特別企画

ヘタ仙人の「プラモデルを楽しもう!」、「シュトゥルムケーファー」を筆塗りで!

初心者オススメの塗装法を紹介、これが“プラモデルで泥んこ遊び”だ!

【ドーヤネン No.001 シュトゥルムケーファー】

開発・発売元:海洋堂

発売日:11月17日

価格:6,600円(税込)

オンラインショップで販売中

 こんにちは。ヘタ仙人です。前回、海洋堂さんの新製品「ドーヤネン シュトゥルムケーファー」をご紹介しました。

この記事を作るにあたって、フツフツと滾ってきたのは「色塗りてぇ~!」という気持ちだったのです。やっぱりMa.K.(マシーネンクリーガー)は、いろいろと塗装をして遊ぶのが楽しいので、商品紹介のレポートだけでは満足できずとなりまして。

 そこで、今回は塗装をしてみようと思います。「これ、塗らないのはもったいないよ!」というわけです。もちろんプロモデラーではない私のレベルですから、塗装のお手本にはなりません。が、その一方で、初めて塗装をしようという人が、どのように進めたらいいのか? という指針にはなるかな……というよりも、「こんなヘタな僕でも十分楽しんでますよ」的なレポートができたらなと思っています。

 そこで今回は、塗装したことがない人にもできるように、

・筆塗り(エアブラシは使わない)
・水性塗料(においのほぼない塗料)

 という縛りを入れて作業をします。なぜエアブラシではなく筆塗りが初心者向けかというと「道具がいらない」からです。エアブラシを使うためのコンプレッサーは数万円しましす、安価なUSBで充電できるハンディタイプもありますが、筆と塗料皿の方がずっと安い。またエアブラシの場合塗装スペースなども必要となります。慣れてしまえばエアブラシはずっと便利なのですが、今回ははじめる手軽さとして筆塗りをチョイスしました。

 完成した写真を見れば、なんだか複雑そうなことをしているように見えるかもしれませんが、実はごく簡単な作業しかしていません。同じ材料を買ってきて使えば、おそらくは未経験の方でも同じような仕上がりになると思います。

 逆に言えば、プロの作例は本当にすごいので、模型雑誌などでぜひ、本物も見ていただきたい。この記事がそのきっかけになれば良いなあと思っている次第です。では、はじめていきましょうか。

海洋堂のプラモデル「ドーヤネン シュトゥルムケーファー」。6,600円(税込)。今回はこれに塗装を施していきます

塗装前の工作、ただ塗装するだけじゃなく、自分なりの想いを込めよう!

 まずは塗装の前の工作です。あ、「え? 工作もするの?」という方はご安心ください。別にやらなくてもぜんぜん大丈夫です。単に僕は好きでやっているだけですから。塗装前の工作は主に、1「合わせ目などを消す」、2「改造などをして好きな形にする」という2要素に分かれます。1も2も、義務ではないのでやる必要はないのですが、今回は一応やってみました。

 2の「好きな形に」の部分ですが、このプラモデル、パイロットフィギュアが若干前のめりになっていて、もう少し頭を後ろに持っていきたいなあと。そこで、背中やお尻を削って、体が後ろ方向に剃るような加工をしてみました。削っては合わせ、削っては合わせの繰り返しです。ヤスリで削るのがめんどくさければ、ニッパーでバリバリと切り取ってもいいと思います。実際私は部分的にはニッパーで切り取ったりして作業を進めました。

【パイロットの姿勢を変える】
キットそのままの状態。頭が前に出すぎている感じがしますね
中身を取り出してみました。背中が肉厚で、そのせいで前のめりになっているようです
ヤスリを背中にあてます
ゴシュゴシュゴシュゴシュ! と背中を削っていきます
お尻や、シートの方もニッパーで切り取ったりして……するとヒザあたりがつかえてしまうので、そこも削りました。要は、現物合わせでじゃんじゃん削ってしまいました、ということです
フロントガラスに頭突きしている感じだったのが、頭が後ろに位置するようになりました。よし!

