特別企画

第10回「#遊戯王」宇宙最強カード列伝! 全人類が未だ生まれた意味を理解できていないイカれ魔法「ソウル・チャージ」のアホっぷりを振り返る

【ソウルチャージ】

2014年5月17日 登場

 爆アドォォォ!アドえもんです!筆者は普段YouTubeにて遊戯王を中心にカードゲーム動画を投稿している愉快でうるさいオジサンだ。

 今回もウルトラ歴史を持つ「遊戯王」カードの中で特に名高い連中を生まれた日に合わせて紹介する企画「宇宙最強カード列伝」第10回をやっていこう!

 今回のカードは数多の禁止カードの中でもド級の破壊力を持ったアホカードだ。もう“ドアホカード”と言っても過言ではない。 そのパワーは生まれた瞬間から「なぜこんな効果で生まれたの……?」と訝しげられ、数多のイカれカードが生まれ続けている現代に至っても「なんであんな馬鹿げた効果だったんだろう……」と多くのデュエリスト達から思われ、伝説となっているほどだ。

 単体のパワーと汎用性だけで禁止にまで至った恐ろしい存在を今回はご紹介したいと思う。10年前の今日、2014年5月17日に発売した「コレクターズパック-伝説の決闘者編-」にて登場した「ソウル・チャージ」が本日の主役カードになるぞ!

ド ア ホ カ ー ド。後にも先にもこんなカード二度と生まれねぇわ!

 ついに来たかぁ……比較的現代に生まれた忌み子が……!!!

 9期という遊戯王のハイパーインフレ期の最序盤に生まれたこのカードは正に暴力と汎用性の化身。ありとあらゆるデッキで3積みされ、あらゆるデッキの先行大展開を助長させたとんでもない咎人である。

 なんか今回は冒頭から口悪くないかと思われるかもしれないが、当時を知るプレーヤーからすればコイツが絡んだ試合でマトモなゲーム体験ができた人間の方が少ないレベルなので多少の荒っぽさは勘弁してほしい。このカードが好きな人は……ゴメン!

 誰もが被害者でもあり加害者にならざるを得なかった最強カード……そんな経歴を持つ「ソウル・チャージ」の歴史を今夜は紐解いていこう。

知能レベルが下がるほどの汎用性! 全てのデッキがお手軽に大展開可能ってどうなっちゃうの~~~!

 まず初めに件のカード「ソウル・チャージ」のテキストをチェックしていこう。

 とは言えその効果は至ってシンプル。発動後そのターン同名カードの発動、およびバトルフェイズを行なえない誓約がつく代わりに「自分の墓地のモンスターを好きな数蘇生させて、その数×1000ライフポイントを失う」という内容だ。……え?

複雑な効果がバカスコ生まれた9期に誕生したとは思えないほどのシンプルっぷり! 色々と勝手が違うとはいえ、登場時はこのカードが3枚使えて「死者蘇生」が制限だったと考えると狂気を感じざるを得ない

 平然と描かれている恐ろしいテキストに震えが止まらないが、要はライフ1000毎にモンスター1体を蘇生できるという効果となる。5000ライフ払えばこの1枚で5体のモンスターを一瞬にして展開する事が可能なのだ。

 単純に計算しても1枚で最大5枚分のアドバンテージを得られる化け物カードだが、特殊召喚したモンスターは普通に効果を発動する事ができるため、その後のサーチ効果や展開効果を含めれば実際のアドバンテージは無限と言っても差し支えない。誓約もバトルを行なえないだけなので先行1ターン目ならノーリスクで発動できるし、その後の特殊召喚縛りなども無いため基本どんなデッキでも使う事が可能なカードとなっている。

このカードが使われたデュエルは余程の事が無い限り、使った側のプレーヤーのアドバンテージがイカレてしまうため勝敗の影響度が大きすぎるカードとなっている。どんなデッキと対戦していても「じゃあソウルチャージで^^」で全てをグチャグチャにされる恐怖が常に付き纏う感覚は今でもあまり思い出したくはない……!

