レビュー

タミヤ「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」レビュー

リアリティと組みやすさを深く追及! 武装満載のビーストモードで組み立てる

【1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII】

12月17日発売

価格:9,680円

全長:約326mm

全幅:約222mm

付属品:デカール、マスクシール、カラー指示図面、マーキング指示など

 タミヤが12月17日に発売するプラモデル「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」は、「F-35Aのプラモデルの決定版」といえる商品だろう。全長326mm、全幅222mmのビッグサイズに、タミヤならではの精密な造型技術を活かしたディテール表現がぎっしりと盛り込まれている。模型を組むことで、F-35Aの特徴をしっかり学ぶことができるのだ。

 筆者はジェット戦闘機が好きで、ホビーショー会場のタミヤブースで、2016年の「1/48 グラマン F-14A トムキャット」や、2021年の「1/48 マクダネル・ダグラス F-4B ファントムII」の説明を聞きものすごく気になっていた。そして2022年のホビーショーでタミヤの新製品が「F-35A」であることを発表された時、「これはぜひ自分で組んでみたい」と思ったのだ。

 F-35Aは2015年から配備が開始されたまさに最新鋭の戦闘機で、日本にも2018年から配備が開始されている。ステルス技術や、ターボファンエンジン、センサー技術、データリンクシステムなどその機能は従来の戦闘機とは一線を画す、第5世代戦闘機に分類される機体だ。「この最新鋭の戦闘機をもっと知りたい」と思っていた筆者にとって、まさに想いが叶った商品だった。

 今回、発売に先がけてサンプルを作ることができた。実際に触れてみると「組みやすさの工夫」に驚かされた。パーツの分割、部品の合わせやすさ、組立手順などプラモデルだからこそ必要な工夫が盛り込まれており、本当に組み立てるのが楽しいプラモデルだった。今回はウォッシングによるスミ入れでディテールを強調し「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」を組み立てていきたい。

【「タミヤ 1/48 ロッキード マーチン F-35A ライトニングII」ユニット化されたパーツ構成を紹介!】

最新技術の塊、汎用性を持ったステルス戦闘機F-35Aの魅力

 プラモデルの前にまずF-35Aについて触れておきたい。F-35Aを含むF-35シリーズはアメリカ、イギリス、カナダ、そしてその同盟国による統合打撃戦闘機(JSF)計画で生まれた。

 この計画はアメリカの空軍などで使われるF-16、海軍で使われるF-18、地上攻撃機A-10、イギリスの垂直離陸戦闘機シーハリアー、カナダ空軍のCF-18などの機体の後継機を1つの機体のバリエーションでカバーしようという開発計画だ。

【ボックスアート】
「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」のボックスアート。迫力たっぷりのイラストだ

 つまり、高い空戦能力と爆撃能力に加え、空母に使用できるような短距離離着陸、さらに垂直離着陸性能までを1つの機体をベースに派生型で実現しようとするのである。そして何より求められたのが、最新技術の投入だ。レーダーに捕捉されないステルス技術、様々なセンサーを搭載しその情報を総合することで正確にパイロットに機体の状況や現在位置、敵の位置などを伝えるセンサーシステム、そして戦闘機の状況をその機体だけでなくバックアップしている部隊と共有することで、味方戦闘機同士、基地や空母が戦況を広範囲に、精密に情報を知ることができるデータリンク機能などが求められた。

 F-35は、「F-35A」、「F-35B」、「F-35C」のバリエーションで求められた能力を実現している。F-35Aはオーソドックスな通常離着陸型。高い搭載能力を持ち、対空能力に加え、対地用にも様々な武器を使用できる。固定武装として機関砲を装備、空中給油用の給油口を備えている。F-35Bは海兵隊の短距離・垂直離陸型。エンジンノズルを真下にまで向けることができ、コクピット後部のリフトファンと、左右の付け根の空気噴出口により垂直上昇やホバリングが可能だ。F-35Cは海軍の艦載型。主翼と尾翼が大型で、低速時の揚力を確保している。空母に搭載するため主翼には折りたたみ機構が設けられている。

