レビュー
海洋堂「ARTPLA エヴァンゲリオン2号機獣化第2形態ザ・ビースト」レビュー
2023年9月25日 00:00
どの角度から見ても見所のある迫力たっぷりの立体物
完成した「ARTPLA エヴァンゲリオン2号機」を様々な角度からチェックしていこう。やはり最初は頭部だ。ぐわっと口を開き、使徒にとどめを与えんとする必殺の遺志を込めた頭部、左腕で使徒に拳を打ち込み、続く右腕で追撃を与えようと振りかぶる筋肉の動き。この勢いある構図の中心にあるのが顔である。
さらに細部に目を向けていこう。首、胸、背中、腕、足首……目を向けるほど新しい発見や驚きがある。使徒を圧倒する2号機というイメージも楽しい。原作では主役である初号機に比べ、2号機はどうしても使徒の強さを印象づけたり、力及ばないシーンが多かっただけに、このイメージは斬新で楽しい。原作以上にパワフルで禍々しいザ・ビーストとなった2号機の表現は、使徒を圧倒する"説得力"を感じる。
倒された使徒を表現した台座も面白い。2号機が拳を打ち付け、踏みつけることで原作にはないイメージを膨らませてくれる。2号機の力の"受け皿"としての表現もまた注目である。
「ARTPLA エヴァンゲリオン2号機」は非常に斬新なプラモデルだと感じた。プラモデルはユーザーが完成させる"半完成品"の模型である。機能やカッコ良さを組み立てることで細かく知り、モチーフの魅力をより深く味わうことができる。「ARTPLA エヴァンゲリオン2号機」の場合は原型のこだわりに満ちたディテール表現、指の先から、足のつま先まで神経を通わせたポーズと、全体のシルエットを満喫できる。従来の"模型"以上にアーティスティックな原型師の感性に触れることができる商品だと感じた。
そしてやはりプラモデルとしての設計の見事さだ。極端で派手な構図のこの原型を、組みやすいプラモデルとしてパーツ分割するのはかなりの知識と経験が必要だと感じた。パーツがスムーズに組み合わさり結合することでザ・ビーストの力強いシルエットが形成されるのは驚きがあった。塗装も考えたパーツ分割も感心させられた。
本商品は作例の様に塗装して完成させるのはかなりの技術が必要だ。原型を引き立てるにはしっかりした塗り分けや部位ごとの質感の違いも求められる。しかし筆者は模型スキルが低かったり、プラモデル経験が少ない人にも「ARTPLA エヴァンゲリオン2号機」を手に取ってもらいたいと思う。今回の作例のように簡単なスミ入れだけでも吉良氏の原型の迫力を際立たせるだけで非常に見応えが増すし、無塗装でもその迫力をしっかり味わうことができるからだ。
「ARTPLA エヴァンゲリオン2号機」はガレージキットメーカーとしてその造形美でユーザーを魅了し続けている海洋堂が、プラモデルという手法でどんな未来を見せてくれるか、本商品はしっかりそのビジョンを感じることができる。多くの人に手に取って欲しいし、ぜひ組み立てて欲しい。
(C)カラー