 1枚初動で数多の宇宙を生み出せる現代遊戯王基準で考えたら間違っても生まれ無さそうなイカれテキストだが、別に10年前も大丈夫だったわけではないので安心して欲しい。どんなイカれた使われ方をしていたのか一例を紹介しよう。

 このカードが登場した2014年5月環境は丁度「ペンデュラム召喚」が登場したばかりの9期最初期になり、デッキタイプで言えば「シャドール」や「星輝士(テラナイト)」等のテーマが登場して活躍していた時期となる。この頃強力だったのが「光天使セプター」と「光天使スローネ」を出張させたいわゆる「セプスロ」と呼ばれるギミックで、メッチャ簡単に説明すれば上記2枚が揃うと大量に☆4モンスターが場に出現し、様々なランク4エクシーズが飛び出しながらドロー&破壊をするという感じだ。TVアニメ「遊☆戯☆王ZEXAL」終盤に生まれた強力かつ汎用性の高いランク4エクシーズを駆使できた事に加え、この頃は何故か3枚使えた怪物「No.16 色の支配者ショック・ルーラー」がいた事でランク4という存在が不動の地位を獲得していた時代と言える。

 そして様々なデッキでこの「セプスロ」が行なわれるという事は……「ソウル・チャージ」で「セプスロ」のおかわりが無限に発生していたという事でもあった。この頃はとにかく強力な効果を持つレベル4を蘇生してアドバンテージを稼ぎ、最終的にそいつ等をひたすら「ショックルーラー」に変換して蓋をするというクソゲーコンボが様々なデッキで使われていた印象だ。ただでさえ成功率と出張性能の高い「セプスロ」ギミックに「ソウル・チャージ」とかいう上振れ+妨害された時の保険みたいなカードも与えたら、そらこうなると言わんばかりにあらゆるデッキが「ソルチャ&ルーラー」に染まったのである。

この頃のデュエリスト達のマストバイアイテムと化していた「セプスロ」の2人組。特殊な効果の連鎖でモンスターがポンポン並び、3体使用のエクシーズで盤面破壊&ドローをこの2枚だけでできるため、レベル4が入るデッキや召喚権が余るデッキにはとりあえずコイツらをぶっこむ文化が存在していた
そして最終的に爆誕する色の化け物こと「No.16 色の支配者ショック・ルーラー」くん。「セプスロ」と「ソウル・チャージ」というお手軽展開マシーンの登場でレベル4×3が超お手軽になり、あらゆるデッキのゴールとして君臨していた。カードの種類を一生禁止してくる最強制圧モンスターをほとんどのデッキで使えたのは流石に不健全の極み過ぎたよね……

 この9期初期の「ソウル・チャージ」を絡めた最強レベル4ブームはしばらく続く事となる。このカードの登場から暫くすると「ストラクチャーデッキ - HERO's STRIKE」が発売され、レベル4界隈でも最強と名高い「E・HERO シャドー・ミスト」が参戦した事で元々融合と合わせてランク4も組みやすかった「HERO」デッキも頭角を現わすようになる。「ショックルーラー」の隣に「M・HERO ダーク・ロウ」が添えられてガン伏せされている地獄のようなフィールドが形成される事も多々あった。

 他にもさらに少し時を進めれば同じ年の9月に「旧神ノーデン」が登場した事で、全てのデッキがさらにお手軽にランク4を中心とした展開ギミックを獲得。当然のように「ノーデン」にターン1がついていなかった事で「ソウル・チャージ」をはじめとした蘇生カードで1度使った「ノーデン」を出して蘇生の連鎖を巻き起こすなど……とにかくどんなデッキも汎用カードで「展開!展開!!とにかく展開!!!」といった行為が可能な時期だったのだ。