【F-35A】
こちらは公式ページでの「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」の完成写真。塗装とデカールを使用することで実機さながらに組み立てられる

 今回のプラモデルのモチーフはF-35Aである。大きな特徴は従来の戦闘機と大きく異なるなめらかなラインを描くそのシルエットだ。これはレーダー波をそらすための形状である。垂直尾翼が機体に対し直角ではなく傾斜していたり、エンジンノズルや主脚格納庫にはのこぎりの歯のような鋭角的な形状となっているのも、レーダ波に捕らえにくくなる。

 さらにRAM(レーダー波吸収素材)を混合した塗料で機体を塗装している。そして機体全面に見られるクサビ状のパターンはパネルラインを覆うための帯状の部材だ。吸気口もレーダー波を反射しやすいフロントファンが正面から見えないように、インテークダクトをY字型に婉曲させることで機体中央にファンを配置している。

【デカール】
こちらは公式ページでのデカール写真
同梱されているデカールのアップ。デカールを塗装した機体に貼り付けることで特徴的なRAMコーティングを再現できる
各部隊のマーキングや機体に書かれたコーションマークなどデカールは非常に充実している

 F-35Aは戦闘機同士の空中での戦いだけでなく、地上への攻撃能力も期待されている。F-35Aは機体内部に兵装庫(ウェポンベイ)を備えており、ここに空対空ミサイルや、空対地のミサイルや爆弾を搭載、ウェポンベイを閉じておくことでステルス能力を持ったまま運搬可能、開くことで内部のミサイルや爆弾を使用できる。

 さらにステルス能力を重視しなければ、翼の下の兵装ステーションにミサイルを搭載することも可能で、様々な武器を装備した姿は「ビーストモード」と呼ばれる。ステルス性能だけでなく、多彩な武器を装備し様々な能力を発揮できるのがF-35の大きな魅力なのだ。

 タミヤ「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」は特徴的な機体形状や表面処理をモールドで再現、様々なセンサーをクリアパーツで表現している。そしてウェポンベイを開くことで現れる内部機構、さらに武装モリモリのビーストモードも楽しめる。プラモデルの魅力を語っていこう。

【カラーリング/マーキング例】
様々な国の機体を再現できるカラーリング例
こちらは部隊のマーキング例
カラーリング、マーキング例は充実しており、資料価値も高い。何よりも見ているだけでワクワクしてくる

大きな部品にパーツを組み付け、クリアパーツでセンサーを表現

 「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」の素組みとパーツ形状はこちらで確認できる。目を惹くのは大型の機体パーツ。機体上面を1パーツで表現している。これだけ大きいパーツを精密なディテールとしっかりした強度を持たせながら成型するのはかなりの技術が必要だろう。

 細かいパーツも多いが、実際に組んでみると細かい作業は意外に少ない。できるだけパーツ分割を減らし、組みやすいプラモデルを目指そうという開発者の想いが実感できる。組立にはよく切れるニッパー、流し込み用と通常型のプラモデル接着剤、ピンセット、ピンパイスなどが必要になるが、プラモデルとしての難易度は決して高くない。プラモデルを組み立てた経験がある人ならば、楽しみながら組み立てられるだろう。

【パーツ】
機体上部は1パーツで成型されている。大きいパーツながら、ディテール密度も非常に濃く、強度もしっかりしている
パーツの一部。大型のものが多く、組みやすさを重視していることがわかる

 本キットのセールスポイントは精密なディテール表現だ。特に機体全面に施されたパネルラインを隠すためのRAMコーティングは必見だ。こういったディテールはスミ入れをすることでくっきりと浮かび上がる。今回はウォッシングという、塗料を薄め液で薄くし、筆で大胆に塗った後拭き取ることで行うスミ入れを行っている。このスミ入れでRAMコーティングのパターンや、部品を止めるリベットなど、未塗装状態では確認が難しかったディテールが浮かび上がる。

【ディテール表現】
パネルラインをRAM(レーダー波吸収素材)コーティングしているF-35Aならではの機体表面を再現
内部表現もスゴイ情報量だ
ウォッシングによるスミ入れでRAMコーティングや、リベットモールドまでくっきり浮かび上がる

