インタビュー

親も子供も望む「すみっコぐらしパソコン」大ヒットの秘密に迫る!

キーボード、プログラミング、英語……6歳の子供が楽しく学べるパソコントイ

【すみっコぐらしパソコンプレミアム】

発売日:7月29日

価格:18,700円(税込)

対象年齢:6才以上

商品サイズ:幅275×高68×奥205mm

 「カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプレミアム」は、セガトイズが発売した"パソコントイ"だ。対象年齢は6才以上。

 本商品は"パソコン"という名前が冠されているが、ソフトをインストールして様々な機能を持つパーソナルコンピューターではなく、様々な学習ソフトとゲームが盛り込まれた学習機器だ。この商品が非常に好評であり、「日本おもちゃ大賞」の「キャラクター・トイ部門」を受賞、そして前身である「マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプラス」が「前年度ヒット・セールス賞」を受賞したのだ。

「すみっコぐらしパソコン」シリーズのマーケティング担当・亀田英里氏

 個人的には、「勉強用のおもちゃ」というのは、親は買い与えたいが、子供は喜ばないと言うイメージを持っていた。しかし今回話を聞いて、さらに自分で体験することで、子供が夢中になる仕掛けがたくさんあり、その中心には「すみっコぐらし」のキャラクターの魅力と共に、セガトイズの「ゲーミフィケーション」の技術、ゲームを遊ぶように子供が楽しく積極的に勉強ができるコンテンツ作りを確認できた。

 まず、ゲームとして楽しく、達成感が得られ、「すみっコぐらし」の世界が満喫できる。そして時代の要求をしっかりつかんだからこそ多くのユーザーに評価されたのだ。今回、本商品のマーケティング担当の亀田英里氏に「カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプレミアム(以下、「すみっコぐらしパソコンプレミアム」)」の特徴、魅力そして人気の秘密を聞くだけでなく、しっかりとコンテンツを体験してみた。レポートしていきたい。

【すみっコたちとリモート遊びができちゃう!【カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコン プレミアム】】

「子供にキーボードに慣れて欲しい」、「お勉強を楽しくしたい」、親子の想いを実現!

 子供は「大人の持ち物」に憧れる。ままごとなどもそうだし、車関連の様々な商品なども多いが、大人が目の前で使うスマホ、タブレットに似た形や機能を持った商品も多い。「個人用のコンピューター」が様々な形である現代において、「すみっコぐらしパソコンプレミアム」はいささかレガシーなノートパソコン型の商品である。

 手に持ってわかるが「すみっコぐらしパソコン」の第1の魅力は「本物のノートPCっぽさ」だ。本商品の重さは1,494グラム。スマートノートPCより重いくらいだが、この大きさと中身がぎっしり詰まっている感じが、「お父さんやお母さんが使ってるPCと同じもの」という感覚、本格的なPCを前にした感覚を与えるのだ。

 この形は「子供をキーボードに慣れさせたい」という親の思いを受けての商品だという。昨今、「子供の頃からスマホやタブレットは使っていたが、社会人になってからキーボードにうまく慣れない」といった声が聞かれていたが、そういった親の心配も受けての側面もあるという。

「すみっコぐらしパソコンプレミアム」はかわいらしいデザインになっているものの、見た目はかなり本格的なノートPCだ

 セガトイズが最初の「すみっコぐらしパソコン」シリーズを発売したのが2019年10月。それまでは2010年代はスマホ型トイ「ジュエルポッド」シリーズが好評であり、タブレット型のトイも積極的に展開していたが、「パソコントイに挑戦しよう」という意見が社内で大きくなり、子供達に大きな人気を得ている「すみっコぐらし」のキャラクターを起用した商品を開発しよう、ということになった。

 セガトイズは1990年代に「ピコ」というキッズ向けパソコンで大きなヒットをさせている。キッズ向けパソコンのノウハウはこの頃からあり、その後もキッズ向けパソコンの研究は続けられていた。「すみっコぐらしパソコン」で好評な「マウスチェンジをすると中のキャラクターが変わる」というフォーマットはその中で生まれたもので、この要素を「すみっコぐらし」のキャラクターでやってみよう、というコンセプトは決まった。

 「2019年に『すみっコぐらしパソコン』を出そう、という考えになったのは"教育の現場が変わってきている"という実感からです。デジタル機器で子供を家庭で勉強させたい、というご親御さんの考え方が顕著に出てきた。教育要素を持たせた商品はセガトイズでも様々なものを用意しているんですが、キーボードを使った商品の感触が良かったんです。スマホやタブレットのようなタッチパネルしきでなく、キーボードを装備した『パソコントイ』を打ち出そう、そういう流れが出てきました」と亀田氏は語った。

