特集
「リビングトレイン」を手に、いすみ鉄道に乗ろう!
本物の鉄道と組み合わせることで、リビングトレインの遊びの幅が広がる!
2022年9月20日 00:00
- 【リビングトレイン】
- 2021年10月9日発売
- 価格:3,850円(税込)
- 全長:約400mm
- 重量:約250g
「ぬい撮り」という言葉と遊び方をご存じだろうか? お気に入りのぬいぐるみと旅に出て、旅先の風景とぬいぐるみを組合せ写真に撮る遊び方だ。SNSなどでは様々なユーザーがお気に入りのアイテムを旅行に持って行き、その場所ならではの写真を撮っている。旅の楽しさを増してくれる遊びだ。
では、「リビングトレイン」と共に、鉄道に乗ってみたらどうだろう? リビングトレインはダイキャスト製の車体でシンプルな構成なので持ち運んでもパーツが外れたりしない。気軽に持ち歩き、その土地ならではの風景と、リビングトレインを組み合わせてみることができる。
実際の鉄道と模型を組み合わせる。そこでは改めて模型の楽しさと、鉄道の魅力をたっぷり感じることができる。今回は筆者が慣れ親しんでいる鉄道「いすみ鉄道」に取材をお願いし、車内でリビングトレインで遊んでみた。いすみ鉄道は1両で運行されることが多い、ローカル鉄道だ。千葉の田園風景や自然をしっかり味わえるところが魅力だ。リビングトレインを組み合わせることで大きく広がる楽しさを紹介していこう。
なお、弊誌ではこれまで特別企画としてリビングトレインの魅力と、モチーフとなっている新幹線を掘り下げる企画を掲載している。併せて読んでほしい。
いすみ鉄道は田園地帯や幹線道路など、千葉の風景を満喫できる路線
まずいすみ鉄道に関して紹介したい。いすみ鉄道はJR大原駅から上総中野駅間を走る鉄道で、国鉄の木原線を引き継ぐ形で1988年より運営されている。千葉県東南部の大原駅から房総半島の中央方面に向かって走る鉄道であり、上総中野駅で小湊鐵道と接続することで房総半島西部のJR五井駅に接続する。乗り継ぐことで房総半島を横断できる。
いすみ鉄道で運用されている車両はいすみ300型といすみ350型。千葉県の県の花として親しまれている菜の花を思わせる鮮やかな黄色のメインカラーに緑のラインが特徴的た。普段は1両で運行されているが、千葉県立大多喜高校に通う生徒の通学での利用が多く、登下校の時間帯は2両で運行される。
いすみ型の車両以外にもキハ52形、キハ28形、そして新車両であるキハ20 1303が運用されている。キハ52形、キハ28形はかつて国鉄が使用していた車両であり、当時を思わせる塗装が施されている。観光列車としても活動しており、これらの車両に乗るために鉄道ファンが集まることもある。キハ20 1303も国鉄車両風のカラーリングだ。いすみ鉄道は近年観光にも力を入れており、首都圏からアクセスしやすいローカル線の1つとしても人気がある。
筆者自身は、30年以上前に通学でいすみ鉄道を使っていた。ちょうど国鉄の木原線からいすみ鉄道に運営が変わる時期で色々な想い出がある。今でも沿線周辺はお気に入りのドライブコースであり思い入れも深い。
いすみ鉄道は乗ることで千葉の中南部を満喫できる。広い田園風景、幹線道路と小さな住宅地帯、そして房総半島中央部は標高は低いものの山岳地帯のような趣もある。様々な風景がめまぐるしく変化する楽しい路線だ。
いすみ鉄道は車両同士はいくつかの駅でしかすれ違えない単線の路線だ。「リビングトレイン」のモチーフである新幹線とは本来規模は大きく違うが、組み合わせることで独特のロマンが生まれる。いすみ鉄道の風景をたっぷり楽しみながら、リビングトレインとの旅を体験していこう。
リビングトレインを手に車両に乗ることで大きく広がる走行イメージ
