レビュー

タミヤ「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」レビュー

爆弾とミサイルを取り付け、最大武装のビーストモードに

 「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」は一部のパーツを接着しないことで表情の変化を楽しめる工夫がされていいる。その1つが主翼後方の「フラッペロン」。パーツを差し替えることで、組立後もフラッペロンを上げた状態と下げた状態を再現できる。

 フラッペロンは飛行中の機体の傾きを制御するエルロンと、揚力を増す効果を持つフラップの機能を併せ持つ機構。フラッペロンを下げることで機体速度が低い状態でも揚力を得ることができ、より安定した着陸や離陸を可能にする。F-35は主翼前方にもフラップを搭載している。次に取り付けるのが水平尾翼。F-35Aの尾翼はかなり大きな印象を受ける。

【選べるフラッペロン】
主翼後部の可動する部分がフラッペロン
フラッペロンを上げた、飛行時の状態
フラッペロンを下げ揚力を増した状態。プラモデルではこの部品は接着しないので差し替えが可能
水平尾翼を取り付ける

 ビーストモードに搭載させるための武装を組み立てていく。主翼外側にはAM-120C、そして中央と内側に「GBU-12」を取り付ける。GBU-12はレーザー誘導型の航空爆弾。車両や航空機から発射されるレーザービームによって誘導される爆弾で、爆弾先端にはレーザーを追うためのセンサーが取り付けられている。

 「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」のビーストモードではAM-120Cを4発、GBU-12を4発、GBU-31を2発という重装備となる。これだけの武装を積んで飛行する戦闘機というのはかなりの迫力だ。

【多数の武器を取り付けるビーストモードに】
レーザー誘導型の航空爆弾「GBU-12」
空対空ミサイル「AM-120C」
主翼下に各種武装を取り付けることでビーストモードへ

 翼の下に武器を吊り下げれば機体としての凹凸が極端に増え、F-35A最大の特徴であるステルス能力は失われる。重量と空気抵抗も増すので超音速の飛行もできない。しかし制空権を確保した場所では機体の存在を隠す必要もない。

 F-35Aは空戦から精密爆撃までこなすマルチロール(多目的)戦闘機である。優れたステルス能力と、超音速巡行能力に加え、このビーストモードを実現できる攻撃能力を持っているポテンシャルこそが、新世代の戦闘機として優れた点であるだろう。様々な能力を高いレベルで持っているからこそ、今後世界中の軍隊で活躍するのだ。

 武器を搭載した後は垂直尾翼、パイロットシートの組立だ。F-35Aの垂直尾翼は"垂直"ではなく、傾いている。この傾きはレーダー波を反射しづらくするための工夫だ。そして作ってて最高に楽しいのが細かいディテールがふんだんに盛り込まれたパイロットシートとパイロットフィギュア。情報密度がぎっしりで作りごたえがある。

【パイロットシート】
情報の密度が非常に濃いパイロットシート
パイロットフィギュア。ヘルメットのバイザーには戦闘機の各種情報が映し出される機能を持つ
グレアシールドパネルを取り付ければコクピット部分の完成だ

 パイロットシートをコクピットにセット。そしてパイロットの正面のグレアシールドパネルを取り付ければコクピット部分の完成だ。機首側面に昇降用のラダーを取り付けるかは選択式となる。戦闘機に乗り込むためのラダー(はしご)も内蔵しているところはF-35Aの面白い特徴の1つであるが、今回は飛行イメージも考え、収納状態を選択した。

 「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」の嬉しいところはキャノピーの開閉が接着する選択型ではなく、差し替えでどちらにも変えられるところだ。無改造で開けた状態、占めた状態を再現できる。飾っておいてその時の気分で差し替えられる。可動式ではないので、キャノピーを支える構造もきちんと再現されており、リアリティもたっぷりだ。

 キャノピーを取り付ければ、完成だ。次章で各部を撮影していきたい。

【キャノピーは選択式】
キャノピーの開閉は差し替えで再現。組立後も取り替えられる
完成、次章で様々なアングルで写真を撮っていく

組み立てることで強い愛着がわき、より一層実機を知りたくなる

 完成した「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」の各部を撮影していこう。F-35Aという最新鋭の戦闘機をプラモデルを通じて一層深く知ることができた。

 特徴的なシルエットはもちろん、パネルラインを隠すためのRAMコーティング、情報が詰まったコクピット内部や、機体下部のメカ描写、驚異的な運搬能力が可能とするビーストモード、各所に配置されたセンサーなど、「現代の戦闘機」を知ることができたのは、本当に楽しい体験だった。

 各部の形状の理由や機能を知り、そして模型を眺めることで新たな疑問や興味がわいてくる。このプラモデルは「立体化されたF-35Aの資料」といえる。最新の戦闘機を知るためにもぜひ挑戦してもらいたいプラモデルだ。

【撮影して楽しむ】
まずは全身を様々な角度で。F-35Aならではの特徴的なシルエットを楽しむ
機首周辺
後ろから
ミサイルのアップ
機体をひっくり返して下面をみる。ビーストモードならではの充実した武装が楽しい
山盛りの武装と、ウェポンベイ内部のメカ描写が目を惹く
クリアパーツのセンサーや、翼端灯にフォーカス
最後はキャノピーを開けた姿で

 「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」は本当に組んで楽しいプラモデルだ。細かいパーツは少なくないが、パーツを合わせるための凹凸がしっかり用意されているため、場所を間違わず組み立てられる。

 パーツの向きを間違わないように2つある突起と穴の大きさを変えることで、しっかり前後が確認できるようになっていたり、様々なアイディアが盛り込まれている。こうした工夫に加え、突起部分や接着部分は表面からは見えないようになっており、表面上のディテールは実機そのもので、模型としての工夫は見えないようになっている。

 組み易さへの配慮と、模型としての表現方法という視点でパーツ設計を考えると、本当に設計者のこだわりには頭が下がる。プラモデル設計の面白さも実感できる商品となっている。この凄さは作ってみることでだれもが実感できるだろう。本キットは「最新のプラモデル」も提示している。

 ボリュームがあり、素組みでも3日ほどかかったが、じっくり組み立てるのが楽しいキットである。説明書通りに組み立てれば大きな本体に各部品を取り付けていくので部品をなくす心配が少ない。モデラーならば塗装を考えた組立ができるようにも設計されている。よく切れるニッパーや、簡単なゲート処理の知識、流し込み接着剤の使い方などプラモデル経験者の知識と技量は求められるため、プラモデルを組んだことがない人には難しいかもしれないが、道具をそろえ、丁寧な組立を心がければしっかり組み立てられると思う。

 繰り返すが、「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」は組み立てるのがとても楽しいプラモデルだ。組み上げることで実機への知識も深まる。この冬、ぜひ挑戦して欲しい。