インタビュー

「超合金 マッハGoGoGo マッハ号」インタビュー

曲線が美しい車体フォルムと、7つの特殊機能を再現した究極のマッハ号が完成!

【超合金 マッハGoGoGo マッハ号】
9月 発売予定
価格:55,500円(税10%込)

 BANDAI SPIRITSは、1967年放映のTVアニメーション「マッハGoGoGo」に登場するレーシングカー「マッハ号」を「超合金」ブランドにて発売する。一般店頭販売で3月4日に予約が開始され、発売は9月を予定している。価格は作品名にあやかり、税10%込みで55,500円となる。

 この「超合金 マッハGoGoGo マッハ号」は、昨年の超合金シリーズ50周年を記念して発表されたアイテムのひとつで、全長約270mm、スケール換算では1/18スケール相当のビッグサイズアイテムとして企画されている。当時タツノコプロの社員であった中村光毅氏の手による曲線を主体とした美しいフォルムをダイキャストを主体とした素材で成形。劇中で使われたA~Gの7つの機能をギミックとして搭載し、シートに座る三船剛と志村ミチのフィギュアや、専用のディスプレイケースも付属する豪華仕様となっている。

「超合金 マッハGoGoGo マッハ号」。9月発売予定。価格は55,500円(税10%込み)。一般店頭発売商品

 3月4日より一般店頭予約が開始されたこのアイテムの企画者、BANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の岡崎聖氏にその企画経緯や見どころなどを聞いた。

コレクターズ事業部 ロボット企画1チーム シニアアドバイザー 岡崎聖氏。「超合金マッハ号」の企画担当者

2022年の「マッハGoGoGo」放映55周年を機に企画がスタート。設計へのこだわりを追求、「超合金」50周年記念アイテムとして発表

――まず最初に、この「マッハ号」を超合金ブランドで発売することとなった経緯からお聞かせください。

岡崎氏:最初はタツノコプロさんから、2022年に迎える創立60周年のタイミングで何か企画ができないかというご相談があったんです。この年は「マッハGoGoGo」の放映から55周年でもあり、私も作品の大ファンだったのでぜひやりましょうと動き始めたのが2021年頃でした。

 ところがいざ作り始めてみると、マッハ号の最大の特徴であるこの美しいラインの立体化と7つの特殊機能ギミックを実装するのにかなりの時間がかかってしまって、2022年の発表は泣く泣く諦めたんです。

――ティザー告知などではなく、発表の段階で立体化したものを見せたかったんですか。

岡崎氏:そうですね、アイテム発表時にはちゃんとした実物があったほうが説得力が違いますからね。それが出せないとなって、2022年の発表は一旦保留して開発を続けて、昨年の超合金シリーズ50周年企画のタイミングで発表させていただきました。

――設計にはかなり時間をかけたんですね。

岡崎氏:このフォルムの再現や7つの特殊機能を全て実装するための検証は特に時間をかけました。そうこうしているうちにタツノコプロさん60周年はとっくに過ぎ去り、僕が還暦を迎えちゃったぐらいでして(笑)。時間をかけただけの内容には仕上がったので、満を持して昨年発表したんです。

――超合金ブランドを選んだ理由はあるんですか?

岡崎氏:マッハ号はクルマなので「ポピニカ」(※ポピーのダイキャスト製玩具シリーズ)なのかなとも思ったのですが、超合金もこれまでいろんなジャンルのアイテムを作っていて、「超合金魂」で『宇宙戦艦ヤマト』など作ってきたこともありますし、”ダイキャストを使った大人向けの遊べるおもちゃ”ということで、より一般的にわかりやすい「超合金」ブランドでの発表としたのです。

――サイズが全長約270mmとかなり大きくて驚きました。

岡崎氏:サイズはスケールに換算すると1/18相当で、これはモデルカーの国際スケールの一つなんです。「マッハGoGoGo」は1960年代の作品だということもあって、厳密なサイズ設定などは無いのですが、1/18スケールのレーシングカーであることを想定してサイジングしていき、運転席の剛を少年レーサーだということで身長を160㎝台と仮定して1/18スケールでフィギュア化しています。

 我々コレクターズ事業部の商品はホビー事業部のプラモデルとは違って、スケール表記をすることはあまりないんですが、今回はモデルカーコレクターの方々にもよりわかりやすくサイズ感を認識していただけるように敢えてスケール表記をしています。

