特別企画
第6回「遊戯王」宇宙最強カード列伝! 数多の“無限”を内包した最強モンスター「氷結界の龍 ブリューナク」全盛期のヤバさとは!?
2024年3月12日 00:00
- 【氷結界の龍 ブリューナク】
- 2008年3月12日 登場
爆アドォォォ!アドえもんです!筆者は普段YouTubeにて遊戯王を中心にカードゲーム動画を投稿している愉快でうるさいオジサンだ。
今回もアルティメット長い歴史を持つ「遊戯王」カードの中でも(色んな意味で)特に名高い連中を、そのカードが生まれた日に合わせて紹介する企画「宇宙最強カード列伝」第6回をやっていこうと思う!
そんな訳で今回の主人公となるカードはコイツ! 11年前の今日、2008年3月12日に稼働を開始したアーケードゲーム「DUEL TERMINAL -シンクロ覚醒!!-」にて表紙を飾った最強シンクロモンスター「氷結界の龍 ブリューナク」だ!
でっでたァァァァァァ!!! 氷結界3竜の1体にしてシンクロ時代を最初から最後まで支え続けた英雄!そして同時に遊戯王を破壊し続けた覇王!
圧倒的汎用性と数々の意味不明コンボを生み出し一時は禁止カードとして牢獄に叩き込まれた歴史を持ち、シンクロ時代でコイツの名前を聞かない日は無かったという程存在感が強いモンスターだ。
今となっては効果がエラッタ(カードテキストの変更)されて以前ほどの威厳は無くなり、遊戯王自体が数々のパワーインフレを起こし続けた結果、使われる場面も少なくなってきてしまった。とは言えエラッタ後の効果でも単体性能だけ見れば未だに現役で頑張れる程の強さは残ってるし、万が一旧テキストに戻ろうものなら爆速で数多の「無限コンボ」が生み出される可能性を秘めた非常に危ういモンスターと言える。
ブリューナクはその当時を知る者からすれば恐怖の対象でもありながら憧れの的でもあったモンスターだ。これほど“順当に強すぎた”が似合うモンスターも少なく、同名ターン1効果など現代風の手心制約が加えられる前の“暴れ”カード代表格と言っても過言ではない。一説には前回紹介した「征竜」を皮切りに遊戯王には「同名ターン1効果」という概念が生まれたという話があるが、今回のモンスターは言うなればその「同名ターン1効果を生み出す切っ掛け」となった古代の遺産の1つだと筆者は思っている。シンクロ時代は激動の時代での……遊戯王のゲームスピードが一気に加速した時代なのじゃよ……。
今回はそんな多くの「無限」でシンクロ時代を盛り上げ続けた彼の最強っぷりやコンボを改めて振り返りながら、禁止に至るまでの軌跡や現代だとどのようなデッキで活躍できるのか等も考察していこう!
もし過去に紹介した最強連中も気になる人は下のリンクから前回の記事もチェックしてくれると嬉しいぞ!
どんなカードも手札1枚でサヨナラバイバイ! お手軽除去が当たり前の時代を生み出した罪深き竜……それがブリューナクだ!
