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「エアソフトガン超入門」 第6回:木製のストック、シンプルな機構……世界の歴史を変えたアサルトライフルを再現! 「ガスブローバックマシンガン AKM」

※射撃時のため、指でトリガーを引いています
【ガスブローバックマシンガン AKM】

2021年春発売予定

価格:未定

種類:アサルトライフル

全長:未定

重量:未定

装弾数:35発

 エアーコッキング、ガスブローバック、次世代電動ガン……エアソフトガンとはどういう種類があり、その中で東京マルイはどんなアプローチをしていったか? 「エアソフトガン超入門」はエアソフトガンの知識を深めることができる企画だ。第6回では、世界で最も使われている銃といわれているアサルトライフルAKM、そしてAKシリーズを東京マルイがエアソフトガンとしてどのように表現するかを紹介していきたい。

【今回の教材】
今回は2021年に発売するエアソフトガン「ガスブローバックマシンガン AKM」を取りあげる。今回見ることができたのは試作品で、ストックとハンドガードは右にある木目の入ったものとなる。各所も今後さらにアップデートされるという

 旧ソビエト社会主義共和国連邦(現ロシア連邦)で誕生した「AK=Автомат Калашникова(アブトマット・カラシニコフ=カラシニコフ突撃銃)」は、「AK-47」という名前で世界中に知られている。AK-47のソ連での制式採用が1949年、今回の商品のモチーフとなる「AKM」は1959年にソ連で採用された改良モデルとなる。

 AKMを含めたいわゆる「AK」シリーズは、フィクションの世界で主に「敵役」の武器としてお馴染みだ。安価で大量生産が可能、過酷な状況でも動作するその安定性の高さは、「最も人を殺した武器」、「史上最悪の大量殺戮兵器」として悪名を轟かせる一方で、独立戦争や革命で使われた事を評し「世界を変えた武器」としても知られている。西側の代表的なアサルトライフルである「M16」とその発展改良型「M4」のライバルとして、エアソフトガン、ゲーム、TVや映画でもとても人気が高い。

 そして、東京マルイがAKシリーズ初のガスブローバックマシンガンとして発売するのが「ガスブローバックマシンガン AKM」である。人気の高いAKシリーズであるだけに、その後の展開を考え、かなり気合いの入った開発が行なわれている。まるで実銃を撃ったかのような強烈な反動を味わえるリコイルショックをはじめ、その細かいこだわり、様々なポイントを、東京マルイの広報を務めるデカこと島村優氏の解説で取りあげていきたい。

「ガスブローバックマシンガン AKM」を構える東京マルイの広報を務める島村優氏。軍服だけでなく、背広や民族衣装など、どんな服でも似合うのがAKの大きな魅力と言える

 なお、これまでの「エアソフトガン超入門」では強力な反動が楽しめる「ガスブローバック」とはどんなものか? バッテリーで駆動する「電動ガン」に反動を盛り込み、撃つ楽しさを追求した「次世代電動ガン」とは? ……といったエアソフトガンの様々な魅力を掘り下げている。特に第2回でガスブローバックマシンガンについてと、「M4」シリーズのメカについて取りあげているので、ぜひチェックして欲しい。

世界で最も使われている銃、「AK=カラシニコフ突撃銃」とはなにか?

 まず、モチーフとなるAKシリーズ誕生の背景や革新性について語りたい。AKシリーズは旧ソ連のミカイル・ティモフェイェビッチ・カラシニコフ技師が設計、開発した、セミオート/フルオート切り替え式の「突撃銃(現代風に言えば自動小銃)」である。1949年に「AK-47」として正式採用された。

 自動小銃(アサルトライフル)はドイツの「StG44」が最初と言われているが、AK-47が切り開いた銃のジャンルと言ってもいいだろう。短機関銃のように携行性と連射性に優れながら、小銃の狙撃能力も併せ持つサルトライフルは歩兵の標準装備として世界に普及していく。

【東京マルイのAKシリーズ】
東京マルイ初のAK「電動ガンスタンダードタイプ AK-47S」は1994年(平成6年)4月発売。価格は31,800円(税別)
1994年6月に発売された東京マルイAK第2弾「電動ガンスタンダードタイプ AK-47」、折りたたみストックの「S」とレシーバーに互換性が無かった

 シベリアの貧しい農家に産まれたカラシニコフ技師は、中学校から鉄道会社の技術部を経て、戦車学校へ進学。そこでタコメーターの改良型を設計して技術者として認められる。

 1941年にドイツ軍がソ連へ侵攻すると一戦車兵として従軍し負傷。護送されるトラックがドイツ兵に襲撃され、その短機関銃で制圧されるのを目の当たりにしたカラシニコフ技師は、祖国防衛に短機関銃の必要性を痛感し、野戦病院で独自に設計を始めたと言われる。完成した試作品を見た「トカレフ拳銃」で著名なトカレフ技師にその腕を見込まれ、戦後に突撃銃の設計開発を担当、「AK-47」を産み出す事になった。