いすみ鉄道とリビングトレインをどう組み合わせるか? 鉄道に乗ったときにぜひやって欲しいのが、走っている車窓にリビングトレインを置いてみるという遊び方だ。窓の外を流れる風景と窓に置いたリビングトレインを一緒に見てみることで、まるでリビングトレインがいすみ鉄道の路線を走っているような気持ちになれる。
今回、窓枠の位置を考え、台として「スイッチバックレール(電動式セット)」のレールを用意してみた。鉄道の振動でリビングトレインが動かないようにレールの間には両面テープを入れて固定している。視線を下げ、流れる窓の外の風景とリビングトレインを重ね合わせるのは楽しい。
そしてさらに臨場感を味わえるのが、窓にリビングトレインをくっつける方法だ。置いて眺めるよりも視界いっぱいに流れる風景が展開するので迫力も増す。めまぐるしく移り変わるいすみ鉄道の窓の外の風景と、リビングトレインが重なる。手に列車の模型を持って風景を眺めると、単純に窓の外を眺めているのとは違うイメージ。列車が走っているイメージが重なるのが面白い。リビングトレインがスピードを出して路線を走っているようなイメージも味わえる。
そしてやはりいすみ鉄道そのものの魅力も強調しておきたい。収録したのは8月後半、千葉では稲の刈り取りが始まる時期だ。実った稲は黄金色に輝く。その中を走って行くのはやはり特別な興奮がある。
長い直線を進んだり、幹線道路と並行したり、小さな駅に着いたりと風景は短時間でめまぐるしく変わる。時には勢いのある雑草に覆われた丘の間に切り開かれた細い場所を進んだりもする。筆者にとっては強い郷愁を感じる「千葉の風景」であるし、そうでない人でもいすみ鉄道ならではの風景として、様々な感慨が浮かんでくるだろう。
房総半島の中心から海へ流れる夷隅川は、まるで蛇が大きく体をくねらせるように曲がりくねっている。このため、何度もいすみ鉄道と交差するのだ。川を渡る瞬間は注目ポイントの1つであり、風景のアクセントとなる。地図アプリで次の交差ポイントをチェックするのも面白い。
今回は窓の縁にリビングトレインを置いたり、持ち上げて風景と重ねるだけでなく、「録画」もしてみた。一脚とビデオカメラを使い、流れる窓の景色を録画してみたのだ。この録画映像を使えば、家でも気軽にいすみ鉄道の風景を走るリビングトレインを楽しめるのである。
録画した風景をノートPCで映し出し、手前に「スイッチバックレール(電動式セット)」のレールに載せたリビングトレインを用意する。動画を再生させれば、いすみ鉄道の景色を走るリビングトレインが楽しめるのだ。この映像を見ながら旅の想い出を反芻するのも良いだろう。
今回はリビングトレインを前にした映像だけでなく、素材に使った動画もHOBBY WatchYouTubeチャンネルにアップしてみた。ぜひノートPCやタブレットでこの動画を再生し、いすみ鉄道の風景で自分のリビングトレインを走らせて欲しい。
なお、今回はいすみ鉄道の許可を取って撮影している。走る車両内でリビングトレインで遊ぶのは楽しいが、他の乗客の迷惑にならないように気をつけたい。時間帯によっては混む場合もあるし、団体の観光客が利用する場合もある。
一方で他の乗客と一緒に旅をするのはやはり楽しい。今回は夏休みシーズンと言うこともあり、観光客が多かった。いすみ鉄道を乗るのが初めてという子供の乗客の興奮した口調や、車両前方での風景を楽しむ人などいすみ鉄道での体験を満喫している人に出会うことができた。こういう経験も鉄道旅行ならではのものだ。
次ページではいすみ鉄道の"外"からリビングトレインを組み合わせたい。いすみ鉄道の路線と組み合わせた楽しみ方を提案していこう。