特別企画
タミヤのRCカーに挑戦! 初めてのツーリングRCカー「NSX」は初心者でも安心の操縦性でいきなりサーキットを快走!
2021年9月8日 00:00
RCレースがより多く行なわれる「ツーリングRCカー」に挑戦したい! そう考え筆者はニューマシン「1/10RC NSX (以下、「NSX」)」を導入した。前回組み立てを行なったマシンを、いよいよ実際にコースで走らせてみることとなる。
ツーリングRCカーは舗装されたコースを高速で走ることを目的として設計されている。今回「NSX」でその特性を実感することができた。「コミカルアバンテ」での経験も活用し、高性能なレーシングマシンを自分が操縦し、すごいスピードでコースを走り抜けているような感覚を味わうことができた。
実車ではとてもできないような急減速や急ハンドルによるスピンなども経験しながら、徐々にマシンのポテンシャルを活かした走りができるようになる楽しさ。マシンを操るコツがわかってくる面白さ……改めてRCカーの楽しさが実感できたと思う。今回はカメラをマシンに積んでの撮影も行なってみた。この独特の走行感も見て欲しい。
そしてもう1つの「カスタマイズ」も紹介しようと思う。修理からより操作しやすくするための新パーツの導入、マシンをアップグレードする楽しさも語っていきたい。
自分の手でレーシングマシンが走り、コースを周回する楽しさ!
前回、新しくタミヤのツーリングRCカー「1/10RC NSX (以下、「NSX」)」の購入から組み立てを行なった。レースでも多く走っているTT-02シャーシを利用したRCカー初挑戦だったが、簡単に完成させられた。実車はとても手の届かない高級スポーツカー「NSX」なので眺めてだけでも楽しいが、やはりRCカーは組み立てたら自分の手で思う存分走らせたい。
そこで今回は実際にいつも利用している「タムタム大宮店」の屋上サーキットで実際に「NSX」を走らせた模様を中心にお届けする。
「NSX」は、これまで筆者が走らせていた「コミカルアバンテ」に対し、ホンダのスーパースポーツカーを1/10スケールで再現したスポーティな車体だ。それだけで「速そう」、「でも操縦が難しそう」と思われるかもしれない。筆者も、最初に「コミカルアバンテ」をサーキットで走らせた時は真っ直ぐ走るのも難しかった記憶があり、内心ビビりながらのシェイクダウン(試走)となった。
だが実際にサーキットを走り出してみると、ストレートでは安定して真っ直ぐ走れるし、減速してのコーナリングもスムース。オーバースピードでアクセルを戻した時もブレーキが利いてピタッと停まれる。RCカーを離れて操縦しているが、アクセルやハンドル操作のレスポンスがとても良く、まるで自分が乗って運転している感覚に近いと感じた。
初めての走行、しかも夜間にも関わらずとても操縦し易い、というのが第1印象だ。「コミカルアバンテ」ではモーターなど色々なカスタマイズを行なって走り込んでようやく1周28秒台だったものが、「NSX」では走り始めて最初から28秒を叩き出せたのだ。TVで見るレースカーのようなハイスピードと激しい挙動、1/10スケールのRCカーだからこその、サーキットでスポーツカーを操縦する楽しさを味わう事ができた。
組み立てもスムーズだった「NSX」のシャフトドライブ方式の四輪駆動メカは、走りの面でもやはり初心者でも扱いやすい安定性を兼ね備えていると感じた。これはサーキットを走る為に適した設計が為されているからだと思われる。
ここでツーリングRCカー「NSX」の元になった実車のホンダNSXについて語らせてもらいたい。「NSX」は「人間中心のスーパースポーツ」を標榜しているスポーツカーだ。今回のRCカーの元になったタイプは2代目だが、初代NSXは「乗り手を選んだり、乗員になんらかのガマンを強いたり、ねじ伏せてこそスポーツカーという風潮」に対して、「高性能と快適性が高次元で両立した快適F1」を目指して開発された。(ホンダ公式サイト「語り継がれる思い Vol.1 NSXヒストリー コンセプト」より)。
初代「NSX」が世に出た30年前、F1ドライバーの中嶋悟氏が「NSX」のオートマチックトランスミッション(AT)車は、マニュアルトランスミッション(MT)車よりもマイルドな走行性能(AT車が265馬力、MT車は280馬力。AT車はパワーステアリング仕様)でありつつ、スポーティーな走りができると絶賛していた。そしてタミヤのツーリングRCカーは、実車のNSXが持つ“乗り手を選ばないスポーツカー”という側面があるのではないか。
