レビュー
「プラレールリアルクラス」レビュー
2023年6月21日 00:00
「最後の国鉄形特急車両」185系の「ここがリアルクラス」
185系の実車は国鉄時代末期の1981年に登場した。現在は「最後の国鉄形特急車両」として人気があるけれど、登場当時はそれほどでもなく、むしろ特急車両としての評価は低かったと私は記憶している。その理由は「他の特急車両と比較して快適性に劣っていたから」だ。とくに座席は特急列車で標準的だった回転式リクライニングシートではなく、転換クロスシート仕様だった。座席を向かい合わせにする場合は背もたれをパタンと前後に動かす方式だ。185系の設計は関西地区で「新快速」として活躍した117系が元になっている。
なぜこうなったかというと、もともと185系は伊豆方面の急行「伊豆」の車両を置き換える計画だったからだ。先代の「伊豆」は153系電車といって、背もたれが垂直で全席が向かい合わせの座席だった。この車両は普通列車としても運用された。だから転換クロスシートは急行列車としてはグレードアップとなるし、普通列車として運行すれば乗客としては「当たり」となる。
しかし、185系の設計着手後、国鉄は増収のため、急行「伊豆」を格上げし、特急「あまぎ」と統合して特急「踊り子」にすると決定する。こうして185系は「急行列車から普通列車まで運用する」ではなく、異例の「特急から普通列車まで運用する」となってしまった。本来は急行用の電車を特急と呼んだわけだ。特徴的な「斜めストライプ」の車体塗装は斬新で話題となったけれども、乗り心地は「あまぎ」の183系に劣った。
国鉄の分割民営化でJRが発足すると、185系はJR東日本が引き継いだ。JR東日本は特急のサービスを向上するために185系のリニューアルを実施する。「踊り子」に使われていた185系は1998年にグリーン車の座席が交換され、1999年から2002年にかけて普通車の座席も回転式リクライニングシートに交換された。塗装はアイボリーホワイトを主体に、東海道線のシンボルとなる湘南色(深い緑とオレンジ)をあしらった。
こうしてようやく、185系は「正真正銘の特急電車」になった。ただし、引退を前にして一部の編成は登場時の斜めストライプに戻されている。
前置きが長くなってしまったけれど、この知識を踏まえて「プラレール リアルクラス」の185系を鑑賞してみよう。最初に見てほしいところは座席だ。窓からでは少しわかりにくいので車体を取り外してみると、座席の間にアームレストがある。つまりリニューアル後だ。185系が特急として一人前になって、国鉄特急車両として人気を獲得した時期を再現している。現在の車両をモチーフにしているから当然ではあるけれども、この座席の再現はまさしく「リアルクラス」の証と言える。
塗装面では斜めストライプの塗り分けにも注目してほしい。普通車、グリーン車の窓回りもきちんと塗り分けられている。先頭車の特急シンボルマークのゴールドとシルバーの差し色もきちんと入っている。4両目はテールランプも明るい赤色だ。クリアパーツとなった運転席窓はワイパーが造形されて銀色に塗られている。ピラーは黒。座席の窓枠も銀色、クリアパーツ側もピラーを銀色に塗って再現している。
造形部分も細かい。ドアや非常扉コックカバー、手すり、車側灯(ドア開の時に赤く光る)、号車番号板受け、座席種板別受け、方向表示幕窓がキッチリと作られている。特に注目して貰いたいところは先頭車の連結器回りだ。1両目と4両目ではジャンパ栓位置が異なるため、造形が異なっている。よくぞここまでやってくれた、と嬉しくなる。
最後のページでは「プラレール リアルクラス 小田急ロマンスカー3100形NSE」を取り上げていく。







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