特別企画
第13回「#遊戯王」宇宙最強カード列伝! 正に“洒落にならない”強さを秘めた最強生命体「餅カエル」で脳が溶けた!
2024年7月9日 00:00
- 【餅カエル】
- 2016年7月9日 登場
爆アドォォォ!アドえもんです!筆者は普段YouTubeにて遊戯王を中心にカードゲーム動画を投稿している愉快でうるさいオジサンだ。
今回もウルトラ長い歴史を持つ「遊戯王」カードの中で特に名高い連中を生まれた日に合わせて紹介する企画「宇宙最強カード列伝」第13回をやっていこう!
今日のカードは遊戯王の中でも大人気なあのテーマから規制にぶち込まれたモンスター! 可愛らしい見た目から一定数の人気を誇りながら、一部のデュエリスト達からは顔面にパンチをぶち込んでやりたいと思われるほど憎たらしく思われていた存在だ(ちなみに筆者もこのカードを”使われた際”にはその一部のデュエリストになっていた)。8年前の今日、2016年7月9日発売「インベイジョン・オブ・ヴェノム」にて登場した「餅カエル(もちカエル)」が本日の主役カードになるぞ!
かの近代遊戯王最大インフレ期の1つとして名高い第9期(2014年3月~2017年3月まで)に生まれたこのカードは、カタログスペックの化け物っぷりから登場当時からブイブイ言わせていた存在であり、歴史の長い「カエル」テーマの中でも3本の指に入るバグカードとして名を馳せている。
とはいえ、このカード自体はリミットレギュレーションの影響を強く受けて何度も制限や無制限を反復横跳びしているカードでもある。生まれる時代が早すぎたり、時代が彼に追いついてしまったり、逆に追いついてきた時代と共に爆走してしまったりなど……歴史を見る分には非常に面白カードだったりするのだ。もっと言えば実は「カエル」というテーマ自体が遊戯王の歴史上何回もハジケた事のあるテーマなので、彼も例外なくハジケリストの1人だっただけなのかもしれない……。
今回はそんな可愛さ余って憎さ一万倍である「餅カエル」の歴史振り返りながら、実は遊戯王ヒストリーの中で何回もバグをもたらした経緯を持つ「カエル」というテーマの数あるヤンチャ時代についても振り返っていくぞ!
遊戯王3大強い効果“妨害・展開・リソース回収”を「餅カエル」は全部1人でやっちまうんだ!
まず最初に今回の最強カード「餅カエル」の基本情報を確認していこう。第9期に生まれたモンスターらしく情報量はギッチリなので覚悟してほしい。
水属性・水族のランク2エクシーズモンスターで、素材条件に「水族レベル2モンスター×2」と少し変わったモンスターを要求してくるのが特徴的だ。このカード自身が所属している「カエル」&「ガエル」テーマには該当ステータスのモンスターも多いため“当初は”テーマデッキでの運用が想定されていたのだろう。
攻撃力がランク2にしては2200と高く、この時点から素材条件の重さに見合った高スペック感を醸し出している。
気になる効果についてだが、1の効果はお互いのスタンバイフェイズにX素材を1つ消費する事でデッキから「ガエル」モンスター1体を特殊召喚する展開効果となっている。
「ガエル」名称には出るだけでリソースを稼ぐ「鬼ガエル(きガエル)」や、攻撃誘導とリソース確保が行なえる「魔知ガエル(まちガエル)」等が存在するため十分に強力な効果と言える。
万が一にでも自分ターンと相手ターンの往復でこの効果を使われたらアドバンテージの差はえげつない事になり、何なら2体目の「餅カエル」の着地にまで繋がる可能性すらあるため、相手目線だとこのカードは生かしておけない存在になるのだ。
2の効果は相手のカード効果を手札かフィールドの水族1体を墓地に送る事で発動無効にし、無効にして破壊したカードを自分のフィールドにセットできる妨害効果だ。正直この効果こそが多くのデュエリストのヘイトを稼いだ要因になっていると言っても過言ではない。なんで無効妨害した上でカードを強奪してくるんだ!?