まず最初に彼の能力について振り返っておこう。「氷結界の龍 ブリューナク(以下:ブリューナク)」はレベル6のシンクロモンスターであり、その能力は「1ターンに1度好きな数の手札を捨てて、捨てた枚数だけ相手の場のカードを手札に戻す」と非常にシンプルだ。
モンスターに限らず魔法・罠でもバウンスが可能で妨害カードを先んじて除去したり、「群雄割拠」や「魔法族の里」等といった一部の永続系カードのロックを解除する事もできたりする。手札に戻してしまう都合上、メインデッキのカードにバウンス効果を使用するとリソースを減らせないが、破壊された時に発動する効果を不発にする事ができたり、EX系モンスターへバウンス効果を使えば純粋な除去かつ蘇生カードによる再利用を封じる事も可能と、単純な破壊効果には無い利点も数多く存在する。
ブリューナクが登場した当時の環境は言わずもがな現代のようなハイスピード環境では無かったため、純粋にどんなカードでもバウンスできる効果がまず最強と言われたほどだ。モンスターを裏守備でセットしてリバース効果や破壊時効果を持つリクルーター等を活用してアドバンテージや、盤面を整えていく戦術が当たり前の時代だった事もあり、破壊もせずセットモンスターのリバース効果を不発にして盤面を開けられるこのカードの登場は黒船来航のような衝撃だったのである。現代のようなソリティア展開ができるデッキもほとんど無かったため、下手をすると相手が召喚したモンスターを毎ターン1体バウンスするだけで勝てる試合が多々発生していた。
だがブリューナクの恐ろしさはこんなものではない。相手のカードをバウンスできるなんて効果は彼からしたら力の一端でしか無かったのだ。ここでエラッタ前のブリューナクの効果を見てみよう。
お気づきだろうか? そう、エラッタ後に記載されていた「同名ターン1制約」が消えてなくなり、さらには「自分フィールドのカードも手札に戻せる」効果になっているのだ。
ブリューナクに馴染みの無いプレーヤーからすると、どうせ効果を発動したら捨てた手札分だけ複数枚バウンスが可能なんだからターン1はあまり関係なさそうに思えるかもしれない。自分のカードを手札に戻せる効果も、何となくヤバイ雰囲気はあっても具体的に何がヤバイかは想像つかないプレーヤーも多いだろう。しかし実際は長年遊戯王をプレイしているデュエリストならこの効果を見た時点で泡を吹いてぶっ倒れる可能性がある程に凶悪な効果となっている。
ここからは「1ターンに何度でも好きなタイミングで自分のカードをバウンスできる存在」が遊戯王にどのような影響を与えてしまったのか……。さらには彼が活躍したシンクロ時代の歴史を紐解いていこう。
「先手無限ハンデス無限ドロー」、「トリプルクェーサー何かありますか?」「未来融合発動…対戦ありがとうございました」等……どっかしらで見た事あるような悲劇がいっぱい!
ブリューナクの歴史を辿る上でまず最初に語るべきは現在では禁止カードとなっている「早すぎた埋葬」との極悪コンボだろう。
「早すぎた埋葬」でモンスターを蘇生し、装備カードとなっている「早すぎた埋葬」をブリューナクの効果でセルフバウンスする事で再利用でき、ライフが続く限り無限にモンスターを特殊召喚できる宇宙一簡単なコンボとなっている。ブリューナクが登場してから「早すぎた埋葬」が規制を受けるまでありとあらゆるデッキで使われる事となり、お手軽かつ強力な展開方法だった事と同時期に生まれた他のシンクロモンスター達も化け物揃いだった事で、「モンスターを大量展開してワンショットする事が勝利に最も近い」という新しい遊戯王の形を生み出す切っ掛けとなったと筆者は考えている。
事実このコンボを組み込んだ「レスキューキャット」を主軸としたシンクロデッキ「猫シンクロ」、「レスキューシンクロ」、「シンクロダムド」等と呼ばれたアーキタイプは瞬く間に環境を支配し、シンクロデッキが強いという新時代の流れを作ったのである。
流石にヤバすぎた結果「早すぎた埋葬」が禁止カードとなってしまうが、このコンボが無くなっただけでブリューナクのヤバさは何一つ変わっていない状況がこの先何年も続く事となる。
シンクロ召喚に素材の指定が無く、レベル6シンクロという余りにも出しやすいレベルだった事もあり、ブリューナクは今後シンクロ時代が終わるまであらゆるEXデッキの1枠を埋め続ける事になるのだ。その優先度は現代の「増殖するG」や「灰流うらら」と変わらないレベルであり、シンクロをするならとりあえず入れておく。シンクロしないデッキでも相手のチューナーを蘇生して使う可能性があるからとりあえず入れておく、といった具合にゲームメイクをする上でブリューナクの存在が絡まない事が珍しいと言えるほどシンクロ期のブリューナクはゲームの中心的な存在だった。
