インタビュー
ハズブロ、最新の「ナーフ Nシリーズ」の魅力に迫る担当者インタビュー
より当たりやすい新ダーツを採用! サバイバルゲームも推奨
2025年5月3日 00:00
ハズブロが展開しているトイガン「ナーフ(NERF)」は2024年8月から新シリーズ「Nシリーズ」を展開している。「Nシリーズ」は、これまでの「エリートダーツ」を使ったブラスターとは一線を画し、ダーツをより当てやすく、まっすぐ飛ぶ性能でファンを魅了した。しかも、ハズブロ社ではこのNシリーズで採用したN1ダーツを使用する新たなシリーズ「ロードアウト(LOADOUT)」の発売を控えている。
そこで今回は、新シリーズはもちろんのこと、従来の「エリートダーツ」を利用したシリーズやNシリーズ開発のコンセプトなど、僕……じゃなくて、ファンが気になる情報をハズブロ社でナーフを担当する松本氏、菊池氏の2名に直撃取材してきた。2025年の新戦略を知りたい方必見のインタビューとなっているので、ぜひ読んでほしい。
昨年電撃デビューした「Nシリーズ」のコンセプトは本格派のブラスター
「ナーフ Nシリーズ」はハズブロが2024年7月から展開しているナーフの新シリーズだ。「N1ダーツ」という新しいダーツを使用している新規格のシリーズでリボルバー型の「アジリティ」、ボルトアクションタイプのライフル「ピンポイント」など数種類のブラスターが販売されている。インタビューではまず「Nシリーズ」が従来のナーフとどう違うかを質問してみた。
――昨年、登場した「Nシリーズ」の製品コンセプトは何でしょうか?
松本氏:「狙ったターゲットに当たる」本格派のブラスターを目指しました。2024年に登場したNシリーズには、開発には2年以上の歳月を投じた「N1ダーツ」と呼ばれる新しいダーツが採用されています。このN1ダーツを使うことで、これまでのエリートダーツを使用したブラスターに比べて、命中率や飛距離、スピード(弾速)をアップすることができました。これにより、本格派の遊びができるブラスターになったのです。
――本格派の遊びというのはサバイバルゲームのような遊び方を意識しているのでしょうか?
菊池氏:明確に特定のゲームを意識して開発したということはありませんね。ですが、実際にナーフを利用したサバイバルゲームやお座敷シューティングを楽しんでいる方々に感想を聞くと、「以前のエリートダーツ系のブラスターはオモチャ感覚で楽しめるけど、『Nシリーズ』は狙ったところにしっかりと当たるのが楽しい」というコメントを頂くことが多いです。
――たしかにナーフ系サバイバルゲームのゲームチェンジが起きましたね
菊池氏:そうですね。今までのエリートダーツに比べて当たりますし、当てられますので、ゲームではより俊敏に動かなければヒットされてしまいます。ですから、「Nシリーズ」同士で戦うと、汗だくになるというコメントもいただいております。
――ウルトラダーツも結構当たるイメージでしたが?
菊池氏:実は、ウルトラダーツはN1ダーツよりも、スピードやパワーという点で勝っています。ですが、ナーフでサバイバルゲームを楽しむ方の中には、ウルトラダーツが強すぎて痛いので、使用を控える方もいました。そこで、N1ダーツは、エリートダーツのように気軽に使えつつも、命中率が高く、許容範囲内の威力という、いいとこ取りのようなダーツになっています。
――販売されている現行モデルのラインナップにはどのようなタイプがありますか?
菊池氏:これまでのシリーズで発売されていたようなラインナップが揃っています。例えばリボルビングタイプのハンドガンや、ダーツクリップ(マガジン)式の電動モデルなどを用意して、ファンの方が違和感なく使えるようにしています。
――Nシリーズはカラーリングも一新した感じですが、どのようなイメージでデザインされたのでしょうか?