特殊召喚するたびにアドバンテージを稼ぎ、墓地に送られる事でもアドバンテージを稼げる「E・HERO シャドー・ミスト」は蘇生しがいのあるカードだ
自身の効果でサーチした「マスクチェンジ」を使って変身できる「M・HERO ダーク・ロウ」は現代でも一部のデッキをこの1枚で詰み状態にできるイカれた存在なので、この時期に「ショックルーラー」と一緒に置いていい訳がないモンスターだった
俗に「簡易ノーデン」と呼ばれる汎用ギミックの2枚。「簡易融合」で出した「旧神ノーデン」がモンスターを蘇生する事で簡単に展開を伸ばせる「セプスロ」に続くこの時代のマストバイアイテムだった
一瞬とはいえ2014年の9月後半はこのギミックと「ソウル・チャージ」をフル投入できた時期だったのだからヤバすぎる。どのデッキからも飛んでくる「ソルチャ」、「簡易ノーデン」、「セプスロ」、「ルーラー」……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

 レベル4モンスターを大量に並べる手法以外にも当然このカードは活躍する場面が多かった。なんでも何体でも蘇生できるのだから当たり前ではあるが。

 例えばシンクロデッキであればチューナーを含めたシンクロ素材を墓地から一気に用意できるため、条件が厳しかったシンクロモンスターを呼び出せるようになったり、「シューティング・クェーサー・ドラゴン」のような大量のSモンスターを素材として必要とするモンスターも、一度素材として墓地に送ったSモンスターを再度全て蘇生する事で簡単に複数体場に揃えられるようになったり等、シンクロデッキのお助けカードとしても非常に優秀だった。そらね……全てのデッキで「真炎の爆発」を使えるようになる様なモノだから当然なんですけども……!

「ソウル・チャージ」によって、出す条件が厳しかったり素材にSモンスターを要求する大型Sモンスターを複数体場に揃えるような芸当がメチャメチャ簡単に。展開に失敗すると中途半端な盤面でターンを返しがちだったこの頃のシンクロデッキの弱点を上手くカバーしてくれるカードでもあったのだ
正直筆者は「フレムベル」や「ラヴァル」が好きなプレーヤーだったので専売特許である「真炎の爆発」を全てのデッキに配られたようで当時複雑な心境だったりもした……。が「もしかしてソウル・チャージを含めて蘇生カード6枚投入できる!?」というアホみたいな発想で楽しめたりもしたので、「ソウル・チャージ」くんは意外と全てのユーザーを笑顔にしてくれたカードなのかもしれない(そんな訳は無い)

 他にも「ローンファイア・ブロッサム」のように自身をを墓地に送る事でデッキから次々と同名を呼び出せる効果を持つモンスターとも高相性だったと言える。1体の「ローンファイア・ブロッサム」でデッキ内に眠る全ての「ローンファイア・ブロッサム」を墓地に落として好きな植物族を特殊召喚し、「ソウル・チャージ」で墓地に貯まった「ローンファイア」を全て蘇生させればデッキ内の好きな植物族をさらに追加で特殊召喚できるのだ。この時期でも「スポーア」のような有用なチューナーや「ダンディライオン」等の展開カードが使用できたためシンクロ展開に繋げられたり、「椿姫ティタニアル」等の植物姫シリーズのモンスターを揃えて盤面を強固にするなど、多種多様な展開を楽しむ事が可能だった。

植物族を一生支え続ける大黒柱の「ローンファイア・ブロッサム」はこの時期もしっかり仕事している! 「ソウル・チャージ」が生まれた2014年の初めに準制限に解除され、翌年には完全解除となった事でかなり伸び伸び活躍していた印象があるなぁ
カジュアル路線でもガチ路線でも多種多様を展開を楽しめた植物族たち。多少の無理も「ローンファイア・ブロッサム」と「ソウル・チャージ」がごり押ししてくれるのでいろんなコンボが実現可能となっていた

