インタビュー

親も子供も望む「すみっコぐらしパソコン」大ヒットの秘密に迫る!

ちょっと遊んですぐご褒美、コンテンツの多彩さが“好き”を問う楽しさにつながる!

 「すみっコぐらしパソコン」の大きな魅力は「本物っぽさ」だ。先日鞄の中に入れた仕事に使うPCを娘に「すみっコぐらしパソコン」にすり替えられて思わず脱力してしまったTweetが話題になったが、手に持ったその重さ、雰囲気はノートPCそのまま。子供が「自分のもの」としてこの「すみっコぐらしパソコン」を与えられた時、“本物”をもらったという興奮は、想像できる。外見だけまねて全く機能がなかったり、中ががらんどうで軽かったりする“おもちゃ”ではやはり魅力に欠ける。この本物感が良いのだろう。

 そしてやはり「すみっコぐらし」なのがいい。マウスカバーが並んだ蓋、蓋を開けて電源をつけるとメニュー画面は世界観がきちんと統一されている。また、マウスカバーを変えるとちゃんと右下のキャラクターも変わる。好きなキャラクターばかりにする子もいるし、毎日変える子もいるだろう。「自分なりの遊び方」ができる楽しさがある。

盛りだくさんのコンテンツがあるメニュー画面。マウスカバーを変えると右下の「すみっコぐらし」のキャラクターも変わる

 「すみっコぐらしパソコン」のメニューは非常に豊富だ。パソコンの操作が学べる「パソコン」、お掃除や挨拶が学べる「せいかつ」、「こくご」、「さんすう」、「えいご」……STEM教育が学べる「プログラミング」や純粋な「ゲーム」だってある。盛りだくさんのコンテンツだ。

【「すみっコぐらしパソコンプレミアム」、交通安全からお弁当作りまで色々学べる「せいかつ」】
【「すみっコぐらしパソコンプレミアム」、英語の発音やキーボード遊び】

 本商品は対象年齢6歳以上、ちょっと早い子なら“年長さん(幼稚園の高学年)”でも楽しめるし、小学2年生でも復習としてやっても楽しいだろう。得意な科目をやってもいい。いくつかのコンテンツを遊んでみたが、やはり「ゲーミフィケーション」として良くできている。

 ゲーミフィケーションとは「ゲームの手法を採り入れることでわかりやすくなったり、学びやすくなる手法」だが、例えばクイズ形式のコンテンツの場合、制限時間が設定されていたりプレーヤーの達成感をくすぐる仕組みがある。マウスのクリックの楽しさなどもある。ゲームの「だるまさんが転んだ」はキーボードの連打ですみっコのキャラクターがちょっとずつ進んだり、演出も楽しい。

 英語は絵や字をクリックして「英語では何と言うか」を学ぶだけだったり、音楽の楽器演奏も楽器をクリックするだけ。いきなりスペルや弾き方を覚えさせるのではなく、入り口の楽しさを提示している。そして「ごほうび」がすごくハードルが低いのだ。

 1プレイは1分とかからない。それで「たねコイン」と「スタンプ」がもらえる。これは学校の授業では得られないすごく低いハードルだと感じた。ちょっとだけ遊ぶと少しの報酬が確実に手に入るというのは、飽きっぽい子もぐっとのめり込ませる。テストのように長い時間の緊張も強いない。ほんの暇つぶしでもつい遊んでしまう、そういう楽しさが子供を勉強させるコツなのかもしれない。これだけ短いプレイと報酬のサイクルは、ソーシャルゲームに近いかもしれない。

コンテンツを遊ぶとすぐもらえるたねコイン。勉強を少しするとすぐご褒美がもらえる。このサイクルの早さはモチベーションを上げてくれる
たねコインはゲーム内通貨だけでなく、その名の通り、“種”としてマップに植えることができ、日々成長する。これも毎日遊びたくなる仕掛けの1つ
キャラクターにプレゼントするとリアクションがある。ペット感覚で楽しい

 たねコインはショップでアイテムなどを購入できる。椅子や電灯など家具が買えたり、すみっコぐらしのキャラクター達にプレゼントができるのだ。「自分だけの部屋を飾り立てる」というのも、ソーシャルゲーム以前のネットゲームの基本的な要素である。こういった随所でゲーム開発のバックボーンを感じさせる部分がある。それはインターフェースや、プレイしやすさ、演出、「すみっコぐらし」らしさなど、様々なポイントでの総合的なものだ。この“コンテンツのバックボーンの厚み”が人気につながっているのだと思う。

 これだけ盛りだくさんの「すみっコぐらしパソコンプレミアム」には子供達の「自分は何が好きか」を気づかせるきっかけになるだろうなと思う。「おえかき」で絵を描くのは楽しくなってきたけど、マウスは絵が描きにくい。「では画用紙で書いてみよう」となるかもしれない。「英語でいろいろなものの名前を覚えるのが好き」と言うならば、もっと本格的な英語絵本が欲しくなるかもしれない。こういった自分が何が好きで、何をやってみたいか、盛りだくさんのコンテンツが、子供達の好きなものを気づかせてくれるとも感じた。

