特別企画

第7回「遊戯王」宇宙最強カード列伝! 終わらぬ無限“満足”ループの要「インフェルニティ・デーモン」の底知れぬ展開力を知っているか!?

【インフェルニティ・デーモン】

2009年3月26日 登場

 爆アドォォォ!アドえもんです!筆者は普段YouTubeにて遊戯王を中心にカードゲーム動画を投稿している愉快でうるさいオジサンだ。

 今回もアルティメット長い歴史を持つ「遊戯王」カードの中でも(色んな意味で)特に名高い連中を、そのカードが生まれた日に合わせて紹介する企画「宇宙最強カード列伝」第7回をやっていこうと思う!

 そんな訳で今回の主人公となるカードはコイツだ! 15年前の今日、2009年3月26日に発売しニンテンドーDS用ソフト「遊戯王ファイブディーズ STARDUST ACCELERATOR - WORLD CHAMPIONSHIP 2009」の付属カードととして登場した「インフェルニティ・デーモン」だ!

 最強満足モンスター来たァァァァァァァァァ!!! OCGに初めて登場した「インフェルニティ」モンスターの1体にして15年間様々な「インフェニル二ティ」カードをサーチし続けている男ォ!!!

 シンプルながらも完結された効果で数多の決闘者達を“満足”の沼に引きずり下ろし、インフェルニティが強化される度に評価を上げ続ける、正にテーマを代表するようなモンスターと言えるだろう。手札0枚からのトップデーモンで何人のデュエリストが泡吹いてぶっ倒れて来たことか。

 今回はそんな「インフェルニティ」の中核となっている「インフェルニティ・デーモン」の活躍やパワーについて紹介しながら、そもそも「インフェルニティ」というテーマが遊戯王においてどのような歴史を辿って来たのかについても触れていこうと思う。

TVアニメ「遊戯王5D's」放送期初に発売されたDS用ソフト。同梱カードは「インフェルニティ・デーモン」の他にも「インフェルニティ・ドワーフ」と「インフェルニティ・ガーディアン」が付属しており、当時「インフェルニティ」デッキを組むなら必須のゲームとなっていた

 今回紹介する「インフェルニティ・デーモン」はテーマとしての展開力を一身に背負っているエンジンカードであり、とある時期のガチ環境での活躍は勿論ながら、登場から今に至るまで非常に長い間特定のコンボデッカー達をいつまでも魅了し続けている“ソリティア力の権化”のような存在とも言えるカードとなっている。その展開力を持ってすれば遊戯王で達成できない事は無いと言われるほどの力をもっており、実用性云々はさておき数多の意味不明ループコンボが開発されている非常に恐ろしいカードなのだ。

 宇宙最強カードとしては今まで紹介してきた連中とは全く異なる性質……単純なパワーや環境での活躍だけではなく、言うなれば特定のデュエリスト達による“狂気”が生み出した大量の意味不明コンボがこやつらの一番の特徴となっているので、知らない人はぜひ深淵を覗いてみてくれ。

 前回取り上げた「氷結界の龍 ブリューナク」の記事に実はその一端が掲載されているので、気になる人は以下のリンクから過去の記事もチェックしてみてくれると嬉しいぞ!

手札0枚がスタート合図! ソリティア展開の始祖にして極地と言っても過言ではない「インフェルニティ」の魅力とは?

 まず最初に今回の最強カード「インフェルニティ・デーモン」の能力について軽く紹介しておこう。

 「インフェルニティ・デーモン(以下:デーモン)」はレベル4・闇属性・悪魔族の効果モンスターであり、その能力は「手札が0枚の場合にドローすると特殊召喚できる効果」と「特殊召喚に成功した時に手札が0枚ならデッキからインフェルニティ1枚をサーチできる効果」の2つだ。

 シンプルながらも手札が0枚の際に真価を発揮する「インフェルニティ」のテーマ性を体現したような効果であり、ゆるい条件と古のカード故に両方の効果に同名ターン1が無いのも特徴的だ。自身の効果で特殊召喚可能なテーマのサーチャーの恐ろしさは遊戯王プレーヤーなら説明する必要も無いと思うが、その際たる例となる「SRベイゴマックス」が生まれたのがデーモンが登場してから6年も先と考えると時代の先取感が凄まじいだろう。(汎用性を考慮すると使い勝手は全く異なるが)

