特別企画

【年末特別企画】HOBBY Watchライター陣が選ぶ2020年オススメ「鉄道ホビー」

 こんにちは。鉄道ライターの杉山です。HOBBY Watchでは鉄道模型のジオラマに注目した「鉄道ジオラマ旅情」を書いております。みなさんのレイアウト作りの参考になる情景を探しつつ、個人では難しい大型レイアウトのダイナミックな風景、仕掛けの楽しさ、作り手の思いをお届けできたらいいなと思っています。鉄道模型は沼の際で立ち止まっています(笑)。そんな中で、手に入れた「鉄道ホビー」アイテム3つをご紹介します。

2020年オススメ「鉄道ホビー」その1:「フローティングモデル銀河鉄道999」

発売日:2020年8月
価格:5,980円(税別)
全長:約260mm
メーカー:ノエルコーポレーション

【フローティングモデル銀河鉄道999】
こちらはメーカーの完成品写真です

 鉄道ファンなら、というより、40代以上の男の子(笑)ならほとんどの人がご存じの「銀河鉄道999」。機関車+客車1両のセット。磁石の反発力を応用して斜めに浮き、発車シーンを再現する。専用ディスプレイ台がついている、というより、構造上、このスタンドが無いと浮かない。

 ただし車両はNゲージサイズだから、車両のみ自作レイアウトの駅などに置いて楽しむこともできる。車輪部分が別体パーツとなっており、車輪や車軸、ロッドなどを塗装しやすい。劇場版の鉄郎、メーテル、車掌さんを描いたクリアスタンド付き。飾った場合のサイズは幅290mm×奥行き82mm×高さ90mmくらい(実測)だった。

 オススメの1番の理由は「浮く」というアイデアの面白さ。2番はデスクトップに置ける手頃なサイズ。3番は価格。「銀河鉄道999」については、過去にプラモデル、Nゲージ鉄道模型などたくさんの商品があった。Nゲージ鉄道模型はマイクロエースから基本編成と付属編成の分割でセット販売され、フル編成で定価4万円前後だった。

 しかも市中に在庫がなく、ネットオークションで高額で取引されている。そんな中での新アイテム発売がとても喜ばしいことだ。飾り物の相場感には疎いけれども、約6,000円という価格はNゲージ製品に手が出せなかった私には手頃で、GAME Watchの紹介記事を見てすぐに予約購入した。

 当初は「一部組み立て仕様」を見落としており、開封時に違和感があった。組み立てるならじっくり取り組みたいと思いつつ時間を作れず。私の机の上では車輪無しのスリーナイン号が浮かんでいる。完成品を売ってくれたらいいのに、と思ったけれど、車輪を銀色に塗装するならこのほうが親切だ。ナンバープレートはシール式で「C62 48」。これは原作漫画と劇場版の車体だ。現在、設置場所含めてもっとも手軽に楽しめる999号として、同作品のファンにオススメしたい。

【フローティングモデル銀河鉄道999】
買ったまま手つかずで埃を被ってしまった……飾りケースも買わなきゃ。
別体パーツは色を塗りたい
上半分の灰色は台座に貼るシール、下半分の黒色は機関車に貼るシール

2020年オススメ「鉄道ホビー」その2:「クモル145形クル144形配給電車 2両セット (JR西日本仕様)」

発売日:2020年12月11日
価格:7,800円(税別)
全高:約100mm
スケール:1/80
メーカー:天賞堂

2両編成で販売。先行して国鉄仕様、JR東日本仕様も発売されていた

 天賞堂が2020年から展開する「T-Evolution」シリーズの第2弾。HOゲージ(軌間16.5mm)。プラスチック製のディスプレイモデル。走らせたい場合は別途動力化パーツ(2,800円税別)と車輪キット(2台車分1,200円税別)が必要だ。配給電車は鉄道車両の部品を車両工場へ運ぶために使われる。大型部品を載せるため、トラックのような平台の姿が特徴だ。形式名の「ク」は運転台付き「モ」はモーター付き、「ル」は配るの「る」に由来する。101系通勤電車を改造したため、運転台は昔の山手線などの「国電」にそっくりだ。

 鉄道模型の主力市場は1/150サイズのNゲージ(軌間9.0mm)だ。レイアウトのサイズも小さくなり家庭向きと言える。一方、歴史の長いHOゲージは「趣味の宝石」と呼ばれるほど高価で、いわば富裕層の趣味だった。現在も天賞堂の看板商品ともいえる真鍮製蒸気機関車は1台40万円前後、電気機関車も1台10万円以上だ。低価格帯のプラスチック製品でも5万円台以上になる。

 そんななか、天賞堂が「手軽にHOゲージを楽しんでほしい」と意図したブランドが「T-Evolution」シリーズだ。1台あたりの価格は4000円以下と従来の1/10程度。動力はなく鑑賞用だけど、別売りパーツで走行可能となっている。