 他に類似する効果を持つモンスターと言えば「ワーム・クィーン」が一時期話題になったのも面白い。「ローンファイア・ブロッサム」と同じような効果を持つため、自身をリリースすれば同名もリクルートが可能であり、墓地に「ワーム・クイーン」を3体溜めたら「ソウル・チャージ」で一気に展開して好きなワームと入れ替わったりランク8エクシーズを作ったりして盤面形成を行なうコンボがカジュアル界隈では人気だった。爬虫類族である事から「スネーク・レイン」での墓地肥やしからの「ソウル・チャージ」でも似たような挙動ができ、バトルフェイズが行なえないデメリットもレベル8×3で出せる「熱血指導王ジャイアントレーナー」でお茶を濁せるという事で丁度いいパワーだった記憶がある。

 基本的に「ソウル・チャージ」を使った側が圧倒的に有利になる暴れカードであった事には違いないが、その中でも良い“オモチャ”として運用する方法はいくらでもあった印象だ。

突如としてこの時期謎に需要が上がった「ワーム・クイーン」とかいう意味不明なモンスター。ランク8をお手軽に作れるかつ「ローンファイア・ブロッサム」と異なり、「スネーク・レイン」等の爬虫類族サポートで墓地肥やしや墓地蘇生が別口で用意しやすかったのが評価された
カジュアルソルチャ使いの星「熱血指導王ジャイアントレーナー」さん! 「ソウル・チャージ」を手札3枚に変換してくれるため自分のやりたいコンボの必要パーツを集めてくれたり、ダメージの後押しをしてくれたりで盛り上がれるカードだった!

 そんなこんなでガチ・カジュアル問わず数多のデッキで使用された「ソウル・チャージ」は登場からわずか4カ月後の2014年10月のリミットレギュレーションにて制限入りとなる。当時のデュエリスト達もこの判断には「でしょうね!」としか思っていなかったことだろう。

 というのも上記で取り上げたコンボや面白ギミックに使うのはまだマシなレベルで、当然だがこのカードはそんな難しい事を考えずに適当なモンスターを3~5体蘇生させるだけでも最強カードなのである。

 どんなに接戦でもトップがこのカードなら全て解決! 初動展開の中にこのカードが含まれてたら宇宙が生まれて試合終了……! といった具合にこのカードによって試合の勝敗が大きく左右されてしまうケースが多かった為、制限カード入りはあまりに順当な判断だったのだ。

 他の要因としては2014年に開催された世界大会「WCS2014(Yu-Gi-Oh! World Championship)」の結果も踏まえられているだろう。一般の部で優勝者および3位入賞者が使用した最強ソリティアテーマ「インフェルニティ」では当然のように「ソウル・チャージ」が「インフェルニティガン」の穴を埋めるかの如くガン積みされており、その圧倒的なパワーをフルに活用している様が伺える。ちなみにこの頃は海外レギュレーションだと「No.16 色の支配者ショック・ルーラー」は早々に禁止カードとなっている為、ランク4を連打する構築でありながらルーラー無しの状態で優勝している事になる。やっぱ「インフェルニティ」ってスゲェや……。

 これ以外にも注目したいのが準優勝の「AF蟲惑魔」デッキでコチラにも「ソウル・チャージ」が2枚投入されている。先行でソリティア展開をするタイプのデッキじゃないのにそれでも「ソウル・チャージ」が2枚投入されるレベルなので、この頃の遊戯王がいかに「ソウル・チャージ」を中心に動いていたかがよくわかる。実際「蟲惑魔」モンスターの特殊召喚時の効果を一気に発動できたり、使い終わった「アーティファクト」を蘇生して「セイクリッド・プレアデス」を再展開するなど強い使い方はいくらでもできるので理に適っている。後ろ寄りなデッキでも「ソウル・チャージ」の強さは健在だったのだ。

【2014年WCS優勝者仕様レシピ「インフェルニティ」】
【2014年WCS準優勝者仕様レシピ「アーティファクト蟲惑魔」】

 さて制限カードになった後の「ソウル・チャージ」さんについてだが、実はかなり大人しくなったという印象がある。当然引かれて使われた試合はクソゲー化するのだが、制限カードになれば流石にその可能性も著しく低下し、上記で紹介したような「ソウル・チャージ」が手札にある事を前提としたコンボなどは軒並み現実味を失ったのが大きかった。