 筆者が特に面白いと感じたのが「プログラミング」だ。プログラムチップを置いたとおりにキャラクターが動く。「画面内のすべての果物を取る」という目的に対して、プログラムを組むのは、ロボットを操作しているような感覚が楽しめるし、正解が必ずしも1つではなく、いろいろなやり方があるのがいい。「もっと効率よく動かせないかな?」とも考えてしまう。

【「すみっコぐらしパソコンプレミアム」、プログラムに挑戦】

 親の立場で考えれば、自分の子供が「すみっコぐらしパソコンプレミアム」で親の想像を超えたのめり込みを見せて、「これが好き」と言ってくれたら、これは応援してしまうだろうなと思う。子供の才能や、未来を考えて、あれこれ想像したり、応援したくなるだろうなと思う。実際遊んでみて本商品の人気の一端が見えたと感じた。

 実際に遊んでみることで、「これはヒットするな」という感覚が納得できた。まず子供はPCの姿そのままの外見の豪華さに惹かれるだろうし、「すみっコぐらし」の雰囲気も魅力を感じるだろう。試しに遊んだコンテンツは簡単で、他にたっぷりコンテンツがある。簡単にご褒美がもらえる上、親がプレイをしている自分を応援してくれる。

 しかも、おえかき、えいご、ゲームなどコンテンツが盛りだくさんで色んなゲームがあるのだ。そしてこれらのコンテンツはあくまで“入り口”であり、子供がより本格的な勉強の楽しさを知るきっかけになる。子供も親も喜ぶそういう商品であることが、遊んでみて実感できた。

亀田氏のデコ写真。様々な機能を使うことで新しい楽しさも見つけられる

 「すみっコぐらしパソコンプレミアム」は7月29日に発売されたが、セガトイズでは早くも次のバージョンである「すみっコぐらしパソコン プレミアムプラス」を10月14日に発売する。価格は価格は20,900円(税込)。びっくりするようなリリーススケジュールだが、多くのユーザーが「すみっコぐらしパソコン」今、新しい商品を投入することでクリスマス商戦に勢いをつけていきたいということだろう。

 新しい「すみっコぐらしパソコン プレミアムプラス」は、画面が4.3インチ→5インチに大きくなり、メニュー数がこれまでの136メニューから183メニューになるとのことだ。「専用電源アダプター」と「マウスパッド」も付属する。基本要素は変わらないが、これから購入するならばこちらもチェックしておきたいところだ。

10月14日に発売の、「カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプレミアムプラス」。価格は20,900円(税込)。クリスマス商戦に向け、早くもニューバージョンが発表された

 「すみっコぐらしパソコンプラス」はセガトイズの商品としてもかなり大きな売り上げを記録しており、今回も予約の時点で非常に好評だった。9月1日にはシリーズ累計販売台数20万台を2突破したという。

 この大きなヒットはセガトイズにとって、改めて「お家の中で楽しく遊べる玩具」の必要性を考えさせられるきっかけになっている。特に”勉強ができる”というのは、親へのアピールが強い。キャラクター的にも子供のみならず親からの人気も高いのがヒットにつながったのではないか? ……様々な人気の理由を分析しながら次の商品開発につなげていきたいとのことだ。

 最後に読者へのメッセージとして亀田氏は、「記事を読んでいただく時はまさにおもちゃ屋さんの店頭に『すみっコぐらしパソコンプレミアム』が並んでいると思います。お子さんが楽しくお家で勉強でき、遊べるツールとして、手に取っていただけるとうれしいです」と語りかけた。

こちらは「マウスでバトル!!恐竜図鑑パソコン」。2020年9月17日に発売された商品で、恐竜同士のバトル要素がセールスポイントだ。価格は16,500円(税込)

 やはり話を聞くだけでなく、実際に触ってみることでいろいろなことが見えてきた。筆者は30年以上前、まさに黎明期に“マイコン”用の勉強プログラムなども触ってみたが、PCの性能も技術もまだまだで、「勉強用コンテンツ」のつまらなさに失望した記憶がある。この分野は今でもつまらないコンテンツが多いのではないか、という偏見を持っていた。

 その中での「すみっコぐらしパソコン」シリーズのヒットというのは意外だった。しかし体験することでかわいらしい世界観、ゲームの手法をしっかり採り入れた遊びの要素、自分が知らないことを覚えていく楽しさ、いろいろなコンテンツを体験することで自分の“好き”を問う要素など、まさに「子供向け学習コンテンツ」に真摯に向き合っている開発者だからこその蓄積されたノウハウを感じた。これは確かに、親が子供に買い与えたくなる商品だと思う。例えばこのノウハウを使った大人向けコンテンツもありではないか、そういう想像まで持ってしまった。