一応強奪したカードはセット状態になるため、基本どちらのターンでこの効果を使用したとしても次のターンまでアクティブにならないのが救いだが、アドバンテージ面ではボロボロにされるし「無限泡影」や「三戦の才」など強力な汎用カードを強奪されたら間違いなく相手に有効活用されてしまう。
あまつさえ自分のエースモンスターを強奪されてトドメを差されようものならデュエリストの魂は崩壊してしまうだろう。
3の効果は自身が墓地に送られた場合に墓地の水属性を手札に回収できる効果だ。実は割とこの効果も“やってる寄り”の効果である。
まず第一に1の効果と違って回収先は「ガエル」ではなく水属性なら何でも良いため、汎用モンスターを拾ってリソースを確保したりEXデッキの別のエースモンスターを使いまわしたりもできる。というか何なら自分自身を戻して再利用する事すらできてしまうため無限にこのカードを出し続ける事が可能だ。
そして何よりこの効果が自身の2の妨害効果と噛み合っている点も凶悪。妨害効果のコストに自身を墓地に送ったとしても何のアドバンテージも失わないどころか、相手からカードをパクっているので回収効果と合わせると1枚アドを得ているのである。なぜ???
このように効果の全てが「遊戯王というゲームにとって強力な効果」な点がこのカードが最強たる所以なのだ。無限回このカードを出し続けられた事があるか? 飛ぶぞ?(意識が)
とは言えここまでオーバースペックなのは「水族レベル2モンスター×2」という比較的重い召喚条件と、効果をフルスペックで活かす場合はある程度「カエル」テーマとの親和性が必要な事によって釣り合いを取っていたのだと思われる。言い換えれば「簡単にこのモンスターを呼び出す方法」が生まれたり、「自然と『カエル』モンスターを組み込める最強デッキ」が生まれたりしない限りこのモンスターは比較的健全という訳だ!
盛大にフラグを立てた所で、次に「餅カエル」がいかにして環境を破壊し、制限と禁止の道を辿ったのかを振り返って行こう。
想像の2億倍出しやすかったカエルの化け物! 事ある毎に規制の波を受ける存在に……!
結論から言うとこのカードは登場当時から禁止に至るまで“出しづらい”などと腑抜けた事を感じるタイミングは1ミリも存在しなかった。故に何度もリミットレギュレーションで規制と緩和を繰り返す事となる。
まず最初に環境を荒らしたのは登場初期の2016年。第9期終盤に登場しながらもこのカードの登場で“「餅カエル」を出す事に注力したデッキ”が環境デッキとして台頭するようになる。このカード1枚の存在で9期という魔境にも関わらず環境デッキが1つ生まれてしまったのである。
順当に1の効果を狙いながら正規のエクシーズ召喚を行なえる「カエル」が環境に現われたのは当時としても驚きの出来事だったが、前述した「鬼ガエル」や「魔知ガエル」など元々高スペックの「ガエル」が多かった事でデッキとしての形を成す事になる。
この時期には「予想GUY」や「レスキューラビット」のような通常モンスターをサポートするカードも出揃っていた事で、意味不明バニラモンスター「カエルスライム」などが真面目に採用されていたのは有名な話だろう。
とにかく「餅カエル」を場に出して「餅カエル」の能力をフルに活かす……それだけでも9期終盤を戦えてしまうほどこのカードの存在は強大凶悪であり、順当にテーマで組んだら出しやすいし強いという余りにも当たり前な解決策でこのモンスターの問題点は解消されたのだ。
しかし「カエル」の中だけで使ってくれるならまだ全然優しい方なのが「餅カエル」の恐ろしい所。この効果のクセに登場当時から割と様々なデッキで出しやすかったのが真にヤバイポイントなのだ。
その要因となったのが最強ランク4の1体「バハムート・シャーク」だ。「水属性レベル4×2」という比較的簡単な召喚条件で出せるこのモンスターは、X素材を消費する事でEXデッキからランク3以下の水属性エクシーズモンスターを直接呼び出す効果を持っている。つまり「餅カエル」の直出しが可能なのだ。
召喚できるデッキが限られてたからこのスペックが許されてたと思っていたのに「餅カエル」が生まれた時点で「バハムート・シャーク」が既に存在していたのは最早ギャグでしかない。俗に言う“バハシャ餅”のコンボは「餅カエル」が生を受けた瞬間から爆誕していたのである。
このコンボはこの時代以降「バハムート・シャーク」を呼び出せるデッキの定番となり、水属性・レベル4モンスターを並べられるデッキであればほぼ確実に採用されるセットとして活躍していく事となる。
