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連載第2回「"撃つ姿が美しい"モデルガンの世界」
大きく重いスライドがダイナミックに動く「デザートイーグル」
2024年12月20日 00:00
- 【Desert Eagle .50AE HW】
- 開発・発売元:タナカワークス
- 2024年2月15日再販
- 価格:38,280円(税込)
- 全長:272 mm
- 重量:1035g
- 装弾数:7発
「世界最強のハンドガン」と呼ばれた銃はいくつかある。ライフルなどにも劣らない大口径の弾丸をハンドガンで撃ち出すのはロマンを感じさせるコンセプトだ。「デザートイーグル」は最強クラスの拳銃弾.50AE弾を発射する、世界最大級のハンドガンである。
このハンドガンをモデルガン化したのがタナカ(タナカワークス)の「デザートイーグル」である。タニオコバと並び、モデルガンメーカーとして名高いタナカは、リボルバーはもちろん、オートマチックのモデルガンに関しても定評があり、多くのラインナップが揃っている。
「"撃つ姿が美しい"モデルガンの世界」、第2回目はこの「デザートイーグル」を取り上げたい。カートリッジも大きな.50AE弾を再現しており、7発を装弾すると重さは1kgを超える。この大きな銃の銃口から炎と煙がほとばしり、スライドが動き排莢を行う大迫力の姿を是非お見せしたい。
今回は商品に付属する通常のカートリッジに加え、モデルガンの動作に1つ、マズルフラッシュと発射音に1つの、2つの火薬を使う「Wキャップカートリッジ」も使用してみた。通常のカートリッジの魅力と、より演出を強化するWキャップカートリッジでの"撃つ姿"をお見せしたい。
最強クラスの拳銃弾.50AE弾を発射する、世界最大級のハンドガン(のモデルガン)
デザートイーグルといえば、映画やドラマ、アニメ、ゲームなどにも主要なキャラクターの使用銃として登場する機会も多い。映画「バイオハザードII アポカリプス」では、カルロスがシルバーのデザートイーグルを使用しているほか、L.J.が特注のゴールドモデルを使用しているのは有名だ。シティーハンターでも、かつてのパートナーでリョウのライバルとして現れるミック・エンジェルが使っているほか、ブラック・ラグーンでシスター・ヨランダがエングレーブ(彫刻)の施されたモデルを使っていたのが印象に残っている。
実銃の世界では、.357マグナム弾を撃つ自動拳銃として1979年に登場。その後.44マグナム、.41マグナム、.41AE、50AE弾などのバリエーションも追加された。その中でも.50AE(Action Express)弾は、50口径と称されるものの実際の弾頭口径は0.54インチと拳銃弾としては世界最大口径、最大級の威力を誇るものとなっている(世界最大口径のリボルバー、S&W M500の弾頭口径は、0.492インチ)。
タナカのデザートイーグルは、全長272mm、重量は1,035gと1kgオーバー。手に持つとずっしりと重量を感じる。筆者は比較的手が大きいので片手で保持してセフティなどの操作もできるが、小柄な人は両手でないと持てない可能性もある。タニオコバのガバメント、タナカのグロックと比較しても大きさが際立つ。
こんなに大きくても装弾数は7発だ。いかに.50AE(Action Express)弾が大きいかが実感できる。個々のパーツもデカイ。銃弾が発射されるたびに前後に動いてカートリッジの装填、排莢をする銃の上側の部品であるスライドは、ヘビーウェイト樹脂製で実に264.5g(実測値)もある。スライドを引き、戻した時の重量移動、衝撃も大きく感じる。パーツが大きいので、分解結合もやりやすく、メンテナンスも心なしかやりやすい気もする。
スライドの刻印は、IMI社製の1992~95年(Mark VIIタイプ)が再現されている。デザートイーグルといえば、IMI(Israel Military Industries、イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ)とイメージするくらい有名なメーカーで、UZIサブマシンガンやアサルトライフルのガリルやタボールなどのメーカーでもある。
「"撃つ姿が美しい"モデルガンの世界」の第2回目でこの銃を紹介するのはこの銃の大きさにある。デザートイーグルの全長は272mm。M1911A1コルトガバメントの216mmより50mmも大きい。大きな.50AEカートリッジを装填すれば手に持った迫力は圧倒的だ。その巨大な銃のスライドがわずか0.01mgの火薬で動き、大口径のカートリッジを排莢するその姿を実感できるのは、実銃を別とすればモデルガンだけだ。この大迫力の作動シーンをぜひ見て欲しい。
大迫力の.50AEカートリッジをセットする。
銃本体から、カートリッジに移ろう。モデルガン「デザートイーグル」のカートリッジは、他のタナカのオートマチックと異なり7mmキャップ火薬を使用する。重く、大きなHW樹脂製スライドが、7mmキャップ火薬1つで動くというのが驚きだ。カートリッジは軽量なアルミ製で、火薬をセットした状態で一個あたり10.4gほど。排莢した際の飛びも良く、迫力ある発火が楽しめる。
デザートイーグルのカートリッジは、使用するキャップ火薬が5mmから7mmになった以外はEvolution 2カートリッジ同様の構造となっており、スリーブにプライマー(アンビル)、火薬、インナー(トップ=ファイヤリングピン)をセットする仕組みだ。
一方で、カートリッジをセットした後、専用ローダーでインナーパーツを押し込むなど独自の手順を要するなど、「デザートイーグル」ならではの「お作法」もある。
火薬をセットしたカートリッジをマガジンに詰め、早速撃ってみる。スライドを一杯まで引いて離すと初弾が送り込まれる。シングルアクションのみの機構なので、ハンマーコックされている状態で発射可能な状態だ。
HW樹脂を使った大型のスライドは、ブローバックのたびに大きな衝撃が腕に伝わってくる。発火してスライドが後退し、薬莢が排出される。その衝撃を感じた後にスライドが戻り、閉鎖された際の衝撃(と重量移動による重量バランスの変化)が再び訪れる。1回の発火で2回の大きな衝撃を感じることができるのは、デザートイーグル以外ではなかなか味わえない。しっかり握っているはずなのに、ブローバックの衝撃で保持した銃や腕が大きくぶれるのがわかる。
火薬を2つ使い、より演出を強化した「Wキャップカートリッジ」を使う!