松本氏:特に今回のカラーリングにはイメージコンセプトはないのですが、これまでトイガンを手に取った方が、「ちょっと触ってみようかな」と思えるようなポップな色合いにしています。実は、リアルなカラーリングの場合、小学校の低学年くらいの子どもたちに買い与えることに抵抗感がある親御さんもいるのです。ですが、Nシリーズのようなポップな色合いだと、簡単に遊べるイメージもあるので、手に取りやすくなっていると思います。
N1ダーツ系の新シリーズ「ロードアウト」が7月にリリース予定
――NシリーズやN1ダーツの新しい商品展開はありますか?
松本氏:Nシリーズの最新ブラスターとして「トップブレイカー」が3月に発売済みです。ですが本格的な新製品としては、N1ダーツを使った新シリーズ「ロードアウト」が7月に発売予定です。
――これまでのNシリーズとは、コンセプトなどはどう違うのでしょうか?
松本氏:ロードアウトシリーズは「ゲームの世界を現実に」というコンセプトがあり、全モデルにゲームの世界観をイメージしたスキンが採用されています。これは、FPS系シューティングゲームに出てくるブラスターが格好いいと評判なことから、ナーフでも好まれるのだろうと考えられたからです。ラインナップとしては、4,5種類を発売する予定ですが、ブラスターごとに異なるイメージのスキンが採用されていますので、楽しみにしてください。
――画像を見ると新しいアタッチメントパーツもありますね
菊池氏:はい。グリップの下部に穴が開いていて、新しいアタッチメントが付けられるようになりました。ロードアウトシリーズのもうひとつのコンセプトとして、カスタマイズの楽しみがあります。用意されているオプションパーツを組み替えることで、1000通り以上のコンビネーションが可能です。ほかにも、以前とは異なる形のダーツホルダーなどがあります。
新規顧客を開拓するナーフ戦略はサバゲーが焦点か?
――今後のナーフ戦略としては、どのようなものがありますでしょうか?
菊池氏:アメリカでナーフは、一家に1丁というくらいに多くの家庭に愛されているブランドです。おかげさまで日本でも多くのユーザーさんにご愛顧いただいているのですが、まだまだ多くの方に知られていない現状もあります。また、名前は聞いたことがあっても、家の中で遊ぶのか、外の公園で遊ぶのかがわからないという声もあります。そこで、ハズブロ社としては、射的やサバイバルゲームなど、遊び方を提案していく必要があると考えています。
――具体的なプランはありますでしょうか?
菊池氏:具体的なアクションに関しては、先日も「奈良健康ランド」」さんで大きな的を準備し、射的の体験会を行いました。また、サバイバルゲームでは、昨年、東京お台場にあるサバゲースタジオ「Brave Point」さんで、ナーフのサバイバルゲームイベントを開催して大反響を得ました。ほかにも、日本各地でナーフのサバイバルゲームを主催している方たちに対して、後方支援として貸し出し用のレンタルブラスターなどを提供するケースもあります。
――オフィシャルでサバイバルゲームを推奨しているとは思いませんでした
菊池氏:どういうわけか「ハズブロ社は撃ち合いを推奨していない」という話をお聞きするのですが、決してそんなことありません。ナーフを使った撃ち合いというのは本当に楽しいので、むしろ推奨する遊び方のひとつです。実際、プロモーションビデオなどでも大きな公園で人が撃ち合いをしているシーンがあるくらいです。
――ナーフで撃ち合いをする場合の注意点などはありますか?
菊池氏:ご注意いただきたい点としては、オフィシャルとして「顔に向けて撃たないでください」というルールを周知させて頂いています。また、万が一の事故に備えて、ナーフで撃ち合う場合にはアイウエアを付けることも推奨です。アイウエアとしては、本格的なシューティンググラスに限らず、通常のメガネでもかまいません。
――なるほど、これはナーフでサバイバルゲームを楽しむ人が増えそうですね!
