特別企画

【静岡商談会】未発売の新車がモチーフ! タミヤ「1/10 電動RCカー トヨタ GRヤリス」が登場!

トヨタ担当者もM-05シャーシ採用でそのスタイリングに大満足!!

7月1日、2日開催



会場:
静岡ホビースクウェア
タミヤ本社

 7月1日と2日、静岡ホビースクエア及び、タミヤ本社にて流通業者、メディア関係者を招待する「商談会」が開催された。各社が会場発表の新アイテムを続々と披露する中、タミヤがサプライズで何を出してくれるのか非常に楽しみだった。ミニ四駆の「GRヤリス」が発表されていたからあるいは……というかすかな期待を抱きつつタミヤ本社に赴いた。

静岡ホビースクエアからタミヤ本社まではこちらのバスで移動。もちろん念入りに消毒して密にならないように着席

 タミヤ本社で筆者の目の前に飛び込んできたのは、実車の「トヨタ GRヤリス」。「そしてこちらがラジコンのGRヤリスです」と紹介されて1/10スケール版でありながら実車さながらのスタイリングをした「GRヤリス」の姿が!

6月30日で”1st Edition”の予約が終了してしまったGRヤリスの実車がタミヤ本社内に!

 ここで「トヨタ GRヤリス」について簡単に触れておこう。「GRヤリス」はトヨタ自動車が参戦するWRC(世界ラリー選手権大会)に”勝つ”ために生み出したトヨタ完全オリジナルスポーツ4WDという究極の"戦闘機"である。

 WRCで活躍した「セリカGT-FOUR」をルーツにGRヤリスでは「GR-FOUR」という新設計の4WDシステムを開発。新開発スポーツ専用エンジンG16E-GTSは1.6リッターという小排気量なエンジンにかかわらず、ターボで加給することで272psを発生する。1,280kgという計量コンパクトなボディをこの馬力で疾走するのだ。スペックの数値だけでもどれだけ運動性能が高いかがうかがえる。

 WRC参戦においては”ホモロゲーション”という認証を取らなければならない。WRCに参戦する車は"市販車"でなくてはいけないという大原則があり、参戦する車両に関しては(ごく簡単に説明するが)”元々装備している機能からあまり変更できない”という規則と、しかもその仕様である程度の台数を製造・販売しなくてはならないというルールがある。

 トヨタはそのホモロゲーション取得のためこの「GRヤリス」を企画・開発、そしてWRC参戦するためのチューニングを施して実際に販売することまでやってのける会社だ。通常は市販車をカスタマイズしていくのだが、「GRヤリス」はレース用の車を最初から設計し、それを市販するというそういうことができるメーカーなのだ。そういったところからもその販売台数はどうしても少なくなってしまうのだが、担当者からそんなストーリーを聞いてしまっては”数量限定””特別なモデル”が欲しい筆者は実車が欲しくてほしくてたまらなくなってしまった。

 そして今回タミヤとトヨタが共同で電動RCカーを開発。タミヤのRCといえば膨大なジャンルを網羅しており、オフロードバギーやフォーミュラカー、戦車にトラックそしてこういった実車に忠実なモデルも多数発売している。タミヤといえば”RCカー”のイメージの方も多いのではないだろうか。

 さらにRC向けにとてつもない数のパーツが揃っており、単に組み上げて走らせるだけでなく軽量化してサーキットでのタイムアップを狙ったりカッコイイドリフトを決めてみたりと自分が目指したい方向へチューニングするパーツがどんどん提供され続けている。読者の中でもモーターを高出力のものに変えてみたり、サスペンションをオイルダンパーとスプリングの固さを変えて路面への追従性を上げる、ボールベアリングを変えてスムーズに動くようにしたりしたことのある方もいらっしゃるのではないだろうか。

オンロードモデル「トヨタ GRヤリス」。ボディーを固定するピンが目立たない秀逸なデザインでこのまま部屋に飾ってもよいレベル

 タミヤのRCカーといえばそのシャーシ(車体の骨格となる部分)のラインナップも相当数あり大きく分けただけでも25種類に上る。より細かい派生種を加えるとその何倍にもふくれあがる。今回の「GRヤリス」に採用されるのは「M-05シャーシ」とのこと。

 「M-05シャーシ」は数あるシャーシ群のなかでも小型でコンパクトな車両を再現するのに適している。樹脂製セミモノコックフレームのフロントにモーターを搭載して前輪を駆動する。さらに低重心化も実現して走行性能を高めている。4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションは接地性にすぐれ、コーナリング時も高い安定性を発揮する。ただ前輪駆動のシャーシなので実車の4WDシステム「GR-FOUR」を有する「GRヤリス」の忠実な再現はできていないがその軽快な走行性能は十分に期待させるものだ。

「M-05シャーシ」の採用で実車を忠実に再現。筆者は毎度そのポリカーボネイト製のボディパーツの成形精度の高さに驚かされる。

 ここでトヨタ自動車サイドの担当者とお話しすることができた。様々な選択肢がある中こうしてタミヤと協業することによってクルマの窓口を広げたい、と語る担当者はトヨタ内の「トヨタRCカークラブ」のメンバーだそう。今回発売前の「GRヤリス」をミニ四駆とRCで(特にお子様に)展開できることで裾野を広げたいという。

 実車の「GRヤリス」はWRCレースカーのベース車両を提供したいという思いで作られ、WRCレギュレーション(規則)に対応するためにベース車両としてボンネットなどはアルミ、ルーフはカーボンにするなど軽量化を施すなどできる限りレースカーと同じような仕様でホモロゲーション(認証)を取得するためだと熱く語ってくれた。

WRCに”勝つ”ために生まれた「GRヤリス」

 現在はWRCドライバーが発売前に各地でテストを継続中であり「GRヤリス」は完成車両の精度を上げるために専用工場で作られているとのこと。RC版を見つめながら”フロントのエアロパーツなどが実車とまったく同じスタイリングで素晴らしい”と語ってくれたのだがトヨタ担当者が褒めちぎっているのは間違いがないということだろう。実車と同じスタイリングということは同様の空力効果も期待できるということだ。

 さらに実車「GRヤリス」にはFF(前輪駆動)でCVTバージョンが登場予定、しかもボディはこの「GRヤリス」と同じものとのことで、「M-05シャーシ」を採用するRC版「GRヤリス」と同じものということになる。そちらも期待したい。

 今回筆者ははじめて”タミヤ本社”に来ることができた。会場にはもちろんタミヤの説明員が立っており事細かに熱く解説してくれる。模型で有名な静岡県はこうやって支えられているのだという実感を得ることができた。

 そしてショールームには今回の「GRヤリス」の実車(しかも発売前!)が”商談会”という一般には解放されないイベントのために展示されたりなどタミヤとトヨタが協力していかに盛り上げていくかを考えているのかが感じられ、模型ファンのはしくれの筆者もニコニコが止まらなかった。タミヤ本社には資料コーナーもあり、あえて大昔と書かせていただくがタミヤが歩んできた模型への情熱も感じることができるすばらしい場所だと感じられた。一般開放されたら1度行ってみることをお勧めしたい。