 登場初期こそ「インフェルニティ」カード自体がそもそも少なすぎてションボリしてたが、アニメ「遊戯王5D's」にて強烈なインパクトを残し、今でも大人気のキャラクター「鬼柳京介」が使用した事によって当時からテーマのファンも多く、その影響からか度重なる強化を受けた事によって後に化け物デッキへと進化していく事となる。遊戯王が大量展開をするゲームへと移行を開始した「5D's」期において“同名ターン1の無いサーチ効果”を持った存在が如何に恐ろしいかを世に知らしめたモンスターなのだ。

現代基準で考えたら特殊召喚オンリーの条件付きサーチャーで少し見劣りするかもしれないが、当時からするとあまりに未来スペック。そのクセ「同名ターン1」は無い古のカードならではの強すぎる特徴も持っているため、まさに時代の狭間で生まれた最強カードになっているのだ。恐らく現代のほとんどのサーチ効果に「同名ターン1」が付くようになった原因の何割かはこのカードにあると筆者は思っている

 では次に、そんな「インフェルニティ」がどのような進化を辿って行ったのかを振り返ってみよう。前述した通り「インフェルニティ・デーモン」が付属していたゲーム「WORLD CHAMPIONSHIP 2009」が発売した当初は、そもそもソフトに付属する3種類とゲームの攻略本に付属していた「インフェルニティ・デストロイヤー」の計4種類しか存在しなかったため、少なくともマトモなデッキと呼べる状態にはならなかった記憶だ。デーモンでサーチできるカードがモンスターしかいない事で手札を0枚にするというコンセプトも崩壊しかけてたしね……。プロモカードをゲットしてもデッキにはならない微妙なカード扱いだったのが懐かしい。

 そんな中で流れが変わったのが、同年の夏に発売された通常ブースター「STARDUST OVERDRIVE」にて2種類の新規カードが登場した時だ。

 この時に登場したのが初のテーマ罠カード「インフェルニティ・フォース」と、今後デーモンと共に一生悪さを続ける「インフェルニティ・ネクロマンサー」である。この2種類の登場によって「インフェルニティ」デッキはデーモンからのサーチ効果で妨害を構える事が可能になり、墓地からモンスターを展開できる手段を得た事でボードアドバンテージを得やすくなったのだ。当時の基準で言えばテーマのサーチで相手の妨害となる罠カードを手札に加えられることが非常に珍しく、ネクロマンサーの登場で墓地にモンスターを落としてアドバンテージを得られる機会が増えた事で「ゾンビキャリア」等の墓地蘇生が可能な汎用チューナーを混ぜてシンクロ展開も可能になったりと、最初の登場から半年経過した位からデッキの方向性が固まり始めた印象だ。

最初に追加された「インフェルニティ」カードの2種類。展開力と妨害力の両方を得た事でデッキとして動かせるようになった!
時折シンクロ召喚や展開をしつつも、基本的には罠で構えて戦うというコンセプトが当時としては珍しい独自性となっていた。

 そして「インフェルニティ」が最初のバブルを向かえるのが翌年となる2010年。2月に発売された通常ブースター「THE SHINING DARKNESS」にて大量の「インフェルニティ」カードが追加されたのだ。ちなみにこの時期の前後のアニメでは担い手である鬼柳さんが謎にハーモニカを吹いて登場したり、やさぐれて死神になったり急にハイテンションになったり、カードゲームなのに西部ガンマンの世界観が展開されて早打ちを始めたり(でもカッコいい)等……ハチャメチャな展開のオンパレードで視聴者を熱中させていた。正に「インフェルニティ」への期待値が爆上がりしてる真っ只中だった事もあり、新規カードの登場は多くのデュエリストを歓喜させたのだ。

こちらがアニメで「インフェルニティ」デッキを使う鬼柳京介。本記事では「満足」という言葉が度々登場するが、これは彼のセリフから来ているもので「満足させてくれよ?」など“満足”というキーワードを多用することから、多くのプレーヤーに「鬼龍=満足」という印象が根付いている。画像は「遊戯王 デュエルリンクス」のもの

