レビュー

「Figure-rise Standard Amplified パイルドラモン」レビュー

2体のデジモンがジョグレス進化した姿をパーツの質感の違いで表現!ディテール&ギミック満載の逸品

【Figure-rise Standard Amplified パイルドラモン】

開発・発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:2024年9月28日

価格:5,500円

ジャンル:プラモデル

サイズ:全高約180mm

 今回レビューする「Figure-rise Standard Amplified パイルドラモン」は、2000年放送のアニメ『デジモンアドベンチャー02』で、2体のデジモンがジョグレスして進化した竜人型の完全体デジモンだ。エクスブイモンにスティングモンの甲殻をバランスよく組み合わせたビジュアルで、竜のパワーと昆虫の素早さ、甲殻の特徴を持つ。

 アニメでは主人公の本宮大輔のエクスブイモンと、物語序盤に敵だった一乗寺賢のスティングモンがジョグレス進化する激アツ展開で登場する。デジモンといえば進化シーンの演出がアツいが、その中でもトップクラスにかっこいい進化シーンとなっている。

 今回はBANDAI SPIRITSから9月28日に発売するプラモデル「Figure-rise Standard Amplified パイルドラモン」を素組みレビューで紹介しよう。2019年に展開がスタートした「Figure-rise Standard Amplified」シリーズでは多彩なデジモンを立体化している。原作をリスペクトしながら、キャラクターの魅力を“増幅”させたアレンジが特徴で、フォルムはもちろんプラモデル独自のギミックなどが追加されている。このパイルドラモンでも、Amplifiedされた部分に注目して見ていこう。

ボリューム感と翼パーツにワクワク感を煽られるキット!

「Figure-rise Standard Amplified パイルドラモン」パッケージイラスト

 まずはパーツ構成から見ていこう。バッとランナーを出すとこんな感じでボリューム感がある。中でも目を引いたのは翼を再現する大判のPETシートだ。細かく見るとデジモンらしい羽のボロボロ感まで再現している感じが伝わってきて作る前からワクワク感が増した。ランナーはA〜E2まであり合計10枚とシール、リード線、翼パーツとボリューム感のある構成となっている。

ランナー10枚とリード線3本、PETシートとシール各1枚がセット内容となる。
【キット内容】
武装系パーツで3色ランナーとなっている。
主に爪や羽などの枠パーツで鋭いパーツが多い。
外装パーツでこのランナーのみツヤありとなっている。
ボディパーツが多く黒いランナーとは対極的な筋肉感があるパーツが多い。
Aランナーとは微妙に違う緑色のパーツ。
シール、リード線3本、翼用のPETシート

パーツの質感でジョグレス進化を見事に再現

 早速パーツを説明書通りに組み立てていく。注目ポイントは、青色のエクスブイモンのパーツと黒・緑のスティングモンのパーツで質感が全く異なっているところだ。特にスティングモンの甲殻パーツは昆虫のツヤを表現しており、光沢がある。エクスブイモンのパーツは表面がマットとなっていて、そのコントラストでジョグレス進化によって2種のデジモンが混ざり合った感じを絶妙に演出している。

頭部パーツ全景。意外とシンプルなパーツ構成だ。
ツヤありパーツとマット感のあるパーツに分かれているため立体感が出ており頭部だけを見ても完成度が高い。

 胴体は筋骨隆々としたマッシブな造形にジャケットをまとったようなデザイン。ここでもパーツの質感の違いが生きてくる。

首元、腹は筋肉が表現されているが、胸のアーマーはメカメカしいディテールとなっている。このギャップが再現されていることに感動した!
上半身が組み合わさると逆三角形のかっこいいスタイルが完成する!

 手足は「Figure-rise Standard Amplified」で特にアレンジされた部分だと感じる。手は大きく攻撃的なシルエットとなり、手先から上腕まで鋭角的なデザインが追加されている。脚は膝下が長いプロポーションとなり、メカニカルなディテールや赤の差し色が入って引き締まった。

肩パーツはトゲトゲしさと機械的なパーツで構成されている。
手は構成パーツが非常に多い。各指の可動や爪と装甲の色分けがパーツ分けで再現されている。
可動域が広くこのキットの特徴的なパーツとなっている。
腕とスパイクはシンプルに作れるが細かいモールドとツヤ感でメカメカしさがアップしている。
上腕部は肉感があり、質感が非常に素晴らしい。
腕全景。腕だけでも相当な大きさとなっている。
この完成度と質感の高さでうまく竜と昆虫がジョグレスしている感じが出てきている。
足部分も細かくパーツが分かれており、踵は機械のようなデザインとなっている。
脚部全景。脹脛の白い棘がアクセントになっている。
腰はシンプルな作り。筆者の組んだキットでは付け根の可動が少し硬かったのでポージングで動かす際には注意したい。
尻尾はリード線を通す仕組みとなっている。かなり自由度が高い作りだ。

