レビュー

アクションフィギュア「EVANGELION EVOLUTION エヴァンゲリオン 新2号機α」レビュー

“異形”そのもののエヴァを、「シン・エヴァンゲリオン」に先がけて堪能

【EVANGELION EVOLUTION エヴァンゲリオン 新2号機α】

ジャンル:アクションフィギュア

開発・販売元:海洋堂

価格:8,250円(税込)

発売日:1月30日

全高:約200mm

原型製作:山口勝久氏

 「EVANGELION EVOLUTION EV-021 エヴァンゲリオン JA-02機体流用ニコイチ型新2号機α」、これが本商品の正式名称だ。これまで「新2号機α」としか呼ばれていなかった機体のの正式名称が「JA-02機体流用ニコイチ型新2号機α」であることが明らかになった。

 この新しいエヴァンゲリオン2号機は、映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に登場する。本当は映画は1月23日に公開され、その映画での体験を活かして本商品を触れるはずだったが、映画の公開が延期になり、その活躍を見届けることなく本商品を触ることとなった。

 まだ映画が公開されていないため、この機体の活躍は予告編の短いシーンでしか見ることができない。そのわずかなシーンで映る機体をフィギュアで存分に見ることができる。腕はどんな形か、武装はどうか、そして今回の2号機はどのような姿に変わっているかを確認できる。そしてどんな活躍をするかたっぷり想像することができる。

 今回のフィギュアはエヴァンゲリオンとして余りに異質な姿をしていて、だからこそとてもカッコイイ。どういったストーリーでこの機体が作られ、アスカがどう動かすのか、とても興味が惹かれる。早速フィギュアをチェックしていこう。

【パッケージ】
大型のパッケージ。後ろのポーズはポーズ付けの参考になる

あふれ出る急造感、異なる機体を無理矢理融合させたエヴァンゲリオン2号機

 「JA-02機体流用ニコイチ型新2号機α(以下、新2号機α)」の姿は2019年のBANDAI SPIRITSの2020年の「ワンダーフェスティバル2020[冬]」でも試作品を出展、その異形の姿が話題となった。これまでのエヴァンゲリオンの面影を留めているのは右腕と胸までの右の半身のみ。大きな鎧を着込んだようなその姿は「2号機に何があったのか?」と思わせられた。

 新2号機αは“「シン・エヴァンゲリオン劇場版」特報2”、“「シン・エヴァンゲリオン劇場版」本予告・改”でその姿を確認できる。特に本予告・改では巨大なガトリング砲を乱射するシーンが映し出され、「新2号機αは映画で大暴れしてくれるのではないか?」という期待が高まる。

【「シン・エヴァンゲリオン劇場版」特報2】

【「シン・エヴァンゲリオン劇場版」本予告・改】

 今回、「JA-02機体流用ニコイチ型新2号機α」という名称と共に、そのフィギュアによって手の中で全身を把握できるようになった。“JA-02機体流用”とはその名の通り、TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の第七話「人の造りしもの」に登場した巨大人型兵器「ジェットアローン」の後継機のようだ。胸部分や手の長さなどに面影を感じる。

 そして今回、立体物としてバックパックを外した姿を見ることができた。新2号機αはロケットブースターと多数のミサイルポッドを搭載したバックパックを背負っているが、これを取り外して現われたのは……原子炉だろうか? ジェットアローンは原子力エンジン搭載機であり、エヴァの活動限界を延長する手段としても考えられるが、これは余りに禍々しいデザインだろう。この怖さがいかにもエヴァンゲリオンらしいと感じてしまう。

【JA-02機体流用ニコイチ型新2号機α】
前、後ろ、横から機体を見る。背中の原子炉がやはり異様だ

 JA-02という機体の中枢部分に無理矢理エヴァ2号機を取り付けたような新2号機αの姿は強烈なインパクトだ。JA-02の装甲を無理矢理切り開き、内部に2号機を押し込み、中枢に入っていた原子炉を外に出したのだろうか? 装甲を切り取った切断面、上半身を固定する白いベルトは、本機体が“急造”であることを示している。

 4つの目の内の1つは潰れたまま、大きく強調された角、蛇腹関節風の腕、無骨な足、それと比較すると2号機のスマートな雰囲気も際立つ。そしてやはり背負った原子炉の異様さが一層強く印象づけられる。

【ディテール】
胴体。JA-02の装甲を切り開き、2号機の身体を埋め込んだようなデザイン
顔のアップ。強調された角、1つだけ潰れた目など印象的だ
右手と全く違うパワフルな左腕
無骨な両脚
背中に背負った原子炉
腿の裏も六角形の衣装がある

 以前筆者は「METAL BUILD エヴァンゲリオン2号機」のレビューでエヴァンゲリオン2号機への想いを語ったことがある。筆者にとって、エヴァ2号機は特に大好きな存在だ。エヴァ2号機は劇中、その印象的な初登場に比べ、やはり“主役”であるエヴァ初号機と比べると引き立て役といえる役回りが多かったと思う。

 そして見ていて痛々しくなるほど傷つく。TV版は“弐号機”であるが、第19話においては第14使徒ゼルエルに頭、両腕を切り落とされ活動停止。第24話では渚カヲルに操られ、初号機に頭部をナイフで貫かれてしまう。そして旧劇場版「Air/まごころを、君に」では9機の量産型エヴァンゲリオンを見事殲滅するものの、復活した量産機に鳥葬のように全身を食われるという目を背けたくなるような壊され方までされてしまう。

 新劇場版の2号機はその姿そのものを大きく変えていく。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」では人から“獣”となる隠された能力「ビーストモード」を発動、グロテスクな怪獣のような姿で第10の使徒に挑むが、左腕と頭部を切り落とされてしまう。

 続く「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」では左腕と頭部の半分を機械に差し替えた「改2号機」となる。その後さらに姿をマッシブに、左腕を換装可能な装備にした「改2号機γ」、そして終盤のクライマックスではネコ科の猛獣のような新しいビーストモード、最後は自爆までしてしまう。Qのラストには上半身のみの“残骸”となった2号機が映し出される。

【エヴァンゲリオン改2号機γ】
2号機は初登場の「破」から「Q」で姿を変える。中盤からの“γ”では体型がマッシブになり、頭部と左腕が機械の部品に差し替わっている。こちらは同じく海洋堂の「EVANGELION EVOLUTION EV-014 エヴァンゲリオン改2号機γ」

 いざとなれば自分の意思を見せ、人知を越えた活躍をする初号機に比べ、傷ついても、姿を変えられても、そして自爆を命じられても自我や意識を見せず、操縦者の意思に従順に従う2号機は筆者にとって「ロボット」の象徴のように見える。操縦者の想いに姿を変えてまで従う2号機は、ロボットとしての“いじましさ”を感じるのだ。

 身体の大部分を失い、全く違うロボットに無理矢理接続させられ、それでも戦う新2号機αはこれまでの2号機のいじましさ、痛々しさを受け継ぎながら、それでも「カッコイイ」姿だと筆者は感じた。ボロボロになりながらも兵器として酷使され続ける2号機……その姿がパワフルなほど無理矢理姿を変えさせられ、異形に変えられる“哀しさ”を感じさせられる。そして新2号機αはその哀しさを代償に強力な力を手にしたのだ。そしてさらに巨大なバックパックとガトリングガンで、カッコ良さが増すのである。