生まれた当時は「E・HERO バブルマン」を用いて「ヒーロー」がこのコンボをぶつけてきたり、「海皇」や「水精鱗」など順当に水属性の強いテーマがオマケで「餅カエル」を場に出すようになる。カジュアル環境ですら「ブリキンギョ」という最強のレベル4展開マシーンが水属性だった事で割と「バハシャ餅」ができてしまったり等、もうとにかくこの「バハムート・シャーク」の存在によって「餅カエル」があり得ないほど手頃に出てくる存在になってしまったのだ。
登場当時からこの有様だった事で「餅カエル」は僅か半年後の2017年1月1日のリミットレギュレーションにて制限カード入りを果たしている。
今更ながら冷静に考えて全ての効果に「同名ターン1」がついて無かったの本当にヤバすぎる……。並べれば並べるほどコイツの凶悪な効果を重ね掛けできていた時代なので、「餅カエル」をひたすら連打するタイプのデッキには痛い規制となった。とは言え例え1枚になったとしても「バハシャ餅」のコンボが死滅したわけではなく、自分が墓地に行った際に自分自身を回収できる効果も変わらないため、以降も制限カードとして活躍をし続ける事になる。
次に「餅カエル」に変化があったのは第10期に入るタイミングだ。EXモンスターゾーンとリンクモンスターの追加、さらに既存EXモンスターの召喚に制限が掛かる大きなルール変更によって支えとなっていたバハシャ餅のコンボが大幅に弱体化する事になる。
本来のパワーを発揮できなくなった事で目立った活躍が無くなった為か、リンク期の2019年4月1日に制限緩和、その3カ月後の2019年7月1日の改定では制限解除にまで至っている。流石にリンクモンスターを揃えた上で「餅カエル」だけを連打できるデッキタイプが存在しなかったのだ。
しかしその1年後の2020年4月1日。第11期に突入しリンク召喚周りのルールが現代と同じになるタイミングで「餅カエル」は先んじて制限カードに叩き戻されている。対応早すぎィ!!!
前のルールに戻すなら3枚使えたらマズいという運営サイドの素晴らしい危機管理能力に当時感心したものだが、逆に言うとルール的な縛りでもつかない限り許されないような効果だという事が証明されたタイミングでもあった。
生まれてから制限カードとしての期間が長すぎて全デュエリストに「1枚だけ使えるヤバいヤツ」という認識が浸透していた頃、ついにこのカードを禁止に追いやる最強カード達が登場してしまう。
その名は「スプライト」。2022年はあらゆる最強テーマが誕生した年であり、そんな“ウルトラ最強ぶっ壊れ暴れフィーバーイヤー”に生まれたこのテーマはレベル2・ランク2・リンク2というあらゆる“2”を駆使して最強の展開と妨害が行なうテーマとなっている。その妨害プランの1つとして「餅カエル」に白羽の矢が立ったのだ。
そもそも「餅カエル」が環境を席巻していた頃の「カエル」デッキに採用されていたモンスター達は当たり前だがすべからくしてレベル2だったため、「スプライト」との共存は容易かったのである。
「スプライト」のスタートエンジンとして「カエル」が……そして「スプライト」の展開からさらなる「カエル」が……といった具合に両者の展開を補い合える抜群の相性だった事で瞬く間に「ガエルスプライト」というデッキタイプが環境を掌握する事になる。「マスターデュエル」においてもこのデッキタイプが圧倒的Tire1だった時期があるので記憶に新しいプレーヤーも多い事だろう。
恐らく「餅カエル」が使われたデッキ史上最もダメだったこの「ガエルスプライト」の影響は凄まじく、このアーキタイプが登場してから僅か3カ月後の2022年7月1日リミットレギュレーションで「餅カエル」は禁止カードへとぶち込まれた。
冒頭で取り上げた「簡単にこのモンスターを呼び出す方法」と「自然と『カエル』モンスターを組み込める最強デッキ」という二つの条件を同時に達成し、さらに自分達のパワーを存分にぶつけてくる「スプライト」とかいう集団がヤバすぎたのだ……。ある意味最期は「餅カエル」も被害者だったのかもしれない。
「スプライト」はその後も姿形を変えてしばらく生き残ったが、テーマ本体のカードに直接規制が掛かった事でかなり早いタイミングで力を失っている。単純にこのテーマのパワーは遊戯王史の中でもトップレベルにイカレていた事が証明されたのである。
現状「餅カエル」を凶悪な方法で使えるテーマとしては未だに「スプライト」が筆頭ではあるが、「スプライト・エルフ」を筆頭に「餅カエル」と共に悪さをしたカードが軒並み規制を受けているため現状であれば「餅カエル」を制限解除しても良いのではという声も出ている。
今だと「カエル」の展開以外に「スプライト・スプリンド」から「素早い」モンスターを展開するなどして展開を伸ばす事自体は可能だが、複数枚解除されたりでもしない限り余程の悪さはしないだろうと筆者も思っているので、今後の規制緩和に期待したい。……悪さしないよね?
