾頭の色が異なる、「メタル・ジャケット弾」をイメージした専用のもの。手に取り銃を操作すれば気分はシティーハンターだ。

 タナカは2020年にガスガンで「コルトパイソン 冴羽獠モデル ガスガン」を販売している。モデルガンはそのガスガンに込めたこだわりを引き継ぐ製品となる。ガスガンとの最大の違いはカートリッジが用意され装填・排莢アクションが楽しめるところだ。専用カートリッジは空撃ち用のスプリングも用意されており、火薬を詰めない状態での空撃ちにも対応。モデルガン初心者も楽しめる設計となっている。

 モデルガンは実銃の機構も学ぶことができる精巧な模型だ。組み立てキットならば塗装することもできる。またよりうまく作動させるための部品のすりあわせや、加工など細かい調整も楽しめるのめり込める趣味である。

 映画やアニメでのヒーローや、その時代に生きていた名もなきガンマン達と、"銃"を通じて繋がることができる。また各時代の職人達の工夫やこだわりを感じることもできる。筆者も2023年は引き続きメーカーの挑戦を紹介しつつ、この世界にさらに踏み込んでみたいと思う。オートマチック拳銃のモデルガンでより快適なブローバックを追求するのも面白そうだ。