レビュー
「MGEX 1/100 ユニコーンガンダム Ver.Ka」レビュー【後編】
これが完成されたマスターグレード……”可能性の獣”MGEXユニコーンが魅せた極限表現の地平とは
2020年10月30日 00:00
- 「MGEX 1/100 ユニコーンガンダム Ver.Ka」
- 開発・発売元:
- BANDAI SPIRITS
- 発売日:
- 9月12日
- 価格:
- 25,300円(税込)
- ジャンル:
- プラモデル
- 全高:
- 22cm
- 使用電池:
- 単3電池3本
「MGEX 1/100 ユニコーンガンダム Ver.Ka」【前編】までの組み立てはいかがだったでしょうか。新規開発されたLEDシートを骨格となるプラ製のフレームの中に血管のように配置していく感覚はこれまでのガンプラにはなかった楽しさを私たちガンプラファンに届けてくれました。筆者も組み立てながら「うわ!」とか「なるほど!」等々、驚きと感動をもって組み立てていくことができました。
LEDシート自体初めての部材ということもあり、難しさを感じることもありはしましたが組み立てていくとこれが絶妙の設計でプラパーツに収まっていく様はさすがBANDAI SPIRITS、これがガンプラ40周年の技術の積み重ねがここに極まっているんだと実感しました。”電飾”自体は初期ガンプラブームのころからあったこと(ムギ球とか懐かしいですよね)ではありますが、ここまでシステマチックに設計された上に制御ユニットを使うことで”演出”もさせられていることに驚きます。その演出は動画を用意しましたのでまず一番最初に見て下さい。
腕部はLEDシートを脚部以上にトリッキーな取り回しで配置!
さて、早速【後編】に入っていきましょう。これまでにボディ・両脚が完成していますので両腕と頭、装備とMSケージを組み立てていくことになります。全体的なボリューム感としては通常のMGクラス3個分くらいにはなるでしょうか、随分骨太な印象ですね。
腕部組み立ての内容を組立説明書を眺めながらLEDシートを組み込むのと関節可動を自分の体の構造に置き換えて考えてみました。確かに腕部の可動の複雑さというのは脚部をはるかに超える可動を行なうことができますよね。肩や腕、手など単なる1軸可動ではなく、ひねりや連動して動くところなどあらためて人間の可動性能はすごいものなんだとガンプラから教えられる感覚もあります。
LEDシートは文字通り、平たい形状をしていますからある程度ひねれるにしても無限に回転させられるわけじゃなさそうです。組立説明書を見るとその説明もされていて、肩は前180度・後180度ということでどちらかに半周、腕のロールは左90度・右90度とされています。肘や肩はおのずと可動範囲が限定されていますからそれは限界まで曲げられます。
上腕・下腕のパーツ数はそれほど多くはなく剛性感もあって変身時もしっかり可動させられます。それよりも気にしなければならないのはLEDシートの組み込みです。組立説明書をよく見ながら進めますが少々直感的ではありません。どちらかというと折り紙に近い印象でしょうか。LED素子D16はその先で斜めに山折りする部分と、その手前にも山折り部分があるので2段階に折り込む必要があります。
正直、「これでいいのか……?」という感覚もありますがガンプラはある程度分解も可能で間違ったら外していけばOKですからこのまま進めます。LEDシートありきで組み立てることになるので必然的にガンダム本体もくっついてきますので取り回しに注意します。
MGではおなじみになっている「エモーションマニピュレーターSP」を切り出します。ユニコーンガンダムの設定でこの手(指先)まで光ることになってたらこのキットは発売されてたでしょうか……光らなくてよかったかもしれませんね。
エモーションマニピュレーターSPはBANDAI SPIRITSが誇るガンプラの技術革新のひとつです。”システムインジェクション”という異素材を同時に成形する技術で全指の全関節可動を可能にする驚きの技術です。究極的に組立の手間を省きながら高い可動性能とディテールを実現しています。これは同時成形だからできることで、さすがに一般ユーザーにできることではないので素晴らしい技術ですね。
肩部を組み立てます。MGユニコーンでは”設定どおりに変身させるのがせいいっぱい……”という感じでしたが、MGEXユニコーンではLEDを組み込むことに加えて変形機構もブラッシュアップされています。本来の設定とは違いますが、肩先の広がる小さい部分もお台場の実物大立像バージョンのように横スライドするようになりました。そのためかパーツ数も必要最低限で構成されており、破損を気にすることなく可動させられて不確実な変身にならないようにも配慮された設計になっています。
ようやく頭部を組立へ!LEDを組み込んだうえに変身するその機構とは!?
ユニコーンの頭部はいまどきのデザインでだいぶ小さめではあります。そんな中に変身機構とLEDシートを組み込まなければなりません。キットではこれを巧みに盛り込んでいるにもかかわらずスタイリング・ディテーリングにもまるで破綻が見られず驚きの連続です。
その機構が故、確かにタイトな構造ではあります。ここまでにガンダム本体はすでに完成していて首からぴょこっと出ているLEDシートは頭部用を残すのみです。まずはトサカ部から組み立てていきます。その中にユニコーンモード時のフェイスマスクを組み込みますが、ここでこのフェイスマスクの可動範囲をよく確認しておきます。これは変身時にどこまで押し込めるのかを確認する意味があります。ちなみに今回のアンテナは閉じた状態のものと、開閉するものの2種類となっています。
LEDシート周りを処理します。正直この部分のLEDシートは取り回しがあまりよくない印象です。”ここに固定される”という確証がない印象で組み立てても結構ぶらぶらしてしまいます。2つのLED素子はそれぞれデュアル・カメラアイとアゴ部分だとはわかるのですがその位置があまり定まりません。後に変身させることになるわけですがここはもっとカッチリ設計できているとよかったところです。
LEDシートに関してはそういう状況ですが、この高輝度LEDを組み込んでも”光るべきところのみが光る”というのは驚きました。デュアル・カメラアイのパーツで完全に遮光され、余計な光が漏れることがありません。MGクラスだからできるデュアル・カメラアイとその周辺のパーツは別パーツかされており、深いクリアパーツとすることで実現できているようでとてもすばらしい設計です。