悪いのはコイツだけじゃない! 遊戯王における悪い「カエル」の先輩たちを紹介……!
さて非常に恐ろしい存在として今回「餅カエル」を紹介してきたが、実は遊戯王史において「カエル」は時折、環境に姿を現わしデュエルシーンをグチャグチャにしてきた事をご存じだろうか。
古の爺デュエリストであれば「カエルはヤバイ」という認識がある程度根付いているため、「餅カエル」なんて若造はまだ効果無効にしてカードパクって無限に出てくるだけなのでマシとまで思えるレベルなのである(全然そんなことはない)。なので今回の記事では最後に遊戯王を荒らしてきた最強の「先輩カエル」2匹を紹介して終わりたいと思う!
まず最初に紹介するのは、カエル史上初めて環境に影響を与えた伝説の存在「黄泉ガエル(よみガエル)」だ!
魔法・罠カードが自分の場に存在しなければスタンバイフェイズごとに墓地から舞い戻るこのカードは、登場時の低速デュエル環境において一生残り続けるリソースとして非常に重宝された。
EXデッキを使わない古のデュエルシーンでは毎ターン生け贄召喚(アドバンス召喚)のコストになれる存在として大活躍したり、EXデッキを使う時代になってもレベル1という部分が評価されて特定のシンクロデッキで活躍していた存在なのである。
2匹目のカエルはもうヤバすぎて思い出したくも無いプレーヤーも多い悪魔的存在「イレカエル」だ!
自分フィールドのモンスター1体をリリースする事でデッキから「ガエル」モンスターを特殊召喚する効果を持つこのカードは、生まれた時代の影響なのか当然のように「ターン1」を書き忘れてしまっている。(???)
つまりリクルートしたモンスターを再びリリースして別のモンスターをリクルートできるため、言ってしまえばコイツと適当なモンスターが場に揃うだけでデッキ内の全ての「ガエル」を場と墓地に用意できてしまうのだ。
同じく墓地リソースがあれば無限に蘇生が可能な「粋カエル(いきカエル)」と合わせる事で“やっちゃいけない”レベルのソリティア展開が簡単に可能となっており、登場からわずか2年かつEXデッキがシンクロモンスターまでしかいない時代に禁止カードにぶち込まれているのだから恐ろしい……。
ある意味「餅カエル」よりも二度と帰ってこないレベルでヤバイ先輩モンスターなのだ。
という訳で今回は近現代遊戯王最強モンスターの一角、「餅カエル」について振り返ってみたがいかがだっただろうか。
感覚が麻痺っているからか現代の環境だったらギリ戻ってきても良いかも……と実は筆者もこの記事を書く前は思っていたりもしたが、実際に戻ってきて使われたらやはり拳が出てしまうタイプのモンスターなのかもしれないと今回改めて感じる事ができた。
「カエル」自体は長年遊戯王で愛されて来たテーマかつ、時折新規カードを貰える良い立ち位置の存在なので、気になる人はぜひ一度触ってみて欲しい! 「ガエルサンデス」とか「死の合唱」とか結構面白いカードも多いんですぜ?
こんな感じで今後も(色んな意味で)ヤバすぎるカードの紹介記事を書いていく予定なので、その時はチェックしてくれると嬉しい!それではグッッッッ爆アドォォォ!!!
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