そして今回の注目ポイントである「Wキャップカートリッジ」だ。キャップ火薬を二個使用することで1つはモデルガンの動作、スライドを動かし排莢をするためにエネルギーを使い、もう1つは発砲音やマズルフラッシュなどに使用する。このため、1つの火薬ですべてを担う通常のカートリッジ以上の迫力が楽しめる。
スライドが動く際、カートリッジを掻き出す「デトネーター」もWキャップ用に交換する。Wキャップ用の方が若干短い。
なお、今回、動作(ブローバック)用の火薬には、M.G.CAP(黄色い箱の7mm用)を使用し、火花用にはマルシンキャップ火薬7mmを使用してみた。モデルガン用の火薬は、一個あたり0.01g以下のキャップ火薬を使用するが、その少ない火薬で確実な動作をさせたり、迫力ある発火を楽しむために、いくつかの種類がある。
オートマチックモデルガン用に推奨されているのが「M.G.CAP(黄箱)」で、燃焼速度が速い火薬を採用し、オートマチックモデルガンを正常の作動させるパワーを生み出す。マルシンのキャップ火薬には、火花を発生させる成分が多めに含まれているので、リボルバーに使用することも多いが、写真に写る火花の形状がリアルじゃないと避ける人もいるなど、それぞれこだわりを持って使う人も多い。
Wキャップで発火してみた。軽快な動作はそのままで、迫力のマズルフラッシュと発火音が楽しめる。射手からの視点では、スライドが開放されてからカートリッジが排出される際の間に盛大なバックファイヤが感じられた。リコイルショックはシングルキャップとほぼ変わらないという感じだが、目の前が火花でいっぱいになる体験は、すごい銃を撃った! という満足感につながる。
試しに、両方の火薬をM.G. CAP(黄箱)にして撃ってみたが、この場合には、音はやや大きめになり、マズルフラッシュ(火花)は控えめになったが、銃口から噴き出す火花と煙のリアルさという面ではWキャップの効果は十分に感じられた。
動画では排莢口の銃身方向からも炎が出ているのが見える。銃口から吹き出すだけでなく、排莢口から炎が出るこの光景は、弾頭に火薬を詰めるWキャップカートリッジならではだ。マルシン火薬ならではの炎の演出がより楽しめるカートリッジなのである。
遊んだ後はメンテナンス。メンテナンスのしやすさもおすすめポイント
発火して遊んだ後は分解してバレルやファイヤリングピン、カートリッジのクリーニングを行う。
パーツの1つ1つが大きいので、分解結合がやりやすい。多少コツがいるのはどのモデルガンでも共通のものだ。
タナカ(タナカワークス)の「デザートイーグル」はカートリッジにフル装填できる7発のカートリッジが付属しているのも嬉しい。他のモデルガンだと、マガジンを一杯にするのに追加のカートリッジを買わなければいけない場合もあるのだ。
大口径のバレル、カートリッジゆえに他のモデルガンよりも音が大きく感じられ、強いリコイル感もあわせて7発も撃てば満足できる。奨励しないが、カートリッジのパーツ構成も大ぶりなので、使用後にメンテナンスせず火薬を詰め直して使っても、時間をおかなければ2、3回くらいまでならそこそこ動作してしまう。発火後、時間が経過すると汚れがこびりついてしまうので早めのメンテが必要なのはどのモデルガンも同様だ。
実銃の世界でのデザートイーグルは、標的射撃などの競技用、狩猟用などに使用されることが多く、コレクションアイテムとしても人気だという。一方で警察などの法執行機関や軍隊などではポリマーフレームでよりコンパクト、軽量なモデルが主流となっている。大きくて重い、威力も過剰なデザートイーグルは実用性に欠けるという評価がある。
しかし、その大威力、大きくて重い、普通の人には扱えないという属性が、銃のキャラクターとして際立つ。デザインや大きさなどの外観からも、すごい威力のヤバい銃という雰囲気が伝わってくる。だからこそ、映画やマンガ、アニメの中で特徴的な存在として登場する。一般的な銃では止められない敵を1発で倒す強力な銃として、大威力な銃を片手で難なく扱う"ただものではない"存在として、印象的に描かれているのではないだろうか?
物語の中でも特別に印象に残るデザートイーグルは、モデルガンとして手に取ってもその存在感に圧倒される。見てよし、触ってよし、操作してよしのデザートイーグルは、1発撃つだけでも満足できて、1マガジン(7発)も撃てば大満足な圧倒的な体験を得られる。再び小説や漫画などに登場するシーンを見た際には、その体験が蘇ってくるのだ。