特別企画

ヘタ仙人の「プラモデルを楽しもう!」、「シュトゥルムケーファー」を筆塗りで!

ウェザリングで本体全体の雰囲気を落ち着かせる

 「カモーン! Mr.ウェザリングカラー!」と心のなかで叫びながら用意したのは、GSIクレオスの「Mr.ウェザリングカラー」シリーズをはじめ、、各種ウェザリング用塗料です。こいつらがいれば、なんとかなるはず。いや、なんとかなってほしい。

 では、ひとつずつやっていきましょう。まずはGSIクレオスのMr.ウェザリングカラーです。これは以前も紹介しましたが、模型にベチャッと塗って拭き取れば、あら不思議、なんとも風合いのある雰囲気にしてくれるのです。とはいえ、全身にドバドバと使うよりも、慎重に小規模にやっていきましょう。まずは「グランドブラウン」を使います。

【グランドブラウンでウェザリング】
どーんと勢揃いした、買い置きしていた各種ウェザリング塗料。GSIクレオスのMr.ウェザリングマスター、AMMO by Mig Jimenezの塗料、タミヤのウェザリングマスターシリーズなどなど。
グランドブラウンを平筆にとって塗りつけました。ちょっとよからぬ感じですが……
拭き取ったところ。ここまで拭き取れてしまいます。ちょっとシブ味が出たかな?

 なんとか、ちょっとシブい雰囲気になった気がします。もう少し実験を続けましょう。脚の部分に、マルチブラックを試してみます。

【マルチブラックを】
脚も盛大に白くなっています。
こちらにはマルチブラックをベトッと。黒くなって不安になりますが大丈夫。
拭き取ればご覧のように、ほぼ残らず。少し黒ずみが出ている印象です。

 さて、ここまでで、どうやグランドブラウンのほうが威力が高いようだなと感じました。だとすると、まずはマルチブラックを全体に使ったほうが、変化が少なくて慎重に進行できそうです。お次はボディ側面にマルチブラックを使います。

【全体にマルチブラック】
まだ何もしていない状態。
マルチブラックを塗って……
拭き取りました。おお、ちょっと落ち着いた感じに

 こうして、グランドブラウンとマルチブラックを使えば、どうにか本体の白い雰囲気は落ち着きそうに見えたので2つの色をあちこちに塗っては拭き、塗っては拭きと繰り返しました。すると、みるみるうちに(自分としては)いい感じになってきまして、ここでまた、遊び心が出てしまいました。暗い箇所は、多めに塗って拭き取りも少しに、盛り上がっている箇所は強く拭き取るなど、強弱をつけるところが楽しいです。

 でも……茶色と黒だけだと、どこか単調なんですよね。もっと深みというか色のバリエーションがほしいところ。というわけで……

【グレーズレッドを入れる】
赤ー! これはいくらなんでもマズいのでは? と、思いきや、拭けばよいのです。ちなみに使ったのは、グレーズレッドです。
グレーズレッドを拭いたばかりの状態。それほど「真っ赤」という感じではないし、緑や茶色に赤が足されてアクセントになったかなと。しかも、乾けばもっと色が落ち着きます

 こうして、本体の茶色(黄色系)、緑に加えて、Mr.ウェザリングカラーの黒や茶色、そして赤まで使いつつ、悪ノリして紫(レイヤーバイオレット)や緑(フェイスグリーン)も局所的に使い、どんどん「意味わからないけどなんとなくカッコいいのかな?」みたいな、深みだか雑味だかわからない状態に持っていきました。

 このあたりの作業が実はめちゃくちゃ楽しくて、「ここの部分は影だからちょっと黒入れよう」とか、「ここにちょっと赤み入れたらどうなるのかな?」とか、試しながら拭き取りながら、どんどん重ねていくのがいいんですよね。本当に楽しい時間です。

 さて、こうして一通り楽しんだら、ちょっとした儀式をしてみたくなりました。キャノピーです。いよいよ、冒頭で色を塗ったパイロットとご対面というわけです。

【パイロットと再会】
ピンセットでマスキングテープを剥がします。
おお! 無事だったか!(当たり前だけど)。久しぶりのご対面です。
横も剥がしましょう。本体も、Mr.ウェザリングカラーのおかげでだいぶん「よくわからない」感じになってきています。
メカ部分のマスキングゾルも剥がしましょう。
きれいなメカ部が顔をのぞかせました。
こちらも、マスキングゾルの緑が目立ちますね。取りましょう
黒に銀の姿が見えました
実は、クリアーパーツもマスキングゾルで覆っていました。
こちらも剥がします

 こうして、ウェザリング行程の合間にマスキングを剥がして小休止しつつ、細筆(面相筆)でAMMO by Mig Jimenezのウェザリング塗料「streaking effects」などで雨だれ的なものも書き込んでいきます。

【細かく手を入れる】
streaking effectsをざざっと塗り……
筆で静かに下に向かって垂らしていきます。

 もう、このあたりになると部分部分にちょこちょこと手を入れる段階なので、机の横に置いておいて、他の仕事をしながら、ちょっと気が向くと少し塗って……みたいな状態になります。どこまで行ってもキリのない状態ですが、好きな空き時間に少し作業をするというのも楽しいものです。

 と、実はまだ、基本的な塗装をしていない部分がありました。それは、足先です。シュトゥルムケーファーの完成見本を見れば、足先は黒くなっています。ちょっと重機っぽいですよね? これ、どうしたものかなあ……と思っていたのですが、“ヤツ”を使ってみることにしました。以前紹介した、「真・黒色無双」です。

