レビュー
「超合金魂 GX-101 大鉄人17」レビュー
重量感、完全変形、発光&サウンドギミックなど、懐かしさと新しさを備えた最新アイテム
2022年4月19日 00:00
- 【超合金魂 GX-101 大鉄人17】
- 開発・発売元:BANDAI SPIRITS
- 発売日:3月26日
- 価格:19,800円(税込)
- ジャンル:アクションフィギュア
- サイズ:全高約180mm
- 重量:約420g
BANDAI SPIRITSの合金フィギュアシリーズ「超合金魂」の最新アイテム「超合金魂 GX-101 大鉄人17」が3月26日に発売となった。1977年に放映された特撮番組「大鉄人17(ワンセブン)」の主人公のロボットで、放映当時に「超合金」シリーズでも発売。劇中に近いプロポーションと差し替えなしの完全変形ギミックを備えていたことで大ヒットした。リアルタイムで知っているアラフィフの特撮&おもちゃファンはもちろん、家族や友達が持っていたり、ビンテージおもちゃとしてその存在を知っていたりする人もいるだろう。
今回発売された超合金魂のワンセブンは、そんな当時の超合金をリスペクトし、ワンセブンの特徴的なシルエットを継承し、パーツ差し替えを行なわずに完全変形を実現。さらに当時の超合金にはなかった発光&サウンドギミックを搭載し、令和の合金製おもちゃとしての魅力も備えたアイテムとして完成していた。ここではその製品版の魅力をレビューにてお届けしていきたい。
放映から45年、令和の技術を導入して蘇った鋼鉄の鉄人の勇姿!
「大鉄人17」は、同じ石ノ森章太郎(当時は石森章太郎)氏原作、東映製作の特撮番組「宇宙鉄人キョーダイン」の後番組として1977年にスタートした。意思を持つ全高50mの巨大ロボットワンセブンと主人公の南三郎が、国際平和部隊のレッドマフラー隊とともに、人間に反旗をひるがえした電子頭脳ブレインとの戦いを描いている。ワンセブンはブレインに作られたロボットであり、三郎が彼を目覚めさせたことをきっかけに人間の味方となり、特殊なヘルメットを通して意思を疎通し、友情をはぐくんでいくドラマも見どころの一つとなった。
放映当時小学生だった筆者は「宇宙鉄人キョーダイン」からの流れで見ていて、カラフルだが派手すぎず、無骨さも感じられるワンセブンのデザインに惹かれ、ワンセブンとは逆に金属の塊のようなカラーリングで徹底した破壊活動を行なうブレインロボットにも魅力を感じていた。
子ども番組ながら、若干上の世代に向けたハードな設定や演出もインパクトがあったが、物語の中盤より番組の方向性が変わった事実に関してはあまり記憶がない。後半に登場したワンセブンの弟ロボット「ワンエイト」やブレイン党幹部達の存在は覚えていたことから、あまり気にせずに見ていたのだと思う。まだビルが少ない新宿高層ビル群の前で三郎が「大鉄人ワンセブン!」のかけ声とともに、彼のシルエットが番組ロゴへと被さっていくオープニングの冒頭部分は、東映特撮のオープニングの中でも屈指のハイセンス演出だと個人的に思っている。
超合金ワンセブンは「DELUXE超合金 GA-81 大鉄人17」の名称で発売され、販売数166万個という超合金シリーズ単体での販売記録を達成するほどの大ヒットとなった。筆者は当時親戚が持っていたそれをうらやましく思っていたが、その後1984年に復刻されたこともあったようだが、それを手にする機会はなく、1999年に発売された電動で変形する「超絶自動変形大鉄人17」を、当時を思い出しつつ購入した。
このたび発売された超合金魂ワンセブンは、ディテールを劇中の姿に近づけつつも、プロポーションはDELUXE超合金版ワンセブンを意識した、このアイテムならではスタイルで設計されている。あえてポーズを付けず素立ちさせた姿はノスタルジックな超合金スタイルで、このポーズで飾ってもいいぐらいだ。
もちろんそれだけではなく、令和の超合金魂としての完成度は高めていて、腕や脚のロール軸や関節各所の引き出し構造により、アクションフィギュアのような可動を実現している。自由自在に動くわけではないが、劇中のワンセブンがブレインロボットと戦うときに見せた重量感のあるアクションポーズが可能だ。塗装は青い部分はメタリック、赤や黄色、シルバーなどの箇所は半光沢で処理されている。またDELUXE超合金では黄色1色だった目は劇中と同じカラフルなモザイク模様に。また後頭部のモザイク模様もしっかり再現している。