コーナーを高速に駆け抜けるレーシングカー。実車の世界では命に関わるような危険な走行をしなければ見れない世界だが、RCカーはレースの非常にカッコイイ風景を少しの練習で演出することができる。実車ではとてもできないような大胆な走りを自分の手で実現できる興奮はとても大きい。
また、「間口の広さ」も今回改めて感じた。実車の世界でレースに出るのはとても大変だ。サーキットを走る為にはライセンスを取得しなければならない。さらにようやく出場しても命がけの実力の世界だから、鍛え抜いた才能のある人しかレース場には立てない。
しかしRCカーの世界は違う。実車に比べてはるかに手軽な予算で始められるし、サーキットを走る為に特別な資格も要らない。筆者が初めて「タミヤグランプリ」に参加した時、それこそ右も左も解らない初心者にも関わらず、スタッフの皆さん、他の参加者の皆さんが親切に接してくれた。
RCカーのサーキットにはどこも「初心者優先」という張り紙が大きく掲示されているのだが、それが決してお題目ではない事を実感できた。それは大きな感動だったし、その初心者歓迎の気持ちに応えて走り続けたいという想いは、この企画を続けるモチベーションでもある。
ウエットな路面でのドリフト走行! 実車ではできない冒険が楽しい
レースでの走りを自分の手で実現している楽しさは、練習を重ねることでさらに大きくなる。シェイクダウンの数日後、日中に再度走らせたが下記の動画は、より楽しさが伝わると思う。
この日は埼玉県含む関東地方で午前中に激しい雨が降った。その為、「タムタム大宮店」屋上サーキットも路面が滑りやすくなっていると店員さんからアドバイスを受けた。
走り始めると、直線で若干車体が不安定なのを感じる。タイヤと地面の間の水分によって、グリップが失われているのが実感できたのだ。そしてコーナーの手前で減速するとタイヤが横滑りし、車体が方向を変える。いわゆるドリフト走行気味に車体が滑るのだ。最初に路面が渇いた状態で味わった、「まるで自分が運転している感覚」とは明らかに違うのが伝わって来た。
ツーリングRCカー「NSX」は、ドリフトをさせてコーナーを曲がっていく車体ではない。タイヤが地面を確実に捕らえて曲がる、グリップ走行をする車体だ。しかし地面をグリップしてコーナーを走る様に最適化されたTT-02シャーシの「NSX」が、簡単にドリフトしてしまうのだ。この事で、RCカーが路面とタイヤの状態が非常に走行に影響する事を実感した。ウエットな路面はドライコンディションとは本当に操作感が違った。
しかし一方で、ドリフト走行は実車ではとても難しい。サイドブレーキを使って後輪をロックさせて急ハンドルをきるなど、普通の自動車の運転では行なわない操作が必要なのだ。しかしそれが簡単にできたので、RCカーならではの操縦する面白さを感じた。周回を重ねると、どれぐらいのスピードを出してハンドルをきるかなど、ドリフトの感覚もわかってきて、楽しみながら走れたというのが感想だ。
また今回、車体にアクションカメラを搭載して、車載映像を撮ってみた。「NSX」は操縦席が無く、ドライバーも乗っていないので空間に余裕がある。アクションカムは高画質の物が6,000円前後で購入できるので、屋根に両面テープで貼り付けてみたのだ。遠くから見ている時は気付かなかった車体の挙動が解り、思ったよりサスペンションが動いている事が実感できた。
2回目という事と、簡単なカスタマイズを行なった効果で1周だいたい24秒台で周回できた。速くなった実感が手軽に味わえるのは、続けるモチベーションになる。計測器も無しに1人でタイムを計るのは大変なので、他の利用者の邪魔にならない範囲で撮影すのは是非オススメしたい。
もう1つ、RCカーはレーサーとして走りを突き詰めるだけでなく、メカニックとして自分のマシンを改造し、カスタマイズする楽しさがある。次ページではRCのもう1つの楽しみ「メカの調整とカスタマイズ」を紹介していきたい。こちらも前提となる専門知識はいらず、実際に遊んでみることで知識が深まり、メカをいじる楽しさが体験できる。また、クラッシュから立ち直り、改善点を探るなど奥深さも面白い要素だ。