 こうしてフィギュアの座り方がちょっと違ってきました。頭がだいぶん後ろに位置するようになりました。

 さてお次は……。このまま塗ってもいいけれど、ちょっと遊んでみたくなりました。自分なりになにかしたいなーと。そうだ! フロントにバンパーみたいなものを作ろう! と、唐突に思い立ったのです。具体的には、真鍮線を使ってコの字型のガードみたいなものを作ろうというわけです。やりかたは簡単で、単にフロントのパーツに模型用の「ピンバイス」という極小のドリルで穴を開けて、真鍮線を差し込んで固定し、ガードを作るだけです。

まずはフロントのパーツに穴を開けます。径は0.3mmにしました。左右の平行をとるために、マスキングテープを平行に貼ってガイドにしています
ピンバイスで穴を開けました。若干ズレてますね……。まあいいや。気にしない気にしない
シンチュウ線をさして、任意の場所で90度折り曲げてガイドを作ります。指だとカッチリ曲がらないので、ペンチのようなもので挟んで曲げます
できました~。穴開けて真鍮線を通すだけ。めっちゃかんたんです。上手い人がやると精度が高くて精密になるのですが、まあ私の場合はこんなものでしょう

 お次は、同じくフロントパーツの一部を透明にしたいな~と。実際にこの場所が透明な箇所かどうかはわからないのですが、面白そうだからウェーブの「H・アイズ」を使います。いくつかの径が用意された丸いクリアーパーツで、色は無色から三原色、オレンジ、グリーンなど数種類が販売されています。今回は無色のものをチョイスしました。とりあえず合いそうな径のものをフロントパーツに乗せてみて確認します。

【透明パーツを加える】
フロントのパーツとH・アイズ。
このあたりの大きさが良いかな?

パーツの選定ができたら、あとは穴をあけるだけ。穴をあけるには、ピンバイスではなくてもっと径の太い普通のドリルを使います。ホームセンターでも売っていると思います。穴が空いたら、カポッとH・アイズをかぶせます。

【H・アイズをかぶせる】
うまく真ん中に穴を開けていきます。最初にカッターなどで中心にアタリを入れておくとスムーズです。ま、ズレたら強引に軌道修正するか、デザインナイフなどに切り替えてエグッてもいいでしょう
H・アイズをカポッとかぶせました。穴がちょっと汚いのは見なかったことにして先に進めようかな

 さて、フロントにレンズ(っぽいもの)を付けてちょっとテンション上がったところで、先ほどのガイドに戻ります。このシュトゥルムケーファーが実在していたら、その装甲の表面に、いきなり穴を開けてガイドをズボズボと差し込むかなあと。溶接したりするんじゃないのかなと。「うーん、たぶん現地で溶接するんだろうな。ならば、ガイドには土台みたいなものがあればいいんじゃないかな」というわけで、プラ板でガイドの土台みたいなものを作ることにしました。0.1mmのプラ板を短冊形に切って、貼り付けるだけなのですが、短冊形にって、どうやって? と。

 定規で細く切ろうとしても、僕は不器用なのでなかなかうまくいきません。そこで登場するのがこちら。

プラモ向上委員会「マステライザーV」(税抜 1,480円)。

 プラモ向上委員会の「マステライザーV」です。その名の通り、本来はマスキングテープを切るためのもので、デザインナイフの刃を複数本セットできる柄と、直線のガイドが付いた小さなカッティングマットで構成された商品です。複数の刃が、均等な間隔でマスキングテープをカットしてくれるというわけですが、ならば0.1mm程度のプラ板も同様に、きれいに切ってくれるはず。というわけで、作った短冊を貼り付けてみました。

 そうだ! どうせならこのプラ板にリベットも付けちゃおう! ちょっとゴテゴテしていいかも。リベットには、ウェーブの「NEW R・リベット【丸】」(税込 330円)を使います。たくさんの半球型パーツが入っています。リベットを慎重にプラ板の上に接着していきます。出来上がった姿がこちらです。