 さらには9期中盤以降になると当時アニメでプッシュしていた「ペンデュラム召喚」を中心として強力なサポートやテーマが大量に登場する事となり、ギミックの性質上墓地にモンスターが貯まらない「ペンデュラム」系のデッキは「ソウル・チャージ」を使う事がほぼ無いため採用されないデッキもドンドン増え始める。これらの現象が合わさって制限カード時代の「ソウル・チャージ」は強力なペンデュラムテーマに対抗する非ペンデュラムテーマの”強みの1つ”程度のアクセントであったり、切札的な立場を担っていたため、特に大きなヘイトを集める事無く受け入れられていたのではと個人的に筆者は考えている。

 そこから動きがあったのが何と5年後となる2019年。この破格のスペックながら5年間も制限カードで居続けることができていた事に驚きを隠せないが、リンク召喚の登場によって「ソウル・チャージ」にまたしても不穏な空気が漂い始める。

 モンスターを次々に大量展開して盤面を用意し、それらを簡単に墓地に送って強力なモンスターに変換する事を基本とするリンク召喚の環境は「ソウル・チャージ」とあまりに相性が良すぎたのだ。

 それでも「ソウル・チャージ」自体を手札に加える方法が無かったため許されていたのだが、この時期海外で生まれて日本にも爆速で来日した「未界域」達によってその保険も無くなってしまう。高速で墓地肥やしと手札入れ替えを行いながら盤面展開を行なう「未界域」はデッキのタイプを尖らせる事で先行1キルができたり、そんな事しなくても「ソウル・チャージ」を引き込んで自前の展開力と合わせて暴れて勝ち……といった様々な勝利パターンを作れるデッキだったため、「ソウル・チャージ」はその強さを危惧されて来日した翌月の2019年10月のリミットレギュレーションにて禁止カード入りを果たした。

 最期はかなり順当な理由で禁止カード化されたのでインパクトとしては正直薄いが、よくよく考えたらこのイカれた性能で5年間遊戯王が正常にゲームを保てていた事の方が驚きだろう。

 登場時のレアリティがノーマルカードな事で多くのデュエリストが手軽に入手でき、お世話になった人も多いと思うが、禁止になる時も制限になる時も特に反対の声が上がらなかった印象だったためある程度の共通認識として“いつかは死ぬカード”という気持ちがデュエリストの中にはあったのかもしれない……。

手札交換と墓地肥やしを両立させながら盤面展開を行える「未界域」は「ソウル・チャージ」との相性が抜群すぎた。リンク召喚で適当に変換した後「ソウル・チャージ」で肥えてた墓地からモンスターを引っ張り出してアドバンテージを稼ぎ……様々な無限が可能だろう。

もし現代で使うとしたら……と考えるだけ無駄! 絶対に帰ってこないので思い出の中でジッとしてもらおう!

 普段ならここいらで現代でもし帰ってきたらどのように使うかを検討するフェイズに入るのだが、マジでそのまま帰ってくることは99%あり得ないので今回はサラっと流したいと思う。

 というのもリンク召喚最初期ですら暴れる事を懸念されていたカードが、基本何でもできちゃう現代の環境に帰ってこれる訳がないのである。しかも、帰ってきて何ができるかと言われれば、現在ある宇宙コンボがさらに大規模の宇宙コンボになるか、妨害の貫通がより簡単になるかのどちらかという非常に面白味の薄い結果に成りかねないのだ。「ソウル・チャージ」が使える事で安定感や貫通力・ルートの対応力等が上がるコンボは星の数ほどあれど、“「ソウル・チャージ」が無ければ実現しないコンボ”は極めて少ないのが現代の状況だと筆者は考えている。