腹部にはワンセブン必殺のグラビトン攻撃時に開くシャッターのギミックが内蔵されている。ただ開くだけでなく、片方を開けばもう一方も開くという凝ったつくりで、触っているだけで楽しくなってくる。またナイキ級ミサイルやスモークなどを発射したスネの発射口も展開。そしてつま先のシグナルコントロール(シグコン)マシン格納庫はハッチが開閉し、中に付属のサブマシン(走行タイプ)とシグコンタンクを収納可能だ。シンプルながらも劇中で見せたギミックを忠実に再現していて、これらをパーツ差し替えなしで楽しめるのもいいところだ。
付属のグラビトンユニットは、DELUXE超合金をオマージュした劇中には登場しないアイテムで、ワンセブン本体の胸部ハッチを開けることでその内部に収納することができる。DELUXE超合金ではミサイル発射装置だったが、この超合金魂では発光&サウンドギミックが内蔵され、左右に突き出たボタンを押す組み合わせにより、合計12種類の音声が流れ、それと連動してワンセブンの目が発光する。
嬉しかったのは、ワンセブンが具体的な言葉を話さなかった放映前期と、言葉を話すようになった放映後期の音声がそれぞれ収録されていたこと。2つのボタンを同時に押すとそれが入れ替わる仕組みで、好みでどちらかに絞って楽しむのもいいし、気分で変えてみてもいい。
さらにこの同時押し時にはランダムで「友情のシークレットサウンド」(番組後期の声で「三郎君」としゃべる)が流れるのもオツな演出だ。欲を言えば、もう少しサウンドのボリュームを大きくしてもらいたかったのと、目のLED常時点灯モードが欲しかったところだ。なおサウンドについては音量が小さく録音が難しかったため、音声内容は公式の動画で確認していただければと思う。
独自の機構を携え、要塞・飛行ワンセブンへと完全変形
そして最大のギミックとなる変形は、グラビトンユニットを外した状態で行なう。頭部は首を縮め、額から前の部分を上から押し込むと目が隠れる。胸部を開いた状態にして、腹部左右のパネルを内側に折りたたむと、腕を収納するスペースが確保できる。手首はその付け根にちょうつがいが設けられていて、変形時に深く曲げられるようになっている。腕を収納したら胸部を閉じて、上半身の変形は終了。
足首の内側に仕込まれたツメカケを起こし、反対側のダボにはめ込むことで脚部が左右揃えた状態で固定される。ここからは劇中と同様に脚をS字に曲げていくわけだが、スネの裏側の装甲は折り畳み式になっていて、パーツを取り外すことなく太ももを内部に収納できる仕組みだ。足首は関節を最大まで引き出してから折り曲げ、関節を足首内にスライドさせることで定位置に収まる。最後に背中のアンテナを立てれば「要塞ワンセブン」への変形が完了。この状態からアンテナを畳んでカタパルトの角度を変え、尾翼を立てると「飛行ワンセブン」となる。
要塞ワンセブンとはよく名付けたもので、付属のシグコンマシンを沿えれば巨大な要塞基地としてのイメージが強まる。また飛行ワンセブンはその姿でブレインロボットの元に現れ、そのまま体当たりをしてから戦闘ワンセブンへと変形して戦うシーンが思い出される。ともにワンセブンのもう一つの姿として印象深く、このまま飾っておくのもいい。
超合金シリーズを代表する変形ロボットが、放映から45年が経過した令和にようやく超合金魂として発売となり、当時持っていた人も持っていなかった人も、手にして満足度の高いアイテムであった。また現在プレミアムバンダイの魂ウェブ商店では、弟の「超合金魂 GX-101X ワンエイト」の予約も始まっていて、当時は実現しなかった兄弟ロボットを並べて楽しむことも可能となった。
新たなギミックを搭載したことにより、触って遊ぶのがさらに楽しいアイテムとして完成していた超合金魂のワンセブン。店舗によってはまだ若干在庫があるようなので、ぜひこの機会に手に取って、その重量感やプレイバリューを楽しんでいただきたい。
「フィギュア王No.285」大鉄人17特集(出版:ワールドフォトプレス)
©石森プロ・東映