【真・黒色無双】
真・黒色無双。光をほぼ反射しない、スーパーつや消し塗料です。本来エアブラシで砂吹きをするものですが、筆で使ってみます。
ビンからそのまま、筆で真・黒色無双を荒く塗ってみました。けっこういい感じです。

 こうしてツメの先を黒くしたあとは、剥がれ感のあるちょっと金属っぽい状態にしたい。そこで取り出したのが、ウェーブの「こすって銀Sun」です。中身は極めて細かい粉なのですが、これをこすりつけることで金属質の輝きがでてくるというものです。

【銀色をこすりつける】
こすって銀Sun。蓋を開けただけで粉がふわーっと舞うくらい細かいので、取り扱いはお気をつけください。
こすって銀Sunをこすりつけたら、金属っぽい輝きが出ました。
ふと思い立って、関節付近にもこすって銀Sunを塗りつけてみました。ちょっといい感じになったかな?

 さて、脚はまだまだ終わりません。ここからは泥遊びです。タミヤのウェザリングマスターAセットで、粉を擦り付けましょう。

 脚の仕上げには、さらに「泥」を使いましょう! 完全に泥遊びです。GSIクレオスの「Mr.ウェザリングペースト」です。これはその名の通りペースト状で、ぐちゃぐちゃの泥です。蓋をあけるとペーストが入っているので、筆に取って塗りつけますが、叩くように塗るというか付けるほうが、それっぽくなるでしょう。

【土や泥の表現】
タミヤのウェザリングマスター。中に入っているのは、こちらも粉ですが、土や砂表現に使います
粉をとっては脚に塗りつけます
重機らしい脚になってきました!
GSIクレオス Mr.ウェザリングペーストシリーズ。
Mr.ウェザリングペーストの蓋をあけたところ。筆で中身をすくいだして、塗ります。

完成! ウェザリングをすればなんとかなる! Ma.K.はやっぱり面白い

 よーし! 紆余曲折ありましたが、これにて完成とします! それにしてもMa.K.はやっぱり面白いですね! 凄腕の作例がたくさん存在していて、「ちょっと自分ではムリかな」と思ったとしても、技法は紹介されているので、自分のレベルで工夫して真似してみるのも面白い。楽しいです。

 私は今回ベチャベチャと汚して楽しみましたが(というかそれしかできないのですが)、本当はウェザリングは失敗をカバーするためのものではなくて、きれいに作りながら汚しを入れて風合いだったり深みだったりを作るものであって、そうした作品がMa.K.には溢れていると思います。そしてもちろん、私のようにヘタな人間であっても、最後にウェザリングをすれば(というか、Mr.ウェザリングカラーをぶっかければ)なんとなくどうにかなるし、そもそもそんなことは置いておいて、とにかくやってて楽しいことだけは知っていただきたいのです。

 今回は工作までしてしまいましたが、それを除いて塗装だけ考えれば、初めてでも私が今回作ったものと同じ楽しみが味わえると思っています。「材料を買って→塗るだけ」で、ここまで楽しめてしまうわけですから、「全面塗装は敷居が高い」と思っている方は、是非挑戦してみてください。今回の方法であればエアブラシはいりませんし、匂いもありません(わざと嗅いだらそれはまあ、匂いはわかるかもしれませんが)。Ma.K.で、「模型ってホントに楽しいなあ!」と、再確認しました。みなさんもぜひ!

【完成!】
完成したシュトゥルムケーファーをさまざまな角度から。一見手がこんでいるように見えるかもしれませんが、難しいことは何一つしていないのは本文を読んでいただいたとおり。楽しい思い出がいっぱい詰まった作品になりました。
【ディテールを楽しむ】
先端部分。ガイドを工作してセンサー? をクリアーパーツに。やらなくてもいい作業ですし、やったら今度は精度でソンする工作かもしれませんが、自己満足で楽しければそれでよしではないでしょうか
コクピットの前方にある盛り上がりも、ドライブラシ直後は「ヤバい!」と思った場所ですが、今や愛おしいといいますか、これはこれでよかったなと
フィギュアはほとんど見えなくなる部分ですが、視覚的なワンポイントになるので、そこそこ派手めにしてみました
加工の甲斐あって、フィギュアの頭が前のめりにならずに済んでいます
前部も雨だれ的なものを入れてみましたが、よく見れば筆跡が残っていて粗いですね。こういうところはエナメル塗料なので、やり直しが可能です。
足の先端は、金属質な表現と付着した泥表現をしてみました。「ツメの先は地中に食い込むから泥が落ちている」という妄想です。
メカ部がちらりと見える下部。この質感がたまりません。
側面。実は、ガビガビの筆ムラ跡が残ったままなのですが、もはや何がどうなているのかわからないくらいウェザリングしています。
円筒形の尾部も、ボリュームがあって実はけこうな見せ場。塗装で工夫したら面白いところでしょう。
下部をのぞけばエンジンが。隠れてしまう部分ですが、ここに手を入れたら(筆を入れたら)、また面白くなりそうですね。
砂、泥、金属な感じを出してみた脚先。タミヤのウェザリングマスター=粉を擦り付けた後に、「streaking effects」を染み込ませてムラを作ったりもして、楽しい部分です。
パネル付近も「streaking effects」をちょんちょんと付けてボカして……という繰り返しをすると楽しい部分。
材料さえあれば、誰でも楽しく作れます! ホントにおすすめです。やってみてください!