松本氏:いきなりサバイバルゲームは難しいと思うので、まずは室内で一人で射撃の練習をしたり、友達と一つの的を狙う競技をしたりするのもいいでしょう。そして、リアルに自分の実力を試してみたいという方は、室内からレベルアップしてサバイバルゲームに移行できますというアピールできたらと思っています。
――実際にプレイされたこともあるとお聞きしましたが
松本氏:私も最近初めて参加したのですが、ドキドキ感があって非日常的な時間を過ごして、とても楽しかったです。また、いい運動にもなりましたので、運動不足のお父さんは親子で参加するのも健康的で楽しいと思います。全国各地にナーフのサバイバルゲームを主催している方がおりますので、ぜひ一度参加してみてください。
――ナーフに関しては、海外ではナーフのテーマパークがあるとのことですね?
松本氏:アメリカとイギリス、そしてシンガポールには「NERF Action Xperience(ナーフエクスペリエンスセンター)」というテーマパークがあります。そこでは子どもたちが実際にナーフを使ってサバイバルゲームのような遊びができます。特にイギリスのNERF Action Xperienceでは、きちんと審判がいるサバイバルゲームが楽しめるようです。
エリートダーツやスーパーソーカー系も健在!
――N1ダーツ系が充実していきそうですが、従来の製品を使っているファンには「エリートダーツ系」や、水鉄砲の「スーパーソーカー系」の展開も気になるところです。
松本氏:エリートダーツの新商品はございませんが、エリート2.0シリーズをメインに、今後も継続して販売していきますので、安心してご購入いただけます。
そして水鉄砲のスーパーソーカーは、これからシーズンになりますし3月から新商品を用意しています。今年からは「ダンク・フィル」というシリーズになり、「ミニダンク・フィル ウォーターブラスター」、「ダンク・フィル ウォーターブラスター」、「メガダンク・フィル ウォーターブラスター」の3種類が3月に発売しました。また、マインクラフトとのコラボレーションモデルも、1種類ですが販売予定です。
――「ダンク・フィル」シリーズにはどのような特徴がありますか?
菊池氏:こちら給水機能に優れていて、水を貯めたバケツにタンク部分を入れると、1秒以内に満タンにできます。実はタンクの下の部分に給水用のト穴があって、実際に水中に入れると水圧で蓋が開く仕組みなのです。お風呂場やプールなどで使うのに向いていますね。
――最後にこれからNERFで遊んでみようという方へのメッセージをお願いします
松本氏:ナーフは、親子で射的をしたり、慣れたらサバイバルゲームで人と撃ち合ったりすることもできますが、ただ弾を撃つだけのオモチャではありません。射的などを通じて集中力を養ったり、ゲームをクリアすることで達成感を得られたりする、ポテンシャルの高い商品なのです。ぜひ一度手に取って遊んでみてください。
菊池氏:これからも先ほどお話しした射的の体験会やサバイバルゲームなどのイベントを通じて、まだナーフを知らない方々に魅力を伝えることが課題と考えています。特にナーフは親子でスポーツのように気軽に遊べる商品です。ですから、ショッピングモールや先日の奈良健康ランドのような、親子で遊びにくるようなエリアでイベントを開催し、どんどんお伝えしていければと思います。
――ありがとうございました
インタビューを終えて
今回のインタビューは、今後N1ダーツを主軸にしたナーフの新時代が来ることを予見させる内容だった。特に重要なのは、以前のような射的の体験会ではなく、よりアップグレードした体験会や、ナーフの魅力を一番に味わえるサバイバルゲームを、ハズブロ社が企画していこうという熱意が感じられたからだ。
これには、エリートダーツ時代の「オモチャ感覚」で遊べるブラスターから、「本格的」なブラスターとして進化した、N1ダーツの実力がナーフの魅力を最大限に引き出せたからだと思う。7月の新製品「ロードアウト」シリーズを撃てる日が今から待ち遠しい。