 そんな中で登場した新規カードは現代でも使われるほどの化け物カードだらけだ。待望のテーマ名を冠したチューナーモンスターかつ展開能力すらも持っている「インフェルニティ・ビートル」、またしても同名ターン1をつけ忘れた事で将来的に悪用され続ける「インフェルニティ・ミラージュ」を筆頭とした強力なモンスター達。「インフェルニティ・フォース」よりも使い勝手の良い妨害罠カード「インフェルニティ・ブレイク」や、一瞬で「インフェルニティ」展開を行なう準備を整えられる「インフェルニティ・インフェルノ」等、展開しながら罠を構えられる従来の強みも活かせる最強罠カード達も一緒に登場しているのだ。

手札が0の時限定とは言え1枚が2枚以上になるカード多すぎじゃね? と多くのデュエリストがその強さに震えた程だ
従来のインフェルニティが行なっていた罠妨害をしながら展開もするといった独自性がしっかり伸ばせるような追加カードとなっている

 そして何よりも歴代カードの中でも最強永続魔法と名高い「インフェルニティガン(以下:ガン)」が一緒に登場したのがあまりにも大きな強化となってしまった。最強カード列伝的にはこのカードで「インフェルニティ」を取り上げようかと思ったレベルにはバグった強さを持つ存在だ。

 その能力は至ってシンプル。「1ターンに1度手札のインフェルニティを1枚墓地に送れる効果」と「手札が0枚の時にフィールドに存在している自身を墓地に送る事で墓地のインフェルニティ2体を特殊召喚できる効果」の2つだ。当然同名ターン1などは無い。強すぎィィィィィ!!!

 単純に2体蘇生できる点がヤバイのだが、それよりも何がヤバイかと言えばその連鎖能力である。このカードは当然今回の最強カードである「インフェルニティ・デーモン」の効果でサーチが可能なため、ガンでデーモンを特殊召喚すると次のガンが装填されるのだ。ついでにもう1体蘇生ができる事で先ほど紹介したネクロマンサーを出せば連鎖的にドンドンドンドンカードが増えていくのである。おあつらえ向きなテーマのチューナーもゲットした事で展開したモンスターでシンクロ召喚を行なってデーモンとネクロマンサーを墓地に送り、サーチしておいたガンを発動すれば再びガンを装填しながら展開が可能と……当時としてはオーバースペックすぎる展開力を獲得してしまったのである。

 さらにこのカードが登場する丁度少し前に最強のシンクロモンスターの一角である「氷結界の龍 トリシューラ(以下:トリシューラ)」が登場してしまった事により、上記のガンをリクルートしまくる展開によってお手軽に何回もトリシューラをシンクロ召喚できる展開が当たり前になってしまったのだ。当時のカードパワーでトリシューラを3体召喚し、これにより3枚除外ハンデス+ついでに妨害罠をサーチする展開に耐えられるデッキが存在する訳もなく、「インフェルニティ」は瞬く間に環境デッキへと上り詰めていった。

 このハイパー展開にはガンをサーチする為のデーモンが必須カードになった事で、デーモンのシングル価格はプロモカードだった事もあり1枚4,000円を軽く超えるレベルにまで高騰するハメに。中高生の財布と環境を破壊しつくしたその結果として、半年後の2010年9月の制限改定にて件の問題カード「インフェルニティガン」と「氷結界の龍 トリシューラ」両名が爆速で制限カードへと叩き込まれ、最初のインフェルニティバブルが収まったのである。

今見てもイカレ散らかしてるテキストで思わず笑ってしまうのが「インフェルニティガン」の凄い所! 今考えるとこの能力で同名ターン1が付いてないのが信じられないほどだ。これが時代である……
丁度最強の展開カードであるデーモン、ネクロマンサー、チューナーのビートルのレベル合計がピッタリ9だったのも面白すぎるポイント。いや狙って作っただろコレ!!! 当時インフェルニティがあくびしながら繰り出してくる3トリシューラがあまりに凶悪過ぎた事もアリ、3トリシューラを従える鬼柳さんのファンアートが大量に作られたのを記憶している

 凶悪犯の2人が投獄された事で「インフェルニティ」は全盛期の力は無くなるものの、その後は順当に強い展開デッキの1つとしてシンクロ時代を駆け抜けていく事となる。というより、場合によってはガン3積み時代よりも凶悪な盤面を形成できるようなデッキへと進化していくのだ……。