1990年代に大きなヒットとなったパソコントイ「ピコ」。写真は2001年に発売されたリニューアル版

 第1弾の「すみっコぐらしパソコン」は10月末発売だったが大きくヒットし、本来のターゲットであるクリスマスシーズンには品切れになってしまい、次の年のパワーアップ商品「すみっコぐらしパソコンプラス」はかなり力を入れたプロモーションを行ないこちらも大ヒット。そしてさらに機能を追加したのが、今回紹介する「すみっコぐらしパソコンプレミアム」というわけだ。

 「キーボードを使ったパソコントイが欲しい」、「すみっコの世界観を楽しめる商品が欲しい」、「家で楽しく勉強ができるツールを買い与えたい」などなど子供達と親の要望にぴったりはまることで大きなヒットをしている「すみっコぐらしパソコン」シリーズだが、「新型コロナウィルスコロナの感染防止のための環境」がこのヒットを後押しする。

「すみっコぐらしパソコンプレミアム」はキーボードの配置もJIS配列キーボードとなっている。カナ打ちからはじめて、ローマ字に慣れてもらう、と言うことを想定している

 親がリモートワークなどで在宅勤務となり、子供も出歩けないという状況の中、お父さん、お母さんの仕事を目にする機会が多くなる。パソコンのキーボードをカタカタと音を鳴らしながら操作したり、カメラで自分を映し他の人とビデオチャットしたり……。「私もパソコンを使ってみたい」と思う機会が増えたという。シリーズ最新作である「カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプレミアム」は、その名の通り"カメラ"により遊びの幅を広げている。次章から「すみっコぐらしパソコンプレミアム」が提示する"遊び"と"学び"にフォーカスしていく。

セガトイズならではの「ゲーミフィケーション」を活かしたコンテンツ

 「すみっコぐらしパソコンプレミアム」の第1の魅力が“本格的なPCらしさ”にあると書いたが、もう1つ、“「すみっコぐらし」らしさ”も楽しいところだ。まず"蓋"にあたるところに、「すみっコぐらし」のキャラクターが配置されている。このキャラクターは蓋から取り外せ、そのままマウスカバーになる。マウスにセットするとそのキャラクターが画面に現われる。子供達は「今日のすみっコ」を選び、マウスに装着して遊ぶのだ。

 選んだキャラクターであるいわば「アバター」を変える感覚で、様々なゲームや、学習メニューに挑戦できる。またすみっコ達が住む部屋もあるので、そこで選んだすみっコと遊んぶことも可能だ。キャラクターを選ぶとパソコン内のキャラクターも変わり、一緒に遊べる。この着せ替え感覚がシリーズの大きな魅力となる。

本商品の大きな特徴は「マウスの着せ替え」。蓋にあるすみっコを取り外し、マウスに装着することで、画面のキャラクターも変わる
画面右端のキャラクターが変化する

 コンテンツの最大の魅力は“ボリューム”である。110もの豊富なコンテンツ。マウスの操作、ポイントの移動やクリックの仕方を覚えたり、カナキーの場所を覚えるなど、パソコンの基本操作を覚える「パソコン」、迷路ゲームなどパズル感覚でプログラムを覚える「プログラミング」、「さんすう」、「おんがく」など様々な学習プログラムをゲーム感覚で楽しめる。

 床に転がっているおもちゃや本などを決められた場所にドラッグして片付けたり、お弁当箱におかずを詰めたりする「せいかつ」、マウスを使って絵が描けたりパズルを楽しめる「ずこう」などもある。マウスでパドルを操作するブロック崩しなど純粋な「ゲーム」ももちろん用意されている。学習ドリルは学研の問題を活用している。楽しく、たくさんのコンテンツでたっぷり楽しめるのが、本商品の大きな特徴だ。

 これらのコンテンツをプレイすることで報酬として「たねコイン」がもらえる。このコインを使うことですみっコが住んでいる町を発展させたり、家の内装などをより豪華にできるのだ。コンテンツ自体もプレイしていくことでより多くの要素がアンロックされる。ソーシャルゲーム的に"やりこみ要素"がたっぷり入っていることが、子供達の気持ちを後押しする。苦手な教科でも挑戦することで報酬がもらえ、基礎を学ぶことでまんべんなく様々な項目を遊んで学んでいけるようにする。そういう工夫が随所に盛り込まれているのだと亀田氏は語った。入手できるアイテムにはランダム要素のある「ガチャ」まで導入されている。昨今のゲームトレンドもしっかり盛り込んでいるのだ。

