トピック

子供も大人も楽しめる! トイザらス新戦略キーマンインタビュー

皆が訪れたくなる場所を目指した新店舗・京都駅前店のコンセプト

現場のアイディアを活かし、よりお客様が楽しめる場所に

――京都駅前店以外では、新しい施策としてどのようなことをなさっていますか?

立原氏:イベントです。トイザらスでは各店舗で毎週イベントを行っているんです。その中で「ベイブレードエックス」は注力しています。9月には「トイザらス スタッフバトル」というイベントを開催し、大人の参加も可能にしました。

 これはトイザらスオリジナルの企画です。これまではイベントで大会などを開いても子供のみにしていたのですが、大人も参加できる枠を設けました。大人同士でいきなりバトルするのではなく、まずは店員と、ですね。店員も楽しんで参加していますし、お店に親近感を持っていただけるイベントになりました。

 「大人も参加できる」ということを強調するつもりは現時点でなくて、取り入れていくというイメージです。メーカーさんとも情報共有をし、ターゲットや対応等をより深く話してイベントを企画できれば、お互いにとっていい方向に進めると考えています。

――今回のクリスマスカタログにもトイザらスの志向が明確に出ているとのことですが?

立原氏:毎年お客様向けにクリスマスカタログを配布しています。今年はこれまでと違った構成にし、ここは京都駅前店と共通するコンセプトがあります。まず表紙や目次にあえて玩具の写真を使いませんでした。

各ページのテーマを明確化し商品を配置。京都駅前店のコーナーと同じレイアウトだ
大人向け商品の特集ページも

 そして各おもちゃはテーマで分け、リカちゃんやシルバニアファミリーなど、まずブランドを象徴するイメージを打ち出してから商品を表示しています。子供の興味を玩具単体ではなく「このキャラクター、ブランドの商品が欲しい」という風にしています。

 さらに大人向け、15歳以上の商品を集めた特集ページも作りました。子供だけでなく大人も楽しめるカタログ、従来のトイザらスとは違ったイメージが感じられるカタログになりました。

――特撮番組「王様戦隊キングオージャー」でトイザらスのキャラクター「ジェフリー」が登場したのも強いインパクトがありました。

立原氏:ずっと前から、玩具専門店として特撮番組にも何らかの形で関わりたいと思っていました。今回、その想いが実現した形です。「王様戦隊キングオージャー」の36話「ヒメノのお見合い大作戦」のラスト、平和になったイシャバーナ国で人気のキャラクターとしてジェフリーが登場し、喜ぶ人々にジェフリーのぬいぐるみを手渡していました。ジェフリーを囲む子供達も「ジェフリー!」と名前を呼んでくれました。

「王様戦隊キングオージャー」の36話「ヒメノのお見合い大作戦」のラストにトイザらスのイメージキャラクターであるキリンの「ジェフリー」が登場した。この登場は話題を集め、Xのトレンドにもなった

 私たちはトイザらス、そしてジェフリーが大好きなんですよ。「キングオージャー」で36話のエピローグ、平和を取り戻した国を印象付けるシーンとしてこんなにもジェフリーが登場するとは、社内の誰も予想していなかったんです。ジェフリーの出演決定は直前には聞いていたんですが、しっかりとテレビ画面に映り、子供達に囲まれ、印象的に出るとは思っていませんでした。社内はもちろんですが、X(Twitter)のトレンド入りまでするなど、大きな反響がありました。

 Xのユーザーが話題にしたということは、大人がジェフリーに反応してくれたということです。従来、ジェフリーは子供向けとしていたトイザらス自身の考え方を変えてくれるきっかけの1つになってくれると思います。実際、店舗でジェフリーのぬいぐるみの売り上げも上がり、購入した写真をポストしてくれているユーザーも散見しました。

 今後トイザらスが打ち出していくメッセージ、お客様との接点も変わっていくのではないか、そういう予感もしました。ジェフリーの反応はネットで追いかけられるというのも新鮮でした。そして、今後興味を持っていただけたお客様に応えていく、というのも大事なことだと思います。

 一度来ていただいて、楽しいと思っていただき、また来ていただく。ここがとても大事です。誕生日や、クリスマスにおもちゃ屋には来るけど、他の機会には来ない、という家庭も少なくないと思うんです。来ると子供に玩具を買わなくてはいけないから。そうではなく、来て楽しい場所。子供だけでなく、大人が来ても楽しい場所になる。

 気軽に来てもらえる場所、おもちゃ屋だけでなく、楽しい体験を提供する場所でありたいと思っています。「僕等はトイザらスキッズ」という歌がありますけど、子供も大人も童心に返って楽しめる場所でありたい。私たちのコンセプトそのものはずっと変わっていないと思うこともあります。

 私たち本社の人間も、実際にお客様と対面する店員も遊び心を忘れないようにしたい。もちろんビジネスなので売り上げ、戦略は考えなくてはいけませんが、結局その売り上げを上げるには遊び心を持って、お客様に伝えていく必要があるんじゃないかと思います。現場の声、やる気を積極的に応援し、色々なことを試し、学んでいきたいと思います。京都駅前店はまさにその第一ステップですね。

――最後にこのインタビューを読んだ読者に向かってメッセージをお願いします。

立原氏:トイザらスは玩具が基軸にあります。現在、子供向けしかなかった玩具の枠を越えた、大人向け商品、幅広い商品が生まれています。トイザらスは子供も大人も楽しめる、遊び心と、遊びを通じて大人でも成長できる、「あそびが、キミを、つくる。」というキーワード通りに私たちは遊びを支えるブランドを目指して参ります。

――ありがとうございました。

 「おもちゃ売場の進化」というのは興味深いテーマだ。大人向けの商品が拡充している現状を受け、トイザらスがどのように対応していくか、家電量販店や模型店とは異なる「大人と子供が楽しめる場所」を目指すという視点は面白い。今後どうなっていくか、注目したいところだ。