特別企画

「HG VF-25F メサイアバルキリー(早乙女アルト機)」を全塗装で制作

『マクロスF』から約3年ぶりにHGプラモデル化!プロポーションを生かし3形態を専用デカールで高密度に仕上げる

【HG 1/100 VF-25F メサイアバルキリー(早乙女アルト機)】
発売元:BANDAI SPIRITS
発売日:2026年3月21日
価格:4,730円(通常版)、7,480円(デラックスセット)、770円(専用水転写式デカール)
ジャンル:プラモデル
サイズ:全高約165mm(バトロイド形態)

 BANDAI SPIRITSが展開中のHG『マクロス』プラモデルシリーズ。2023年に始動し、各作品のバルキリーを1/100スケールで立体化してきた同シリーズですが、この3月に「HG 1/100 VF-25F メサイアバルキリー(早乙女アルト機)」が新登場しました。『マクロスF』の機体としては、約3年ぶりの新規立体化です。

 本稿では、「HG 1/100 VF-25F メサイアバルキリー(早乙女アルト機)デラックスセット」を、同時発売の「HG 1/100 VF-25F メサイアバルキリー(早乙女アルト機) 専用水転写式デカール」を使用した全塗装作例でご紹介します。

本作例では各部色分けをできる限り塗装によって再現しました。

アニメシリーズ3作目『マクロスF』の主人公機

 「VF-25F メサイアバルキリー(早乙女アルト機)」はマクロスシリーズのテレビアニメ作品『マクロスF』に登場し、主人公の「早乙女アルト」が搭乗する主人公機です。物語の舞台であるマクロス・フロンティア船団で開発された本機は新統合軍への正式採用に向けた評価試験を兼ねて、劇中で主人公が所属する民間軍事会社「S.M.S」に先行配備されました。『マクロスF』において最も印象的な機体といえます。

「HG 1/100 VF-25F メサイアバルキリー(早乙女アルト機)」パッケージ
「HG 1/100 VF-25F メサイアバルキリー(早乙女アルト機)デラックスセット」パッケージ

 HG『マクロス』プラモデルシリーズは、各形態を一部差し替えで再現する「差替三段変形(ショートカットチェンジ)」を採用しており、各形態のプロポーションを重視したシリーズです。各部の色分けは、パーツの分割に加えてシールによる再現が多用されています。新規キットの発売と同時に専用水転写式デカールも発売されるので、キットに使用することで細かなマーキングの再現もできます。

 また2025年に発売された「HG 1/100 VF-31J ジークフリード (ハヤテ・インメルマン機)」以降のキットでは、特別な水転写式デカールとアクリルスタンドが付属するデラックスセットも同時発売されています。今回の「HG 1/100 VF-25F メサイアバルキリー(早乙女アルト機)デラックスセット」には、物語のヒロインである「シェリル・ノーム」の新規描き下ろしイラストを使用した水転写式デカールとアクリルスタンドが付属します。

今回はプロポーションの変更などは行わず、合わせ目消しなどの技法でディテールアップを図ります。
デラックスセットには新規描きおろしイラストを使用したアクリルスタンドが付属します。

制作スタイルに合わせて感じる難易度が変化するキット

 まず、本キットのランナー構成に目を向けると本キットは2023年に発売された「HG 1/100 YF-29 デュランダルバルキリー(早乙女アルト機)」から一部ランナーを共有するパーツ構成となります。「VF-25」は「YF-29」とは姉妹機にあたる機体なので、設定上も同一の形状を持つ部分が多くあります。

 キットを構成するパーツは全てPS樹脂による成形です。付属する簡易アクションベースもPS樹脂で成形されています。

写真のC1ランナー以外にもC2、E1、E2、GランナーがYF-29と共通ランナーです。
写真のAランナー以外にもDランナーにアルト機であることを示すランナータグが確認できます。

 また、本キットには簡易アクションベースが付属しており、本キットを買うだけで様々なアクションポーズが楽しめます。

ブラックの簡易アクションベースが付属します。

 ここからは実際にキットの制作を開始します。今回の組み立て方針はプロポーションの変更を意図した改造やスジ彫りの追加等は行なわず、合わせ目消しや肉抜き孔の処理を中心に加工を施します。本キットが持つ魅力を最大限引き出す方針で制作を進めます。

 また、別売りの「HG 1/100 VF-25F メサイアバルキリー(早乙女アルト機) 専用水転写式デカール」を使用しますが、曲面への追従性等を考慮し、色分けは原則塗装による色分けとします。水転写式デカールは、主にマーキング類を使用します。

色分けは原則塗装で再現し、水転写式デカールからはマーキング類を使用します。

仮組でキットの素性と合わせ目対策を考察

 まずはキットの仮組みをしてみます。組み立ててみると、主翼基部や肩部に合わせ目が発生し一部に肉抜き孔が確認できます。また、ファイター形態でのランディングギアは破損防止の穴埋めも確認できました。これらは塗装前に加工します。