その理由の1つとして、上記で挙げた「シンクロ素材に指定が無い」という問題が尾を引く事になる。シンクロ召喚がゲームの中心になる時期に突入すると、それはそれは魅力的で強力なチューナーモンスターが多々生まれるのだが、ブリューナクはチューナーに指定がないため、そのどれを使っても呼び出す事ができるため一生引っ張り凧になるのだ。特にシンクロ期は“レベル2・3のチューナー”に強力なモンスターやサポートカードが存在する事が多く、ゲームの中心となりやすいレベル4モンスターと合わせてシンクロ召喚が容易だったのも大きい。
ブリューナクを悪用した中でも有名なのは「ゾンビキャリア」を存分に使い倒して圧倒的シンクロ展開で相手を圧殺する「アンデットシンクロ」や、「緊急テレポート」を取り入れてシンクロ召喚も狙いつつ「邪帝ガイウス」や「ダーク・アームド・ドラゴン」などのダークモンスターでコントロールする「シンクロダムド」等のデッキだ。どちらもレベル5~8のシンクロモンスターをギミックに添えることができるデッキだったため、ゲーム内にブリューナクが介入してくる頻度もハチャメチャに多かった。
ブリューナクの活躍はこの時期に生まれた数多のテーマデッキでも健在だ。長い間環境に残り続けていた「ライトロード」は得意の墓地肥やしでついでに墓地に落ちた「ゾンビ・キャリア」とシンクロ召喚を行なってブリューナクを呼び出し、盤面をバウンスで掃除しながら墓地にコストでライトロードを捨てる事で「裁きの龍」を出すこともできた。
また、この時期を代表する最強アニメテーマ「BF(ブラックフェザー)」では「BF-極北のブリザード」が単体の効果でレベル6シンクロへ繋げ、簡単にブリューナクになる事ができたりなど、シンクロをプッシュするようなカードやテーマが来るたびにブリューナクは株を上げ続けたのだ。ブリザードに関して言えば本来は同じテーマカードである「BF-アームズ・ウィング」を出す用途で生まれたモンスターだが、確実にブリューナクとゴヨウを出していた回数の方が多いだろう。
それでも自力がしっかりしているテーマならまだ笑い話だが、これがもっと影の薄いシンクロテーマになると途端に悲惨な歴史になるのも面白い所。この時期は特に如実だったが、レベル6シンクロは当時ブリューナクとゴヨウ・ガーディアンが条件が無いにも関わらず完成されたパワーを持っており、本当に他のカードをわざわざ使う必要が無く、どんなシンクロテーマでデッキを作っても最終盤面にはブリューナクとゴヨウという“イツメン”が並んでいる状態が当たり前になっていた。オマケに最初期の最強シンクロモンスター達が出揃ったあたりから、シンクロ素材の指定が厳しくなる事が多くなり、わざわざ重い条件を達成して変なモンスターを出すならお気軽にブリューナクを出した方が強いという状況が何年か続くことになる。
「ジェネクス」デッキでレベル6シンクロが出せる状況になった時に、わざわざテーマ内の「ハイドロ・ジェネクス」や「ジオ・ジェネクス」を出すことは無い……みたいな悲しい状況が多発したのだ。今では当たり前すぎてそんな事を気にするプレーヤーも少なくなったが、当時はその影響で使うと謎にヘイトを買う事も多く、汎用モンスターの定めとはいえ悲しくもあったことを覚えている……。
そんな汎用シンクロモンスターとして不動の地位を確立したブリューナクは、展開力が超加速していくハイパーインフレ期のシンクロ時代に乗り遅れる事無く、様々なテーマと結託して数多の「無限」を生み出しながら駆け抜けていく事になる。今回は代表的な物をいくつかか紹介しよう。
1つ目はソリティア界の王「インフェルニティ」だ。今なお学会が動いて数多の意味不明ソリティアコンボを生み出し続ける彼らの先駆けとなったのが、登場初期に環境で大流行した「先行3トリシューラ」だ。今でもトップオブ人気を誇る最強モンスター「氷結界の龍 トリシューラ」を有り余る展開力で先行からひたすら連打し、相手の手札を根こそぎ持って行くという基本ルートだ。
この中でもブリューナクはインフェルニティの「手札が0枚の時に効果を発動できる」という特徴を達成させるためのマシーンとして活躍したり、調子が良い時には出したトリシューラを戻して「4回目のトリシューラによるハンデス」を可能にしたりなど、シレっと何食わぬ顔で悪事に加担していた。展開ルートは書き始めると長すぎるから各自で調べてくれ!!!