 ロシアの泥濘で過酷な戦闘を経験し、最前線の兵士達がどういった人物で、小火器をどう扱うかを知っていたカラシニコフ技師は、誰でも、どんなレベルでも扱えるように、敢えて精密ではなく、部品同士の隙間を大きく設計した。また、かつて慣れ親しんだ機関車の仕組みを参考にしており、単純にすることも忘れなかった。

 カラシニコフが生み出したAKシリーズの特に優れているところは、“整備のしやすいシンプルな設計”にある。部品点数を極力少なく、各部をユニット化することで、整備の為に分解すると、8つにわかれるのみ。誰でも簡単に、しかも短時間で分解、清掃、組み立てができる。数週間に1度分解清掃するだけで快調に作動し続けるという話があるほどだ。

【特徴的なレシーバー(機関部)】
「ガスブローバックマシンガン AKM」の機関部。単純な構造を忠実に再現している。

 その結果AKは、多くのコピーが作られ、ベトナムや中南米のジャングル、アフガニスタンの山岳地帯、中東やアフリカの砂漠と、あまねく世界に行き渡った。同時にそれらの過酷な状況下で、汚泥に浸かろうが粉塵に塗れようが確実な作動を見せたのだ。国連の推計では1億挺のAKがあると言われる。

 そして今回モチーフとなる「AKM」は、AK-47の改良を目的として製作され、1959年に正式採用された。大きな改良点は“生産性の向上”。AK-47では削り出しで行っていた生産を“プレス加工”を採用することで工場での大量生産が容易となった。

 加えてフルオート射撃を安定させるスタビライザーを装備。発砲時の燃焼ガスが斜め右上に逃げるように斜めに切られた銃口も大きな特徴となっている。その後ソ連はAK-74で7.62mmから5.45mmへの小口径化を図ったが、口径7.62mmの「AKM」は世界中でローカライズされ、使用され続けている。現在シリアなど中東地域で敵味方共に使われているのは、殆どがAKMとそのバリエーションである。

 ちなみに、筆者は電動ガンをはじめ数丁のAKのエアソフトガンを持つAKファンだ。1992年に発行された床井雅美氏の著作「AK-47&カラシニコフバリエーション」この本はソ連が崩壊して、それまでベールに包まれてたAK-47とAKM他バリエーションを紹介している。28年も前に出会ったが何度も繰り返し読んだ。また、2004年の松本仁一氏の「カラシニコフ」は、カラシニコフ氏の生い立ちやをはじめ、AKが中東、アフリカで「最悪の殺戮兵器」となったかが描かれており、AKへの思い入れを増す本となっている。こちらもオススメしたい。

 AKの整備性の良さが生まれた背景は、ドイツの侵攻に、訓練も受けてない市民も投入して防衛した皆兵思想があり、革命を輸出するソ連の戦略にマッチして世界中で使われたのではないかと筆者は思っている。“兵士ではない人も扱える銃”という設計思想はAKシリーズの大きな魅力ではないだろうか。

木製ストック、樹脂グリップ、とことんまでこだわる“AKMらしさ”

 AKシリーズの特徴と魅力を語ったところで、東京マルイの新製品となる発売する「ガスブローバックマシンガン AKM」を見ていこう。前述したとおり、東京マルイではガスブローバックマシンガンとしてAKシリーズを販売するのは、本商品が初めてとなる。

 1994年に発売した「スタンダード電動ガン AK-47」はその完成度の高さもあって、マイナーチェンジしたバリエーションを展開していくが機構そのものを見直すような新設計のリリースは長く行なわれなかった。

 それだけに2007年、次世代電動ガンとして新規開発された「AK-74MN」にAKファンは沸き立たったし、「次はAKMか」と、期待が高まったのだ。その中で2017年、次世代電動ガンとして「AK-47」が発売された時には、新規メカに心は躍ったが、一方で「世界中の最前線で多用されるAKMは、東京マルイからの発売されないのではないか?」という失望感と不安感も大きかった。

【次世代電動ガン AK-47】
2017年に発売された「次世代電動ガン AK-47」。価格は49,800円(税別)。木目調のストックは樹脂製だが、この木の模様は職人さんの手書きによるものだ