 「遊びたいために勉強をする、勉強が次のゲームや、新しい学びにつながっていいる。『勉強はいやだ、ずっと遊んでいたい』と子供に思わせないコンテンツのバランスというところは、親御さんにシリーズで評価されているポイントです。『すみっコぐらしパソコン』では遊びと勉強がかなり近いものにできた、そこが人気を集めているポイントの1つかな、と思っています」と亀田氏は語った。

豊富なコンテンツは本商品のセールスポイント
プログラムのゲーム。すみっコにコマンドを入力、迷路を抜けてゴールに向かう
塗り絵やパズルなどがある「ずこう」のメニュー

 学習問題は学研のものを活用しているが、「すみっコぐらしパソコン」でどう活用するか、問題をどうゲームとして楽しませるか、収録されているコンテンツはオリジナルとなる。パソコントイ、学習コンテンツは、1990年代の「ピコ」から連綿と受け継がれているノウハウだという。「いかに楽しく子供に学ばせるか」そういうノウハウの蓄積が、「すみっコぐらしパソコン」のヒットを実現させているのだ。

「『ただかわいいパソコンを作る』、というわけじゃないんです。玩具メーカーとして、玩具として楽しく遊べるパソコンを目指す。ぱっとみて『すみっコぐらし』のキャラクターが並んでいる、マウスを付け替えると全体が変わる。そういった玩具の楽しさは商品の企画時に積極的に盛り込みました」。

 そして今作「すみっコぐらしパソコンプレミアム」で追加された要素が"カメラ"だ。ノートPCのようにディスプレイ上部にカメラがついており、パソコンをのぞき込んでいる自分の姿を撮影できる。お父さん、お母さんのテレビ会議のように、自分の顔がモニターに映し出されるのだ。

 このスイッチも「すみっコぐらしパソコン」ならではだ。蓋についている小さなキャラクター「たぴおか」をモニター横のスロットに配置することでカメラの電源がONとなり自分の顔が映し出される。ノートPCは親の仕事の道具。自分だけの「すみっコぐらしパソコン」で同じような体験ができるのは、楽しい。

 もちろんカメラで写真を撮ることもでき、お絵かきやスタンプ、フレーム機能で「デコ写真」を作ることも可能だ。カメラ機能だけでなく、マイク機能もあり、英語の発音や、音声を使ったゲームなどの要素もあるが、「テレビ会議」の雰囲気も味わえる。すみっコ達の部屋で、話しかけることですみっコが様々なアクションをしてくれるのだ。

 ちなみに、「すみっコぐらしパソコン」シリーズはあえてインターネット接続機能は搭載していない。これはセガトイズの開発のポリシーで、親がセガトイズの玩具を買い与える時、親が意図せずに子供がネットに触れ、コンテンツにアクセスしたり、他の人とコミュニケーションするようなことがないためだという。「スタンドアローンであるからこそ安全な玩具」というポイントは大事な要素だと亀田氏は語った。

右側のピンクのすみっコ「タピオカ」をセットするとカメラ機能がON、パソコンの正面にいるカメラを構えた筆者が画面内に現われる。「リモート会議」を疑似体験できる遊びだ
撮った写真をデコレーションすることも可能
【「すみっコぐらしパソコンプレミアム」、リモート会議風にすみっコと遊ぶ】

 「すみっコぐらしパソコンプレミアム」の"遊んでもらえる期間の長さ"もセールスポイントだと亀田氏はいう。本商品の対象年齢は小学1年生である6歳だが、幼稚園の年長さんでも楽しめる問題は多く、コンテンツ量だけ言えば子供によっては1年でも遊びきれないほど多いし、やりこみ要素もある。

 こういった学習機器は飽きてしまったり、問題が解けずに投げ出す子供も多いが、数日おきや、1週間ごとなど長く遊ぶ子供多いという。マウスカバーを変えるとキャラクターが変わるので、そういった変化をさせての遊びの要素も好評だ。安価な商品ではないが、コストパフォーマンスは高いという自信は持っているとのこと。

 セガトイズならではの「ゲーミフィケーション」。子供が毎日プレイしやすい学習コンテンツ、こういった要素はやはり体験しないとわからない部分もある。そこで、実際にサンプルでコンテンツを体験してみた。次ページでは「すみっコぐらしパソコンプレミアム」をしっかり遊んだ上での楽しさを紹介しよう。