次にブリューナクと共に無限を生み出してしまったのが「六武衆」だ。正確にはこの時期に登場した「真六武衆」を使った「無限」となる。コイツらも未だに学会が動いて変なソリティアを生み出し続けてるのでこの時期はこういったテーマが生まれやすかったのだろう。
正直普通に展開したり戦っても「真六武衆」は十分すぎるほど最強だったが、1枚でも十分宇宙展開を生み出す「六武の門」が当時は規制を受けて無かったため、不意に2枚張られた日には何をされても文句が言えない惨劇が発生していた。
上と同じく展開ルート等は長すぎるので書かないが、ブリューナクによって何度も特殊召喚可能な「真六武衆-キザン」をセルフバウンスする事で、当時のカードプールだけでも無限に「武士道カウンター」を溜めて「無限回トリシューラ(何度もトリシューラをブリューナクでバウンスして出し直す)」や「無限ドロー(バウンスしたシンクロモンスターを何度も出す事でライブラリアンでドローする)」が可能となっていた。一部はロマンコンボだったとはいえ、そもそも「六部の門」1枚でも相手を確殺できるほどのパワーを秘めた連中が時折フィーバーして「無限」を始める恐怖は凄まじいものだったのだ。
シンクロ後半期では上記のような無限までは行かずとも、カードパワーのインフレで数多のデッキがセルフバウンスや手札コストを利用して“宇宙”を生み出していた印象だ。
上記の「TG ハイパー・ライブラリアン」に加えて無限に蘇生し続けるテントウムシこと「レベル・スティーラー」と、最強シンクロチューナー「フォーミュラ・シンクロン」が合わさった事で数多のデッキが超ドローによる手札補給が可能となり、一部のデッキにしか許されてなかったブリューナクによるセルフバウンスや無駄に手札を捨てる行為が誰でもできるようになったのである。その上で制圧モンスターの金字塔である「シューティング・クェーサー・ドラゴン」というエースを全シンクロデッキが得た事により、シンクロ展開を走りまくる事に意味が出てしまったのもゲームの高速化に拍車をかけたと言える。
これらのソリティア要素を取り入れて、特にブリューナクと一緒に1人遊びをしていたテーマと言えば「魔轟神」が筆頭に挙げられる。
多くのモンスターが「手札から捨てられる事で効果を発動する」という特徴を持った「魔轟神」はそれまで良い感じに手札を消費しながら「魔轟神レイジオン」で2ドローし続けて満足して終わる事が多かった。しかし、「TG ハイパー・ライブラリアン」と「フォーミュラ・シンクロン」登場した事でハチャメチャにドローしながら動くことが可能なテーマへと変貌。
ブリューナクのコストで捨てた魔轟神の効果を発動しながらグルグルできるほどの余裕が生まれてしまった結果、主軸となる「魔轟神レイジオン」のレベルが5と丁度良すぎた事もあって、先攻で「シューティング・クェーサー・ドラゴン」を筆頭とした制圧モンスターを長時間ソリティアして揃える事が可能なテーマに進化したのだ。上振れた時には平気な顔してクェーサーを3体出してくる余裕もあったため、強い弱い以前にヤバイし長いという印象が強く根付いてしまった。
そんなシンクロ時代で様々な無限を生み出しながらも、所詮は無限を生み出すサポーターに過ぎなかったブリューナクは周りのカードが禁止制限にぶち込まれながらもを汎用レベル6シンクロという地位を守り続けた。(割とコイツが原因だった気がしないでも無いが)
