レビュー
ガンプラ「RG 1/144 Hi-νガンダム」レビュー
独特の配色をパーツ分けで完全再現!「ガンプラの進化」最前線の集大成的キット
2021年9月6日 00:00
- 【RG 1/144 Hi-νガンダム】
- 開発・発売元:BANDAI SPIRITS
- 発売日:2021年9月11日
- 価格:4,950円(税10%込)
- ジャンル:プラモデル
- サイズ:全高約155mm
今回レビューするのはガンプラ「RG 1/144 Hi-νガンダム」です。この機体は小説「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」に登場するアムロ・レイ最後の乗機となるモビルスーツです。映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」に登場する“νガンダム”と双璧をなす“Hi-νガンダム”はニュータイプ専用兵装のフィン・ファンネルを機体後方左右に3基ずつ、まるで羽のように装備し、ガンダム本体、シールドやフィン・ファンネルの特徴的なカラーリングはファンの心を鷲掴みにしました。
富野由悠季監督によってノベライズされた「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」に登場する「ナイチンゲール」同様、オリジナルデザインは出渕裕氏。小説の口絵に掲載されただけだった、たった一点のイラストが人気を博し、「ナイチンゲール」同様にその後の立体化やゲーム化などによってデザインが熟成されていきました。現状では2つの出自……我々が一般に認識している“RX-93 νガンダム”の発展機とする「CCA-MSV」(逆シャアでのモビルスーツバリエーション)での設定、そして小説に登場する機体をそもそも“Hi-ν”だとする設定があって、ここでもどちらが本当の“Hi-νガンダム”なのか?という設定遊びが楽しめるというのもこの機体の特徴の一つです。
この機体はガンダムとして初めてのサイコミュ兵装“フィン・ファンネル”を装備することになったアムロ待望のニュータイプ専用機です。サイコミュ兵装といえば「機動戦士ガンダム」でアムロはガンダムでモビルアーマー・エルメスのビットの猛攻をかいくぐり、「機動戦士Zガンダム」においてクワトロ・バジーナ(シャア)は百式でハマーンのキュベレイが放つファンネルに苦しめられるなどその登場シーンは数知れずですが、その戦闘力はアムロの目にも魅力的であり必要で急を要する装備だったのだと思われます。
そのサイコミュ兵装は“フィン・ファンネル”としてようやくガンダムに装備できたものの、ビットやファンネルクラスの大きさは実現できず、展開すると機体全高を超える大きさで放熱板を思わせるほどの巨大な板状の“フィン・ファンネル”はコの字に折れ曲がることでメガ粒子砲となったり、複数を組み合わせることでバリヤーを形成することもできます。
ファンの皆様には釈迦に説法だと思われる機体紹介はこれくらいにして、ついにガンプラ化された「RG 1/144 Hi-νガンダム」へと移りましょう。前述のとおり、この機体は過去幾度となく立体化された人気の機体であり、シールドの“スプリッター迷彩”やフィン・ファンネルの“グラデーション塗装”といったカラーリングも特徴の一つです。双方、立体物で実現するにはそれ相応の技術が必要になってくるわけですが、今回のRG化にあたりそのあたりも成形技術の進化でパーツ分けによって実現してしまったようです。恐るべしガンプラの進化……。
そして、RGがもつ1/144スケールでの驚異的な可動性能によって立膝や派手なポージングも見事なまでに再現が可能です。特にRG版発表時に提示された脚部の可動性能は驚きでしかありませんでした。2020年の「GUNPLA EXPO」にて「HGUC 1/144 ナイチンゲール」とともに展示された試作品でRGならではのディテールと密度感、可動性能は“早く組みたい!”と思った方も多数いらっしゃったのではないでしょうか。
今回、メーカー様から発売前のサンプル品をお借りできました。実際の製品版とは違うところもあるかもしれませんが実際に組んでみてそのあたりの検証はもとより、ガシガシ動かしてみたいと思います。
パーツを確認。さすがRGシリーズ……パーツもりもりで組みごたえありそう!
それではパーツ内容を見ていきましょう。ランナーはA~I、サーベルランナーで総数14枚。意外と少ない印象もありますが、このところ採用が進む大きいサイズのランナーに所狭しと配置されたパーツがRGシリーズのガンプラだと感じさせてくれます。組立説明書(写真にはありません)とリアリスティックデカールが付属します。
一通りランナーを見回してみると、シールドやフィン・ファンネルの特徴的なカラーリングの再現方法がよくわかります。なるほど、カラーリングを“デザイン”と新解釈することでガンプラが培ってきた成形技術をもってパーツ分割することで実現しているようです。パーツ分割も細かく、RGシリーズの組みごたえと構造の新発見もありそうでワクワクしてきます。
組立開始。その可動性能とパーツ数はRGシリーズならでは!
早速組み立てていきましょう。外装パーツは“アンダーゲート方式”となっているものが多いです。ランナーから切り離したら2回に分けてゲートをカット、さらにパーツ面に残ったゲート跡をやすりなどで処理します。特に今回のキットはパーツの“合い”が重要になるのは構成を見ても明らかですから、できるだけきれいに処理しておく方がよさそうです。
脚部を組み立てる。あの可動性能はいかにして設計されたのか!?
では組み立てを進めましょう。まずは脚部からの組み立てとなります。試作品が公開された時から、その可動性能の高さは「すごいなぁ……」と思っていたわけですが、実際に組み上げることでその設計思想を堪能することができると思います。
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