 通常パックでドカッと大量の新規カードをこの時期に貰う事は無かったが、マンガ版「遊戯王5D's」の鬼柳さんが使用した「インフェルニティ・ジェネラル」と「煉獄龍 オーガ・ドラグーン」などの展開・制圧モンスターとして申し分ないカードを獲得したり、さらに現代でも使われる最強罠カードの1つ「インフェルニティ・バリア(以下、バリア)」も登場した事で盤面の制圧力は格段にアップしていく。むしろターン1が無い何でも無効のバリアが最強すぎて、この時期のインフェルニティはこのカードを複数枚かき集めて罠で妨害を行う原点回帰をしたような展開デッキへと変化していた印象だ。ひっそりと影に埋もれているが、正直筆者はこの時期の静かに強化を受け続けているインフェルニティが一番強くて怖かった存在だと思っていたりする。

鬼柳さんの人気が凄まじかったからか、その後も年に数枚程度の頻度でインフェルニティはその種類を増やしていく。オーガドラグーンとジェネラルはその中でも群を抜いて強い存在だ
性能も素晴らしいが、何よりも鬼柳さんのカードは見た目のスタイリッシュさとダーク感が男心を擽るのよなぁ……!
コイツだけはホンマにアカン。現代ですら先攻展開でサーチしまくってブレイクと合わせて3伏せとかされたら普通に勝てないからね!!!???

 そんな中で「インフェルニティ」が次に脚光を浴びるのが2014年。時代はエクシーズ召喚へと移行した時期になる。なんとこの時期に世界王者となったプレーヤーの使用したデッキが「インフェルニティ」だったのである! しかもちゃんとこの頃はガンが制限にも関わらずだ! 何ならトリシューラに関しては禁止カードにまでなっている。

 この頃の環境の大きな特徴としては汎用的なエクシーズモンスターが軒並み強い効果を持っていた事と、その中でもランク4が飛びぬけていて「インフェルニティ」と相性が良いモンスターが多かった事だろう。時代を作った最強モンスターの一角「ラヴァルバル・チェイン」は特に相性が良く、展開の中で墓地に足りない「インフェルニティ」を落とす事は勿論、「トリック・デーモン」を落とす事で「インフェルニティ・デーモン」を直接手札に呼びこんだりと仕事量が半端なかった。暇な時にデーモンをトップ固定しても良いしね。

チェインによる展開ルートの安定化に加えて、ランク3ではリヴァイエールの帰還を絡めてさらに展開を伸ばせたりと、基本的にゴールになる事が多かったシンクロモンスターと比較して展開を伸ばせるカードがエクシーズには多い印象。それでいて盤面除去やコントロールもお手の物だったので、この時期のエクシーズモンスターは本当に頭一つ抜けて強かった……

 何より激ヤバだったのがこの時期に何故か3枚使用できた「ソウル・チャージ」の存在だ。このカードは簡単に説明すると「ライフを1000払うごとにモンスター1体を蘇生できる通常魔法」である。「えっガン制限行ったのに意味無いじゃん!」って思ったそこの方、その通りです。

 「ソウル・チャージ」自体はテーマ名を持って無いためサーチができなかったり、ライフコストが必要だったりと違う部分はあるが、それ以前に2体蘇生でもヤバかったテーマにMAX5体蘇生もできちゃうカードを配ったのがヤバかった。もっと言うと通常魔法なので一端カードをセットして手札を0にできたこともマズかったかもしれない。いや、そもそもこのカードを3枚使えちゃうことが……と考え始めたらヤバい所だらけなので、「ソウル・チャージ」に関して将来的に別の最強列伝で語ろうと思う。

これはナニ? オリカか何かか……? と思わず感じてしまうかもしれないが、これもれっきとした遊戯王カードである。当時はこのカードがどのデッキにも3積みされる環境だったが、展開ソリティアの神であるインフェルニティはその力を十二分に発揮できてしまったのだろう……

 そんなこんなでエクシーズ召喚によるバフと、最強イカレ蘇生カードである「ソウルチャージ」をあまりにも上手に扱えた事で「インフェルニティ」は登場から数年の時を経て天下を取る事となったのだ。