【リベットをつける】
ペタッと。ウ、ちょっと歪んでる……。でもこれ以上精度高くできませんので、もういいことに
ウェーブ「NEW R・リベット【丸】」。丁寧に切り離して使います。
フロント部分。プラ板とR・リベット、真鍮線、Hアイズを使って工作。精度ヤバいですね(笑)。真鍮線が曲がってる。しかもリベットを接着するために流した接着剤でプラ板が微妙に溶けてるし。でもまあ、楽しかったからいいや、と

 よーし! ちょっと楽しい工作も終了したのですが……。もう少しなにややりたいな~。そうだ、タミヤ「1/35 ジェリカンセット」のジェリカンを背中に付けてみよう! なんでジェリカンセットを持っているかというと、今回のために予め1/35スケールの小物をいくつか買っていたのです。シュトゥルムケーファーは1/35スケールです。ということは、ほかの1/35スケールキットの部品を流用したらきっと楽しいだろう! と、いうことで、こうした、アクセサリ関連の買い物も、プラモデルの楽しみのひとつですね~。背中に付けたら面白そう、と、やってみました。

【ジェリカンを取り付ける】
タミヤ「1/35 ジェリカンセット」。価格は550円(税込)。
ジェリカンを組み立てて……
背中に付けてみました。細いマスキングテープをベルトに見立てて使ってみようと。あとで茶色に塗るつもりです

 さてこのあとは、4本の脚の合わせ目消しをしました。こちらは、合わせ目に瞬着を流してガリゴリと金属ヤスリ→400番の紙やすりで削って終了。本当は600、800までかけたほうがいいと思いますが、後で汚すし、おそらく僕が筆塗りをしたら確実に筆ムラがスゴいことになって、表面が粗いとかどうでもよくなるはずなので、400で終わりでいいかなと。

【合わせ目を消す】
合わせ目に瞬着を塗ります。こんなにモリッとしないほうがいいですよ。
削って終了です

 これにて工作は終了です。いやぁ~。工作だけでも十分楽しめましたな。お次はいよいよ塗装です。まずはコクピットからやっていきますね。組み立てると触れなくなる部分なので、先に塗ってしまいます。

いよいよ塗装! まずはコクピットから!

 ここからはいよいよ、塗装に入るわけですが、一応実施する前に簡単に計画を立てます。今回は、「コクピット」、本体の「エンジン廻り」、「全体」と言った感じで進めていこうと思います。なんでこの順番? と思われるかもしれませんが、塗りにくいところから先に塗っていきましょう、というだけです。

 コクピットは完成後に閉鎖空間になります。エンジン部分は上から装甲類がくっついて奥まります。なので、これらを先にやってしまおうというわけです。というわけでコクピットの塗装ですが、構成する要素は

・フィギュア
・シート
・内部の壁面

 の3つ。シートも内装も大したことないので、フィギュアさえ塗ってしまえば、作業はほぼ終了です。前述しましたが、今回は

・筆塗り
・においがしない

 ということで、下地にはGSIクレオスのアクリジョンシリーズをチョイスしました。乾けば上に何を塗っても溶けたりしませんし(経験上)、においもなく筆は水洗いできるので。

【用意した塗料】
アクリジョンシリーズ
専用薄め液。水洗いができるとはいえ、塗装する場合は専用の薄め液を使います

 においは、まあ、嗅げばわかるていどで、ラッカー系のようなきつさはまったくありません。では、いざ、塗装の旅へ……。

 まずはパイロットフィギュアの肌を塗ります。「薄茶色」を、肌の部分にベチャっと。筆は、細い丸筆を使用しました。筆のチョイスは、模型用であればなんでもいいと思いますね。高い筆もいいし、安い筆をバンバン使いしててもいいのではないでしょうか。

【ベチャッと】
ベチャッと。はみ出していますが、この大きさではみ出さないように塗るのはムリゲーですし、後々他の箇所を塗り重ねるので大丈夫です。奥まっていて、明るいところから塗っていきましょう
お次は、ヘルメットのおでこの部分。こちらは白にしてみました。おでこに白をベチャッと

 なお、「え? ベチャッと? 何回か塗り重ねるんじゃないの?」というお話もあると思いますが、面積小さいですし、何度も塗るのメンドクサくて、先に進めたいしで、あんまり薄めないまま塗ってしまいました。とてもきれいな筆塗り作品も多くあって、あこがれではありますが、いやもう、早く先に進みたい!