 各部のパーツが完成したので本体を組み上げる。並べてみると質感の違いがよく出ていて、この時点でかなり満足感の高いキットだと実感できる。

一旦ボディ部分がすべて完成。
組み合わせてみるとこのようなプロポーションとなる。トゲトゲしい感じが見事に再現されている。

もう一息!生体砲と翼の組み立て

 残りは必殺技『デスペラードブラスター』を放つ武装「生体砲」と翼を作れば完成だ。ボディを作るところまでで結構時間がかかったがもうひと踏ん張り!あの腕を組んだ後はすんなりと武装を作っていけるだろう。ベルト状の部分を組み合わせていき、シンプルな砲身部分は挟みこめば作れてしまうのだ。翼も簡単に組めるようになっている。クリアシートに細かい穴が空いているのだが、デジモン特有の翼のダメージ表現が再現されているのが個人的には良かった。

羽は台紙からゆっくり剥がす。PETシートは紙製のシールほど脆くはないので必要以上に丁寧に剥がさなくても大丈夫だ。
クリアな感じとテカリがいい質感を出している。
すべて組むとそこそこの大きさで迫力が出てくる。
武装の生体砲は砲身の伸縮ギミックを搭載。Amplifiedオリジナルギミックの合体機能は後ほど紹介しよう。
スパイクの射出用リード線はそのままだとかなり長さがあるので好みに応じてカットしても良い。

ジョグレス進化!パイルドラモン!

 以上で「Figure-rise Standard Amplified パイルドラモン」が完成した。全高は約180mmのキットだが、なかなかのボリューム感なので完成までは撮影含めて4.5時間ほどかかった。しかし、この完成度と大きさには大満足!武装や翼も動かせて、完成後も遊べる幅が広いと感じた。

まずは正面から。
後ろ姿もかなりの勇ましさがある。翼の可動も広く様々な向きに変えることができる!
パイルドラモンといえばこのポージングである!広い可動域によって、渡辺けんじ氏によるオリジナルイラストのバランスをしっかり再現できるのは嬉しい。

 Amplifiedオリジナルギミックとして、武器の生体砲は合体ギミックを搭載している。砲身の伸縮ギミックも合わせるとかなりのボリュームとなり迫力がある。本来両脇に構えていた武装が片側に寄るので、見た目の印象も大きく変わるのが面白い。

生体砲はもちろん前方に構えることもできる。五指の可動で砲身をしっかりと握る構えがとれる。
砲身部分を伸ばすと迫力がさらに増す!
砲身を合体するAmplifiedオリジナルギミック。銃火器感が出て、別の雰囲気を出せる。
連結した生体砲は本体を上回る全長でまさに重火器という印象。
スパイク射出はリード線に保持力があるのでポージングを取りながら飾ることもできる。
羽の可動域が広いおかげで空中戦でのポージングも様になる。
アップでの迫力も抜群!

作る前も作った後もボリューム感のあるキット!

 パーツを一つずつ組み上げていき、組み上がったパーツの完成度の高さを実感しながら作ることができた。今回の「Figure-rise Standard Amplified パイルドラモン」では、パイルドラモンが2種類のデジモンが合体するジョグレス進化で生まれるデジモンということもあり、プラモデルでも質感の違いでその混ざり合った姿を再現しているのが印象的だった。

 組み立ての途中、パーツ単位で見ると細かなアレンジが入っており、竜人型デジモンらしい攻撃性が特に強調されているように感じた。すべてのパーツを合わせてみると、不思議とオリジナルのデザインに忠実なシルエットになるという絶妙なバランス感覚で設計されており、デジモンファンには嬉しい限りだった。組んだ後の遊びも実に多彩で、様々なポーズや武装のバリエーションの組み合わせができるので、完成済みのフィギュアを動かすように遊ぶことができる。

 Figure-rise Standard Amplifiedシリーズはデジモン作品のバリエーションも多く、パイルドラモンの進化形態であるインペリアルドラモンなどのラインナップも充実している。ぜひ他の作品も組んでみたいし、今後のラインナップにも期待したい。