特別企画

超絶技巧のレゴブロックモデルが大集結したイベント「海老ブリ」をレポート

あの宇宙戦艦からまで、ハイレベルなアマチュアビルダーの作品を見よ!

10月17、18日開催



会場:海老名市民ギャラリー

 レゴブロックのオリジナルモデルを作るアマチュアビルダーたちが集う「海老名ブリックカンファレンス2020(通称海老ブリ)」が、10月17,18の2日間に渡って開催された。国内外のレゴブロックイベントが中止や延期になるなか、久しぶりに開催されるイベントとあり、LEGOファンにもかなり注目されていたと思う。

 とはいえ、海老名という地理的条件だけでなく、昨今のご時世を考えると、来場に二の足を踏んだ人もいるだろう。そこで今回は、「TVチャンピオン レゴブロック王選手権」で準優勝した僕が、レゴ作家の視点からジャンル別にイベントのハイライトをご紹介したいと思う。

弁当やライブ会場……様々なものを表現する“再現モデル”の数々

 入場してすぐに目に入るのが、レゴブロックで作られた「海老ブリ」のイベントイメージモデルである。神々しく上段に鎮座するのは、レゴブロックでできた「鰤」。積分などの技術で作られたモデルの大きさやリアルさは、「すしざんまい」の木村社長が抱えていそうなほど。LEGOの部分も、「海老」のモデルや「水の呼吸」してそうな形のモデルがあり、入場した子どもたちの目を釘付けにしていたのが印象的だ。

 このように、実物のモデルをレゴブロックで作るものを「再現モデル」といい、誰もが自分の「好き」をカタチにして楽しんでいる。今回の海老ブリで僕が注目したのは、「シュウマイ弁当(マンティス作)」と「Mr.Children Dome Tour 2019『Against All GRAVITY』よりロードムービー(むっち作)」だ。

【再現モデル】
入り口の作品からフルスロットルといった「海老ブリ」のイメージモデル
「シュウマイ弁当」では車のレバーパーツを埋めん込んだ「ごま」表現も凄い!
並べるのが凄く大変そうな超満員の観客席「Mr.Children Dome Tour 2019『Against All GRAVITY』よりロードムービー」。いったい何人いるんだろうか

 「シュウマイ弁当」は、緑色の梅干しを「スターウォーズ」の人形の頭で表現しているところが絶品である。個人的には、醤油のボトルもツボだった。一日で作ったとは思えないクオリティだが、意外と「これだ!」と思いついて勢いで制作したものは、完成度が高かったりする場合もある。作者のノリノリで制作した姿が目に浮かぶようだ。

 逆に、ミスチル作品は「自分の好きなミスチル」を再現したい気持ちが頂点に達して制作したモデルと言える。普段は建物系を作ることの多いとのことだが、五ヶ月かけてゆっくりと作りあげたそうだ。とにかくライブの臨場感が再現されていて、演者だけでなく、観客にも魂が宿っているようだ。

【再現モデル】
のび太の家も子どもたちに人気。個人的には手前ののび太とドラえもんがジワジワくる
大人気の「鬼滅の刃」の2D作品。ブロックだからといって必ず立体である必要はないのだ
パーツを少しづつずらすことで、イノシシの身体を表現。年賀状に使いたいモデル……いや使っているハズ
有名な絵画を立体化。2Dを3Dにするアプローチはアニメキャラなどに多いのでかなり新鮮だった

ロボや戦艦、SFメカはもちろん、正義のヒーローまでも再現「SFモデル」

 レゴブロックで再現モデルといえば、もっとも熱いのがSF系作品の立体化である。僕もGAME Watchに「宇宙戦艦ヤマト2002愛の戦士たち」で登場した「機動甲冑」を掲載したこともある。

・筆者が作ったSFモデル
https://game.watch.impress.co.jp/docs/kikaku/1242792.html

 今回の海老ブリで注目したのが、映画「ブレードランナー」の1シーンをジオラマ化した「ポリススピナーの離陸(KABA作)」だ。実は本作は一度見たことがあるのだが、見る角度によって情景が変るので、何度も見ても新鮮だ。ポリススピナー自体に出色の出来映えだが、空中浮遊するシーンを再現したことが素晴らしい。

 またアニメ系ロボからは、来年こそは新作が公開されるハズの、あの作品から「汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン二号機(ヤッホー氏)」が登場。劇中さながらの躍動感がにじみ出ていて、エントリープラグ内のアスカの動きすら見えてくるようだ。

【SFモデル】
雨を降らせたくなってくるくらいリアルな「ブレードランナー」の世界
この脚の角度がたまらなく、二号機っぽくて好き!
レゴブロックだけでなく、さりげなくガンダムコンバージが使われているのも面白い
テクニック系のパネルパーツの表裏を使うことで基地の壁を上手に表現している

 宇宙戦艦も大人気で、二人のアマチュアビルダーが腕を競っていた。ひとつが「地球連邦宇宙軍前線基地E-5(PEN2nd作)」と題された作品で、「アーガマ」と「サラミス(サラミス改かな?)」がコロニーの残骸を使った基地にいるシーンをモデリング。戦艦のディテール表現も秀逸だが、鉄道のレールを天蓋に使うアイデアが素晴らしい。

 連邦があればジオンもある……というわけで、「出撃準備(くぼっち作)」と題された作品には、グワダンとファルメルの2隻がスタンバイされていた。このように宇宙戦艦を作る場合、スロープパーツなどを多用しがちだが、先端部分をプレートの積分でラインを付けるあたりの技術が光るね。

【SFモデル】
ウルトラマンだけでなく「スペシウム光線」まで作るのが「好き」の証
モビルスーツやモーターヘッドは、レゴブロックの世界でも制作したくなるモデル
ポケモンは大きくつくるよりも、小さく作ってバリエーションを楽しみたい。ピカチュウはアメリカの映画バージョンかな?