 キットのモールドと配色に着目すると、色分けの多くがシールによる色分けであり、仮組状態ではほぼ白一色の姿になります。シールによる色分け箇所は、色分け部分に合わせてモールドが刻印されているので、塗装時には目安とできそうです。

仮組状態でのバトロイド形態。肩部や主翼基部等に合わせ目が発生します。
仮組状態でのファイター形態ではランディングギアに孔埋めが確認できます。

偏光成形パーツをコンパウンドで研ぎ出し

 仮組みしたキットを分解し各部の加工に入ります。まずは頭部パーツです。センサーパーツは本キットの特徴ともいえる偏光成形パーツで成形されています。このパーツは塗装によってメタリックグリーンにしても良いのですが、せっかくなので、この成形色を活かしたいと思います。成形時に発生するパーティングラインがパーツ中央に入っているので、パーティングライン処理後、コンパウンドを使用して光沢仕上げとします。

 パーティングラインの処理方法は1000番のスポンジやすりでパーティングラインを削り取った後、スポンジやすりで10000番まで研磨、仕上げにコンパウンドを使用して光沢仕上げとします。

頭部センサーは小さいパーツではありますが文字通りキットの顔のため丁寧に処理します。

各部合わせ処理は後ハメ加工を駆使して塗装に備える

 各部の合わせ目処理に取りかかります。「VF-25F」は近年のキットには珍しく各部に合わせ目が散見されます。段落ちモールド加工では目立つように感じたため、各部の合わせ目は消していきます。ほとんどは後ハメ加工で処理できますが、大腿部に関しては後ハメ加工ができないと判断し、塗装時にマスキングで対応することとしました。

本機の大腿部は後ハメ加工ができないと判断し、塗装時にマスキングで対応します。

 各部の後ハメ加工は、主に既存のモールドラインに合わせてパーツを分割し、その部分のみ先行してパーツを組み込む形で処理します。最初に前腕部の後ハメ加工です。前腕部背面の合わせ目が発生する部分を切除し、相手側のパーツに接着して合わせ目処理を行ないました。前腕部の合わせ目はこの部分をカットするだけで完了です。

前腕部の後ハメ加工は一部パーツカットだけで完了します。

 次に肩部の合わせ目ですが、こちらは上腕のパーツと肩部関節カバーの2パーツを挟み込む構造のため、モールドに合わせてパーツをカットするだけでは後ハメができません。そこで、上腕のパーツはモールドに沿ったパーツカットで対応しますが、肩部関節カバーは接続孔を一部カットすることで差し込んで接続できる形にしました。

肩部パーツの合わせ目はモールドに沿ったパーツカットと接続孔の一部カットで対応します。

 主翼基部の合わせ目について、本キットの主翼パーツは主翼基部に挟み込む構造です。ここで主翼の接続孔を一部切り欠き、差し込めるように加工する手もありますが、完成時に可動部が緩くなりポージングが決まらない恐れがあるため別の方法を考えます。

可動主翼の接続は主翼パーツを基部パーツで挟み込みます。

 少々手間が大きくなりますが、主翼の接続軸を含まない主翼基部パーツの外周をモールドに沿って切り離し、その外周部分だけ先行取り付けし、合わせ目消しを行います。カット後のパーツは非常に折れやすいため、注意しつつ今後の作業を進めます。

主翼の接続軸を含まない主翼基部パーツの外周をモールドに沿って切り離し、後ハメ加工としました。

 最後にガウォーク形態とファイター形態で使用する機首パーツも先端に合わせ目が発生します。この部位については一部黒色パーツを挟み込む形状となります。先端のみを切り離して先行で挟み込んだ後、マスキングによる塗分けで対応します。

機首パーツのパーツ構成は機首先端に黒色パーツを挟み込みます。
挟み込む黒色パーツの一部を切り離し、先行で取り付けを行ないました。

 機首の形状は安全性のため先端が丸く成形されています。合わせ目処理のついでに先端のエッジをシャープ化しておきました。

機首の先端は合わせ目処理のついでにシャープ化しておきました。

各部の肉抜き孔はエポパテやプラ板で処理

 続いて肉抜き箇所の処理を進めます。本キットでは、各部の肉厚となる部位は変形防止もかねてパーツ背面に肉抜き孔が設けられています。これらの開孔箇所をエポキシパテやプラ板を使用して肉抜き孔を処理しておきます。

脚部背面の肉抜き孔はエポパテで処理しました。
アサルトナイフのグリップ部分の肉抜きは、エポパテを練るほどでもなかったため、瞬間接着剤とベビーパウダーで埋めました。先端はプラ板でシャープ化しています。