だが終わりは唐突にやって来る。最期に無限を生み出してしまったのは古来から存在していた最強カード「未来融合-フューチャー・フュージョン」と、新時代の水属性テーマ「海皇」、「水精鱗」の2つ。この時点で生まれてから何年も経過しているのに、未だに新しいカードと古のカードの板挟みになっているレベルの汎用っぷりは笑えるレベルだ。
「未来融合-フューチャー・フュージョン」はこの時期に種族や属性を指定する融合モンスターが登場し始めた事によって好きなカードを落とせる“永続魔法”になってしまい、極めつけとなった闇属性を指定する「E・HERO エスクリダオ」が登場した事で「ゾンビキャリア」や「BF-精鋭のゼピュロス」等を墓地に送って、未来融合がある状態でブリューナクを簡単に呼び出せるようになってしまったのだ。
後は場に残っている未来融合をブリューナクでセルフバウンスする事で無限に墓地が肥やせるため、様々なデッキでこのギミックを活用したお手軽墓地肥やしが行なえるようになった。ここからどう展開するかは人それぞれだが、展開モンスターをタコほど落として「シューティング・クェーサー・ドラゴン」を出したり、「エクゾディア」パーツを落として回収してワンキルしたり等、何でもできすぎて書ききれないため割愛させて頂く。
こんな制限カードの「おろかな埋葬」が裸足で逃げ出すレベルの行為が許される訳もなく、元々「カオスドラゴン」等でも悪さをしていた余罪も含めて「未来融合-フューチャー・フュージョン」もブリューナクと同じタイミングで禁止カードへとぶち込まれた。
一方、新時代の水属性テーマだった「海皇」や「水精鱗」はこれまでのブリューナクの役割を考えると順当な使われ方をしていた。水属性のコストになった際に効果を発動する「海皇の竜騎隊」や「水精鱗-アビスグンデ」などをブリューナクのバウンス効果で捨てる事でアドバンテージを得ながら盤面を荒らす事が可能だったのだ。この頃に登場した「深海のディーヴァ」から簡単にシンクロ召喚が可能な点や、当時は最強カードの筆頭だった「アビスフィアー」をセルフバウンスで使いまわしたりなどの綺麗なシナジーが随所に見受けられ「順当に強くね?」という評価だった事を覚えている。
とはいえ法外的な強さという印象は無かったのでそれもあくまで理由の1つに過ぎず、「これから先ブリューナクが与えてしまう影響度」と「それまでに蓄積された余罪の数々」が投獄される原因だったのではと筆者は感じている。最期までファンデッキ・環境デッキの両方で数多のカードをバウンスし続けた最強の竜は2012年9月の制限改定でついに禁止カードへと指定された。
生まれてから実に4年半。生み出した無限の数は数知れず、ぶっちゃけ相手のカードよりも自分のカードを戻した回数の方が多いんじゃないかと思われながらも、その活躍に幕を閉じたのだ。
エラッタにより復活するが当時のような「無限」は存在せず……! 使い処が難しい上級者向けのカードに!
ここまでの振り返りでおわかりいただけたと思うが、最初に取り上げた通りブリューナクの強みは「自分のカードを好きなタイミングで手札を捨てながら戻せる」という部分が強かったのだ。そんなバックボーンを持つブリューナクは、2017年に効果がエラッタ。帰って来た彼からはその重要な要素がゴッソリ取り除かれていたのだから悲しんだデュエリストも多かった………訳もなく! 順当すぎるエラッタを経て再びブリューナクと戯れられるよう(実際に使える)になった事を喜ぶプレーヤーがほとんどだった。ぶっちゃけ好きな数バウンスできるだけで十分強いんだよお前は!