 というわけで、お次は服を塗ります。色はチョイスしようと思ったのですが面積も小さいし、自分で作っちゃえと。面積小さいですしね。3原色あればなんとかなるでしょう。こちらはGSIクレオスの水性塗料を使っています。三原色をお皿に出して、その中で色をつまんで混ぜたりしながら緑を作って塗っていきます。

【服の塗装】
三原色を用意しました
緑色の服にしてみました

その後、ベルトの黒や留め具の銀、肩の茶色、そしてヘルメット後ろ側の黄土色なども塗って、フィギュアの完成です! シートや内装も塗ったら、ちょっと組んでみます。

【組んでいく】
完成~!
おおお~。いきなりカラフルに。うれしい

 と、実はここからがフィギュアの本番といいますか。このままだと、どう見てもツヤッツヤのもちゃみたいですよね。違和感アリアリです。実はここからが勝負! です。

 まずは顔の部分を、スミ入れ的にちょいちょい別の色を乗せます。とはいえこのフィギュア、実際に目とほっぺたの一部しか露出していないので、なかなかうまくいかないかも。先程はアクリジョンを使いましたが、お次はエナメル塗料を使います。アクリジョンは一回乾くともう溶けないし、上から何を乗せても大丈夫ですが、エナメルは乾いた後にエナメル溶剤や塗料を上から塗ると、また溶けます。なので、失敗してもやり直しが聞く割に、その下地は溶けないアクリジョンがしっかりガード、という作戦です。

 では、顔に何をするか? 多少、スミ入れ程度のことをすればそれっぽく見えるかな? と、いうことで、エナメル数色をお皿に出して、細かく混ぜながら色を作りました。さて、適当に暗い肌の色になったかな? というところで、フィギュアの顔に塗ります。

【顔の塗装】
エナメル塗料をお皿に入れて、その上から数滴エナメル薄め液を垂らして好きな色を作ります。面積が少ないので、がっつり調色はしてません。
ヌチャッと。結構ドイヒーな結果になりましたが、拭き取ればどうにかなるでしょう。というか、そもそもそんなに見えない箇所なので、この程度で

 次に、ヘルメットの額側の白い部分も、よくわからない暗い色を作って塗って拭いて、とやります。なお、拭くのはティッシュでも綿棒でもお好みで。ここまで来たら、全身に、よくわからない汚い色を塗っては拭き、拭いては塗り、をします。すると、なんとなーく落ち着いた感じになります。

【汚し塗装】
ヘルメットも汚してみました。おもちゃ感がなくなってきたと思います。モールドも浮いてきました
だいぶんツヤが落ち着いて、それっぽい感じになりました
ヌヌッ!? ちょっと白っちゃけて来たけど……。まあでも、このくらいで勘弁してやるか。というわけで、フィギュアは完成とします

さて、試しに乗せてみましょう。

【乗せてみる】
おお~。いいねぇ~

 こうして一作業終えれば、しばしご満悦タイムに突入です。これまで「まあいいや」を繰り返し、それが私がヘタな所以ではありますが、そんな私でも、こうしてご満悦タイムを味わえるわけで、プラモデルはほんとうに良いものだなあと思うわけです。

 さて、ここからはコクピット最期の作業。接着です。実はシュトゥルムケーファーは、コクピット下部に合わせ目があって、それを消す=接着すると、コクピットが取り外せなくなってしまいます。だから先にコクピットを塗装したのです。というわけで、接着をしてしまいました。

【接着】
この合わせ目下のパーツにコクピットが含まれているので、ここを接着すると壊さない限り取り出せなくなります。
当然キャノピーも。この中には二度と手を入れられません

 ここからは本体関連の塗装に入りますが、キャノピーが汚れないようにマスキングテープを貼っておきます。筆塗りなので気をつければいいといえばいいのですが、筆が滑るとたいへん面倒なので。さーて、次は本体の塗装ですね。いよいよ本格化してきました。