 この事からわかると思うが、インフェル二ティというデッキは「デーモンを特殊召喚する方法」さえ確立されれば無限展開できるテーマであり、そこさえしっかりしていればモンスターを無尽蔵に供給できる事から、この先に待ち受けるエクシーズだろうがペンデュラムだろうかリンクだろうが全ての力を吸収して無限に強くなっていくテーマなのである。まさにその姿は“インフィニティ”。無限の名を体現したような最強っぷりは現代にまで語られる程なのだ。

2014年を収めた「インフェルニティ」のデッキレシピがコチラ。デーモン+ネクロマンサーの基盤を主軸にエクシーズモンスターと罠でしっかりボードをコントロールできる素晴らしいパワーを持ったデッキだろう

 その後はあまりにも強力だった「ソウルチャージ」が禁止になったり、時代が移り変わっていわゆる9期と呼ばれるカードパワーが格段にアップした時期に突入した事で、インフェルニティは徐々に環境デッキとしての活躍は下火になっていく。とはいえ制限改定で大きな規制を受けるといった事も無く、むしろトリシューラが帰還したり等良いニュースの方が多かった印象だ。他にもペンデュラム召喚の導入でデーモンを特殊召喚できる方法が新たに確立されたり、リンク召喚によって簡単に盤面のモンスターを有効なEXモンスターに変換できるようになったりと、しっかり時代の進みに合わせて進化を繰り返しており、1つのテーマデッキとして確立した強さと独自性を持ちながらも、好きな人は一生使い続ける良いテーマデッキとしての立ち位置を確立できたと言えるだろう。

 むしろインフェルニティ界隈はインフェルニティが好き過ぎて”変なコンボ”を作り過ぎてたレベルなので、長年愛され続けていた事がよくわかる。

 そして時が進み2020年。あまりにも長年愛され続けた結果、ついに通常パックで10年ぶりとなる新規カードが追加されたのだ!

 昔に比べて遊戯王自体が大量展開ゲーム&手札誘発で牽制し合うゲーム性に変化していた事で、手札を自ら0枚にしなくてはならない「インフェルニティ」は条件を達成して戦う事がまず難しい状態だったが、新しく追加された「インフェルニティ」カードは現代らしいテキストを持つことで変化したゲーム性の中でも遺憾なくその力を発揮できるようになる。

 「インフェルニティ・コンジュラー」は墓地からの蘇生効果を、墓地リソースになるカードを切って特殊召喚可能な「インフェルニティ・ワイルドキャット」も登場した事で展開の貫通力も同時に獲得しながら手数が一気に増加。魔法カードの「インフェルニティ・パラノイア」は必要なモンスターへのリクルートと墓地効果でデーモンの確保、罠カードの「インフェルニティ・サプレッション」はモンスター効果無効を持ちながら、手札が0枚の場合に伏せたターンに使える事で相手の手札誘発を貫通できるようになったりなど、現代パワーにチューナップされたインフェルニティ達が数多く登場したのだ。

元々墓地に必要なインフェルニティを溜めてから展開を開始するデッキの特性上、新しい手数になるコンジュラと自ら手札を切って特殊召喚できるワイルドキャットの重要性は非常に高い
キャットに関してはレベル変更能力でランク3~4や自由なシンクロ体へ中継点になれるため、今までのインフェルニティの強みを全て引き出せるのもオシャレだ
墓地効果でアドバンテージを獲得できる魔法に即時発動可能な罠カード……昔では考えられなかった数多の最強テキストによってインフェルニティの手札が0枚という条件を達成しながら現代遊戯王のデッキに立ち向かいやすくなったのだ!

 中でも注目したいのが「インフェルニティ・ヘル・デーモン」だ。この記事の主役であるヤツがシンクロモンスターとして蘇っているのである!

 「相手の表側カードの効果を無力化できる」という妨害を踏める効果に加え、「自身が相手モンスターとの戦闘で与えるダメージを倍にする効果」と「S素材として使用され時に出て来たSモンスターにモンスターへの2回攻撃の効果を付与する」という一見するとチグハグに見える能力を持っている。

 だがこれが実は非常に素晴らしい繋がりを持った効果となっていて、長年インフェルニティを支え続けたダークシグナー時代の鬼柳さんのエース「ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン」のS素材に使用する事で2回攻撃を付与し、さらに「ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン」のコピー能力を使用する事でダメージ2倍を持った状態でアタックできるようになるのだ!