 さらに言えば「未開域」で手札に来る可能性が限りなく高いというだけでも危険視されていたのに、現代だと「塊斬機ダランベルシアン」による魔法罠サーチや、最新弾で登場した「白き森の妖魔ディアベル」と様々な墓地肥やしギミックを合わせた魔法罠回収などでいくらでも簡単に「ソウル・チャージ」にアクセスできてしまうのだからもう絶望的にダメな気がしてしまう。他にも適当にデッキに投入して「三戦の号」で雑に引っ張って来たあとに手札の捲りとして使えたり、蘇生したモンスターが昔よりも遥かに手軽かつ強力なリンクモンスターに変換できたり等……帰ってきた際の影響度がデカそうな割に、使う際のリターンやお手軽さは昔の比にならないくらい楽になってる点も禁止解除できない要因だと筆者は感じている。

昔は特定の魔法・罠にアクセスする方法が無かったけど現代だと様々な方法でアクセスができてしまうのがね……
「サンダー・ボルト」や「心変わり」などの元禁止魔法組と違い、特定のデッキ以外ほぼ投入される事が確定してしまうカードだという点も禁止解除が難しい要因だといえる

 とはいえここまでボロクソに言ってきたが筆者は別に「ソウル・チャージ」の事が嫌いなわけでは無いのだ。このカードを使って逆境を覆した経験も、先行展開でゲームを終わらせた経験も楽しかった思い出だし、何よりアニメで登場した時の使われ方がオシャレなのである。

 初代「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」におけるアニメオリジナルストーリー「ドーマ編」にて、主人公の1人である「闇遊戯」を打ち破った数少ないキャラクター「ラフェール」が使用したのがこのカードの初出だったりする。敵役ながらカードと心を通わせられる彼は基本的にモンスターを墓地に送る戦術を拒み、自身が幼少期より信頼する「ガーディアン」モンスターを場に残し続ける戦術を基本としていた。しかし、紆余曲折を経て心を闇に支配された結果、最後のデュエルでは逆にモンスターを墓地に落としまくる戦術を取ってしまうのだ。それでも闇遊戯とのデュエルの中で正気を取り戻した彼が最後に“墓地にモンスターを残したくない”という思いでこのカードを使用し、自らのライフを0にしながらもモンスターを蘇生させる……というもう本当に素晴らしい展開に使われたのがこの「ソウル・チャージ」なのだ。

「ドーマ編」に登場したラフェール。作中にて彼とのデュエルで「ソウル・チャージ」が初登場した(画像はバンダイチャンネルのもの)

 これを聞くとモンスターを蘇生させまくって効果を使い終わったら即座に墓地に落として展開をし続けるのが残酷な行為に見えてくるだろう!

 実際には「ガーディアン」モンスターに特殊召喚条件が付いてるため同じ動きは再現できないのだが、アニメではそんなドラマチックな使い方をしたカードだった事を最後に皆へ共有したかった。僕はドーマ編もラフェールも大好きなんです!

「ガーディアン・エアトス」が他のガーディアンと違って墓地にモンスターが存在しない時に特殊召喚できるって能力は担い手である「ラフェール」のデュエルスタイルが反映されてるんすよねぇ……マジで好き
「ガーディアン」モンスターの訳わかんない条件によって万が一「ソウル・チャージ」が帰ってきても出すの大変すぎるのがネックすぎィ……! コナミさん早く「バックアップガードナー」の実装をお願いします!

 という訳で今回は近代遊戯王史の中でも屈指の生まれた意味わかんないカードであるである「ソウル・チャージ」について振り返ってみた。散々色々言ったけど……とりあえずそのまま帰ってくる可能性はマジで無いな!

 今「ソウル・チャージ」を楽しい思い出にできてるのも当時の環境と思い出だからこそであって、現代パワーで「ソウル・チャージ」を使っても良いよとなったら2秒で嫌いになる自信があるのでやはり彼にはこのまま思い出になってもらおう。

 こんな感じで今後も(色んな意味で)ヤバすぎるカードの紹介記事を書いていく予定なので、その時はチェックしてくれると嬉しい! それではグッッッッ爆アドォォォ!!!