パーツ破損防止の穴埋め造形は切除してよりリアルに

 ファイター形態で使用するランディングギアには破損防止の補強が入っています。本来は空洞の部分が埋められているため切除し、よりリアルに見えるよう加工を行いました。

ランディングギアの補強パーツをくり抜いて切除します。
ランディングギアのくり抜きは主脚だけでなく前脚でも行ないます。

各パーツの逆エッジ部はスミ入れが流れやすくなるようスジ彫り

 本キットのモールドにおいてパネルラインを表現する凹モールドは太くはっきりしたモールドが彫刻されているので、加工なしで塗装後のスミ入れは問題なくできます。しかし、各パーツの逆エッジとなる部位には凹モールドが彫られていないので、そのままではスミが上手く流れそうにありません。そこで逆エッジ部分のみスジ彫りを行ないます。1/100スケールのサイズ感を考慮して、幅0.1mmでのモールドを追加していきます。

スジ彫り前のパーツ(写真左)とスジ彫り後のパーツ(写真右)を比較すると逆エッジ部のラインがハッキリします。

 BANDAI SPIRITS製のプラモデルに使用されているプラスチックは、比較的柔らかい材質が採用されています。スジ彫りを行なう際は工具に力を入れすぎないように注意しましょう。

調色をできる限り避けて設定に近い塗装色で塗装を行なう

 ここからは全パーツを洗浄し、塗装作業に入ります。今回の塗装方針は説明書に記載のカラーガイドを参考にしつつ、調色なしで配色を再現できる塗料を選定しました。

 記事中ではメインカラーのみ紹介します。各部で使用した他のカラーについては記事末尾の使用塗料リストをご確認ください。

下地は傷チェック用にフィニッシングサーフェイサーを塗布

 最初に塗装する下地塗料は合わせ目処理や肉抜き穴処理を行なった部位の傷チェック程度でよいと考え、クレオスの「Mr.フィニッシングサーフェイサー1500 グレー スプレー」を使用しました。筆者が缶スプレータイプのサーフェイサーを愛用しているのは、「塗布→傷チェック→傷処理→塗布」という工程を繰り返す際に、都度エアブラシを洗浄する手間を省けるためです。

本作例でのサーフェイサーは缶スプレータイプを使用しています。

機体の使用塗料は調色指示を見つつ近い配色を選択

 機体のメインカラーとなるホワイト部分はカラーガイドによるとホワイトをベースにグレーを少量混色したカラーです。その点から今回はクレオスの「C97 灰色9号」を採用しました。電車などに使用される色です。

ホワイト部分には灰色9号で塗装しました。

 次に各部の差し色となるレッド部分の使用塗料を考えます。本機に採用されるレッドはレッド70%にブラウンを30%加える指示です。この塗装色には通常のレッドより若干茶色を感じるクレオスの「C385 紅色」を選択しました。零戦など日本軍機の国籍マークに使用される色です。

レッドは通常の赤より若干の茶色を感じる紅色で塗装しています。

 最後に本体ブラック部分は塗装指示によるとブラックにコバルトブルーを加える指示です。今回はクレオスの「C71 ミッドナイトブルー」を使用しました。これはアメリカ海軍機であるコルセアの外装色などに採用されている色です。

ブラック部分は濃い紺色で塗装しています。

既製品の塗料がない場合は純色塗料を使用して色味を調整

 ガンポッド用のパープルは既製品の塗料の中でちょうどいいものが手元になかったので、この色だけは調色で再現しました。最もイメージに近かったのは、クレオスの「C370 エイザーブルー」。この塗料をベースに、ガイアノーツの「037 純色バイオレット」を追加して色味をイメージに近づけました。ガイアノーツの純色シリーズは調色時に色の彩度を落とすことなく色味の調整を行なえます。筆者も調色時の色味調整において活用している塗料シリーズです。

ガンポッド部のパープルはエイザーブルーに純色バイオレットを加えて色味を調整しています。

細かい部位のマスキングは専用カッティングシートを作成

 各部の塗り分けは細かい部位も多く、マスキング作業だけでも時間がかかります。細切れにしたマスキングテープを貼り付けてマスキングしてもいいのですが、今回は簡単にマスキングできる専用カッティングシートを制作してみましょう。

 今回作成する専用カッティングシートは実際に貼り付けを行なう水転写式デカールをコピーし、厚紙に貼り付けます。貼り付けた厚紙の表面はマスキングテープがきれいに剥がせるよう、上からセロハンテープを貼ってコーティングします。

専用マスキングシールを制作するためのカッティングシート。この上にマスキングテープを貼り付けてカットします。
専用デカールの原寸コピーにマスキングテープを貼り付けて切り出すことで任意の形に切り出せます。

パイロットフィギュアの塗装は筆塗でチャレンジ

 本キットに付属するパイロットフィギュアは1/100スケールということもあり、エアブラシで塗装するには小さすぎます。このように塗装面積の少ないパイロットフィギュアの塗装は筆塗で行ないます。細かな作業なので、拡大鏡を駆使して塗装しています。

シェリルのフィギュアは新規描きおろしイラストと同じポージングです。
アルトのフィギュアは着座状態と直立状態の2種類が付属します。

 これで各パーツの基本塗装は全て完了です。最後の仕上げとして各部のスミ入れとつや消しコーティングをして完成とします。次章から完成した「VF-25F」に様々なポージングをさせながら見ていきます。