2024年5月の「CHOGOKIN 50th Anniversary Exhibition」での発表時の試作品

――設計はどこから起こしたのでしょうか。

岡崎氏:タツノコプロさんに協力いただいた中村光毅さんが描かれた設定画に加え、テレビアニメの中のイメージをしっかり受け止めつつ造形しました。それともう一つ、弊社の「超合金魂 マジンガーZ」などの監修をお願いしているアニメーターの越智一裕さんがマッハ号のアイテムをコレクションしていたので、越智さんがイメージするマッハ号の理想の形を描いていただいて、それらを統合してフォルムを作っていきました。

 できあがった立体モデルも再度検証して、とにかく美しい曲線が出せるよう何度も修正を重ねて最終的にこの形を導き出したんです。その結果として、これまで立体化されたマッハ号の中でも最高の造形が完成したと自負しています。

――形状の部分でここは見どころという部分はありますか?

岡崎氏:フォルムに関しては全て見どころと言えますけど(笑)、写真じゃわかりにくいでしょうが、前輪を覆う左右のフェンダー形状の膨らみが単なる山形ではなく、稜線が外側に向かって微妙なカーブを描いた立体形状になっていたり、滑らかに奥まったエアインテークとか見どころはたくさんあると思います。

前輪を覆うフェンダーの形状に注目
座席後方のエアインテーク

岡崎氏:またマッハ号の機能の一つとして、車体の下からカッターが出るんですが、実際に内部にカッターを組み込んで、それをスライドさせて出すような機構を入れると、車体先端の下側を平らに削っておかないとカッターを引き出せないんです。ギミックのために車体の形状を崩したくなくて、別パーツの交換式というのも違うなと思ったので、カッターは車体下のカバー内に折り畳んで収納してあって、カバーを開いた中からカッターを引き出した後に畳んだアームを伸ばして前方に出してくるようにすることで、車体の形を崩さずにカッターを出せるようにしたんです。

カッター装置は車体下側に収納。出すときはカバーを開ける
カッターを出した状態。劇中でも馴染み深い姿だ
先端下側のラウンドフォルムは維持されている

――ギミックも車体のフォルムありきで設計しているんですね。

岡崎氏:このフォルムがあってのマッハ号ですからね。ギミック再現との両立は設計するうえでかなり苦労をしたところです。

――その他のギミックについても説明していただけますか。

岡崎氏:特殊機能は設定の通りAからGまで7つあります。Aが「オートジャッキ」、Bが「ベルトタイヤ」、Cが「カッター装置」、Dが「ディフェンサー」、Eが「イブニングアイ」、Fが「フロッグ装置」、Gが「ギズモ号」と、機能の頭文字がボタンのアルファベットに対応していて、それらは全て再現しています。

交換式のベルトタイヤ
ディフェンサーはフロントガラスと交換式。白く塗装された部分に金属が埋め込まれていて、車体側に内蔵されたマグネットで固定される
フロッグ装置はディフェンサーを被せ、運転席後部から潜望鏡を出して再現
ボンネットから現れるギズモ号。もちろん取り外し可能だ

岡崎氏:マッハ号を象徴する車をジャンプさせる「オートジャッキ」は、車体の下に2段階での伸縮するジャッキを設けて、さらにジャンプした状態を再現するための専用のディスプレイスタンドを用意しました。また、劇中でこのジャッキを伸ばしてメンテナンスをするシーンがあるので、それを再現するために、ジャッキ部分の交換パーツとしてダイキャスト製の長く伸びたジャッキを同梱しています。

オートジャッキは車体下に収納されていて、使用時は引き出す仕組み
専用のディスプレイスタンドを使うと航空機模型のように斜めになった状態で飾れる
オートジャッキ用のロゴ入りディスプレイスタンド。ちょっとわかりにくいが、台座はチェッカーフラッグの形をしている

岡崎氏:中でも最も再現に苦労したのが「イブニングアイ」ですね。設定では暗視装置が付いたヘッドライトなんですけど、ボンネットの中にエンジンを再現した関係で、点灯ギミックを内蔵するスペースがなくなってしまったんです。苦肉の策として、エンジンの中にボタン電池を組み込んで、ボンネットとシャシーを繋ぐフレームの中にリード線を通してヘッドライトのLEDに給電するようにしました。

――ボンネットのジョイントの中にリード線を通しているんですか?

