特別企画

超絶技巧のレゴブロックモデルが大集結したイベント「海老ブリ」をレポート

 海老ブリのみどころを各種紹介してきたが、実はこれらは特殊なジャンルに近く、レゴブロックでスタンダードな作品ではない。レゴブロックで人気なのは建物や電車、車などの乗り物である。

 海老ブリで気になった作品としては、「角材屋とカフェ」、「緑青の屋根の住居」という2作(REI作)だ。ファサードの細かいディテールが素晴らしく、「ヨーロッパに行なったらこんな建物あるんだろうな」と、旅先の情景が目に浮かぶようだ。また、中まで作り込んであるので、来場者に内観を見てもらうこともできる。子どもたちが「凄い!」を連発するのもうなずける作品だ。

 ジオラマとしては「海峡の記憶(かもなん作)」が、平面のジオラマではなく、海上と海中を表現している点が面白かった。これにより、きちんと船底を作ったり、海中に魚を配置したり、さまざまな表現が必要になる。意外と海を表現するブロックだけでも結構消費するので、手の込んだモデルだったりする。

【多彩な作品】
ミニフィグスケールの建物は、レゴブロックで一番人気ともいえるジャンル
さりげなく盛り込まれた海面の気泡が面白い
一瞬、リアルな写真に見えるくらいトレインは情景モデルの素材として素晴らしい効果を発揮する
トレインもレゴブロックの人気ジャンル。オレンジ色の車体の前面など、とにかく作り込みが凄い
トレインもレゴブロックの人気ジャンルで、仲間が集まりより大きなジオラマを生成できる
車のならレゴブロックのスタンダードサイズである「4幅」の作品が凄い。Tamotsu氏が仲間と作り上げる「カーショウ」は必見

 海老ブリの感想として、まずひとつは「若い力」を感じるイベントだった。これまで、たくさんの有名アマチュアビルダーが技巧を凝らしたモデルを作っていたが、年齢とともに寡作になっていく。そこへいくと、若い子たちのありあまるパワーと情熱は凄い。好きなものに熱中し、何時間もモデル制作に打ち込むのは、自分が忘れかけているものだ。イベント自体も、若い子が主体となって開催したところにも意味があるだろう。

 ふたつめは、創造力を刺激させるイベントであることだ。レゴブロックの商品は、あくまで量産品である。利益を出すためには、より効率的なモデリングも必要だろう。そこへいくと、海老ブリの作品群は、作者が持てる限りの資材と時間を能力をつぎ込んだワンオフだ。そんな作品群を見せられたら、クリエイターとしての資質を持つものなら、刺激されないわけがない。自分も、久しぶりにレゴブロックでオリジナルロボを作ってみようかな……と思わせてくれた。素晴らしい企画をありがとう!