 だからこそ、2019年の「ガスブローバックマシンガン AKM」の発表は、AKファンが待ちに待ったものだったのだ。東京マルイ島村氏によると、「次世代電動ガン AK-47」開発時に、既に「AKM」も候補にあがっていたという。しかしこの時、「M4」シリーズに継ぐ新規ガスブローバックエンジンは「AK」しかない、という事も同時に決定されていた。その為、7.62mm口径のAKを平行して開発する事になり、次世代電動ガンは「AK-47」、ガスブローバックマシンガンに「AKM」が選ばれたのだ。

 2020年現在、「ガスブローバックマシンガン AKM」はまだ発売されていない。細部の「AKらしさ」を煮詰めるのに時間を要している為だという。今回は試作品を前に、東京マルイがこだわる「AKらしさ」を見ていきたい。

 まず、AKMの大きな特徴である木製のストックとハンドガード。この木のパーツは単材を削ったAK-47と違い、プレス合板によって作られているが、「ガスブローバックマシンガン AKM」ではプラスチック製のストックとハンドガードにすることとなった。

 試作品ではプラスチックそのものの質感だったが、「実際はこうなります」と採用予定のストックを見せられて驚いた。木のパーツそのままの外見をしたストックである。確かに軽さはプラスチック製なのだが、言われなければ木製のパーツだと信じてしまいそうだ。

 目を引くのは特徴的な木目である。「立体プリント方式」という実際の木目をデータ化し、立体のハンドガードとストックにデジタル処理してプリントする特殊な技術で印刷されているという。

【木目を再現したストック】
「ガスブローバックマシンガン AKM」ストックのプリント試作品。まだ最終段階では無く、ここからさらに調整される
立体プリントでも左右の貼り合わせは行なわれるが、繋ぎの部分が殆どわからない

 この印刷に至るのにも様々な経緯がある。現在木目再現の印刷にはいくつかの手法があり、主流は「水転写方式」という、水の上に木目を描きそこに部品を押しつける方式だが、左右それぞれでつけるため、合わせ目部分がどうしてもずれる。

 また、「次世代電動ガン AK-47」では職人さんが1つ1つ手で書いているが、これも生産性を考え、見送りとなった。「ガスブローバックマシンガン AKM」では写真の通りの見事な再現度のパーツとなるが、この状態から色味などをさらに改良するという。

【ハンドガードの穴】
現在は樹脂の地肌むき出しのハンドガードだが、ロシア製AKMの特徴である水抜きの穴が再現されているのが確認できる

 もう1つホンモノのAKMの特徴としてフェノール樹脂(“ベークライト”という名称はこの材料の商標名である)により成型された赤黒っぽい斑点模様のグリップがある。この模様もまた別な特殊な手法で非常にリアルに再現しているのだ。

 ちなみにホンモノのAK-47のグリップの場合は木製だったため、東京マルイの画電動ガンシリーズでは、ストックなど同様に職人さんが刷毛塗りにて木目のラインを再現してるのだそうだ。

 この他、特徴的な銃口の切り欠き、対象射的距離を延長したリアサイトの目盛りなど、AKMの特徴をきちんと再現しているところも確認できた。

【樹脂製のグリップ】
グリップ。モーターを内蔵する電動ガンでは不可能な、スリムなサイズを実現している
【特徴的な銃口】
銃口部。AKシリーズは「ねじれるようなリコイル」が特徴で、AK-47は連射時に銃口が左上に跳ね上がる欠点があった。その改善策としてAKMのマズルの斜め上に切り欠きがある点も忠実に再現。
【リアサイトの目盛り】
AK-47の800mからAKMは1000mにリアサイトの目盛りが変更された。エアソフトガンそこまでの射程はないが、当然忠実にしている

 銃の心臓部、機関部を収納しているレシーバーは、ホンモノのAK-47は初期型はスチールプレスだったが不具合が出てスチールブロックからの削り出しに変更された経緯がある。

 ホンモノのAKMは、その不具合を解消し、再びスチールプレスにして生産性を向上させたモデルだ。このスチールプレスのレシーバーを、東京マルイでは国内メーカーでの規制に従って亜鉛ダイキャスト製部品に置き換え、塗装で仕上げる事で滑らかなプレスの表面を再現している。

このレシーバーに関して、「もっと粗い表面処理」を求めるファンもいるという。過酷な戦場で使われる生産技術の低い工場での雰囲気を求める声もある一方で、あまり荒い状態のモデルを商品として発売すると「不良品ではないか」と購入者に思われる恐れもあると考えている。発売されるまでに再度微調整が施される様だが、どういった表現になるかは興味が惹かれるところだ。

【レシーバー部分】
ホンモノと同じく、ボルトカバーはスチールプレス成型。スチールプレスの表面の滑らかさをよく見て欲しい
刻印。三角形に矢印は旧ソ連「ツァーラ造兵廠刻印」。4桁の数字は1975年製造である事を表している