岡崎氏:そういうことです。これもボンネットを開けられるギミックがなければ、簡単に再現できるんですよ。でもエンジンルームは設定通りに見せたい、ライトも点灯させたいという両方を再現するために、設計で特に難関だったポイントでしたが、エンジンに実際にバッテリーが組み込んであるってカッコいいなと思っちゃいましたね。

点灯したイブニングアイ
エンジンルームを再現するために、先端のフレーム内部にリード線を通してある。エンジンの前にあるのが電源スイッチだ

――これだけの機能を全て再現しつつ、剛とミチの2人のフィギュアが付属するのも驚きました。

岡崎氏:これもまたアイテムの大きな魅力の一つでして、これまで2人のフィギュアが乗ったマッハ号の立体物ってほぼ例が無かったので、これはぜひ実現しようと思っていました。2人が乗るとマッハ号がよりグッと「キャラクターモデル」になりますよね。2人のフィギュアはシートごと交換する仕組みなので、乗降の変更も簡単です。

 2人のフィギュアは、弊社では「聖闘士聖衣神話」などを担当されている原型師の南田香名さんにお願いして、設定に合わせた顔の表現はもちろん、ただ座っているだけでなく車に乗っている人間としての自然な姿の再現していただきました。剛のハンドルを持つ腕の角度や、ミチの腕や足の置き方など、可動フィギュアではない分、見て楽しめるようにしたんです。2人の表情やポーズなどは、このサイズだからこそ再現できたポイントでもあります。

ミチと剛のフィギュア。自然で柔らかなポーズが劇中をイメージさせてくれる
2人のフィギュアはシートごと交換する仕組み

――当然、彼らが乗る内装も再現されているんですね。

岡崎氏:はい、超合金としてだけでなくカーモデルとしてアピールしたいこともあり、パネルなども設定に合わせて作り込みました。ボンネットだけでなく、ドアやトランクも開きますし、オートジャッキ用台座とは別に専用のディスプレイケースも付属しますので、インテリアとして飾っても楽しめるようになっています。

カーモデルスタイルのケースが付属する

――ダイキャストはどのぐらい使われているんでしょうか。

岡崎氏:車体のボディ部分はほぼ全てダイキャストです。手に持ったときの重量感もかなりのものですので、満足していただけるのではないでしょうか。

――例えばこのマッハ号が好評であれば、シリーズとして覆面レーサーの流星号などをラインナップする可能性などはありますか?

岡崎氏:元々タツノコプロさんから企画のご相談をいただいて、真っ先に作りたいと思ったのがこのマッハ号だったこともあるので、流星号などのシリーズ化は現時点では特に考えていませんね。

岡崎氏:タツノコプロさんとはこれまでも「ゴールドライタン」や「ゴーディアン」などを「超合金魂」でやらせていただいていますし、今回「マッハ号」でご一緒いただけたのもご縁ですから。個人的には今後もなんらかのアイテム企画をしていきたいという気持ちは強いです。中村光毅さんや大河原邦男さんがデザインした魅力的なキャラクターがタツノコ作品にはまだまだたくさんありますからね。

どこから見ても美しいこだわりのフォルムは、手にした人だけが楽しめる特権だ

――最後に発売を楽しみにしている人にメッセージをいただけますか。

岡崎氏:とにかく、オリジナルのアニメの中で見た一番格好いいマッハ号を目指して作り込みました。当時の僕は4歳ぐらいで、テレビで見たマッハ号が本当に格好良くて、幼稚園の砂場で大きなマッハ号を作ってコクピットに乗って遊んでいた記憶があったり(笑)、思い返してみると人生で最初に好きになった車なんです。

 それを超合金ならではのこだわりを持って作れたのは幸せなことだと感慨深く思います。マッハ号のファンのひとりとして超合金に詰め込みたいことを全振りできたこともあって、完成度の極めて高いアイテムに仕上げていけた手応えはあります。

 決して安くはない商品ですが、お好きな方にはきっとご満足いただける内容だという自信はあります。今後再販されることもまず無いかと思いますので、最高のマッハ号を手にする最初で最後の機会だと思っていただいてご予約ご検討いただけたら幸いです。

――ありがとうございました。