とはいえ現代だと同じレベル6シンクロにライバルが多いのも事実と言える。手札コストなく出た時の誘発効果でバウンスが行なえる「獣神ヴァルカン」の存在。また、同じ水属性かつ手札コストを切って除去ができる「瑚之龍」は、何だったら墓地に行った際にドローまで付いている。挙句の果てには現代だと昔と違ってわざわざシンクロ召喚を狙うデッキも限られてくるため、その中でブリューナク独自の強みを発揮するのは至難の業と言えるかもしれない。
そんな逆境の中でも独自の強さを発揮するなら、ここは一度「氷結界」デッキに戻ってみるのがベストなのではと筆者は考えている。
近年多くの「氷結界」に新規カードが登場した。それにより、昔では考えられないが現代だと「氷結界」がテーマとして戦えるようになっているのだ。「氷結界の鏡魔師」や「氷結界の照魔師」から展開を伸ばせばブリューナクを着地させる事は容易であり、その上現代の最強エースモンスター「氷霊山の龍祖 ランセア」の力を持ってすれば他の氷結界三龍と合わせて場に呼び出す事だって夢じゃない!(優先度が高いかはさておき)
「氷結界」テーマの中では除去範囲が誰とも被って無いため破壊・除外に対して耐性や効果を持つカードの除去要因として唯一性を見出す事ができ、さらにバウンス効果のコストを「氷結界の照魔師」等の墓地効果を使えば肩代わりする事ができるため、手札コストも以前より雑に切れない現代遊戯王において以前より気軽に効果を発動する事ができるのもありがたい。
昔は「氷結界」がテーマデッキとして成り立たないレベルで不甲斐ない連中だった。そのため、ブリューナクをはじめとしたシンクロの三龍だけが最強と言われていたのが、現代では逆に三龍を使うなら「氷結界」が一番適任と言われるまでテーマ性が強まったと考えると感慨深いモノがある……!
長きに渡る時を経てブリューナクは汎用モンスターから「氷結界」のエースの1体へと変化したのだ!
ブリューナクは人気が非常に高いモンスターでもあるため、今後何かしらの形で生まれ変わる事も期待できるだろう。同じ氷結界三龍である「氷結界の龍 トリシューラ」はその真の力を解放した姿として「氷結界の還零龍 トリシューラ」や、リメイクモンスターとしての「氷獄龍 トリシューラ」など、別の姿となって生まれ変わっているため、ブリューナクにも同じような進化が期待できる。既にリメイクモンスターとして「氷魔龍 ブリューナク」が存在しているため、今後真の力を解放したブリューナクが出てきて遊戯王を再び破壊しつくす事もあるかもしれない……!
今回はシンクロ時代を代表する「氷結界の龍 ブリューナク」を改めて振り返ってみたが、正に展開力とゲームスピードがうなぎ上りで高まっていたシンクロ時代に相応しい“宇宙最強モンスター”だったのではないかと強く思っている。実際コイツが悪目立ちしているタイミングって毎回何かしらの「無限」が生まれてた訳だし、そうでなくてもブリューナクが強く関わったあらゆるシンクロテーマは、現代でも元気にソリティアをしてる事を考えると改めてスゲー時代を生きたカードだったのだなと思ってしまう。入手難易度の高さやカードイラストの美しさからも当時の少年たちからしたら宝石のようなカードだった事も踏まえて、今でも愛しているプレーヤーが多いことも頷ける一枚だった。
こんな感じで今後も(色んな意味で)ヤバすぎるカードの紹介記事を書いていく予定なので、その時はチェックしてくれると嬉しい!それではグッッッッ爆アドォォォ!!!
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