 昔のエースカードの事もしっかり考えられた繋がりのある効果が素晴らしく、本来のデーモンではできなかった部分すらもサポートできるように進化した姿にオジサン達は感動したものだ。現代遊戯王でも上手く戦えるように調整されたインフェルニティデッキをぜひ一度触ってみてはいかがだろうか?

最強モンスターであるデーモンが新しい姿になってもサポートに徹している感じに何となくエモさを感じてしまう
倍ダメージ2連パンチ「ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン」の気持ち良さは既存のインフェルニティにはない快感なので、ぜひ一度試してみて欲しい

煉獄で無限にループコンボを生み出し続ける……“満足民”と呼ばれるデッカー達の狂気の研究!

 さてここまでは比較的綺麗な「インフェルニティ」を紹介してきたが、少し遊戯王に詳しいプレーヤーからすれば「インフェルニティ」が持つもう一つの側面について全く触れられていない事に違和感を覚えているだろう。

 という訳でここからは、「インフェルニティ」が好き過ぎて何年も研究を進めた結果、数多の意味不明コンボを生み出してしまったいわゆる“満足⺠”と呼ばれる者達の努力の結晶(ループコンボ)を紹介していきたいと思う。

 “満足民”というこの呼び名が誉なのか蔑称なのかは正直筆者にはわからないのだが、この人達は簡単に言うと「インフェルニティ」が好き過ぎて何かしらの強化が来るたびに(実用性はともかくとして)様々な宇宙最強コンボを生み出し続けているプレーヤー達を指している。その可能性は無限大で、インフェルニティで達成できない事の方が珍しいと言われるほどその研究は進んでいるのだからたまげたモノである。

 手始めにジャブとして紹介するのが「トリシュループ」だ。これは比較的初期に開発されたループコンボで「ラヴァルバル・チェイン」、「ダイガスタ・エメラル」、「氷結界の龍 ブリューナク」、「氷結界の龍 トリシューラ」というその時期のヤバい奴オールスターみたいなEXカードと「虚空海竜リヴァイエール」を使う事で何度も何度もトリシューラを出し直すループコンボとなっている。当時のカードプールの限界的に20回前後がループのMAX値と言われてるが、遊戯王は初手が5枚のゲームなので過剰すぎるほどの除外が飛んでくることになるだろう。

ブリューナクの記事でも取り上げたが、とりあえず自分のカードを簡単にセルフバウンスできるカード、墓地に送られたカードを何度も使いまわせるカードはヤバイ。エメラルくんも大概なのよ?

 このループコンボはトリシューラが禁止となり、ブリューナクも禁止を経てカードテキストのエラッタまでされた事で現代では再現できなくなったが、まだまだこのレベルは序の口である。

 次に開発されたのが「ガガガガンマン」を繰り返し出し直す事で先攻ワンキルを行なう「ガンマンループ」だ。これも当時のルートはややこしくて記事内に書ききれないのだが、簡潔に書くとそもそもランク4を死ぬほど作りやすいデッキだったところにバーンカードを与えた事でループ&エメラルで回収するカードを「ガンマン」に変えれば比較的無限にガンマンのバーンが狙えるという感じだ。現代においては簡単にモンスターを墓地に送れるリンクモンスターが登場した事で、その難易度は鬼のように低くなっているため、やろうと思えば一番簡単にできる先攻ワンキルループかもしれない。

インフェルニティに限らずあらゆるループのフィニッシュを担当している気がするガンマンくん。汎用ランク4に同名ターン1の無いバーンを与えた結果がコレである

 とはいえここまでは何となく勝ちに向かっているというか、過剰ではあるものの、勝つために必要なループをしているコンボがほとんどだ。

 しかし「インフェルニティ」のコンボ界隈が恐ろしいのはむしろここからで、実際のデュエルで活用できるのかという実用性はさておき、“どこまでの事がインフェルニティでできるか”の研究が進められる事になる。メジャーな所を紹介すると「幻子力空母エンタープラズニル」を用いた“相手のあらゆるものを除外する”ループコンボを聞いたことは無いだろうか。元々基盤で存在していた「氷結界の虎王 ドゥローレン」と「継承の印」を用いた無限ループコンボにこのカードを組み込んだ結果、無限回数「幻子力空母エンタープラズニル」を出し入れする事が可能になり、相手の手札に留まらずデッキトップを除外する効果も無限回数打つことで全てのカードを除外する事が可能との事らしい……何を言っているのだ……?