 HOゲージに手が出ない理由は価格の他に「走らせる場所が無い」だ。長編成の列車が似合うレイアウトを作るには1部屋まるごと使うくらいの面積が必要。しかし、近年は自分の車両を持ち込んで楽しめるレンタルレイアウト店が続々と誕生した。荷台にアメ玉を満載するとか、メッセージカートを立てて走らせたらおもしろそうだ。そんな遊び心を手軽に実現できる車両としてオススメの車種といえる。筆者の友人が経営するカフェもHOゲージの線路があり、そこに持ち込んで走らせようと思っている。

【クモル145形クル144形配給電車 2両セット】
通勤電車を改造し、運転室部分を残している
荷台はトラックのよう。リアル志向なら台車やパンタグラフなど備品を載せる。菓子や玩具を積むとパーティーの立役者(?)

2020年オススメ「鉄道ホビー」その3:「もちてつ!【ドクターイエロー 923】 新幹線型モバイルバッテリー(充電器) 6700mAh」

発売日:2020年1月21日
価格:6,600円(税込)
全高:約205mm
メーカー:フェイス

充電時はテールライトが点灯

 鉄道模型そっくりなモバイルバッテリー「もちてつ」のドクターイエロー新幹線。JR東海の商品許諾・監修もあって、観賞用模型としても楽しめる。2016年に登場した3200mAhからバッテリー容量をアップした改良版として今年1月に登場した。コネクタは車両後部にあり、充電側はmicro USB Type-B コネクタ、放電側はUSB Type-Aコネクタ。インジケーターランプは車両先頭部に仕込まれており、充電中はテールライトが赤く灯り、満充電になるとヘッドライトが白く輝く。さあ出発だ! という感覚でおもしろい。

 乗り鉄の私にとってモバイルバッテリーは必要不可欠なアイテムだ。スマートホンを手にする前は、列車に乗っても車窓に集中しておりスマホなんて使わないと思っていた。しかし、いざスマホを使ってみると、地図アプリで山や川の名前を調べられるし、乗り換え検索も時刻表をめくるより便利。使いこなすウチに、GPSを使った速度計アプリ、車内の静粛度を調べるために音圧チェックアプリを使うようになった。もちろん写真も撮る。そうするとどんどん充電容量が減る。そして困ったことに、IC乗車券をスマホに入れて使っているから、電池が切れると駅から出られない。

 そんなわけで、さまざまなモバイルバッテリーを試してきた。その中でもっともおもしろいネタが「もちてつ」だった。鉄道会社監修で実物ソックリだから、かえって玩具感も低めだ。飲食店のテーブルに置くにはちょっと恥ずかしいけれど、列車の窓辺に「もちてつ」を置けば、車窓が流れて走っているように見える。そして、鉄道車両を模したスティック形のデザインが意外にも便利。カバンの中に縦に置けるから隙間に入るし、出し入れしやすい。意外と実用的でオススメです。さりげなく鉄道ファンをアピールしましょう。

【もちてつ!【ドクターイエロー 923】 新幹線型モバイルバッテリー(充電器) 6700mAh】
充電時はテールライトが点灯
満充電でヘッドライト点灯
JRマークや車体番号もしっかり再現されている

 上記のほかに買ったものは、トミーテック「鉄道コレクション」の「東急3450形」。これは乳児の私が初めて見た電車。鉄道趣味の原点ともいえる車両です。買わずにはいれられませんでした。ただ、私の思い入れが強すぎて、読者諸兄へのオススメという点で対象から外しました。

 欲しいものは、ノエルコーポレーションの「Nリニア」。Nケージサイズのリニア中央新幹線で、実物と同じように磁気浮上式で走ります。山梨県の「どきどきリニア館」で展示されていました。これは自宅で走らせてみたい。実は2015年に発売された「リニアライナー」も持っています。

2020年オススメホビー記事!

 自分の執筆した中でのオススメ記事は、“【特別企画】杉山淳一の「鉄道ジオラマ旅情」、第4回:山梨県都留市「山梨県立リニア見学センター どきどきリニア館」 猛スピードで走るリニア、どうやって動かしている?”です。

 ものすごく速く走るリニアモーターカーの走行と、トラバーサーを使って常に左側通行になっている仕組みについて、鉄道仲間から「そうなってたんだ!!」と驚き、お褒めの言葉をいただきました。バックヤードを取材させていただいて感謝です。

 2020年は旅に出づらい1年でしたが、HOBBY Watchの読者の皆さんとご縁があり嬉しかったです。2021年はついに小田急ロマンスカーミュージアムがオープンします。楽しいジオラマの世界をお届けできるよう頑張ります!!