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「エアソフトガン超入門」 第3回:サバゲフィールドを一変させた「次世代電動ガン」

ガスとは異なる電動ガン、電動ガンがサバゲフィールドの主役となった理由は?

 サバイバルゲームの風景を一変させた電動ガン。しかし現在はガスガンも非常に進化している。それでもサバイバルゲームでの主役は電動ガンと言える。それはなぜか? ここではあえて「サバイバルゲーム」という視点からそれぞれのメリットと、電動ガンがサバイバルゲームの多くのユーザーに支持されているかを掘り下げていこう。

 まず“コスト”の話である。ガスガンに充填するガス、「NEWガンパワーHFC134aガス(400g)」は2,000円(税別)、「ノンフロン・ガンパワー(300g)」は1,980円。一方電動ガンに使う「8.4V ニッケル水素1300mAh SOPMODバッテリー」は4,800円(税別)と「専用充電器」が2,480円(税別)である。単価としてのバッテリーは高いが運用コストが全く違う。

 ガスは1回で30g程を使い100発くらいの射撃が可能。一方の電動ガンは1度の充電で数千発の射撃が可能なのだ。そしてバッテリーは家庭用コンセントから充電でき何度も使用できる。ガスを使い切ってしまうガスガンとは大きな差ができる。特に1日に数100発で収まれば少ない方で、1,000発以上撃つのが当たり前のサバイバルゲームではこのコストの差は大きい。

 そして“安定性”の話。パワーソースとしてのガスは、サバイバルゲームフィールドなど屋外で、秋から初春にかけての肌寒い時期は、作動が不安定になる。マガジンが冷えてしまうことでガスの気化効率が低下し、圧力が低下する。すると、ホンモノの銃で火薬の爆発が不完全だった場合などに起こる現象、スライドやボルトの後退量不足が発生する。すると次弾をチャンバーに送り込めないので、当然BB弾が撃てない状態になってしまう。

【電動ガンの射撃システム】
電動ハンドガンのカットモデル。モーターからギアを介して白いピストンを動かし、バネを縮める仕組みはライフルと同じ

 これに対し、電気を貯えたバッテリーは、低温時でもガスほどシビアにならず安定動作する。特に東京マルイが現在電動ガン用バッテリーに使用している「ニッケル水素バッテリー」はアメリカ海軍の人工衛星用に開発され、「大電力・大電流時の放電特性が優れている」、「単純な回路で充放電が可能」という特徴も持ち、何よりハイブリッドカーに採用される事からも解る様に、安全性も保証されている。寒い中戦う冬場のサバイバルゲームでも安定動作する。このコストと作動の確実性が、サバイバルゲームで電動ガンが多用される大きな理由なのだ。

【バッテリーで駆動する】
ストックに収納された「8.4V ニッケル水素1300mAh SOPMODバッテリー」。1度の充電で数千発発射可能だ

 ただし、低温下でガスガンは全く役に立たないかというとそうではない。固定スライドのガスガンならばさほど問題は生じないし、ガスブローバックでもセミオートでの精密射撃ならば比較的快調に撃てる。だが何発も続けて発射してしまったり、フルオートマシンガンで連射してしまうと、どうしても作動が不安定になってしまう。このためサブウェポンでガスガンを使うというユーザーは多い。

 また、ガスガンは「作動音を抑えられる」という大きなメリットがある。電動モーターの電動ガンはどうしても撃つのにモーターの作動音がしてしまう。しかしガスガンはサイレンサーを使うと実銃同様音をかなり小さくできる。サイレンサー付きの固定スライドガスハンドガンのみで戦場に挑み、隠密行動で敵を倒す「ハンドガンナー」と呼ばれるスタイルも人気である。

 東京マルイは次世代電動ガンの後、ガスブローバックマシンガンに本格参入する。ガスブローバックマシンガンは次世代電動ガンでは実現できなかった、「より強烈で、実銃を思わせる反動」を実現させ、実銃に近いテイクダウン(分解)ができるなどモデルガン的楽しさを追求することで、新しい魅力を提示している。

 技術が進歩した現在だからこそ、電動ガン、ガスガンの選択肢は大きく広がったと言える。今では様々な銃の選択肢があり、自分のプレイスタイルを追求できるようになっているのだ。