 筆者も当時の展開ルートを確認したが、禁止制限・カード効果のエラッタで昔のルートのままだと現代では再現できないものの、ワンチャン現代カードを用いたらある程度は再現できちゃうのではと不安に駆られるような臭いを感じた……。いや恐ろしすぎワロタ。とは言え、そもそも全てのカードを除外するまでに掛かる時間が意味不明なレベルでかかる事に加え、現代では手札誘発での妨害も豊富だし、普通は手札を全て除外すればほぼ勝ちなのだから完全にただ限界を求めた結果のループコンボと言えるだろう。

無限に全てを除外するコンボルートは基盤があった事もあり、「幻子力空母エンタープラズニル」が公開されてから5分でコンボ開拓が完了したとの記録もある。完全にインフェルニティをマスターした人間ってどんな思考回路をしているのだろうか……

 まだまだインフェルニティ界隈ではこんな感じのヤバすぎるコンボが無限に存在している。

 「インフェルニティ」モンスターが大量に並んでからどのようにそのルートに入るかはもう全く書ききれないし正直筆者も全ては把握しきれてないので各々で調べてほしいが、「サイキック・ブロッカー」を無限回出し入れする事によって現存する遊戯王カード全てを宣言することで相手の行動を100%ロックできるループで「ウィジャ盤」を揃えて特殊勝利するコンボ、「アルカナフォースXXI-THE WORLD」を無限回使える盤面を作って相手に絶対にターンを渡さないロック、挙句の果てには「ジャンク・コレクター」と「運命の火時計」をループさせて1ターンで「終焉のカウントダウン」を達成するもう何が何だかわからないループコンボまで生まれている始末だ。

 まさに“インフェルノ”。煉獄の深淵を除く勇気がある物は“満足民”達の研究成果をぜひ自分の目で一度調べてみて欲しい……。筆者は途中で力尽きたよ……。なんだよコンボルートを達成するまでに1年間ぐらいデッキを回し続けなきゃいけないって……怖いよ……。

ネットに散らばっているコンボレポートを確認するに、ターンを飛ばせる方法や時代によって出し入れの方法が確保される度にループコンボが更新されているとの事
基本的に“そんなことをする必要が無い”というのはさておき、一度基盤のループが定まると、モンスターだろうが罠だろうが魔法だろうが、比較的全てのカードがループできるようになるようだ

 そんなわけで今回は「インフェルニティ・デーモン」もとい「インフェルニティ」について振り返ってみたが、いや~~~本当凄まじい歴史だった!

 長年遊戯王を続けてきている身ではあるが、愛され続けるテーマだけあって、事ある毎に変なループコンボが生まれたり、純粋に大会環境に登ってきたりなど自力の高さがわかるニュースをこれまでも数多く聞いてきたような気がする。まさに“無限(インフィニティ)”と“煉獄(インフェルノ)”が混ざったダブルミーニングに相応しいカッコ良さと恐ろしさを秘めたテーマだったと再確認できた。今後の活躍にも期待したい。

 そしてなんと最近新たな「インフェルニティ」カードである「インフェルニティ・クイーン」が登場した! いやどこまで愛されてるんだお前らは! 本当にスゲーよ! さらにさらに直近で公開されたリミットレギュレーションではついに「インフェルニティガン」が無制限へ! デーモン登場から15年を祝うかのような満足のビッグウェーブにこの際乗ってみてはいかがだろうか。

 これから先もこんな感じでちょくちょく追加カードが配られて、遊戯王を盛り上げてくれる事だろう。また変なコンボが開発されたら筆者もチェックしていきたいと思う。

現代にしては珍しいダイレクトアタック効果の付与と珍しい効果を持つ「インフェルニティ・クイーン」。レベル3悪魔族はサポートも多いし、能力は弱めとはいえ結構色々できちゃいそうな怪しい雰囲気のカードだ……!

 こんな感じで今後も(色んな意味で)ヤバすぎるカードの紹介記事を書いていく予定なので、その時はチェックしてくれると嬉しい!それではグッッッッ爆アドォォォ!!!