 もちろん色を塗って本格的に組み立てる人向けに、RAWコーティングや、各種コーションマーク、さらには様々な国の配備機を再現するデカールと、その指示やカラーリングパターンなどを紹介する資料も同梱されているので、モデラーの腕を存分に振るえるキットである。プラモデル初心者でも高い満足ができ、上級者ならばどこまでもこだわれるのだ。

 実際の過程と共に、より細かくプラモデルを紹介していこう。まず最初に行うのは「ピンパイスで機体に穴を開ける」という作業。ピンパイスというのは精密ドライバーのように細いドリル工具で、直径1mm程度のドリル刃を付けねじ込むように穴を開ける。穴を開けるのは機体の裏側にガイド用の窪みがあるので、とても簡単だ。この穴を使ってコクピット後部の部品や、ノズルの結合部分の部品を取り付ける。

 この時、「ドラッグシュート」と「RCSエンハンサー」という部品も取り付けられるのだが、これは"選択部品”となっている。ドラッグシュートは内部にパラシュートが収納しており着陸時にこのパラシュートで制動をかけることで着陸距離を短縮する装置。この装備はノルウェー空軍専用装備となっており、アメリカや日本に配備された機体にはついていない。

 RCSエンハンサーはわざとレーダー反射面を増やすための装置。訓練時などで機体を見失わないためのもので、実戦では取り外される。今回は両方とも取り付けることにした。ピンパイスで穴を開け、部品を取り付けるのが面白かったからだ。

【ピンパイスで穴を開け部品を取り付ける】
パーツの裏側にはガイド用の窪みがあり、ピンパイスで簡単に穴を開けられる
中央の膨らんだパーツがドラッグシュート。左右の小さな膨らみがRCSエンハンサー。どちらも取り付けるかは選択式のパーツだ。機体後部のノズル接続部分のギザギザも注目

 機体前面と中央にはクリアパーツを取り付ける。これがF-35の大きな特徴であるセンサーだ。F-35は機体各部にセンサーが取り付けられ、従来の戦闘機とは一線を画す情報収集能力を持つ。この最新鋭機ならではの特徴をプラモデルではクリアパーツで再現している。塗り分け用のマスキングシールも用意されている。

【クリアパーツ】
コクピット前後のセンサー部分にクリアパーツを使用

 続いてはコクピット周り。射出座席以外のスティックやスロットルなどを組み立てる。このコクピットを機体部品に取り付けた次は機体下部の組立に移る。機体下部で最初に作るのは「前脚収納庫」このとき前脚部分は接着しない。

【コクピットと前脚収納庫】
右にスティック、左にスロットルが確認できる
前脚収納庫もスミ入れで内部の構造が浮かび上がる
前脚収納庫を機体下部のパーツに接続

 機体下部の部品に前脚収納庫を付けた次に組み立てるのが、本機の特徴的な「エアインテーク」だ。ジェットエンジンは燃焼のために大量の空気を必要とする。このためにいかに効率よく空気を取り込むかが重要になっている。F-35の場合、エアインテークは空気を取り入れる工夫と共に、空気の流れを調節するファンブレードが機体正面から見えないように、機体の両側面からコクピットの後ろ側に空気を流しここでファンブレードに当てる方式をとっている。

 プラモデルではエアインテークを組み立てることで、機体正面からファンブレードが見えないようにしている工夫を実感できる。また空気の通路も単純な形状ではなく、曲がりくねっていることもわかる。より効率の良い取り込み方に加え、超音速飛行時でも空気を取り込める工夫なのだろう。最新技術が生み出した形状をこのプラモデルでは実感できる。

 前脚収納庫、エアインテークを組み合わせ、さらに機体上部のパーツと組み合わせることで、機体全体の前部分がしっかり組み立てられた。次ページではF-35Aならではのウェポンベイや主脚を収納できる機体下部を組み立てていこう。

【エアインテーク】
独特の曲がった形状を再現。後端にはファンブレードがつく
Y字型のエアインテーク。機体中央でファンブレードが回るので正面からはファンブレードが見えないようになっている